【ライブレポート/写真166点】初開催
<ビバラポップ!>はアイドル愛とド
ラマの連続

大森靖子ピエール中野凛として時雨)がプレゼンターを務め、<VIVA LA ROCK>の兄弟フェスとしてアイドル、ネットミュージック、ポップミュージックにフィーチャーした音楽フェスティバル<VIVA LA ROCK EXTRA ビバラポップ!>が5月6日(日)にさいたまスーパーアリーナにて行なわれた。当日のレポートを写真とともにお届けする。
アイドル、そしてイベントプロデュースとの縁が深い二人をプレゼンターに迎え、初開催となった今回のフェス。設置された2ステージ【Star Stage】【Garden Stage】にはプレゼンター視点で厳選されたアーティスト達が並んだ。
11時からのStar Stageトップバッターを飾ったのはこぶしファクトリー。自身の最新シングルからイベントのスタートアップにも相応しい前向きポップチューン「これからだ!」を披露し、1曲目からアリーナに集ったオーディエンス達のボルテージを挙げていく。こぶしファクトリーがさいたまスーパーアリーナに立つのはこれが初。セットリストにも“赤羽橋ファンク”が冴える「チョット愚直に!猪突猛進」をはじめとしたハロー!プロジェクト色が濃いナンバーが並ぶ。また、「ドスコイ!ケンキョにダイタン」では大森靖子がステージへと乱入しメンバーと組み合う場面も。「ラーメン大好き小泉さんの歌」ではこぶしファクトリーの面々も“大森さん 大森さん 好き好き”と替え歌での歌唱でパフォーマンスし、場内は早くもお祭りムードに包まれた。
続いてはSHOWROOMオーディション受賞者ステージ。大森靖子とピエール中野からのダブル受賞で異例の10分枠を獲得した松山あおいは、初っ端からキューピーの人形を振り乱しつつ著作権スレスレな楽曲「おねえさんクッキング」でアイドルファンに爪痕を残した。かと思えば正統派アイドルソング「物語」も披露し、マルチなアンテナ感度の強さを匂わせる。もうひとりの出演者であるCanCanaはフルバンドを従え、コズミックな「Reborn」から4曲を披露。スケール感のある楽曲で魅せた。
ここ半年間で急成長を遂げ注目を集めているラストアイドルファミリーの各グループ(LaLuce、Love Cocchi、Good Tears、Someday Somewhere、シュークリームロケッツ)も<ビバラポップ!>のステージを飾る。彼女たちのグループ結成のきっかけとなったオーディションバラエティー番組『ラストアイドル』には大森靖子も審査員として出演しており、大森が審査を担った放送回でLaLuceの現センター・阿部菜々実が挑戦者として現れたのも印象的なエピソードだ。ステージはラストアイドルのデビュー曲「バンドワゴン」から幕を明け、各ユニットが入れ替わっていく形で立て続けに楽曲披露されてゆく。
また、この日は番組からの突然のジャッジ……と称したドッキリでLaLuceセンターの阿部奈々美がオーディション時に歌った℃-uteの「悲しき雨降り」を歌唱し、そこへ元℃-uteの鈴木愛理が入ってきてのコラボレーションが実現。ステージのアイドル陣からも「ヤバい!」と黄色い声があがる中、憧れの鈴木を前にした阿部は「もうほんとに、あの、夢です」と驚き顔でコメントを残した。
盛り上がったステージをさらに煽るのは、福岡から来たももいろクローバーZの後輩・ばってん少女隊。さいたまスーパーアリーナという大舞台を恐れることなく冒頭からメンバー全員がハードなリフと共にヘドバンで登場した。オイコールを浴びながら「おっしょい!」で跳ね回るがむしゃらな勢いはオーディエンスをエネルギッシュに奮い立たせ、最後には会場全体がジャンプで汗だくになる。「会場の全ての皆さん、愛してまーす!」という元気な締めの言葉も彼女たちらしい愛嬌か。
ここでステージに爽やかな風を吹き込んだのは、今年15周年を迎えたNegicco。新潟を拠点に和やかなキャラと高い音楽性でファンを魅了してきた3人の登場に、アイドルファン達もペンライトをネギ色に変えて彼女たちを迎える。スクリーンに投影された夜景でムーディな出だしとなった「土曜の夜は」から、夏休み前の海岸模様を思わせる「サンシャイン日本海」、ラテンを取り入れた「カリプソ娘に花束を」など、引き出しの多さを見せながらも心地よさを崩さない自然な繋ぎでするすると惹き込まれてしまう。ステージの最後にはセンターのNaoが「三ヶ月限定で始まったグループがとうとう15周年を迎えました」と告げ、三人でファンへの感謝をしっかり伝えていた。
MCタイムを挟んでステージに現れたのは、℃-ute解散後も芸能活動を継続し今年6月6日にソロCDデビュー予定の鈴木愛理。観客席いっぱいのピンクのペンライトに迎えられ、ソロデビューアルバム『Do me a favor』からダンザブルな方向へ舵をきった「DISTANCE」でいきなりアリーナの注目を集めた。ソロデビュー前最初で最後のフェス出演となった今回だが、ハイトーンまで自在に歌いこなす歌唱力をR&Bテイストで遺憾なく発揮した「Good Night」、マイクスタンドを前にロック・ガールらしくオーディエンスを盛り上げた「Candy Box」と、アイドル・アーティストとしてのポテンシャルの高さに圧倒される。「Independent Girl〜独立女子であるために」でフラッグを抱えてセンターステージを闊歩した後、自ステージの締めくくりにはBuono!時代の楽曲「初恋サイダー」を披露。はじける笑顔でフロアのハートをさらっていった。
続く“オサカナ”ことsora tob sakanaは怪我から復帰した山崎愛を加え、4人でのオンステージ。ピアノの透明感ある音色がデジタルサウンドと融合した導入から、真っ白な衣装に身を包んだ4人が現れる。この段階で大型ビジョンモニターのトラブルが発生しスクリーンにノイズが走っていたのだが、4人の集中力はそんな状況さえあたかも演出のように飛び越えてゆく。
ライブはイノセントさを感じさせる「夏の扉」からスタート。デジポップ・ナンバー「夜間飛行」ではオーディエンスと一緒に手を掲げ、一体感を高めていく。「こんなに大きなステージに立ったの、初めてです」というMCからステージ後半では5月16日(水)リリースのメジャーデビューEPより「鋭角な日常」を披露。終始世界観を感じさせるアクトで魅せた。
■クレジット(対応写真については各写真ページ参照)

