【座談会】開催目前<OTOSATA ROCK
FESTIVAL>片平実、TOTALFAT、The C
heserasera、INKYMAPが語る長野フェ
スの魅力

2013年の初開催から6年目を迎える室内型ロックフェス<OTOSATA ROCK FESTIVAL>。2018年は6月16日(土)、17日(日)に長野県茅野市で開催される。
会場となる茅野市民館は、都心から車でも電車でも約2時間のアクセスのJR茅野駅に直結した好立地で、美術館、図書館、スタジオ、レストランなどのさまざまな機能を合わせ持つ文化複合施設になっている。また、ロビーと隣接した中庭のDJブースでは、お酒片手に踊る人、休憩をとる人、様々な過ごし方ができる。“ロック不毛の地”と呼ばれた時期もあった長野・信州で開催を続けてきたロックフェス<OTOSATA>は地元出身バンドが胸を張って凱旋でき、その勇姿に憧れたキッズが楽器を手に取り、このフェスに出演するという目標を与え、世代を越えて長野県のロックシーンの循環に寄与してきた。
初年度から参戦している片平実(Getting Better)、常連組のShun(TOTALFAT)、宍戸 翼(The Cheserasera)、 そして長野県出身のKazuma(INKYMAP)というラインナップに、<OTOSATA ROCK FESTIVAL>プロデューサーで松本市のライブハウス「ALECX」店長・田中伸を迎え<OTOSATA>への想い、長野県の印象、今年の<OTOSATA>に期待することなど、音楽にかける想いなど、熱い座談会が繰り広げられた。
この座談会は長野県諏訪市出身の音楽ライター・フジジュンと、長野県諏訪地域のコミュニティFM「LCV」の人気アナウンサー・小池嘉則の同級生コンビによる、音楽情報バラエティFM番組「激アツ!ロックンロール教室」番組内のコーナー「行こうぜ!OTOSATA」で放送された豪華座談会をテキスト化してお届けします。
取材・文◎フジジュン
  ◆  ◆  ◆


■フェスって、お祭りみたいなもんなので、みんなにも祭りだと思って来て欲しい(片平)
──ということで、本日は<OTOSATA ROCK FESTIVAL 2018>に出演される豪華アーティストでの座談会ですが。“ロック不毛の地”と言える我々の地元、諏訪地方でロックフェスが開催されるなんて、とんでもないことですよね、Kazumaくん?
Kazuma(INKYMAP):とんでもないことですよ、ホント!(笑)。
Shun(TOTALFAT):でもいいね、自分の地元でロックフェスが開催されるなんて羨ましい!
──すでに<OTOSATA>には出演経験のあるみなさんですが、<OTOSATA>の印象はいかがですか?
▲ 片平実(Getting Better)


片平実(Getting Better):僕は初年度から参加させていただいてるのですが。もう、血液みたいな、体液みたいなフェスですね。体液って、言い方悪いですけど(笑)。馴染み深くて、温かくて。行っても変な緊張もないし、すごく地元にフィットしてるし。みんなにもフィット出来るようなフェスですよね。
──<OTOSATA>に臨む時、「今年はこうしよう」みたいなプランも考えるんですか?
片平:う~ん、そうですね……。
──はは~ん、考えてないですね(笑)。
Shun:片平さんはすべてのフェスやイベントに対して、そのスタンスです(笑)。
片平:あはは。確かにあんまり考えてやるタイプじゃないけど、出させていただくからには盛り上げていきたいって気持ちはもちろんあります! フェスって、お祭りみたいなもんなので。みんなにもメンツに左右されないで、お祭りだと思って来て欲しくて。DJってお祭りを盛り上げるためにいる気がして、出ないアーティストの曲もかけられるし、補えるし。「ここに来れば間違いない!」って気持ちで来てもらえたら良いですね。
──TOTALFATは何度目の出演になるんですか?
▲ TOTALFAT


