【インタビュー】THE FOREVER YOUNG
「一度きりの時間が僕の中で永遠で、
それがあるから進んでいける」
■綺麗な言葉で攻めたい気持ちでこのタイトルにしました
――『聖者の行進』を最初に聴いたときに、いきなり女性の声でポエトリーリーディング(「誓いの詩」)が始まったので、正直戸惑いました。このオープニングはどんな発想から生まれたものなんですか。
クニタケ ヒロキ(以下、クニタケ): Struggle For Pride(ストラグル・フォー・プライド)というハードコア・バンドに、1曲目に女性の声が入る作品があるんですけど、それを一時期よく聴いていたんです。アルバムの構成を考えていたときに、そこから着想を得た感じです。「誓いの詩」はライヴでもSEで使っていて、ライヴ、作品、全部の幕開けを女性の声で始めたいという気持ちがありました。そこから2曲目の「さくらの時」にバーって入っていく、爆発力を出したかったんです。
オガワ リョウタ(以下、オガワ):クニちゃんから、「こういう感じでやりたい」ということを聞いて、構成がちゃんとできていていいなと思いました。
――「誓いの詩」があったことによって、1枚の作品になって行った感じですか。
クニタケ:土台にはなっていますね。他の曲ができる前に、「誓いの詩」から始まる構成で行きたいという気持ちはありました。
――前回のシングル発売後に行った47都道府県ツアーの最中に、リハーサルスタジオに入って制作を行っていたそうですね。ツアーを回りながら、インスピレーションを受けて曲作りしていったんですか?
クニタケ:制作に対して前向きだったというか、「次の作品を出したい」という気持ちがずっとあったので、ツアー中でもリハスタに入っていたんです。
オガワ:まあ、キツかったですけどね。車で全国47都道府県を回ることってなかったので。ライヴは楽しかったですけど、色々良い経験になりました。
クニタケ:そうです。『聖者の行進』という言葉の並びや響きが好きだったというのもあるんですけど。47都道府県ツアーを回ったときに、ライヴで自分が不甲斐ないなと思ってしまったり、自信がないときがあったんです。そういうときに、元カノだったりとか、好きな人、家族、友だちとか、誰かと過ごしたときを思い出すことがあって。こんな僕でも一度だけでも誰かと交わった時間が、リアルな時間だったなって思ったんですよね。そういう人たちに選ばれた自分を「聖者」という言葉に例えて奮い立たせるというか。それは、聴いている人たちにも当てはまることなんです。あえて「聖者」という綺麗な言葉で攻めたいっていう気持ちでこのタイトルにしました。
――「誓いの詩」は、yonigeの牛丸ありささんがポエトリーリーディングしているんですね。どんな繋がりから実現したものですか。
クニタケ:もう、昔からの知り合いなんです。牛丸ちゃんが18歳くらいのときに、パンクのイベントでテキーラガールをやっていて。「ああ、かわいい子おるなあ」みたいな感じで知って以来(笑)。それから、yonigeを始めた頃に、「バンドを始めました」って言いに来てくれたりとか。めっちゃ昔から知っています。
――ポエトリーリーディングを収録する上で、牛丸さんとは内容についてかなり話をしたんですか?
クニタケ:いや、特に話していなくて、リリックを見てもらってそのままです。普段、牛丸ちゃんが話している感じが、冷たいけどぬくもりがあるような感じなので。好きなように読んでもらいました。
――「誓いの詩」があるから、2曲目の「さくらの時」がより勢いよく聴こえますね。これはどうやって生まれた曲ですか。
クニタケ:卒業シーズンにも寄せたワードを入れてみようと思って、そういう言葉を散りばめているんですけど、一番言いたいことは、“夢の合間に ここでまた逢おう”という言葉。「さくらの時」というタイトルの曲ですけど、卒業シーズンに限らず、1年中やれる曲になったと思います。
――「さくらの時」はMVも作られていますが、エンディングでオガワさんが自転車に乗って鼻歌を歌っていますね。これは音源の方には入っていないですよね。
オガワ:あれは、監督さんと話してああいう感じで終わるのがいいんじゃないかなって。楽しかったですね。
――クニタケさんはずっと歌いながら、ものすごい速度で自転車で激走していますけど。
オガワ:自転車に、GoProを付けて撮っているんです。ずっとチャリで走ってました。
クニタケ:都庁や歌舞伎町を一人で全力疾走しながら歌っていました。歌舞伎町は緊張しましたね。ヤバかったです(笑)。
――この曲のライヴでの反響はいかがですか?アルバムが発売されてから約1ヶ月経つわけですが。
クニタケ:新しい曲たちの反響は、めちゃくちゃいいですね。オリジナルメンバーが二人になって、サポートメンバーに助けてもらって制作したミニ・アルバムだったというのもあるんですけど、今までのTHE FOREVER YOUNGで一番良い作品ができたと思っているんです。「伝わってるな」っていう、うれしい気持ちがあります。
オガワ:ライヴでは、1曲目の「誓いの詩」から、自分のハイハットのカウントから2曲目にバーンと入る幕開けなので、その瞬間にお客さんの「待ってました!」っていう気持ちが表れているのがよくわかるんです。「キター!」っていう感じで、それがめちゃくちゃ気持ちいいですね。
――今まで以上に、手応えを感じている?