Photo by Kazumichi Kokei

Photo by Takahiro Kugino

(c)ビバラポップ! 2018 All Rights Reserved.
さいたまスーパーアリーナ前の野外スペースに設置されていたGarden Stageは、観客席の前方が<ビバラポップ!>のチケット購入者エリア、後方は一般来場者用に開放されていた。ステージの周辺は飲食ブースとなっていて、ゴールデンウィーク最終日ということも重なり、フェス来場者のみならず、家族連れなど、開演前からさまざまな人たちで賑わっていた。
12時15分にMCの団長(NoGoD)と西井万理那がGarden Stageの開幕を告げると、最初に登場したのは最高じぇねれーしょん。まお(そのしすたぁ)、夏花、ぱぴむムの3人組は、事前オーディション「ビバラオーディSHOW!」で「ビバラポップ!賞」を獲得し、このステージへの出演を果たした。
冒頭の“それでは最後の曲です”というMCで観客の笑いを取ると、ハイテンションなパフォーマンスで「プライベートピーチ」を披露。この1曲に全力を注いだ彼女たちは、Garden Stageを見事にわかせてステージを去っていった。
Garden Stageの実質的なオープニングを飾ったのは吉川友。初開催となる<ビバラポップ!>Garden Stageのトップバッターという大役を任された彼女は、バンドセットという特別感のある編成でステージに臨んだ。生バンドが生み出すノリのよいグルーブと音圧のあるサウンドに乗りながら、吉川は晴天の野外ステージに心地よい歌声を響かせ、拍手やジャンプを煽ることで、観客のテンションもどんどん高めていった。中盤には、<ビバラポップ!>プレゼンターの大森靖子が提供した「ときめいたのにスルー」と「歯をくいしばれっっ!」を歌唱。大森やフェスへの熱い想いをこめた力強いステージを披露した吉川は、Garden Stageの口火を見事に切ってくれた。
ゆるめるモ!の出番が近づくと、Garden Stageの観客エリアは彼女たちの登場を待つオーディエンスであっと言う間に埋まっていく。その中には、ゆるめるモ!のみならず、ほかのグループのTシャツを着ている人も少なくなく、彼女たちへの注目度の高さが伺えた。1曲目の「ミュージック 3、4分で終わっちまうよね」から“ビバラ叫べ!”と観客を煽り立てると、会場のボルテージは急上昇。オーディエンスは、「Youとピアザ」ではメンバーと一緒にタオルを振り回し、「Only You」では“本当のことを言うと、メイン・ステージ(Star Stage)に出たかった。でも、ここをメイン・ステージ以上に盛り上げたいから、みんな手を挙げて”というメンバーのアジテートに拳を高々と挙げて応える。ゆるめるモ!とオーディエンスの一体感は抜群だ。吉川と同じく彼女たちも大森靖子作詞&作曲の「うんめー」をセットリストに組み込んでいたが、このフェスはアーティスト同士の繋がりが深いことを感じさせてくれた。最後に彼女たちの強いメッセージがこめられた代表曲「逃げろ!!」を投下すると、観客のテンションは最高潮に。ゆるめるモ!は、Garden Stageに笑顔と熱狂を見事に残してくれた。