Shun:僕らも初年度から出させていただいて、出てないのが去年だけなので、もう5回目の出演かな? ヤバイですね(笑)。これは良い意味で捉えて欲しいんですけど、僕は<OTOSATA>って発展途上のフェスだと思ってて。会場に行ってライブをやっての手応えも、出番の前後にいろんなところを見ていても、「ここ使えんな、あそこ使えんな」みたいなのがいっぱいあって、すげぇ可能性を感じてるんです。フジジュンさんが“ロック不毛の地”なんて言ってましたし、実際にそうだったのかも知れないですけど。その場所に<OTOSATA>が始まって、ロックが芽生えて、ゼロがイチになって、どこまで増えるんだ?ってところで、俺はまだ天井が全然見えてなくて。毎年、松本ALECXにライブに行って、<OTOSATA>の話をして盛り上がったりして、長野県のロックシーンの循環が一気に良くなったなという印象を持っていて。東京から行くバンドとして見させてもらった時、新陳代謝が良くなってるなと思うし、そこに加担できてるのが嬉しいです。
──田中さん(松本ALECX店長/ OTOSATA ROCK FESTIVALプロデューサー)にお話聞いた時も、「「OTOSATA」が始まって、なにか状況変わりました?」って聞いて、ライブハウスにお客さんが増えたというのはあるけど、明確に変わったのはTOTALFATだって言ってましたもんね?
田中:そうですね。
Shun:いや、マジで変わりましたよ。ツアーを発表した時、早々にチケットが売り切れますから、<OTOSATA>効果たるや! だから、僕らも恩恵を頂いちゃってる立場だと思うんで、自分たちが出ることで返していけたらとずっと思ってます。
宍戸 翼(The Cheserasera):僕たちは去年、初めて出させてもらったんですけど。錚々たるアーティストの中に出してもらって、同じ尺をいただいてというのは、最初すごく緊張しました。音の響きの良い綺麗なステージで、50分やらせていただいて。バラードもガッツリ出来ちゃうくらいの時間だったんですけど、フェスとか出たことないんで、めちゃくちゃアゲたセットリストを作っていって。自分たちなりにすごい楽しんでライブ出来たし、終わったあとはいろんなアーティストを見て回って、お酒呑んでってしてたら、帰りたくなくなっちゃって。そのまま本当に帰らなかったんです。
Shun:いいね、100点だね(笑)。
宍戸:で、次の日は朝イチでビールを呑むっていう、非日常感もありつつ。こういう場が毎年あるっていうのは良いなって。
フジジュン:しかも財布がなくて、片平さんからお金借りたんですよね?
宍戸:そうです、ギターケースに全部入れちゃってて、帰りのお金を借りました。
Shun:それでも残るメンタリティがすごいバンドマンだよ(笑)。
フジジュン:INKYMAPはKazumaくんの地元ってところで、また特別な思いがあるんじゃないですか?
Kazuma:そうですね。去年、初めて出させてもらったんですが、茅野とか高校生の時に普通に遊んでましたからね。あと、高校生がバンドの練習する小さいスタジオとかがあって、そこに通ったり。その頃はフェスなんてなかったんで、個人的には地元代表みたいな気持ちで、「大爆発したいな」みたいな気持ちで臨んだところはありましたね。僕、高校生の時にTOTALFATが松本に来た時、普通に見に行ってて。
Shun:あ、そっち系?
Kazuma:そっち系です(笑)。で、フロアが地獄になるのを見て、「すげぇ! 俺もこんなバンドになりてぇ!」と思って見ていて、一緒にフェスに出れるとかめちゃくちゃ嬉しいですね。
フジジュン:そうやって、目標になるものがあるっていうのが、本当に素晴らしいですよね。こういう機会でもなかったら、本物を見る機会がないし。地元にこういうフェスがあったら、「俺もこのフェスに出れるように頑張ろう」って思えますもんね。
Kazuma:そうですね、本当そうだと思います。すげぇ良いことだと思います!
■長野県は実際なにもないけど、景色や空気の綺麗さを体感して欲しい(Kazuma)
──みなさんから<OTOSATA>の印象や想いを聞きましたが、田中さんどうですか?
田中:そうですね、僕も自分なりの思いがあって始めたんですけど。1年、2年やってくうちに「どうしようかな?」と思う瞬間もありつつ。こうやって楽しみにしてくれるバンドや、「出たい」って言ってくれるバンドが増えたことで、「<OTOSATA>が浸透して、みんなに作ってもらえだしたんだな」というのを最近、すごく感じてて。なんとか頑張っていかなきゃなと思いますね。
──こうやって<OTOSATA>を想ってくれるバンドがいることは心強いですよね。みなさん、長野県の印象はどうですか?
Shun:BRAHMANを排出した土地ですからね。TOSHI-LOWさんの印象が強いんで、茨城のイメージがありますけど。RONZIさん(Dr)とMAKOTOさん(Ba)が松本出身ですから。INKYMAPもいるし、実はロックシティなんじゃないかな? と思ってるんですけど。
▲ The Cheserasera


