[第49回]宮澤佐江が新「ミラチャイ」
連載で振り返る、舞台とともに駆け抜
けた2年間ー「出会い」と「別れ」さ
みしさと楽しさ

「これまでやってきたことの答え合わせが、今、できている」。2016年7月の新連載開始から現在まで、『朝陽の中で微笑んで』、公演中の『ZEROTOPIA』など、佐江ちゃんの約2年を振り返ります。

ーーさあ、佐江ちゃん。今回もよろしくお願いします。
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はい、よろしくお願いします!
ーー「ミラチャイ」連載は、前回皆さんにお知らせしたとおり、7月の更新で、約6年間にわたって続いた連載の最終回を迎えます。そこで、前回と今回は、最終回に先がけて、2017年7月からスタートした、新連載の2年間を振り返っていきます。
はい!
こうして「ミラチャイ」を振り返ってみると、1年や、2年って、本当にあっという間ですね。
ーー本当にそうですね。
2年前というと、ワンコがうちに来たのも、ちょうど2年前だったなぁ。(第4回)
ーーそうですね。ワンコといえば、「ミラチャイ」にも何回かワンコが登場しましたよね。
ええと、ワンコが登場したのは、つい最近と(第45回)、カメラマンさんのワンコが1回ですよね。
ーーそうですね。カメラマンさんのワンコが登場したのは、ええと…
『AKB49』の舞台があって、私の髪の毛がショートだったから、2014年の11月とか、12月くらい!
ちゃんと覚えてます!(笑)
ーー旧連載のときでしたね。てっきり新連載でのことだと勘違いしてましたよ…(汗)。それくらい、どの回もついこの間の出来事のようで。
えーーっ! まぁーじで? アハハハ(笑)
ーーええと…、実はあともう1回、ワンコが登場している回がありまして。
うそっ!? あっ! わかった。外苑前で撮影したときですよね? あのときは大きい犬だったんですよね。(第16回)
ーーそうそう、ラブラドール犬だったと思います。
今ね、うちのママの「ワンコ熱」に火がついてるんですよ。
ーー火がついている、というと??
第45回に登場したワンコを見て、ママがプリプリしながら言うんです。
「ねえ、誰の犬っ!? 」
って。だからママに言ったんです。
「あのときはね、撮影中にちょうど、おばさまたちがワンコを散歩させていて。すっごくかわいかったから、いい子、いい子してるところを、たまたまカメラマンさんが撮ってくれたんだよ」
って。そうしたら、
「な! なんで!? うちのワンコを出しちゃいけないの?? 」
って、言うから、
「い、いや、いや、いや…。撮影しに、家まで来てくれないでしょ?」
って、言っておいたんだけど(笑)。ママは、どぉーーしても、うちのワンコを「ミラチャイ」に出演させたいらしいですよ。ニャハハッっ!
でも、うちの子は、カメラの方を向かないと思うんだよなぁ。。だから、ママに言ったんです。
「携帯で撮るときも、カメラの方を向かないでしょ? 寝たフリするからダメ」
って。そうしたら、
「ママが付き添って行くから。ママは写さなくていいからね」
って、写りたがりかッ! (笑)
ーー(笑)
これまでは、地方のお仕事でどんなに家を離れていても、ホームシックにならなかったんです。だけどワンコが来てからは、確実にすぐ、家に帰りたくなるんです。
2年間での変化と、大事な出会い
会いたい、会いたい!!
って、なっちゃって。ワンコはしゃべれないけど、離れているとテレビ電話しちゃうもん。といっても、地方から久々に家へ帰っても、ベッタリ甘えてくるわけでもないんですけど…。
やっぱりあの子に触れていないと、さみしくて、さみしくてダメなんです。かなり心を支えてもらってます。癒されてます、アイツに! 今は、ペットにベッタリくっついている、典型的なダメなやつになってます。ハハハ…(汗)
ーー心のうちを一番知っているのは、ワンコだったりして?
だったらもっと、やさしくしてほしーなぁ!!
(再び、リストに目を戻して、ページを前後にめくりながら…)
※取材の連載一覧のプリントアウトデータは、こちら[PDF]で見られます。
でも、顔の変化は、自分ではわからないなぁ。。
このときは、痩せてたとか、太ってたとか。化粧のノリがいいとか、悪いとか。それはわかるけど、2年間では、顔もそんなに変わらないか??
