NOVELA

NOVELA

新旧ジャパメタ~V系バンドに影響与
え続けたNOVELAが豪華全15枚組ボック
スセットで蘇る!

'80年代のジャパニーズ・ヘヴィメタルや’90年代のヴィジュアル系、’00年代以降のネオ・ヴィジュアル系などを中心に、多数のアーティストに影響を与えた伝説の存在“NOVELA”を紐解く。
1980年3月。邦楽のロックバンドがまだマイノリティーな存在だった時代に、1stアルバム『魅惑劇』を携えて衝撃的なデビューを果たしたNOVELA。濃いメイクと派手なコスチュームが醸し出す“毒と華”を同時に感じさせるヴィジュアルや独創的な音楽性がシーンに与えたインパクトは絶大で、彼らはデビューと同時に大きな注目を集めることとなる。以降6年間に亘って数多くのリスナーを魅了し続け、日本のロック史に大きな足跡を残す伝説的な存在となった。

NOVELAが結成されたのは、1979年。当時関西のインディーズ・シーンで実力派プログレッシブ・バンドとして名を馳せていたSCHEHERAZADE(シェラザード)と、同じく関西地区で高い人気を誇っていたハードロック・バンド山水館が合体した形で産声をあげた。“第一期”と呼ばれるNOVELAはSCHEHERAZADEに在籍していた五十嵐久勝(vo)と平山照継(g)、江川敏郎(key)、秋田鋭次郎(dr)の4名と山水館のメンバーだった高橋ヨシロウ(b)、山根基嗣(g)からなる6人編成だった。

構成メンバーが物語るように、第一期NOVELAの音楽性はプログレッシブ・ロックとハードロックを融合させたハイブリッド感覚が特徴となっている。知的かつ緻密なアレンジやシアトリカルな場面転換、2ndアルバム『イン・ザ・ナイト~星降る夜のおとぎ話』に収録されている「回想のかけら」を始めとした大作主義、変拍子の多用といったプログレッシブ・ロックの要素とハードロック特有の力強さやスピード感、爽快感などをミックスしたサウンドは実に魅力的。彼らの個性は、『魅惑劇』の幕開けを飾る「イリュージョン」1曲でも十分に味わうことができる。

プレイヤーとして高いポテンシャルを誇るメンバーが揃っていることもポイント。超絶的なハイトーン・ボイスながら深みや温かみを備えたボーカルを筆頭に、構築美とホットなロック・フィーリングを兼ね備えたギター、リリカル&シンフォニックなプレイで楽曲を華やかに彩るキーボード、優れたメロディー・センスとしなやかなグルーブが光るベース、パワフル&テクニカルであると同時にジャジーなアプローチをもこなすフレキシブルなドラムなど、ハイレベルなプレイの応酬は強くリスナーを惹きつけた。

彼らの独創性は、歌詞にも発揮されている。象徴的な言葉を配した哲学的な歌詞を中心としつつ、「名もなき夜のために」(『魅惑劇』収録)や「仮面」(『イン・ザ・ナイト~星降る夜のおとぎ話』収録)といった耽美感に溢れたラブソングや、「奇跡」「廃墟」(共に3rdアルバム『パラダイス・ロスト』収録)に代表される黙示録的なもの、中世の匂いを放つオリジナル・ストーリーを活かした「レティシア」(『魅惑劇』収録)や「第三の剣」(『パラダイス・ロスト』収録)など、多彩かつ深淵な味わいの歌詞も見逃せない。

こういった様々な要素が折り重なって創出されるNOVELAの世界観は唯一無二の魅力に溢れている。良質なロックのすべてがそうであるように、マニアを唸らせるハイ・クオリティーな音楽でいながらキャッチーで聴きやすいことも功を奏して、彼らは熱狂的なファンを数多く獲得していった。

NOVELAがデビューした当時の世界的なロックシーンの情勢を振り返ると、’70年代後半に湧き起こったパンク・ムーブメントに押されて、それまで隆盛を誇っていたハードロックは衰退気味だった。そんな中、’78年にアメリカン・ハードロックの新たな旗手としてVAN HALENがデビュー。同時期にイギリスではIRON MADENやSAXON、Girlといった若手のメタルバンドが数多く登場して、NWOBHM(ニュー・ウェイブ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタル)の波が訪れようとしていた。そういう空気は日本にも派生していて、当時の国内のロック・フリークの間では新世代感覚のハードロック/ヘヴィメタルに対する渇望感が高まっていた。そこに登場したNOVELAという魅力的な存在をリスナーが見過ごすわけはなく、結果的にNOVELAは多数の洋楽フリークからも支持されるバンドとなった。

