【速レポ】<SATANIC CARNIVAL>HEY
-SMITH、初日のトリを飾るアクトで「
バンドって夢あると思うわ」

昨年はトリプルヘッドライナーのトップとして大暴れし、この場所で披露したかったと「Let It Punk」の初公開の場として<SATANIC CARNIVAL>を選んだHEY-SMITH。今年は正真正銘の大トリだ。
ライブ中に猪狩秀平(G/Vo)が「SATANICのこの時間、ステージに立てるなんて思わなかった。大きな会社がしっかりやってるバンドもいる中、(トリを務めるのは)ゴリゴリのインディーズバンドですよ! バンドって夢あると思うわ」と語っていたが、PIZZA OF DEATHを敬愛することもあって、格別の思いがあるのだろう。1曲目を飾った「Dandadan」へ入る最初の一音からド迫力。現場でのし上がってきたバンドのみが持つ凄みが爆発してるのだ。
少しの隙間も休憩も許さない、まさに怒涛の流れで突き進み、「DRUG FREE JAPAN」や「2nd Youth」といったハードなナンバーを連続で投下。フロアの熱気は限度知らずの上昇っぷりを見せていく。

また、先に触れた「Let It Punk」もとてつもないパワー感で披露。昨年と同じ曲とは思えないような内容で、バンドがまだまだ進化してることを感じさせてくれるのだ。フロアの波打ち具合も凄まじく、幕張メッセ全体がひとつの生き物になったかのような躍動感。彼らのライブの良さは知っていたつもり。しかし、想像を遥かに超える状況が起こっているのだ。
そして、新曲として「Not A TV Show」を披露。意思表明的な曲であり、その仕上がりも良かったのだが、実は告知一切なしで1週間前からYouTubeにMVをアップしてあり、バンドの物販でCDをすでに販売してるという驚きの事実が猪狩から告げられる。情報が簡単に飛び交う時代だからこそ、そこを逆手に取ったやり方はニヤリとさせられた人も多いのではないか。

また、「オレたち、ゴリゴリのインディーズバンドやから、友達の力なしではやれなかった」と盟友たちへの想いを語り、ステージ上の巨大スクリーンには無数のバンドロゴが映し出された「Don’t Worry My Friend」も印象的なハイライト。醸し出される温かさも素晴らしく、彼らが受け取ったモノの大きさを感じられた瞬間でもあった。

そういった空気感に続けて、動物の交尾シーンが延々と続くというバカバカしい映像と共に「Like A Gentleman」をプレイするのも、また彼ららしいところ。そのチャンネルの多さもHEY-SMITHというバンドの持ち味なのだ。
その後も全力投球で曲を投げ続け、また違った表情を見せてくれたのが「Before We Leave」だろう。猪狩が凄く大事にしてる曲だと口にし、「(大事な誰かがいなくなって)自分で何とかしないといけない、っていう日が絶対にくる。次はお前の番」というメッセージがこめられたナンバーだ。どこか儚げなメロディーが広がるが、だからといって後ろ向きではなく、未来を信じるからこその光がそこにはあった。

終盤に入っても、絶対に勢いを落とさない彼ら。爆発的に盛り上がってるフロアへ向かって「それでもお前らパンクスか! 本気でやってんねんから、本気でこいよ!」と猪狩はアジテートし、これじゃ食い足りないとばかりに前へ前へと猛進し続ける。
もちろん、弦楽器のチューニングで生まれる“間”はあるのだが、そんなときは必ずホーン隊がフロアを鼓舞し、ひと時たりともオーディエンスが覚めるタイミングがない。おそらく、考えに考えたフォーメーションではなく、現場で培った感覚なのであろう。

クライマックスでは「マジで最高の時間やったわ。ありがとう! お前の人生、誰のモノでもないから、自分の人生の為にあと2曲、思いっきり楽しめー!」と猪狩が叫び、積極的にメディア露出するわけでもない自分たちを見つけてくれたオーディエンスへ感謝を込め、「Living In My Skin」と「Goodbye To Say Hello」をドロップ。これ以上ない大団円かと思いきや、もっともっと欲しいとフロアからは大きな声が上がり、ステージへ呼び戻される彼ら。
そんなフロアを見て、「ええ顔しとるな」と思わずこぼす猪狩が「約束するわ。音楽を権利とか金の為に使わない」とパンクスの心意気を宣言し、満(Sax)の絶叫っぷりも凄かった「True Yourself」、この夢舞台にふさわしすぎる「I’m In Dream」、最後の最後は台風が直撃したかのような衝撃のショートチューン「Come back my dog」で壮絶なフィナーレ……かと皆が感じたのを裏切るのがやはり彼らなのか、本当のラストはステージから捌けてから再びメンバー全員が登場し、「BOGEY LOVES」をバックにラインダンスという、昨年と同じシチュエーション。愛と情熱と笑顔に埋め尽くされた、痛快極まりない最高の時間だった。

取材・文◎ヤコウリュウジ
撮影◎岸田哲平/瀧本 JON… 行秀/本田裕二

【HEY-SMITH セットリスト】

01.Dandadan
02.DRUG FREE JAPAN
03.2nd Youth
04.Let It Punk
05.Endless Sorrow
06.Judgement Day
07.Jump!!
08.Not A TV Show
09.Don't Worry My Friend
10.Stand Up For your Right
11.Like A Gentleman
12.Truth Inside
13.Before We Leave
14.Summer Breeze
15.Lonely With Everyone
16.We sing our song
17.OVER
18.Living In My Skin
19.Goodbye To Say Hello
encore
20.True Yourself
21.I'm In Dream
22.Come back my dog
23.BOGEY LOVERS dance ver.


■<SATANIC CARNIVAL'18>

6月16日(土) 幕張メッセ国際展示場9-11ホール
6月17日(日) 幕張メッセ国際展示場9-11ホール

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