ーーますます美しくなっている、というのは確かだと思います! さて前回は、『王家の紋章』の初演と再演、『ピーターパン』や『TOKYO TRIBE』の舞台出演の頃を振り返りましたね。
はい。
ーー振り返ると本当にいろんなお話がありましたが、『王家の紋章』の初演と再演の間には、アルスマグナさんとコラボした新曲「気分上々↑↑feat.SAE TOKIMIYA」の発売もありました。(第8回後編)
もう2年前だ。。その後、ぽっかぁんと時間が空いちゃって。今振り返って、気持ちが一番不安定だったのは、『王家の紋章』初演から再演の間だったかもなぁ。
お仕事もあんまりしてなかったから、「ミラチャイ」の取材でも、話すことが全然なかったんだもん(汗)。
ーーでも、2016年の年末に、テレビドラマ「おっさんずラブ」の出演がありましたよね。(第14回)
そうです。12月の初旬に撮影して、放送が年末だった。あのときは単発ドラマだったけど、今、「おっさんずラブ」は連続ドラマになって、すごく注目されているドラマですね。
本当におもしろいもん。最高ですね。
ーー同年代のプロデューサーさんから「刺激を受けた」と、連載でも話してくれました。
プロデューサーさんは、本当に出会えてよかった女性です。書籍(「これさえあれば」)にも、話したことが載っているんです。
ーー書籍「これさえあれば」の発売イベントも、去年の5月にありました。(第23回)
「書籍に載ってます」って、プロデューサーさんに報告したら、「佐江さん、ありがとう!」って、すごく喜んでくれました。
ーーイベントは、ちょうど『王家の紋章』の再演の東京公演が終わったタイミングでした。
そうですね。
ーーいろいろ思い出しますね。さあ、駆け足で進みましょう。
はい!
ーーいっきにときを進めて、『朝陽の中で微笑んで』のあたりを、振り返っていきましょうか。
(連載の一覧表から『朝陽の中で微笑んで』のあたりをさがす佐江ちゃん)
ーー『朝陽の中で微笑んで』では、泣くシーンも多くて、何十公演とある毎回の舞台でどう新鮮さを保つのか。「役をやることに慣れたくない」という佐江ちゃんに、寺脇(康文)さんが言った言葉が印象的でした。(第36回)
1回、1回を残すことはできないもの
あ、ここですね。
ーー「役をやるのは寺脇康文と宮澤佐江だけど、登場人物の鳴沢と紗良はふたりの結末を知らない。だから、板の上に立ってみての生き方でいいんじゃないかな」と、寺脇さん。
そうなんです。寺さんが話してくれたことは、本当にそうだなと思いました。
演劇は、毎回が生で、1回、1回を残すことはできないもの。
経験がないので、あまりよくわからないのだけど、ドラマや映画は、作品としては残るけど、役者本人がその台詞を演じるのは1回きりだと思うんです。
NGがなければ、同じ台詞で演じるのは、カメラワークのために、多くて4回くらいやるなのかな? そうしてできたシーンは、映像とか、何かしら後に残ると思うんです。
でも、舞台は違って。舞台で言った台詞は、千秋楽が終わってしまったら、もう一生、言うこともなく、後に残るものでもないから。公演中は、何度も何度も、同じ台詞を言っているのに、残るものはないのが、舞台。
千秋楽が終わったら、また全く同じメンバーで集まることも絶対にない…。それは舞台のさみしさだけど、「出会い」があれば、「別れ」もあるから、それも演劇の楽しさだ、って。
寺さんに言われて、本当にそうだと感じました。
ーーその話が出た後の回(第37回)では、「48グループを卒業して、やっとひとりで仕事をしていると思えた1年だった」と言っています。
グループを卒業して、ひとりでのお仕事が充実していないと、卒業したとは思えないと、思っていたんです。
卒業した2016年は、『王家の紋章』のほかに、バラエティのお仕事だったり、「おっさんずラブ」のドラマ出演だったりがあって。でも、仕事の量は、グループにいたときと、あまり変わらない感じだったんです。
それが2017年は、舞台と稽古をくり返して4本の作品にたずさわって。「卒業したからこそできることなんだ」って、何度も思えたんです。だから、卒業2年目にしてやっと、「卒業できたんだ」って、実感したんだと思います。
ーー2017年を振り返ったとき、「よくがんばったね、と自分に言える」(第37回)と言っていたのも、それまでの佐江ちゃんからは、なかなか聞けない言葉だったと思います。
人、作品、役柄がつながる
卒業するまでは、例えば、1日に振りを何十曲も覚えたりすることもありました。
それは誰がやっても大変なことなんだけど、でも、兼任になった人の宿命なんです。がんばってるのは自分だけじゃなく、他にもがんばっている人がいたから。当然のことだったから、あまり言わなかった。
でも、ひとりになって、外からいろいろ言われながらも戦って。新しい人たちと、いい出会いがまたあって。
2017年の4つの舞台では、どの舞台もまったく異なる役をやれたのも、すごく嬉しかったし、オーディションがあって、役を勝ち取ってやれたお芝居があったことも嬉しかったです。
ーー佐江ちゃんのいろんな話を聞いていると、人との「縁」や「つながり」が大きかった2年だったのかなって、すごく感じます。
そうですね。いろんなことは、ちゃんとつながるんですね。
