注目の新人俳優・大江晋平に“人生初
”インタビュー! 映画『焼肉ドラゴ
ン』時生役でデビュー

高度経済成長期の片隅で描かれる、小さな家族の大きな歴史を描いた映画『焼肉ドラゴン』が、2018年6月22日(金)から全国ロードショーされる。このタイトルでお気づきの演劇ファンもいるだろう、様々な演劇賞を総なめにし、その後も何度も再演され多くのファンに愛された、鄭義信作・演出による舞台『焼肉ドラゴン』が満を持しての映画化だ。
監督は舞台と同じく鄭が務め、長女・静花役を真木よう子、次女・梨花役を井上真央、三女・美花役を桜庭ななみが演じ、静花への思いを秘めたまま梨花と結婚する男性・哲男役を大泉洋が務める。一家の長である龍吉役はキム・サンホ、その妻・英順役はイ・ジョンウンという、いずれも韓国の名優が務めることとなった。
この家族には三姉妹のさらに下に一人息子の末っ子・時生がいる。この時生役を演じるのがこれが俳優としてデビュー作品となる18歳の大江晋平だ。役者としての第一歩を踏み出した大江が、人生初のインタビューを受けることとなった。興奮と緊張を隠し切れないまま大江は何を語るのだろうか。
『焼肉ドラゴン』
――まず、この映画への出演が決まったときの感想から教えてください。
不安が大きかったです。元々の舞台も観たことがないし、演技自体もワークショップでしかやった事がなかったんです。「僕でいいのかなあ?」と本当に思っていました。嬉しい気持ちと不安な気持ち半々でしたね。
――大江さんが演じる時生は、学校の同級生にかなり激しいイジメを受けている、というシビアな役どころでしたね。時生の役作りはどのようにしていったんですか?
僕自身も中学生の頃、軽いイジメに遭っていたので、時生と共感できる気持ちがあり、その気持ちは分かりました。でも時生には台詞がないんです。「アー!」って叫び声しかないので、どんな事を思いながら演技をすればいいのか、具体的にはわからなかったんです。だから撮影中に「こういう感情でこう言ってみて」などと監督から分かりやすく教えていただきながら演じていました。
――時生は劇中では全く喋らない少年ですが、大江さん自身はどんなタイプですか?
僕は普段、しゃべるのが好きなんですが、事細かくしゃべってしまうほうなので、話を聞いている人たちはきっと飽きているんじゃないかなって思っています(笑)。普段の生活では時生のように叫ぶこともないし、むしろストレスを内にため込んでしまうタイプなんです。時生という役は自分が想像している以上にもっと感情を出さないとできない役だったようで、あるシーンをやった時は、監督から「もっと!もっと感情を出して!」と言われていました。
大江晋平
――それって例えるなら、最初に予想していたイメージの何倍くらい?
12倍くらい(笑)。頑張っても頑張っても「ええ、まだ上を出すのかー!」と思いながら力を振り絞っていましたね。
――監督からは感情の出し方のほか、どのような指導をいただきましたか?
この映画は僕がナレーションを担当しているんですが、それを関西弁でやってほしいと言われたんです。僕は大阪出身なのでそれならばできると思っていたんですが、「昔の関西弁にしてほしい」ということだったので、イントネーションを何度も何度も直されました。時代が違うと全然喋り方って違うんですね。昔の関西弁だと「思っています」の「います」のところをちょっと上げて喋るんですよ。
――そうなんですね。私も知らなかったです!そしてズバリ、自分の中でいちばん大変だったシーンはどこですか?
時生の最後のシーンです。僕には経験のない事をこれからする…この時どんな心持ちでいればいいんだろうと悩みました。
――映画初出演ということでしたが、初めてだからこそ驚いたことって何かありますか?
