【インタビュー】<ルナフェス直前>
SUGIZO、「音楽の真意のバトンを受け
継ぎたい」

6月23日および24日の2日間にわたって開催されるLUNA SEA主宰<LUNATIC FEST. 2018>がいよいよ明日6月23日に開幕する。BARKSでは先ごろ、『PREMIERE of LUNATIC FEST. 2018』インタビュー完全版として、メンバーのパーソナルインタビューを公開したが、その発言は5人5様。それぞれの表現で刺激的なフェスの本質を浮き彫りにしつつ、ワクワクさせてくれた。今回公開するインタビューは、その続編ともなるものであり、BARKSでは<LUNATIC FEST. 2018>前夜まで毎日メンバーの声をお届けしてきた。最終回はSUGIZOだ。
<LUNATIC FEST.>の開催を目前にして、LUNA SEAのメンバーの話をひとつひとつ紐解いてみると、ひとつ重要なキーワードが浮かび上がってくる。「見知らぬ音楽との出会い」、更に言うなれば「自分が求めてないものと出会えることへの喜び」だ。

LUNA SEAというバンドのテリトリーからおおよそ近しいバンド群によって構成されていた<LUNATIC FEST.2015>のラインナップと比べ、<LUNATIC FEST.2018>の出演バンドは実に多彩となった。音楽的ジャンルはもちろん、一見何のつながりもなさそうなほど共通項の見当たらないアーティストたちが、出演ラインナップとして軒を連ねている。

LUNA SEAがホストとなって打ち立てたフェスだからこそ、LUNA SEAが自信を持ってリコメンドできるアーティストだけで<LUNATIC FEST.2018>は構成されている。飛び抜けたアーティストマインドと突き抜けたミュージシャンシップが、幕張の夜に響き渡る2daysとなることだろう。電気を打たれたかのような衝撃的出会いや、人生を変えられた忘れられない1曲など、運命のターニングポイントが待ち構えているかもしれない。それが<LUNATIC FEST. 2018>だ。

   ◆   ◆   ◆

■すごく人気があったとしても
■センスが違う人に声をかけることはできない

──SUGIZOは先ごろのパーソナルインタビューで「自分が求めてないものと出会える」と発言していましたね。人生の豊かさにもつながるであろう<LUNATIC FEST.2018>の出演ラインナップってすごく素敵だと思います。

SUGIZO:そう思います。ジャンルとかカテゴリーの壁が音を立てて崩壊するような、そういったラインナップになった。決して狙ったわけじゃなく。計らずしもね。<ルナフェス>ってあまり狙いすぎないほうがいいみたいね(笑)。

──それはメンバーのなんとなくの嗅覚で?

SUGIZO:そう、ほんとになんとなくの嗅覚。だけどその直感的な嗅覚で僕らも30年近くやってきたので、実は何よりも信頼していたりするんです。

──そもそもバンドってそういうものですよね。「こいつとやるんだ」という思いだけでスタートするんだから。

SUGIZO:そう。なので、こういうフェスのキュレーターでいるのは、バンドを組むときの感覚に近いんですね。今回2回目の登場となるDIR EN GREYMUCCcoldrainは心から信頼ができるのでとても安心。そういう意味では、例えばback number女王蜂THE ORAL CIGARETTESといった新しい世代が、僕らとどういう化学反応を起こすのか、楽しみと同時に一抹の不安もあったりするわけです。楽しみと同時にワクワクとハラハラが共存しているようなスリルがある。

──なるほど。

SUGIZO:そしてGLAYは、もう兄弟みたいなもの。その中のHISASHI率いるACE OF SPADESも本当に楽しみ。だからそのバランスですよ。ファンの方にとって、普段触れないような音楽がこの中にいるとしたら、そここそ体験してほしい。でもね、例えば前回の<ルナフェス>でも、TOKYO YANKEESで2万人くらいが「うわあ!」って盛り上がってるわけ。

──いいですね。

SUGIZO:同じようなことがKA.F.KA(カフカ)でも起きた。なんていうのかな…本当はちょっと怖かった。LUNA SEAやX JAPANやGLAYが目当てのファンの人たちが、KA.F.KAとかTOKYO YANKEESの時にいなくなってスカスカになるんじゃないかとか、不安もあったわけ。でも、あの群衆がKA.F.KAのいい演奏に「すげえ!」って盛り上がっている。最高のギターを聴いて「すげえ」って思ってくれているというその感覚こそが一番の感動だったんだよね。僕らが想像する以上に、オーディエンスのみんなは充分楽しみ方を心得ていて、今回もそれを期待したい。それこそ、LUNA SEAとBRAHMANがうまく交わったら最強の化学反応が起きるだろうし、それはback numberにしてもそう。OLDCODEXもね。とても面白い化学反応が期待できるんじゃないかなあ。
──サブスク時代になり、新旧様々な音楽が同一線上に並ぶ現在、ジャンルも形骸化しました。カテゴリなんかどうでも良くて「カッコいいものを提供してくれる」というテーマさえあれば、オーディエンスは反応しますよね。