アップアップガールズ(仮)や大森靖子、団長(NoGoD)が参加し、アイドル、J-POP、アニソンのキラーチューンを連発したDJダイノジ(大谷ノブ彦)のDJタイム、全国のマスコットキャラクターたちによる綱引き合戦などが行われたゆるキャラショータイムに続いて、Garden Stageに姿を表したのは、LADYBABY。今年から始動した新体制のお披露目ツアーを4月に終えたばかりの彼女たちは、ラウドなヘヴィロックサウンドと有馬えみりのグロウルで、直前のゆるキャラショータイムのふんわりとした会場の雰囲気を一気に凶暴な世界観へと塗り替えた。この日初披露となった大森靖子提供の「bite me」は、“モグモグ”という食べる様の振り付けが印象的で、ブレイク時の“あむ”というメンバーの掛け声に熱い歓声が上がっていた。新メンバー3人も大きな存在感を出しながら、最後まで力強いパフォーマンスを放ち続けたLADYBABY。これからの4人での活動への期待感を高めてくれるステージだった。
Garden Stageも終盤にさしかかり、ここで日が沈む前に団長(NoGoD)と西井万理那が音頭をとって観客たちと記念撮影。バンドセットがしっかり組まれたステージにはバンドじゃないもん!が登場した。大桃子サンライズの「かかってこいよ!」という煽りから「キメマスター!」を皮切りに、オイコールが炸裂する「Q.人生それでいいのかい?」や観客席にサークルモッシュを発生させての「タカトコタン-Forever-」など得意のお祭りナンバーを連続させて盛り上げていく。夏フェスの時期へ向けての<ビバラポップ!>初参戦だ。途中のMCでは最新シングル曲「BORN TO BE IDOL」の話題になり、楽曲紹介でプロデュース担当であるHISASHIの存在について気にしたところ、じつは現場にHISASHIがお忍びで来ていたことが発覚。会場が一気に沸き返った中で、気合の入ったパフォーマンスで最後まで突っ走った。
熱気漂うGarden Stageのトリを飾ったのはアップアップガールズ(仮)。現在の5人体制になってからSEや楽曲のアレンジはよりソリッドに、エレクトロ色が強いものへと変化したものの、こちらもアスリート並みのカロリー消費量を誇るハイテンションなナンバーで攻める。1曲目には大森靖子が提供した「(仮)は返すぜ☆be your soul」をチョイス。関根梓が「ここで体力使い切る準備できてますか!」と観客に煽りをいれ、観客エリアの外へも呼びかけながら「イチバンガールズ!2017」から「アッパーカット!」まで5曲をノンストップで披露した。汗をかきながら「<ビバラポップ!>最高!」と爽やかな叫びをあげた彼女たちだったが、ラスト前には新井愛瞳が「早く終わらないと道重さんが観れないので」と会場の笑いを誘いながらも、「最近悲しいニュースが多いです」と先日解散を発表したライバルたちである(同時に、盟友でもあった)チャオ ベッラ チンクエッティやCheeky Paradeらの解散についてふれ、「アップアップガールズ(仮)はそんな荒波も乗り越えて、まだまだアイドル界を走り抜けていく気でございます! 今後も応援よろしくお願いいたします!」と熱い思いを訴えかけた。ステージラストを飾ったのは6月に発売されるニューアルバムから「私達」。“心から愛をこめて”とサビを歌い上げるアプガの5人は、この5月6日で活動8年目に突入している。
■クレジット(対応写真については各写真ページ参照)