また、NOVELAに関しては、多田かおる氏原作のコミックで後にTVアニメ化された『愛してナイト』に登場する“ビーハイブ”というバンドのモデルだったことや、円谷プロダクション制作の特撮番組『僕ら野球探偵少年団』のオープニング/エンディング曲を手掛けると共に第15話でメンバーがゲスト出演したことなども逸話として残っている。こういったことからは、彼らがマニアックかつハイレベルなバンドであると同時にアイドル性を備えていたことがうかがえる。

さらに、’83年から'84年にかけて山田ミネコ氏原作のコミック『最終戦争伝説』のイメージ・アルバムを2作制作したことも話題を呼んだ。前述したテレビ出演なども含めて、NOVELAは現在では当たり前になっているクロス・メディアの道を開いたアーティストの一翼も担っていたのである。

クリエイティブ精神旺盛なバンドにふさわしく、NOVELAの音楽性は活動期間を通して変化や進化を遂げている。彼らの活動はオリジナル・メンバーの“第一期”、高橋ヨシロウと山根基嗣、秋田鋭二郎の脱退を経て、笹井りゅうじ(b)と西田竜一(ds)を迎えて『サンクチュアリ』と『最終戦争伝説』『最終戦争伝説 Part2』を制作した“第二期”、五十嵐久勝と江川敏郎がバンドを去り、宮本敦(vo)と岡本優史(key)が加わって『ブレイン・オブ・バランス』と『ワーズ』をリリースした“第三期”に分けられる。

第二期のNOVELAは、第一期の最終作『パラダイス・ロスト』で到達した一つの完成形を深化させた世界観を披露。続く第三期では、ニューウェイブ・テイストを活かした方向へと大胆に舵を切ってみせた。様々な表情を見せながら、全作品の完成度が高いのはさすがの一言。第三期に入ってイメージ・チェンジを果たした後もNOVELAならではの耽美感が継承されているのも実にいい。

6年間の活動の後NOVELAは終止符を打ったが、エポック・メイキングなバンドだけに後続アーティストにも多大な影響を与えている。’80年代のジャパニーズ・ヘヴィメタルや’90年代のヴィジュアル系、’00年代以降のネオ・ヴィジュアル系などを中心に、直接的/間接的に影響を受けたアーティストは数知れない。個々アーティストの事情を考慮して名前は挙げないが、興味を持たれた方にはぜひ調べてみて欲しい。デビューから30年を超えた今でもNOVELAの血が脈々と受け継がれていることが分かるはずだ。

「ROCK=洋楽」という意識が強かった’70年代と、邦楽がJ-POPとして独自の昇華を遂げる’90年代の間に位置する’80年代に登場して、強い光を放ったNOVELA。邦楽のクオリティーが飛躍的に高まる礎を築いた時代の中で彼らが果たした役割が非常に大きかったことは、紛れのない事実といえる。

ボックスセット『NOVELA SPECIAL BOX~
director’s edition~』

2013年12月25日発売
KIZC225~239/¥35,000 + 税
※完全限定プレス盤
・CD全12タイトル(計13枚)+ボーナスCD(1枚)+ボーナスDVD(1枚)の豪華全15枚組超豪華! 
・156Pブックレット付
・デフジャケ全6枚封入
・2013年最新デジタル・マスタリング/SHM-CD仕様

DISC1「魅惑劇」
DISC2「イン・ザ・ナイト~星降る夜のおとぎ話」
DISC3「青の肖像」
DISC4「パラダイス・ロスト」
DISC5「サンクチュアリ(聖域)」
DISC6~7「フロム・ザ・ミスティック・ワールド~スーパー・ライブ・ショウ~」
DISC8「ブレイン・オブ・バランス(均衡の脳)」
DISC9「ワーズ」
DISC10「最終戦争伝説 オリジナル・アルバム」
DISC11「最終戦争伝説 オリジナル・アルバム・パート2」
DISC12「シークレット・テイクス」
DISC13「シンフォニック・ワールド」
DISC14「シェラザード デモ(カセット・テープ’77&’78)」
※ボーナスCD/未発表音源集/初CD化
DISC15「ザ・ミスティック・ライヴ・ショウ」
※ボーナスDVD/LIVE AT NAKANO SUN PLAZA HALL TOKYO 27th FEBRUARY 1984

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