SUGIZO:大事なのが、そのカッコよさが「僕らの視点である」っていうこと。でもそれは、すごく主観的であり利己的なんです。自分たちが「これは絶対にカッコいい」と思う人に出てもらいたいから、すごく人気があったとしてもセンスが違う人には声をかけることはできない。そのチョイスはものすごくシビアです。

──声をかけられたバンドは光栄に思うだろうな。

SUGIZO:そう思ってもらえればありがたいですけどね。LUNA SEAが好きな人であれば、<LUNATIC FEST.2018>の出演アーティストには感動してくれるはずだと、勝手に思っているんですけどね。BRAHMANは正にロックバンドのカッコよさがあるし、OLDCODEXも新しい感覚を持った新しい世代による新しいロックだし。

──20代のアーティストたちには、既成概念をぶち壊すパワーがありますよね。

SUGIZO:GLIM SPANKYも同じく20代だけど、ものすごくセンスが尖っていて僕自身が大ファン。The BONEZは、新しい扉を開こうと挑戦し続けているそのシーンのアジテーターであり、AA=は元々僕らと同期のTHE MAD CAPSULE MARKETSの頭脳でもある。lynch.やSIDは僕らが育ってきた系譜の中で、演奏/歌/曲/パフォーマンス…あらゆる意味で群を抜いているバンドだと思う。そして大黒摩季さんはまさに真矢にとっては家族同然の最強ロックシンガー。

──「俺らも呼ばれたい」って思っているアーティスト、たくさんいるだろうな。

SUGIZO:だといいんですけどね(笑)。ただ残念ながら、いわゆるヴィジュアル系と言われるシーンの中には、あまりいないんですよね。<VISUAL JAPAN SUMMIT>に出ておきながらよく言うな、って感じですけど(笑)。
■<VISUAL JAPAN SUMMIT>はシーンのため
■<LUNATIC FEST.>は多分真逆ですよね

──LUNA SEAの本音は<LUNATIC FEST.>に詰まっていると。再起動(リブート)した時点では、こんなフェスの開催は考えていなかったですよね?

SUGIZO:考えてないですね。本当に自然な成り行き。今の自分たちの立っている位置・立場・座標を改めて実感したとき、「やっぱり行動を起こさなきゃいけないんじゃないかな」って僕は思ったんです。ただただ僕たちのため/僕たちのファンのためだけに音楽をやることも素晴らしいことですけど、それを超えて「音楽そのものに対する感謝」「僕たちが良きものと信じるものをちゃんと伝えて行きたい」っていう責任感…というとおこがましいんですけど、そういう気持ちになったことは確かです。

──それは、多くのミュージシャンが至る境地なのだろうか。

SUGIZO:わからない。自分のためだけに必死な人もいると思うし、それはそれでアーティストらしい姿であるから素敵だとも思う。なんだろうね。本当に音楽をちゃんと伝え続けたいし、音楽の真意のバトンをちゃんと受け継ぎたいっていう気持ちもあるかな。

──表現者として活動を重ねると、いつしかアートの歴史の一部になり、それを背負っていくことになりますよね。

SUGIZO:年齢的なことが大きいのかもしれないですね。上の世代にも素晴らしい人がいるし、下の世代にも素晴らしい人がいる。それを両方ともちゃんとつないで行けたらという中間管理職の性というか(笑)。

──音楽シーンの潮目が変わるような気もします。

SUGIZO:もちろん全員がそういう責任感を持つ必要はないと思うし、僕はたまたまそういう発想をしてしまうタイプで。極論を言うと、<ルナフェス>では僕はステージに出なくてもいいんですよ。むしろキュレーターでいたほうが安心。

──でも結果的には誰よりも出るっていう(笑)。

SUGIZO:僕が出なくても、その意思/コンセプト/音楽に対する哲学が完璧にステージに反映されるのであれば、そのステージに僕がいようといなかろうと構わない。そういう気持ちでいますよ。
──<LUNATIC FEST.>と<VISUAL JAPAN SUMMIT>とは、似て非なるフェスのようですね。

SUGIZO:わかりやすく言うと、<VISUAL JAPAN SUMMIT>はシーンのためです。ヴィジュアル系を活性化するため。そのシーンが日本の重要なカルチャーなんだって示すためのものですね。それはそれで存在意義はよく理解できるし、自分がその中核を担うことも理解できる。<LUNATIC FEST.>は多分真逆ですよね。シーンやカテゴリーをぶち壊す為にある。ジャンルの壁ってもう崩壊してるんですよ。でも<VISUAL JAPAN SUMMIT>はわざとそれをもう一度作ってるわけ。世界に攻撃を仕掛けやすいように。