クニタケ:そうですね、手応えはすごくあります。このアルバムをみんなが好きになってくれて、それが広がっていることがよくわかります。
――今回、クニタケさんが「小郡駅」でアコースティック・ギターで弾き語りをしていますね。これは初の試みですか?
クニタケ:初めてです。アコギで曲を作ること自体、今作が初めてなんです。これまでは、ベースで鼻歌を歌って作っていたので。弾き語りをやらせていただく機会が増えて幅が広がりました。「12月15日」もアコギで作った曲です。ツアー中に思いついて、八戸のスタジオで作りました。曲ごとにツアー先のどこどこのスタジオで作ったっていう思い出がありますね。
――ライヴが終わった後に、ホテルで曲を書いたりしていたのでしょうか。
クニタケ:いや、ライヴが終わったら、毎日酒を飲んでいました。
オガワ:(笑)。
クニタケ:ライヴの次の日に、スタジオに入ろうって決めておいて、そのときまでに一つのメロディを作って行こうとか、そういうノルマを自分に課して制作して行ったんです。あとは思いついたらアコギをなるべく触ったりしていました。
――アコギを弾いて歌うクニタケさんに、オガワさんはどんな印象を持っていますか?
オガワ:すごくいいですね。バンドとはまた違うというか、純粋に歌だけの力を感じます。ギターはまだ始めたばかりなので、そんなにテクニカルなことはできないですけど、それを補うくらい歌の力がナチュラルに出るので。それはめっちゃ良いなと思います。
――確かに、シンプルで声が近いので、メロディがより耳に残りますよね。何度か聴かせてもらったんですけど、道を歩いていたときにふと、“どうしようもないぜ どうしようもないぜ”って鼻歌で出てきたんですよ。「あれ、これ誰の曲だっけ?」って思うくらい自然に。
クニタケ:ははははは!ありがとうございます。
――最初に出てくる“小郡駅前たいこうは”っていう歌詞は……。
クニタケ:これは、地元にあるめっちゃ安い焼き鳥屋なんです。昔から、地元で友だちと集まるときはここで飲んでいて。僕は今も(福岡県)小郡市に住んでいるので。
オガワ:こういう曲も、弾き語りだからできる曲だと思います。バンドじゃできない曲というか。そういうところがめっちゃいいなって思います。
■MAXの感情で歌わないと駄目だと思っています
――この曲もそうですけど、歌詞に“あの日”っていう言葉がよく出てきますね。
クニタケ:ああ、そうですね。
――一方で、「終わらない旅」「夢だけに酔っていたいぜ」っていう、現在進行形の曲があることで、過去と現在が交差したような1枚になっている印象です。
クニタケ:僕があんまりポジティブじゃないので。過去を振り返る曲が多くて、逆にこういう感じの曲(「終わらない旅」「夢だけに酔っていたいぜ」)は無かったと思うんです。そこはちょっと変化が出たかなって思うし、笑いたいときは笑えばいいのかなって。
――「終わらない旅」は、バンドで一気に作ったんだろうなっていう、勢いが表れてますね。
オガワ:これは、すぐできました(笑)。
クニタケ:もともと、1分くらいの曲を作りたくて。こういうショートチューンになりました。1分にも足りないんですけど。
――曲を作るときは、パッと浮かんだことを形にすることが多いんですか?それとも「こういう曲がないから、作ろう」ってイメージして作り出すんですか。
クニタケ:曲を作る最初は、思いついたメロディで好きに作っています。ただ、作った曲に対して、最終的に「こういう曲がないから、こうしよう」って、アレンジを変えることはあります。例えば「さくらの時」は、最初は三連符のバラードみたいな曲にするつもりで作っていたんですけど、そうしたら逆に速い曲が全然なくて。それでスタッフに「2ビートにしてみたら?」って言われて変えたんです。そんな感じで、後から助言をもらって変えたりすることは、結構ありますね。
クニタケ:ワードは先にあったりしますけど、詞先で作ることはないです。これは元カノの曲、誰々の曲とか、当てはめるワードはためてあるんですけど。
――先ほどから、元カノというワードが出てきますけど(笑)。「12月15日」って、元カノの誕生日ですか?