ーー『ZEROTOPIA』は、確実に、4年前の『クザリアーナの翼』からつながっていますね。
そうですね。あと、『王家の紋章』でのWキャストの経験ともつながっていると思います。新妻聖子さんとWキャストをやれたことは、本当にすごいことです。
ーー『ZEROTOPIA』のサンディー役は、地球ゴージャスにとって、初めてのWキャストで。本当につながってますね。
地球ゴージャス初めてのWキャストに臨めたことは、本当に嬉しいです。
ーー『ZEROTOPIA』では他にも、岸谷五朗さんと寺脇康文さんの、「役者として演じるだけでなく、スタッフさんも含め、大所帯をまとめ上げている」というエピソードも、聞いていてすごいなと思いました。(第46回)
今回は、地方公演で劇場が変わるから、スタッフさんは東京公演が終わってから、名古屋、新潟へ行くけど、その間、皆、1回も家に帰っていないんです。
今回、いろんな地方へ行くので、スタッフさんが作ってくれた地球ゴージャスの「旅のしおり」というのがあって。そのなかに、スタッフさんのスケジュールも書いてあって、スタッフさんがいつ劇場に入るかわかるんです。
作品は、スタッフさんも役者も皆で作っているから、皆が共有できるしおりになっているんです。
だから、自分の劇場入りがいつなのか調べていても、スタッフさんのスケジュールが気になって(笑)
「いつから劇場入りするんだろう」って見ていると、やっぱり「ちゃんとしなきゃ」っていう思いが、すごくわいてくるんです。
私もスタッフさんへの感謝を忘れずに、これまでやってきている自信はあります。あるけど、でも、それはまだ、経験の浅い自分がやらなくてはいけない、当たり前の行動のひとつだと思っているんです。
でも、五朗さんや寺さんは、あんなにすごいベテランの方なのに、毎回、作品をつくるごとに、スタッフさんへの感謝を伝えて続けているんです。その姿を間近で見て、
「私もこういう人たちに必ずなる」
って、心に誓いました。それは、これからの自分に絶対つながってくることだと思ってます。本当に「愛があるな」って、つくづく感じています。
ーー地方公演について、詳しくはわからないですが、劇場が変わると、さまざまな調整も初めからやり直すのですか?
私は、番号系は強い!
はい、最初から全部場当たりします。劇場によって声の聞こえ方も違うんです。
東京のACTシアターでのサンディーに慣れていたけど、名古屋では、劇場の声の響き方が違うんです。ACTシアターよりも、発声をシッカリ、ハッキリしないと、声が流れちゃう感じというか。
意識してなかったけど、自分でスゴくがんばっちゃってたみたいで…(汗)。翌日、声がすごくガラガラで。。 劇場が変わって、緊張もしちゃってるから、本当に初日に戻ったみたいでした。
名古屋公演でもらった手紙のなかに、「佐江ちゃんの声がすっごく聞こえてる」って、書いてあって(汗)
一幕の終わりに、4人で歌うシーンがあるんです。声のボリュームは、それまでと変えてなかったんだけどな…。東京公演と劇場が変わったので、違いをすごく感じたのかなと思います。
ーー地方公演では、劇場が変わるだけじゃなく、セットなども含めて変わるのですか?
そうです、そうです! 演者の立ち位置の番号も変わるんです。それに、舞台の幅や奥行きも変わるから、上から降ろすセットはこの会場では使えない、とかもあります。
それによって演者も、それまで台詞のこのタイミングで前へ出たけど、この会場は奥行きがあるから、違うタイミングで出ていかなきゃいけない、とか。新しく調整していくんです。
ーー短期間でそれらを調整するのは、なかなか厳しそうですね。
そうですね。そういうことを五朗さんと寺さんは、早く劇場に入って、舞台監督さんやスタッフさんと、前もって話し合っているんです。
でもそれは、地球ゴージャスだけじゃなくて、地方公演のある作品なら必ずあること。『ピーターパン』や『TOKYO TRIBE』のときもありました。
今回の『ZEROTOPIA』では、サンディー役はWキャストだから、限られた時間内で、ふたり分の調整をすることになるんです。
でも、私は、番号系は強い! そこは、アイドル時代の10年間に、本当に感謝したいと思います。48グループにいてよかった(笑)
「このときの照明は、舞台のここを射すから、この番号の位置にいなきゃいけない」とか、番号を記憶するのはすごく早いから。
ーー『王家の紋章』のときに、どんな変更があっても臨機応変に対応できる、という話をしましたね。(第3回・前編)(第5回)
多少のトラブルには動じません。
しました、しました! 思い出した! たぶん、「自分が唯一できること」って、言ったと思う。
臨機応変にかけては、すごいですよ。
例えば、衣装の小物が落ちちゃったとき、「どのタイミングで拾おうか」って、演じながら考えられるのは、やっぱり48グループにいたおかげ。劇場公演をずっとやっていたおかげです。
髪飾りが落ちた…、ここで舞台袖にパッと投げれば、わからないかな? とか。劇場公演のいろんな経験のおかげで、トラブルにも臨機応変に対応できる度胸が、自然と身につきました(笑)
ーー10年続けた強みですね。
うちのグループは皆、多少のトラブルには動じません。余裕ですぐ対応します。強いですよ。マイクが入らなかったら、地声でいきますし!
