【後編】仙台発“パティロケ”渡邉幸
愛ちゃん衝撃の卒業

　でもパティロケは違って、明確にライブでは幸愛ちゃんを観ていました。スタンディングの会場だと、前の人の頭に隠れて、常に観られるとは限りませんが、それでもちょっと背伸びしたり、動ける範囲で右に左にずれたりして、出来る限り、幸愛ちゃんを観ていました。それほどに、僕にとって、パティロケのライブでの幸愛ちゃんは輝いていました。
　そこでつきつけられた問題が、自分はパティロケを好きだったのか、幸愛ちゃんを好きだったのか、ということです。今までアイドルグループはまず曲ありきで、曲を好きになって、で実際ライブを観て楽しいと、そこでこのグループ推したい！ となっているのだ、と思っていました。個々の女の子を好きだから推してるんじゃないぞ、という言い訳といいますか。
　パティロケも、たまたま「初恋ロケット」をライブで観る機会があり、この曲カッコいい！ となり、CDを買って聴いて、動画を観て、ライブに行って楽しい、ってなって、ちょくちょくライブに通うようになりました。で、どんどん幸愛ちゃんの佇まいにハマっていくようになるんですけど、それでも、あくまでパティロケの曲とライブの楽しさありきで好きなんだ、と思い込んでいました。
　8月に発売したシングル「セツナソラ」は今年のアイドル曲の中でも名曲の一つだと思ってますし、そのカップリング（Type-B盤の）「ROCKIN' HORSE BALLERINA」もカップリングであることが惜しいほどカッコいい曲。早くアルバム出してくれないかな、といった感じで、あくまで音楽として好きなんだ、と。　しかし、幸愛ちゃんが辞める。この事実を突きつけられたとき、自分はパティロケをこれまで同様に応援できるのか分からなくなりました。
　今後センターになるであろう正統派な美少女・吉木悠佳さんも、まだあどけなさの残る菊地史夏さんも、最年少ながらワイルドでアメリカンなビジュアルの藤田あかりさんももちろん好きなんですが、今まで幸愛ちゃんばかりを観ていただけに、自分の中では「パティロケを観る＝幸愛ちゃんを観る」になってしまい、パティロケというグループを果たして自分は好きだったのだろうか、何か不純な動機で応援していたんじゃないか、と思ってしまったわけです。
　もとより、パティロケを観た回数は十数回程度のぬるいファンに過ぎないのですが、誰か一人が辞めることくらいで（「くらい」と書くと言い方が悪いですけど）そのグループへの気持ちが揺らいでしまうなんて、ぬるいファンとはいえショボすぎるんじゃないか、と自責の念にかられたといいますか……。　いずれにせよ、泣いても笑っても幸愛ちゃんの、パティロケとしてのライブは12/15がラスト。この日は一部、二部とライブがありますが、肝心の二部、僕は一番好きなグループであるひめキュンフルーツ缶のライブを選んだため、観られるのは一部だけ（本当にパティロケのファンとしてはぬるくて、こんな文章を書くのはおこがましすぎますが……）。まあ、僕のごときぬるいパティロケファンが二部にいるのもおこがましいですしね。とにかく一部での幸愛ちゃんのパフォーマンスを、いつも以上に目に焼き付けたいと思います。そして、幸愛ちゃんが辞めてしまうことで、残った3人はどんなパフォーマンスをするのか。それも目に焼き付けたいと思います。
　いつも以上に幸愛さんのパフォーマンスを目に焼き付けつつ、他の3人のパフォーマンスも目を焼き付けて、って完璧に矛盾した言い回しですが、でも、そうしたいと思います。そうすることによって、今後パティロケとどのように向き合っていくのか、ということになんとなくの答えが出るんだろうな、と。　ちなみに、幸愛ちゃん、パティロケを卒業してどうするか、というと芸能活動の目標において、その夢に一歩近づくチャンスをいただいた、とのこと。

　そりゃ、ファンは応援するしかありません。笑顔で「良かったね！ 頑張って！」と見送るしかありません。幸愛ちゃんが次に選んだ場で、パティロケとしての幸愛ちゃんよりも、もっともっと光り輝く存在になってくれることを願うのみです。
　というわけで、次のステージに進もうとしている幸愛ちゃんを、Party Rocketsの渡邉幸愛さんとして観られるのは、12/15の渋谷wwwでのライブが最後。絶対心に残る素晴らしいライブになると思います。チケットはまだ各プレイガイドで発売しているので、こんな駄文をここまで読んでいただいた奇特な方で、12/15の予定がまだ空いている、という方は是非観に行ってみてはいかがでしょうか。（文・ソレン）オススメCD：『初恋ロケット』[Single, Maxi]（avex trax）／Party Rockets