宍戸:僕はGLIM SPANKYの印象が強いですね。一緒にライブをやらせてもらいに、下伊那の母校に行ったことがあって、やっぱりロックなイメージはありますよ。
Shun:長野ジャンクボックスは好きなバンドのスケジュールを見ると必ず入ってる会場で、僕らがバンドを始める前から知っていて。俺らも「ツアーどこ行こうか?」ってなった時、先輩バンドのスケジュールを参考にしたりしていて。老舗があるのって、すごく大事なんです。松本ALECXはどういう経緯で出ることになったのか覚えてないですけど、もう付き合いもすごく長くなって。
田中:たぶん、ウチで企画をやってた高校生が「カッコいいバンドがいるから」って呼んだのが最初ですね。まだ、みんな大学生だったと思うから、12~13年前かな?
Shun:あれからずっと松本にライブしに行ってて。バンドマンは長野といえば長野市を思い浮かべると思うんですけど、僕らは長野と言えば松本を思い浮かべるんです。
片平:僕はじいちゃん、ばあちゃんが穂高に住んでたんで、小さいころから馴染みのある場所で。碌山美術館の前にあるそば屋を経営してて、小学校の時はそばを作る過程を学校の課題としてやったりしていました。
Shun:あと、楽器メーカーの工場って長野に多くないですか? 俺のベースは全部、フジゲン(大町市)ってメーカーで作ってますから。聖地巡礼ですね。
──そう!それこそ茅野にもダイナ楽器ってギター工場がありますからね。だから、ロックが育つ環境はあるんですよ。
Kazuma:実際、なんもないですけどね(笑)。景色や空気はすごい綺麗なんで、それは体感して欲しいです。僕、東京に出て来てから鼻毛が伸びるスピードがすごい早くなりましたからね(笑)空気はすごい澄んでるし、星もすごい綺麗なんで、それはぜひ感じて欲しいです。
■“行かない後悔”は取り返せないので、どうせなら行って後悔してください(Shun)
──今年の<OTOSATA>で楽しみにしていることはありますか?
Shun:僕は共演バンドが楽しみですね。INKYMAPもいるし、The Cheseraseraもいるし、LUCCIもいるし。あとはフラワーカンパニーズもいるし、フレンズもいるし、知ってるんだけど、実は対バンしてないって人たちが同じ日にたくさんラインナップしているんで。もちろんぶっ倒しに行く前提ではあるんですけど(笑)。共演バンドともちゃんとリンクして、<OTOSATA>が終わった後にツアーに来てもらえたりとか、松本や茅野に帰って来れたら良いなと思ってて。“未来投資型ライブ”をしたいと思ってます。
──“未来投資型ライブ”いいですね! フェスの時、他のバンドって見ます?
Shun:俺らはメンバーと手分けして、出来るだけ見てます。で、「どのバンドがどうだった」って話をみんなでして、バックステージでも荒く絡みに行って。僕らも19年目なんで、最近は後輩っぽい人たちも増えて、荒く絡みやすくなってきました(笑)。今回のバックステージの標的はThe Cheserasera かな?
宍戸:お願いしま~す!
──わはは。そんなこと言ったら、めちゃくちゃ呑まされるよ!(笑)
宍戸:僕は自分たちが新しい音源出して、ここからより一層勢いを出して行きたいと思ってるところで。良いライブが出来るようになってきてると思うから、単純にライブが楽しみですし。昔からインタビュ-で、一番好きなアーティストに挙げてるのがGRAPEVINEなので。ステージは違うかもしれないですけど、感慨深いですね。ライブは当然見に行きますし、なんなら荒く絡みに行く勢いで、下から行こうかなと思ってます(笑)。
Shun:いや、そこは荒く絡みに行こうよ!(笑)
片平:あはは。僕は例年通り、本当に楽しみにしているフェスなんですけど。ロッフフェスは数あれど、DJブースがあるフェスがどんどん減ってきてるんです。そんな中、DJブースを作り続けている<OTOSATA>はすごいなと思うし、ありがたいなと思うし。DJブースということは色んなバンドの曲がかかるので、色んなバンドを補うことが出来るし、お祭りの雰囲気が作れると思うので。DJブースも楽しみに来て欲しいです。
──フェスって、転換の時もフードスペースでメシ食ったり、友達と感想を言い合ったり、いろんな楽しみ方がありますけど。お祭り気分を絶やさないというか、一日中お祭り騒ぎを味わっていられる意味で、DJがいることがすごく重要だと思うんです。どこに行っても音楽を浴びていられるって、フェスの醍醐味だったりしますからね!
Shun:あとバックステージで一番荒いのは、片平さんです! 俺ら世代のバンドマンには、通説になってますから。
片平:ほぉ、その補足いりますか?(笑)
▲ INKYMAP


