凛として時雨、結成15周年を経たバン
ドの歴史を感じさせた一夜 ツアー追
加・東京公演をレポート

凛として時雨 Tour 2018 Five For You ~Vacuum The Hall Edition~

2018.6.11 国際フォーラムホールA
6月11日、凛として時雨が『凛として時雨 Tour 2018 Five For You ~Vacuum The Hall Edition~』の東京公演を国際フォーラムホールAで開催した。この『Vacuum The Hall Edition』は3月から4月にかけて実施された全国ツアー『凛として時雨 Tour 2018 Five For You』の追加公演として、大阪と東京の2か所で開催されたもので、いわば、この日が真のツアーファイナル。ニューアルバム『#5』を軸とした全国ツアーのセットリストから大きく曲を入れ替え、結成15周年を経たバンドの歴史を感じさせる一夜となった。
凛として時雨
余計な装飾のないステージにメンバーが姿を現すと、突如暗闇と静寂を切り裂くように、『#5』収録の「Chocolate Passion」からライブがスタート。美しくデザインされたピンスポットによる照明演出が楽曲をドラマチックに盛り上げると、同じく『#5』からの「High Energy Vacuum」では緑と赤の光が妖艶に混ざり合い、「SOSOS」では3人の演奏とオーディエンスの熱の高まりに伴って、ステージもカラフルに彩られる。バンドの佇まいとホールの雰囲気の相性は抜群で、序盤からシアトリカルな世界が構築されて行った。
凛として時雨
TKの「凛として時雨です。よろしくお願いします」という一言を挟んでの「Enigmatic Feeling」、ヘヴィなグルーヴを聴かせる“DIE meets HARD”に続き、ピエール中野による跳ねたビートから始まる「I’ m Machine」では、場内が七色の光に包まれる。345のベースリフが引っ張る「a 7days wonder」で派手にストロボが投射されたのに続いては、TKがこの日唯一エレアコに持ち替えた「Serial Number of Turbo」。軽くディレイのかかったギターをかき鳴らし、ファルセットを駆使したメロディアスなサビを歌い上げると、再び「abnormalize」をアッパーに叩きつけて、前半戦が終了した。
凛として時雨
TKと345が一度ステージから去ると、ピエール中野のMCコーナーへ。「二つ言いたいことがあります」と、まずはオーディエンスに感謝を伝え、次にこの日が新垣結衣の誕生日であることを告げると、「こんなおめでたいことはない!」と拍手。さらに、前日の『関ジャム』でYOSHIKIのドラムについて話したことから、オーディエンスとともにXジャンプ!そして、全国ツアーでも披露された「どんぐりころころ」をBGMに使ったドラムソロでは、2ビートやブラストビートを織り交ぜつつ、ネオンカラーが光るドラムを手数多く叩きまくって、場内は大歓声に包まれた。
凛として時雨
TKと345がステージに戻ると、後半戦は彼らの原点とも言うべき「鮮やかな殺人」からスタート。「I was music」から「DISCO FLIGHT」という鉄板の流れでは、トランシーなサウンドとダンサブルなビートによって、椅子席の広いホールにも関わらず、場内がグラグラと揺れる。さらに「Telecastic fake show」、「a symmetry」と畳み掛けると、会場中央でミラーボールが回り出し、最初期のナンバーである「Sergio Echigo」へ。曲の後半で突如テンポアップし、TKがギターを狂ったようにかき鳴らすパートは圧巻で、彼らが昔から狂気とポップの入り混じった音楽を作り続けてきたことを証明していた。
凛として時雨
345の「また遊びに来て下さい。ありがとうございました、凛として時雨でした」という挨拶から、最後に演奏されたのは『#5』のラストナンバーでもある「#5」。初期曲を連想させる<鮮やかな夕景達よ>というリフレインが15年の重みを改めて感じさせると、ラストは明滅する照明と轟音がカオティックな空間を作り出し、垂れ流されるフィードバックノイズの余韻が残る中、メモリアルなホールでの一夜が幕を閉じた。

文=金子厚武 撮影=岡田貴之

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