「現場」というのも初めてですし、目の前にカメラがあるのも初めてでした。同じシーンをこんなにもたくさん撮影するんだ、と驚き、リハーサルをしてから本番を撮るというのも知らなくて。あと、メイクをするのも初めてなので、どんな事をするとメイクが落ちてしまうのかもわからなかったんです。
大江晋平
――初めての体験が山盛りですね(笑)。そんな大変な経験や苦労をして出来上がった映画ですが、試写で観た時の感想は?
スクリーンに映った僕=時生を観たときは、自分としては「このくらいはできている」と考えていたんですが、思っていたほど芝居ができてなかったです(笑)。スタッフさんたちがいっぱい工夫してくださったんだろうなって感謝しています。
いち観客として観たときの感想ですが、やっぱりお母さんに心を奪われました。一つ一つ、家族が問題が積み重ねていくんですが、あのお母さんは人間として強い、すごいなって思いましたね。
――――では次に、共演者の方々のお話も聞かせてください。時生と同じ場面が多いお母さん役のジョンウンさん、お父さん役のサンホさん。言葉の壁もあるかと思いますが現場ではどのような雰囲気でしたか?
日本語で通訳してくださる方も現場にはいたんですが、極力自分の言葉で話そうと思って英語で話しかけていました。ジョンウンさんは英語がお上手なんですよ。お母さんに膝枕で耳かきをされるシーンがあるんですが、あの時は安心感もあって本当の母のような感覚でいました。後で、ジョンウンさんは僕の事を「数少ない日本の友達だよ」って言ってくださいました。
サンホさんとも親しくやっていたんですが、役が父と息子という関係なので、時生はお父さんのことが好きだけど、行きたくない学校に行けと強制してくる。いいお父さんなんだけど、息子としてはちょっと反発したくなるところもあって。役の影響で少し近寄りがたい空気が出ていたような気がします。
大江晋平
――三姉妹の真木さん、井上さん、桜庭さん、そして大泉さんとのやりとりで印象に残っていることを聞かせてください。
撮影時はぼくはお父さんとお母さんとの場面が多く、真木さんたちとの絡みはほぼなかったんです。でも撮影の合間ともなると、例えば桜庭さんは僕がK-POPが好きなので、防弾少年団や桜庭さんがPVに出演していたEXOの話をしてくださいました。
井上さんといえば、僕の撮影がない日に現場を見学しようと思ったことがあって。撮影中は時生の衣裳を着ているんですけど、その日は自分の普段の服装…ブーツにパンツ姿でハットをかぶっていたら、井上さんに「あ、時生か!一瞬わからなかった!…でも時生のくせに生意気だ(笑)!」といじられました(笑)。
そして真木さん。休憩中に僕が携帯電話でゲームをしていたら「時生、何やってるの?」って真木さんが話しかけてきたので「これです」と画面を見せたら「それ、私もハマってて!」って自分の携帯電話を見せてくれたんです。僕の中では真木さんはゲームとかしなさそう、という先入観があったんですが、実際はゴリゴリのゲーマーで、リズムゲームをやり込んでいらっしゃいました(笑)。
大泉さんは、きさくでおもしろい方でした。僕が自撮りをしていたら「それ何?」って大泉さんが聞いてきたんです。画像に犬や猫の耳を付けるアプリがあるんですが、それ使っていたら「かわいいじゃん!俺にも教えてよー」って食いついていました(笑)。
――4人それぞれの様子が見えてくるようですね。では最後になりますが、時生として、そして大江晋平として映画『焼肉ドラゴン』の見どころをお願いします。
時生としては、最初の出番と最後に至るまでの時間の流れを。それほど多くは描かれていないので、だからこそ時生の心情を想像しながら観ていただきたいです。そして僕本人としては、家族の絆や愛情を。問題を多く抱えている家族ですが、それを乗り越えようとしている姿を観てほしいです。「家族っていいな」って想いを再確認していただきたいですね。
大江晋平
取材・文・撮影=こむらさき

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