クニタケ:いや、“付き合い出した記念日”ですね。
――ははははは。後半2曲は純粋なラブソングですし、じつはすごくロマンティストなんだろうなって。
クニタケ:はい、そうです!(笑)。
オガワ:(激しい曲もラブソングも)全部ひっくるめて、どっちの面もあるのがクニちゃんかなって思います。
――最後の「ひみつとデート」は、新しいリスナーを獲得できそうな、すごく胸キュンなな良い曲ですよね。
クニタケ:そうだとうれしいですね。良いメロディだと思うので。
――ご自分でも、この曲は新しいと思いますか?
クニタケ:それは思いました。このミニ・アルバムを作るときに、最初に「ひみつとデート」のサビのメロディがネタであったんです。この曲は、女の子に向けての曲にしたいなって思っていて、二転三転してできたんです。誰にでもわかりやすいメロディだという自信がありました。
――“誰かと奏でた恋を このメロディでかき消すから”っていうのは名フレーズだと思いますけど、なかなか歌じゃないと言えないような、言ってみればクサいセリフですね。
クニタケ:クサいです(笑)。歌じゃないと無理ですね。そういうところはいっぱいあると思います。
――このミニ・アルバムに入っている曲は、全部ノンフィクションだと思うんですけど、曲にするのがつらい曲とかはないんですか。
クニタケ:ライヴをやっていて、「うわ~!」ってなることはありますね。それこそ「12月15日」なんかはそうです。
――ライヴで歌うことで昇華できる?
クニタケ:いや、それは不思議なんですけど、逆なんです。曲として書くのは簡単なんですけど、歌うと「うわ~!」ってなるんですよ。なんか、懺悔しているみたいな。曲を作ったときに、そのときのMAXの感情が込められているので、ライヴでそのフタを開けたら自然に「うわ~!」ってなるんだと思います。それじゃなかったら、嘘じゃないかと思うんですよ。どんな曲でも、いつもその曲に込められたMAXの感情で歌わないと駄目だと思っています。
――オガワさんにとって、今作で一番熱いものを感じている曲を挙げるとどれですか?
オガワ:やっぱり、「12月15日」が結構、ドラムに関しては熱い気持ちが入っています。こういう曲だったら俺も感情が入ってしまうというか、ドラムにも熱い感じが出てしまいますね。
――できあがった今、THE FOREVER YOUNGにとって『聖者の行進』は、どんな作品になりましたか?
クニタケ:前作のシングルは、女々しいというか、ナヨナヨしてたというか、そういう気持ちのときに作ったシングルなんです。そういう気持ちは今もあるんですけど、そういうことを考えだしたら、「このままでいいのかな」って、どんどん内向的になりますよね。でも、タイトルの『聖者の行進』が表しているように、ライヴや友だちや抜けたメンバーと過ごした一度きりの時間が僕の中で永遠で、それがあるから進んでいけるっていう意味合いがこの作品にはあるんです。そういう意味では前作とは真逆のポジティブな作品になっていると思います。過去は振り返るんですけど、今作にはそれを持ったまま進んで行くっていうマインドがあります。
――THE FOREVER YOUNGの音楽って、年齢とか関係ないくらい突き抜けたものがある気がします。そこで訊きたいんですけど、例えば、「夢だけに酔っていたいぜ」で歌われる“君の街へ迎えに行く”の“君”には、ご自分たちよりも上の世代も入っているんですか?
クニタケ:もちろん、入っています。年齢層を意識して曲を作っているわけではないですけど、ライヴのお客さんの中には、毎回来てくれるおっちゃんもいますし、若い女の子もいますし、モテなさそうな男もいますし、イケメンもいます(笑)。だから“君”っていうのは必然的に、誰かというよりはみんなのことですね。
オガワ:実際、かなり幅広い層のお客さんがライヴに来ますからね。
――それは、やっぱり音楽の根本に人間臭さがあるからでしょうね。
クニタケ:ありがとうございます。そうありたいと思いますね。
――今の二人にとって、“青春”という言葉は、どんな意味を持ったものでしょうか。
クニタケ:ずっと変わらないですけど、青春という言葉が生き甲斐になっています。仕事だったり恋愛でも、一つのことに一生懸命になってキラキラしていることが青春だと思うんですけど、僕はそれをTHE FOREVER YOUNGというバンドを通して体現していかないといけないと思っていますし、青春っていう言葉がなくなったら、本当の自分じゃないような気がします。それを体現するために、バンドをやっているんです。
オガワ:僕にとっての青春はライヴですね。ライヴを一生懸命やることです。
――この夏はどんな活動をしていきたいですか?