今回の『ZEROTOPIA』でも、記憶に残っているもの、残っていないものがありますが、小さなトラブルはありますよ。
小物が落ちちゃって、どこで拾おうかな? と思っているときに、たまたまバレンティーナ役の藤林美沙さんと、連携プレイで対応したこともありました。
でも、舞台はそういうこともあるから楽しいんだなって感じます。
ーー舞台上では何が起きるかわからないからこそ、日頃の共演者との関係が、すごく大事だなって思います。
そうなんですよね。どんなに舞台の経験をかさねても、ただステージに上がって芝居をするだけじゃ、心が動かないなって思います。日頃の関係性は、すごく大切だって思うんです。
それは、48グループにいるときから、ずっと心がけていたことでした。
地球ゴージャスは、何人もいるカンパニーなんですが、五朗さんと寺さんは、皆とご飯に行くんです。
でも、全員で行くとなると、皆とはしゃべれないから、数人ずつご飯の会に誘って、1対1でしゃべれる時間を作ってくれるんです。『クザリアーナの翼』のときもそうだったし、『ZEROTOPIA』のときもそうでした。
そういうところも、私が地球ゴージャスと出会って、カンパニーにすんなり入っていけた、ひとつの理由でもあると思ってます。
五朗さんと、寺さんは大先輩だから、「自分と似てる」という感覚をもつのはよくないと思うんです。だけど、これまで自分がやってきたことの、答え合わせになっているような気がするんです。
「自分、間違ってることしてないよね」
って。地球ゴージャスでは、これまで自分が正しいと思ってやってきたことの「答え合わせ」が、たくさんできている気がします。
ーーそれはすごく感じます。お手本というか。
すっごくあっという間。
「あ! これは自分もやっていた」って、思うことが見つかると、「答えがあってた」、「やっていてよかった」って思えるんです。大好きで、大尊敬していて、自分を可愛がってくれている人たちがやっているからこそ、そう思えてます。
ーー佐江ちゃん、改めて聞きますが、この2年間は、短かったですか? 長かったですか?
あっという間だった。すっごくあっという間。
でも、振り返ると、はるか昔のことのようにも感じる。だから不思議ですね。
ーー本当にそうですね。さあ、次回からはいよいよ、新・旧合わせて200回を超える、「ミラチャイ」連載の全軌跡を振り返っていきたいと思いますよ。
やばいよぉー。でも、記憶力いいもん!
ーー旧連載は、週1回の更新だったので、すごい量です(笑)
連載の一覧表を、ちゃんと忘れずに持ってきますね。でも去年、書籍(『これさえあれば』)で、一度振り返ってるから、まだ振り返りやすいかな。
ーーそうですね。そうそう最後にひとつ、今日撮影した場所はここですね。(第48回)
ああ! 「葉っぱ」で遊んだときが、「ミラチャイ」最初のロケだったんだ。(第61回)
ーー正確には、「ミラチャイ」連載でロケが始まったのは、大阪からです。『クザリアーナの翼』の大阪公演に出演中の佐江ちゃんを、大阪で取材しました。
そうだったんだぁ。。 覚えてる、覚えてる。
ーーその後は、天候が悪かったり、夜の取材だったので、また室内撮影に戻ったりしました。
『AKB49』が終わった後で、DIVAのイベントがあったときだ(第82回)。この年から、「秋は気分が沈む説」が判明したんだ! でもそれも、去年で終わりました。3年周期の法則で!
ーー …というお話を、次回以降、お願いいたします。「ミラチャイ」連載の総決算ですね!
はい!
ーーそれでは最後になりましたが、今回もたくさんのお話、ありがとうございました。次回もまた、よろしくお願いします!
はい! ありがとうございました! 次回からは「ミラチャイ」連載の総決算、連載の全軌跡を振り返っていきます。その取材までに、ワンコのトリミングに行ってきます!
次回の取材は、うちのワンコも一緒です。皆さん、次の「ミラチャイ」でお会いしましょう!
撮影:山田大輔 スタイリング: 藤井エヴィ ヘア&メイク:伊藤遥香
次回の更新は、7/6(金)予定です。

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