CHAI EP「わがまマニア」は “自分
たちが言われたかった言葉が詰まって
る”

2016年12月1st EP「ほったらかシリーズ」を発表したCHAI。アメリカで行われる世界最大のショーケースSXSWに呼ばれたり、海外ツアーを敢行したりと、あっという間に音楽ファンに知れ渡り、同業のミュージシャンたちからも絶賛された。若いながらも洋楽をルーツとしたサウンドが支持された大きな理由のひとつでもあると思うが、今回は敢えて邦楽のルーツについても聴いたり、小さな頃は『ミュージックステーション』(以下、Mステ)といったテレビから音楽を知っていたという話まで聞いている。まぁ、その『Mステ』に自分たちも出たわけだから、誠に夢があるのだが、そのあたりはインタビューで触れているので是非とも読んで頂きたい。

 で、じっくりと歌詞についても聴いている。特に今作は、わがままにありのままの自分でいいじゃないというテーマだが、マナとユウキ自身に昔の自分たちについても振り返ってもらった。空気を読み、人と違う事をせずなるべく目立たないようにしていた学生時代…、そんな時代を経験してきたからこそ歌える歌詞。決して、「がんばれ!」とむやみやたらに鼓舞するわけでなく、肯定した上で寄り添う。そんなありのままのインタビューを改めて言いますが、是非とも読んで頂きたい。

CHAI 撮影=渡邉一生

●洋楽が凄い好きだから、世界のトップになりたい●
――気が付いたら短時間で、あっという間に世間から注目されている状況になったなと思うのですが。
ユウキ:単純に嬉しい!
マナ:忙しいことは嬉しい!
ユウキ:でも、「もっと!!」って思っちゃうかな。
マナ:もっとたくさんの人に聴いてもらいたい!
――でも、物凄いスピードで、ここまで来ていると思うんですよ。ここまで短時間で注目されると思っていましたか?
マナ:想像していたかな。
ユウキ:もっと! もっと!
マナ:だって、グラミー賞を獲りたいから!
CHAI 撮影=渡邉一生
――まぁ、改めてグラミー賞を獲りたいと言っちゃうのは、かなり凄いですよね。
マナ:洋楽が凄い好きだから、世界のトップになりたい。
――何で、そこまで洋楽を好きになったんですか?
ユウキ:人に教えてもらって、凄く衝撃が走った!
マナ:一番最初は、ベースメント・ジャックス.
ユウキ:本当にかっこいい!
マナ:もう何年も好きでいれるなんて凄い。衝撃だった……。あの感じをめっちゃやりたかった。
ユウキ:自分たちがやれない事だから、好きっていうのもある。
マナ:いつも聴きながら、自分たちのを作るんだけどね、でも、その通りにならない(笑)。
ユウキ:だから、いいんだよね。洋楽をそのまま再現できる人は凄いけど、でも私たちは、そうならない(笑)。圧倒的個性なんだよね。まんまやれちゃうと、オリジナルじゃなくなるしね」
CHAI 撮影=渡邉一生
――聴いたら、聴いたで、影響とは言わなくても刺激を受けるし、何だかんだ気になるから聴いちゃいますよね。
ユウキ:うん、全部聴く。
――いわゆる小さな頃に聴いていたルーツ的な音楽ってありますか?
マナ:小学生の時は流行もんしか聴いてないなぁ。テレビからしか知らなかったから、音楽を。オレンジレンジとか聴いてたよ。『Mステ』出てる音楽しか知らなかったし。
●CHAIも普通の人間だよ!みんなが思っている以上に普通の人間なの●
CHAI 撮影=渡邉一生
――その『Mステ』に自分たちが出れたって、夢ありますよね?
マナ:『Mステ』は夢だった。
ユウキ:親孝行できたよね。
マナ:親が喜んだよ。後、親戚も!。
ユウキ:おばあちゃん、正座して観ていたって(笑)。
マナ:でも、今までで一番緊張したよ。
ユウキ:手汗出た。いつもテレビは緊張するしね。
マナ:特に生ってヤバい! 『Mステ』格別…。手汗凄かったし、熱かった。
――で、何よりもタモリさんですよ、やっぱ。
ユウキ:うん! タモさん優しくってさ! ニッコニッコしていて、むちゃくちゃかわいい。もう内面が出ている感じ。
マナ:リハーサルのときに、名古屋弁喋ってくれてね。それで緊張とけたよ。
――タモリさんとも今みたいな感じでフランクに喋っていたから、緊張していたんだと驚いてますけどね。
マナ:緊張するよ! CHAIも普通の人間だよ(笑)。みんなが思っている以上に普通の人間なの。それにタモさんの事むちゃくちゃリスペクトしているから。だって、日本人だよ!
ユウキ:そりゃ、そうだよね(笑)。
――そりゃ、日本人なら誰もがタモリさんリスペクトしますよね(笑)。もちろん、また『Mステ』出たいですよね?
マナ:いつでも出たい。いつも万全だよ! もっとタモさんと餃子の話がしたかった! タモさんが餃子に入れるのはキャベツじゃなくて……
ユウキ:白菜だよ!
マナ:そうだ! でも、『Mステ』には慣れないね、手汗が本当にヤバいよ……
ユウキ:全然、他の番組と違うよ。