Photo by Tetsuya Yamakawa

Photo by Yoshio Nakaiso

(c)ビバラポップ! 2018 All Rights Reserved.
Star Stageメインステージ上に設置された大型ビジョンモニターのトラブル対応のため、約30分遅れでスタートしたMaison book girl。センターステージにフードを深く被った姿で登場した4人は、薄暗いライティングのもと、クールなパフォーマンスを展開していく。その楽曲とステージングは、キラキラとしたアイドルの王道路線とは一線を画する、前衛的で近代アート感の漂うものだ。3曲目の「faithlessness」、4曲目の「rooms」では煌びやかな照明のもとしなやかなパフォーマンスをくり広げ、「my cut」の途中で“みなさん、声を出してください”と観客を煽った。残念なことに、ステージ上のモニター2面のうち片方のトラブルが解消しなかったのだが、逆に正常なモニターの方に途中から“bug“という文字を表示。アーティストとしては予期せぬトラブルであっただろうが、この事態をひとつの演出に昇華させたのは見事だった。ラスト「karma」では、モニターにカウントダウンが表示され、数字がゼロになった瞬間、彼女たちのステージはすっと幕を下ろした。フェスという場においても、自分たちのスタイルを決して変えることなくアーティスト性の高いステージを構築したMaison book girl。その凛とした姿は、崇高で、美しかった。
“楽器を持たないパンクバンド”BiSHのライブは、「BiSH-星が瞬く夜に-」からスタート。疾走感のあるビートが会場に響き渡ると、のっけからメンバーとオーディエンスは強い一体感を見せる。“さいたまスーパーアリーナ、行くぞ!”というアイナ・ジ・エンドのアジテーションに観客は大きな歓声で応え、この曲の最後には大合唱が起きた。<ビバラポップ!>でのBiSHの掴みは完璧だ。続いて、投下されたのは、なんと1曲目と同じ「BiSH-星が瞬く夜に-」。BiSHは、過去にもこの曲を何度もくり返すというセットリストで、さまざまなステージに大きな爪痕を残してきたが、<ビバラポップ!>にもこの仕掛けを用意していたのだ。一部の観客は一瞬戸惑いを見せていたが、この曲の持つキャッチーさとメンバーの力強いパフォーマンスによって、すぐに熱いレスポンスを見せた。3曲目の「GiANT KiLLERS」では、ハシヤスメ・アツコが観客を煽り立て、リンリンの狂気あふれる叫びが轟く。気がつくと、アリーナ後方にはサークルモッシュが現れ、高速メタル系ナンバー「MONSTERS」では、観客の熱量はさらなる高まりを見せた。
今年3月にリリースした「PAiNT it BLACK」、デビューアルバムの1曲目を飾る「スパーク」で会場のボルテージを上げきったところで披露されたのは、BiSHのエモーショナルサイドを象徴する「オーケストラ」と「プロミスザスター」。美しく叙情的なメロディがさいたまスーパーアリーナを包み込み、オーディエンスも心をグッと掴まれていた。「beautifulさ」で、アイナが“ビバラポップであなたたちに出会えたことが嬉しい。明日から強く生きていこう”という力強いメッセージを放つと、会場にピースフルな空間が作り出された。最後に披露されたのは、この日3度目となる「BiSH-星が瞬く夜に-」。メンバーとオーディエンスが合わせる振り付けは、この日一番の一体感を見せていた。“楽器を持たないパンクバンド”というコンセプトにふさわしい、予定調和を壊した圧巻のステージングを披露したBiSHの6人は、満足感をたたえた笑顔とともにステージを去っていった。
平手友梨奈、志田愛佳、原田葵、今泉佑唯の4名が出演を見送り、17名編成で<ビバラポップ!>のステージに臨むことになった欅坂46。出演直前には、主催者より“メインステージ上に設置されたモニタートラブルが解決できないこと。欅坂46は、このイベント用に映像演出を用意していたが、このトラブルによりそれが使用できなくてもライブを行う”というアナウンスもあって、決して万全な状態とは言えない状況に置かれていた。結成以来、幾多の困難を乗り越えて来た彼女たちが<ビバラポップ!>で、どのようなパフォーマンスをくり広げるのかーー逆境に挑む彼女たちの姿にオーディエンスの注目が集まる中、欅坂46のステージは幕を開いた。
