Superfly『Bloom』歴史と本質が凝縮
したシングル

Superflyが23rdシングル『Bloom』をリリースする。1年7ヶ月ぶりのシングルには、新たなスタートを切ったSuperflyの現在のモードやこれまでの歴史、そしてその本質が強く反映されている。では、『Bloom』とはどんなシングルなのか? ……を紹介する前に、そもそもSuperflyとはどんなアーティストだったか、基本情報を簡単におさらいしよう。

そもそもSuperflyって?

(Superfly『愛をこめて花束を』MV)

Superflyとは、越智志帆(Vo. 読み:おち・しほ)による音楽ユニット。越智のソウルフルなボーカルが特徴。2007年、1stシングル『ハロー・ハロー』でメジャーデビュー。2008年、4thシングル『愛をこめて花束を』を発表。Superflyの代表曲として定着し、結婚式ソングの定番ともなった。2018年5月時点で、計22枚のシングル、5枚のオリジナルアルバム、3枚のベストアルバムを発表するなど精力的な活動を続けている。

2018年、最新のSuperflyを象徴する新曲
「Bloom」

(Superfly『Bloom』MV)

そして2018年6月6日にリリースされたのが23rdシングル『Bloom』。収録曲は「Bloom」「Fall」「ユニゾン」「Force -Orchestra Ver.-」の4曲。

「Bloom」はゼクシィ25周年“愛を、祝おう。”のテーマソングに、「Fall」はTBSドラマ『あなたには帰る家がある』の主題歌に、「ユニゾン」と「Force -Orchestra Ver.-」はテレビ朝日系ドラマ『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』(第5期)の主題歌に起用されている。

またDisc2には、2017年11月15日に東京オペラシティ コンサートホール:タケミツ メモリアルで開催された『Superfly 10th Anniversary Premium LIVE“Bloom”』のライブ音源が16曲収録(初回盤のみ、Disc3にライブ映像17曲も収録)。Superflyの名曲たちがオーケストラ・アレンジを施されている。

表題曲「Bloom」は、オーケストラサウンドが特徴的なしっとりとしたバラード曲。「愛をこめて花束を」を彷彿とさせる、「みんなが知ってるSuperfly」らしい曲だと言える。作詞はいしわたり淳治、作曲と編曲は蔦谷好位置。「愛をこめて花束を」の制作にかかわった2人による楽曲は、結婚式ソングの新たな定番にもなりそうだ。

この曲、当初はポップスアレンジだったが、『Superfly 10th Anniversary Premium LIVE“Bloom”』で披露する際にオーケストラ・アレンジに変えたのだという。志帆は、アレンジを変えたことについて、次のように語っている。

「元のアレンジは王道のポップスアレンジだったのですが、自分が歌うのであればより個性的なアレンジであってほしいと考えました。この曲の初披露をイメージした昨年11月のライブがオーケストラ編成でのライブだったので、タイミングも合致してスペシャルなアレンジにしたいという狙いから、サウンドプロデューサーの蔦谷好位置さんにオーケストアレンジをリクエストしました(志帆)」

「Bloom」のメロディ自体は、すでに5thアルバム『WHITE』(2015年)制作中にできていたそうだ。当時は、越智が「みんなが知ってるSuperfly」とは違ったアプローチを模索していた時期でもある。そのため、この曲は『WHITE』には収録されずあたためられていたわけだが、オーケストラ編成の『Superfly 10th Anniversary Premium LIVE“Bloom”』という機会を迎え、機が熟した。結果、「愛をこめて花束を」を超えるポテンシャルのある楽曲に仕上がり、同曲のアンサーソングとも解釈できる。

また、歌詞のなかでは「咲いた」という言葉がサビで印象的に使われている。

咲いた 小さな愛の花が こんな色をしてたんだね いまは一輪だけど いつか こころに無限の花を咲かせるでしょう (Superfly「Bloom」より)