CHAI 撮影=渡邉一生

――餃子の話が出たから、ちょっと話したいんですけど、僕は「ほれちゃった」という楽曲が凄く好きなんですよ。
マナ:嬉しい! あれ、、CAHIのイメージのマルーン5なんだよ(笑)。
ユウキ:「Sugar」ね(笑)。
マナ:全然違うけど!
――あはは(笑)。洋楽ルーツなんだけど、ちゃんと自分たちの音楽になっているというのがいいですね。
マナ:前からあった曲で、ああなった。あれはめちゃいい。
ユウキ:本当いいもんね。いい曲やからさ、普通のラブソングにならないようにと思って。一番愛しているのが餃子だから、そこへのラブなら歌えるなって。何かTwitterで、ファンの人が<愛しちゃった 愛しちゃった 餃子>の部分を旦那さんの名前にして歌うって書いてあったの。
マナ:かわいい!
ユウキ:みんな、自分のものにしてほしい。
●CHAIになってポジティブになれた●
CHAI 撮影=渡邉一生
――これは自分の歌だと思えるのが、本当にいい歌ですもんね。そういう意味で言うと、今回の新しいEPの「わがまマニア」は、ありのままの自分でいいと肯定してもらってると思う人多いと思うんです、聴いたら。
マナ:いつも、そういう事は思っているの。
ユウキ:最初の頃から思っていたよね、そのままでいいよというのは。で、今回5曲できた時に、わがままってのはありのままの自分だよって事でタイトルを付けた。自分たちが超ネガティブ出身だから、人に言われたかった事ばっかを曲にしてる入れてる。4人はCHAIになってポジティブになれたから。
――そんなに超ネガティブ出身でしたか?
マナ:そうだよ、ハンパないよ! 二度と戻りたくない! やだー!
ユウキ:陰にいて地味に目立たないようにしてたなぁ~。
マナ:引っ込んどかないといけないから」
ユウキ:だから、そういう人たちには「大丈夫だよ!」と言ってあげたい。自分の事を「好き!」って大きな声で言ったらいい!
――例えば、今回でいうと「FAT-MOTTO」での<泳ぐ必要はない>、<浮いてるだけでいい>、<ジムなんて行かない>、<もがく必要はない>、<ヨガなんて行かない>といった歌詞に、駄目な自分を肯定してもらったと安心した人多いと思うんです。実際に僕がそうですから。
マナ:いいの、無理にしなくても。定期的にストイックにジムに行くの無理だから! 三日坊主になるから(笑)。
ユウキ:こっちの見方があってもいいよっていうね。
マナ:ストイックにジムに行くのはいい事だけど、脂肪があってもいいじゃない。
ユウキ:脂肪があれば浮く事も出来るしね。
マナ:脂肪あってもいいんだよ!

CHAI 撮影=渡邉一生

――例えば学校とか仕事場で浮いても大丈夫だなって思えたりするんですよね、この曲を聴いたら。
ユウキ:そうそう、浮いていいんだよ。だから、楽になって欲しいなって。
マナ:自分たちが言われたかったもんね。わがままにありのままにしたら、浮いちゃってKYみたいになるから。
ユウキ:KYという暗黙の了解に縛られちゃってさ。
マナ:人と違う事をやってもいいから。
ユウキ:私たちは、ある程度経験済みだから!
――後、ラストナンバーの「Center of the FACE!」も素敵なんですよ。<そのアンバランス 魅力になる>という、これもまた肯定ですよね。
マナ:いい言葉だよね~。
ユウキ:(歌詞を)がんばりました(笑)。ノーズという1個のモノに絞ってるけど、自分の何かモヤモヤしてるものに置き換えてもらえたらいい。
――<そのアンバランス エースになる>という歌詞も好きなんですよ。
マナ:みんなエースになりたいから。
ユウキ:みんな1位だよって。
マナ:みんな同じだったら面白くないよ。それじゃ、ロボットだし。
――CHAIは洋楽的なサウンドを凄く評価されますけど、やっぱ凄く歌詞が良いんですよね。どんな感じで歌詞は書くのですか? よく「降ってきた」とか言うじゃないですか、歌詞って。
ユウキ:降ってこないよ(笑)。考えたよ! ドラムのユナが鼻を気にしていて、それでいいんだよっていう。
マナ:降るわけないよね~(笑)。
ユウキ:もちろん、降ってくる天才型の人は素晴らしいけどね。
マナ:CHAIは、どんだけ考えてるかー!
ユウキ:漁って見つけ出すから(笑)。ただテーマ重くても、押し付けないようにはしてる。
マナ:「がんばれ!」とは言えないから。
ユウキ:だって、みんながんばってるから。偉いよね~。
――そうなんですよね、ありのままを肯定してくれるんですよね、CHAIは。変に鼓舞される事もないので、しんどくないんです。いやぁ、本当に今日はたくさん話を聴けました。ありがとうございました!
マナ・ユウキ:ありがとう~!!
取材・文=鈴木淳史 撮影=渡邉一生 

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