オープニングSEの「Overture」が流れ、モニターにメンバーの写真と名前が映し出されると、会場には大きな歓声が響き渡る。オーディエンスの期待感がぐんぐん高まったところで放たれたのは、最新シングル曲の「ガラスを割れ!」。MA-1を身にまとまった17名は、冒頭から力強いパフォーマンスを見せつける。その様は、ロック・アーティストのようだ。続く、攻撃的なサウンドを聞かせる「大人は信じてくれない」でも、クールさと内面に秘めた熱さが同居したパフォーマンスで、観客の心をぐっと掴んでいく。
MCでは、キャプテンの菅井友香が“<ビバラポップ!>は初めての開催ということで、出させていただいてうれしいです。(欅坂46として)さいたまスーパーアリーナも初めてです。ゴールデンウィーク最終日楽しんでいますか? 最後まで盛り上がっていきましょう”と語り、<ビバラポップ!>、さいたまスーパーアリーナへの想いの強さを伝えた。中盤になっても、彼女たちのパフォーマンスは切れ味を増していく。「東京タワーはどこから見える?」「エキセントリック」では躍動感あふれるフォーメーションダンスを披露し、「二人セゾン」「世界には愛しかない」ではまばゆい照明のもとストーリー性のあるダンスで観客を魅了。楽曲ごとにセンターを交代し、フォーメーションをめまぐるしく変えていく彼女たちのステージングからは、一瞬たりとも目を離すことができない。
欅坂46の勢いは、フィナーレに向けて加速していく。メンバーとオーディエンスが一体となってタオルを振り回す「危なかっしい計画」、メンバーの軽快なステップが印象的な「風に吹かれても」を経て、最後に披露されたのは激しいデジタルサウンドとパフォーマンスが強烈な「不協和音」。全身をダイナミックに使った鬼気迫る17人のパフォーマンスは圧巻だった。この日、<ビバラポップ!>のステージを自分たちの色に見事に染め上げた欅坂46。これまでもロック系フェスで存在感を示して来た彼女たちのグループとしての完成度の高さを改めて感じさせるステージだった。
欅坂46のあと、ただ一人でセンターステージに立った大森靖子の姿に会場中の注目が集まる。15分間の中でアコースティックギターを掻き鳴らし、冒頭の欅坂46カバー「サイレントマジョリティー」から期待を裏切らない鬼気迫る弾き語りで会場を惹きつける大森。「私が好きな人に作ったラブソングです」という紹介からは道重さゆみへの愛で創られた楽曲「ミッドナイト清純異性交遊」を歌い上げる。この楽曲はラストのコーラスに“ラララのピピピ”と道重さゆみソロ曲のフレーズが入っていることをはじめ、全編を通して練りに練られたメッセージが詰まっており、<ビバラポップ!>で歌われることで新たな意義を得た楽曲ともいえるだろう。歌唱後、次の出演者紹介に「道重さゆみ!」とコールをあげ、会場が暗転したあとも彼女はセンターステージからメインステージの方をじっと見つめていた。
ゲストソロの最後を飾ったのは道重さゆみ。モーニング娘。時代の担当曲「好きだな君が」からソロでステージに登場した後は、リソースを全て可愛さに振り切ったかのような洗練されたパフォーマンスで会場を魅了した。自身のキャリアの中で意外にもこれがフェス初参加となった道重だが、この日はシークレットゲストとしてモーニング娘。OGである高橋愛を迎え入れた。「Fantasyが始まる」と「みかん」、大森靖子リクエストによる「セクシーキャットの演説」、そして高橋愛ソロでの「SEXY BOY 〜そよ風に寄り添って〜」と、モーニング娘。現役時代の楽曲が立て続けに披露され湧き上がる会場。モーニング娘。が現存するアイドルグループとしていよいよ20周年を迎え、アニバーサリーイヤーでOGの出演も相次いだ中、橋渡し役も引き受けながら自らプレーヤーとしてステージに立つ彼女の存在感は未だ目が離せないものがある。終盤には道重ソロ公演以降のナンバーから、先に弾き語りに立った大森靖子に応えるように「ラララのピピピ」で締めくくった。