クニタケ:今回の作品を持って、今年はより多くの夏フェスの舞台にも立つので、すごく反応が楽しみですね。
取材・文●岡本貴之
Mini Album『聖者の行進』
2018 年5 月2 日発売
SURCD-025 | \1,800+TAX
1. 誓いの詩
2. さくらの時
3. 終わらない旅
4. 夢だけに酔っていたいぜ
5. 小郡駅
6. 12月15日
7. ひみつとデート
ライブ・イベント情報
「SIX LOUNGE TOUR 2018“夢うつつ”」
at. 沖縄Output
2018/6/17 (日)
/w SIX LOUNGE/奢る舞けん茜(OA)/ヤングオオハラ(OA)
TOTAL INFO.ピーエムエージェンシー:098-898-1331
LIVE HOUSE BRONZE pre.「Odd Number Festival 2018」
at. Creative Center Osaka
2018/6/30 (土)
TOTAL INFO.サウンドクリエーター:06-6357-4400
・出演バンド(順不同)
SUNSHINE DUB / 東狂アルゴリズム / LABRET / Day tripper / SPACE BOYS /Down the Rabbit-Hole / Left / HAIR MONEY KIDS / Unblock / BAN’S ENCOUNTER /LUCCI / GIZMO / Mrs.WiENER / two step glory Hump Back / さよならポエジー / HERO COMPLEX / FOOL THE PUBLIC / Track’s / NEVERSTAND / ALBRIGHT KNOT / LEODRAT / yonige / KOTORI / FOMARE / climbgrow / BANGLANG / THE SKIPPERS / bacho / THE FOREVER YOUNG / 39degrees / SIX LOUNGE / DETOX / Five State Drive
「REDLINE TOUR 2018 ~FOUR FISTS~」
at. 味園ユニバース
2018/7/4 (水)
/w bacho/KOTORI/ハルカミライ
TOTAL INFO.サウンドクリエータ:06-6357-4400
「REDLINE TOUR 2018 ~FOUR FISTS~」
at. 名古屋APOLLO BASE
2018/7/5 (木)
/w bacho/KOTORI/ハルカミライ
TOTAL INFO.ジェイルハウス:052-936-6041
「京都大作戦 牛若ノ舞台 宵山 2018」
2018/7/6 (金)
・会場
京都4会場(GATTACA、MUSE,GROWLY、Octave)にて同時開催。
THE FOREVER YOUNGはMUSEに出演します。
「REDLINE TOUR 2018 ~FOUR FISTS~」
at. 新宿LOFT
2018/7/12 (木)
/w bacho/KOTORI/ハルカミライ
TOTAL INFO.ホットスタッフ・プロモーション:03-5720-9999
「LANDMARK FESTIVAL ISHINOMAKI 2018」
at. 石巻ふるさと料理つる屋 駐車場特設ステージ
2018/7/16 (月)
/w ANCHOR/DRADNATS/STOMPIN' BIRD/THE NO EAR/FILTER/rem time rem time/OWEAK/Mrs.WiENER/ORION
「DOTHEMOSH2018」
at. 新木場STUDIO COAST
2018/7/20 (金)
TOTAL INFO. シブヤテレビジョン:03-5428-8793
東狂アルゴリズム pre.「なんだかんだで人生万歳ツアー」
at. 滋賀B-flat
2018/7/22 (日)
/w 東狂アルゴリズム/ナードマグネット
「PIRATE SHIP 2018」
at. 大分Bitts HALL
2018/7/29 (日)
2018/07/28・29(土日)の2日間開催。
※THE FOREVER YOUNGは29日出演です。
「TRIANGLE’18」
at. 福岡シーサイドももち海浜公園地行浜ビーチ内特設ステージ
2018/8/25 (土)
TOTAL INFO. PROJECT FAMIRY:092-406-0855
<第一弾出演アーティスト>
SHIMA / G-FREAK FACTORY / ハルカミライ /
HAWAIIAN6 / HEY-SMITH / ROTTENGRAFFTY
<第二弾出演アーティスト>
OVER ARM THROW / Crossfaith / THE FOREVER YOUNG /
四星球 / dustbox / NAMBA69
<第三弾出演アーティスト>
GOOD4NOTHING / SIX LOUNGE / SiM / SHADOWS /
04 Limited Sazabys / BLUE ENCOUNT
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