──“ヴィジュアル系”という武器を掲げているわけだ。

SUGIZO:わざと、ヴィジュアル系であると主張する。一方<LUNATIC FEST.>は、あらゆる表現やアートが母体になっている。一見ジャンルは全然違うけど、それは聴かせる音楽の形が違うだけで、真意/精神性アティテュードはすごく近いから仲間でいるわけ。<LUNATIC FEST.>はそういうものですよね。

──なるほど。そのどっちにもメインとして存在しているのがSUGIZOの存在ですね。

SUGIZO:みなさんに伝えておきたいのは、僕がLUNA SEAやX JAPANのステージで派手なメイクで振る舞うのは、歌舞伎役者に近い気持ちでね、いい意味で「伝統芸能を表現する」ためにやっている。もちろんそれは僕のアーティストの本質としての一部ですよ。でも全てではない。未体験の経験や世にまだ存在していなかった音楽を生み出したいし、本当に自分がやりたいことはどんどん先に進みたい。でも同時にその伝統を否定もしていない。伝統芸能をしっかり継承し、敬い、伝え、進化させて行くのが<VISUAL JAPAN SUMMIT>で、どんどん壁をぶちこわし、表面的には新機軸や衝撃を与えながら、真意では、奥底では最も強く結びついているミュージシャンが集まっていくのが<LUNATIC FEST.>であるってことです。

──どちらも今の日本のシーンには欠かせないようですね。

SUGIZO:これはどっちも大変ですよ(笑)。

──楽しみにしています。ありがとうございました。

取材・文◎BARKS編集長 烏丸哲也

■史上最狂のロックフェス第二弾<LUNATIC FEST. 2018>
2018年6月23日(土) 千葉・幕張メッセ
2018年6月24日(日) 千葉・幕張メッセ
OPEN 9:30 / START 11:00 / END 20:00 (予定) ※両日共通
▼23日(土)出演
LUNA SEA、GLAY、DIR EN GREY、シド、GLIM SPANKY、back number、ACE OF SPADES、The BONEZ、女王蜂、coldrain、LUNACY(Opening Act)
▼24日(日)出演
LUNA SEA 、YOSHIKILOUDNESS、BRAHMAN、AA=、大黒摩季、MUCC、lynch.、OLDCODEX、THE ORAL CIGARETTES、LUNACY(Opening Act)
▼チケット
一般チケット料金:1日券 ¥15,500 (入場チケット¥15,000+ドリンク代¥500/税込)
各プレイガイド一般発売:6/2(土) AM10:00~


■『生中継!LUNATIC FEST. 2018』

▼6月23日(土) DAY-1  <WOWOWライブ>
前編 午前11:00~/後編 午後3:00~
出演/LUNA SEA、 ACE OF SPADES、 GLIM SPANKY、 GLAY、 coldrain、 SID、 The BONEZ、 LUNACY(OPENING ACT)※LUNA SEAを除くアーティスト表記は50音順にて掲載

■6月24日(日) DAY-2  <WOWOWライブ>
前編 午前11:00~/後編 午後3:00~
出演/LUNA SEA、 大黒摩季、 OLDCODEX、 THE ORAL CIGARETTES、 MUCC、 lynch.、 LUNACY(OPENING ACT)
※LUNA SEAを除くアーティスト表記は50音順にて掲載

・収録日:2018年6月23日、 24日
・収録場所:千葉 幕張メッセ国際展示場
・番組サイト http://www.wowow.co.jp/lunaticfest/
※オンデマンドでもLUNATIC FEST.2018の模様をライブ配信

<関連番組>
▼『LUNATIC FEST. 2018 生中継直前スペシャル』
6月17日(日) 夜7:30 <WOWOWプライム>
会場の幕張メッセからWOWOWで生中継されるLUNATIC FEST. 2018の見どころを紹介する直前番組。 無料放送でお届けする。
▼『LUNA SEA The Holy Night 2017』
6月23日(土) 午前7:45 <WOWOWライブ>
昨年末、 さいたまスーパーアリーナで開催したクリスマス公演をリピート放送。<LUNATIC FEST.>生中継直前にLUNA SEAのライブを堪能しよう。


■『LUNATIC FEST. 2018 スペシャルサポーター大募集』プロジェクト
募集期間:2018年5月25日(金)12:00~2018年6月30日(土)23:59
https://wizy.jp/project/104/
▼プロジェクトアイテム/価格
『LUNATIC FEST. 2018×FLYING POSTMAN PRESS特別号』(先行特典あり)
3,000円(税込・送料込)
※全16ページ(一般配布分は12ページ)
※特別号にお名前を掲載。一般配布より1週間先行でお届けします
※先行特典として、フリーペーパーと合わせて、ルナフェス会場にて展示する特大パネルにもお名前を掲載させていただきます
※サポートには、クラブレコチョク会員登録/ログインが必要です
※特大パネル展示スペースはルナフェス会場内になります。ご覧いただくには入場チケットが必要になります
※配送は2018年8月1日頃を予定(一般配布より1週間先行でお届けします)
※一般配布日は8月10日予定
https://wizy.jp/project/103/

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