<ビバラポップ!>のラストを飾ったのは大森靖子とゲスト7組によるコラボステージ「クライマックス 大森靖子×❤❤❤コラボスペシャルライブ」。ゲストのトップバッターとなったのは℃-uteラストライブ時の衣装で会場に現れた鈴木愛理。大森靖子作詞の℃-ute曲「夢幻クライマックス」を初めて大森と一緒に歌うというコラボが実現し、会場が沸き起こる。続くLADYBABY・金子理江とは「きゅるきゅる」をコラボ。愛してるよといいながらハグし合う。アップアップガールズ(仮)・吉川友は「イミテーションガール」でダンサーとして参加し、日頃のパフォーマンスとはひと味違ったメタ的な可愛さを見せつけていた。そして、ゆるめるモ!のあのとは「非国民的ヒーロー」で共に絶叫。BiSHのアイナ・ジ・エンドは「あまい」でステージを舞い、「TOKYO BLACK HOLE」で共に嬉しそうなハグを交わしていた。欅坂46の長濱ねるは自身の私服だというワンピース姿で登場し、「絶対彼女」を歌唱。そして、道重さゆみ。「I&YOU&I」からの「マジックミラー」ではアカペラで向き合い、曲後には大森靖子と道重さゆみのハグという感動的な姿でコラボステージを締めくくった。
最後はステージの上に共演者たちが集合しての「ミッドナイト清純異性交遊」。全ステージを終え、達成感に満ちたアリーナにプレゼンター二人から参加者を讃える感謝の言葉と締めの挨拶が届けられた。
▲グランジ・遠山、西井万理那、団長(NoGoD)、ぱいぱいでか美(スクリーンに吉田豪)
「何が起こるか始まってみないと本当にわからない初めてのフェス<ビバラポップ!>です。正直こんなに心が動くとは思わなかったです僕。いろんな悔しい気持ちもあったり、凄く感動することもあったり、やっぱりフェスってそういうことが生まれる場であるべきだと僕は心から思っていて、こういった形で開催できたことを本当に心からうれしく思います。みなさん来てくれてありがとうございます!」(ピエール中野)
「本当にライブが好きで、ライブをしている人の美しさとライブを観ている人の美しさも大好きで、結局人間が好きだなっていうことを、みんなの人生がそれぞれ綺麗だなっていうことを改めて思う一日になりました。本当にありがとうございました!」(大森靖子)
「最後にひとつだけ訊いてもいいですか。来年<ビバラポップ!>を開催するとなった場合、来てくれる人!」と叫ぶピエール中野に、さいたまスーパーアリーナ全体から大きな歓声が応えた。新しい挑戦に満ちた<ビバラポップ!>の初年度は、こうして大団円のうちに幕を閉じた。
■クレジット(対応写真については各写真ページ参照)

Photo by Kazumichi Kokei

Photo by Takahiro Kugino

(c)ビバラポップ! 2018 All Rights Reserved.
<VIVA LA ROCK EXTRAビバラポップ!>


■公演日:2018年5月6日(日)

■会場名:さいたまスーパーアリーナ

(ステージはメインアリーナ、および野外ステージを使用)
[プレゼンター]

大森靖子 / ピエール中野(凛として時雨)

[出演者]

アップアップガールズ(仮) / 大森靖子「ビバラポップ!クライマックス 大森靖子×❤❤❤コラボスペシャルライブ」 / 吉川友/ 欅坂46 / こぶしファクトリー / 鈴木愛理 / sora tob sakana / DJダイノジ(大谷ノブ彦) / Negicco / ばってん少女隊 / バンドじゃないもん! / BiSH /道重さゆみ/Maison book girl / ゆるめるモ! / ラストアイドルファミリー(シュークリームロケッツ / LaLuce / Good Tears / Someday Somewhere / Love Cocchi)/ LADYBABY
[MC]

グランジ・遠山 / 団長(NoGoD) / 西井万理那 / ぱいぱいでか美 / 吉田豪

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