この言葉は、志帆の強いリクエストによって採用されたものだ。

「完成したアレンジを初めて聴いたときに、パーっと霧が晴れて、そのなかを誰かがタタタッと走っていく映像が頭の中に浮かびました。それは私なのか誰なのかわからないけど、とにかくそれまで動いてなかったものが動き出すように見えたのです。そこに感じた、決意が伴うような言葉を歌いたくなり、『決めた』『行くわ』『咲いた』などの言葉が思い浮かびました。そのなかでも「咲いた」がライブのテーマにも合い、強くイメージできたのです(志帆)」

「愛をこめて花束を」と「Bloom」を聴き比べるとき、わたしたちは、Superflyが築いてきた10年という歴史の音を聴くことになる。

Superflyの新たな一面が見える「Fall」

一方、「Fall」は疾走感のあるジャズに仕上がった。ロックではなくスイングしていて、これまでのSuperflyにはなかったタイプの曲だ。力強く、セクシーで、ミステリアスでもある。作詞作曲は越智、アレンジは蔦谷好位置。
(Superfly「Fall」MV)

この曲を主題歌にしたドラマ『あなたには帰る家がある』は、2組の夫婦が持つ不満やすれ違いと、落ちてはいけない恋を描いた作品。志帆は、楽曲制作にあたって、ドラマに関する資料を読み込んだという。そして、「魔が差す」というキーワードに辿り着き、この言葉を軸にイメージをふくらませていった。

志帆が注目したのは、木村多江が演じる綾子。ドラマでは日常に亀裂を生じさせる役で、すでにその魔性に賞賛と悲鳴の声があがっている。綾子の「魔を差す」という立場にそって歌を仕上げたわけだ。結果として、「Bloom」とは表と裏のように対照的な曲になった。

まずは、Superflyのこうした振れ幅に驚くわけだが、それよりも大事なのはおそらく、このシングルには「祝福する・されるSuperfly」と「魔を差す・差されるSuperfly」の表裏両方がいるということだ。

「自分のなかでも『Bloom』は天国、『Fall』は地獄、というイメージがあり、その真逆の対比、コントラストを自分でも楽しむように表現しています(志帆)」

影があるからこそ光もある――という言い方はさすがに紋切り型だとしても、地獄=『Fall』の存在は、その逆である天国=『Bloom』をより輝かせることになる。

ということは、「Fall」という新曲は、「Bloom」だけでなく、「愛をこめて花束を」に代表されるこれまでの名曲たち=「みんなが知ってるSuperfly」をさらに輝かせることにもなるのではないだろうか。

そう考えると、Superflyにとって「Fall」という曲がいかに重要な意味を持つかがわかるし、「Bloom」と「Fall」をセットでリリースすることの意味も見えてくるだろう。

Superflyの23rdシングル「Bloom」は、Superflyというアーティストの歴史と本質が凝縮されたシングルだと言えそうだ。
23rd Single
「Bloom」
2018.06.06 Release!!

■通常盤 WPCL-12862~3
¥2,700+税
Disc.1 (CD) M1~M4
Disc.2 (CD) Superfly 10th Anniversary Premium LIVE “Bloom” (ライブ音源)

■初回盤DVD WPZL-31444~6
¥4,000+税
Disc.1 (CD) M1~M4
Disc.2 (CD) Superfly 10th Anniversary Premium LIVE “Bloom” (ライブ音源) Disc.3 (DVD) Superfly 10th Anniversary Premium LIVE “Bloom” (ライブ映像)

■初回盤Blu-ray WPZL-31447~9
¥5,000+税
Disc.1 (CD) M1~M4
Disc.2 (CD) Superfly 10th Anniversary Premium LIVE “Bloom” (ライブ音源) Disc.3 (Blu-ray) Superfly 10th Anniversary Premium LIVE “Bloom” (ライブ映像)


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Superfly『Bloom』歴史と本質が凝縮したシングルはミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。

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