Kazuma:僕らは昨年末にアルバムを出して、11月から3月までツアーを回っていたので。今年は昨年よりパワーアップしたライブが出来ると思ってるので、とても楽しみですし。昨年出た時は終わった後にめちゃくちゃ体調が悪くなって、ビールとか飲めなかったんです。だから、今回は終わったらビール持って片平さんのところに行こうと思ってます(笑)。
──わはは。さぁ、田中さん。出演者も出揃いましたけど、どうですか?
田中:出来ることはまだたくさんあると思うので、あとはより良い2日間に出来るように頑張っていきたいと思います。僕が楽しみにしているのは、セツナブルースターという、中学生の頃からずっと見てきたバンドで。10年前に活動休止して、今回復活してくれるんですけど、そういう土壌が地元にも出来てきたと思えたので。そういう、<OTOSATA>ならではの部分もぜひ見てもらいたいですね。
──そこからまたひとつ、物語が生まれるかもしれませんね。では最後に<OTOSATA>に行ってみようかな?と思っている人、まだ行こうか迷っている人にShunくん、代表としてメッセージをお願いします!
Shun:行ってみたいなと思っている人は、“行かない後悔”だけは取り返せないので、どうせなら行って後悔してください。来たら絶対、後悔させません! お金のこともシビアに関わってくると思うけど、他のフェスに比べてチケットも安いですしね。僕はそんなところにもフェス側の努力をすごく感じてるし、受け入れ態勢はこっちで全力で作るので。安心して遊びに来てもらえたら、出る側としてもとても嬉しいです。<OTOSATA>初参戦組、大歓迎で行きたいですね! みなさん、会場で待ってます!!
<OTOSATA ROCK FESTIVAL 2018>


日時:6月16日(土)・17日(日) AM10:00 開場・開演

会場:長野・茅野市民館

6月16日(土)出演:

kobore / Czecho No Republic / HEALTHY DYNAMITE CLUB / INKYMAP / EVERLONG / GRAPEVINE / The Cheserasera / 高高-takataka- / TOTALFAT / BIGMAMA / フラワーカンパニーズ / フレンズ / HOBBLEDEES / LUCCI / DJ:BADHABITS / 片平実 / GETFREE / WONG KEI
6月17日(日)出演:

WOMCADOLE / GOOD ON THE REEL / SHE'S / テスラは泣かない / 井上苑子 / ENTH / さよならポエジー / Shout it Out / SUSHIBOYS / セツナブルースター / 電波少女 / POT / My Hair is Bad / MOROHA / 片平実 / GETFREE / WONG KEI
<アクセス>

・車の場合 中央自動車道・諏訪ICより車で約12分

・電車の場合

〈東京方面からお越しの場合〉

新宿駅より中央本線茅野駅下車(約2時間15分)

〈中京・関西方面からお越しの場合〉

名古屋駅より中央本線塩尻駅で乗り換え、茅野駅下車(約2時間30分)
料金:1日券 6,000円 / 2日通券 11,000円 / 茅野市民割 5,500円(1日券のみ・枚数限定)

発売:松本ALECX / ANTENNA / 茅野市民館 / e+ / ローソン / ぴあ

主催:ALECX

企画:ALECX / ANTENNA

制作:ALECX

協力:Crazy rhythms

問:松本ALECX 0263-38−0050

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