【ライブレポート】LUNA SEA、日本武道館を舞台に描いた熱狂。いつだって僕らは、あの頃に戻れるのだから…。

【ライブレポート】LUNA SEA、日本武道館を舞台に描いた熱狂。いつだって僕らは、あの頃に戻れるのだから…。

【ライブレポート】LUNA SEA、日本武
道館を舞台に描いた熱狂。いつだって
僕らは、あの頃に戻れるのだから…。

ロックという言葉は、人と人とを繋ぐもの。
 この日のライブでRYUICHIは、何度も「ロック」という言葉を満員の観客たちへ届けていた。昔は、自分たちを鼓舞するため、5人はロックという言葉を身にまとっていた。でも今は、みんなと心一つになるための手段としてロックという言葉を受け止めている。いや、感情をギラつかせていた頃から、心一つになる意味を持っていることもわかっていた。ただ、結成から29年を迎えた今、改めてロックという言葉が「人と人とを繋ぐもの」として、とても大切な意味を担っていることを彼らは改めて噛みしめていた。
何より、ライブを通したその姿を観ながら、純粋に「恰好いい」という憧れの視線や、「昔だったら、ああいう姿に自分も憧れただろうな」という憧憬を彼等にぶつけている自分がいた。そんな「憧れ」の眼差しを向けたのも、彼らが「ロックスター」というオーラを放っているからに、他ならない。
けっして身近ではない、ステージ上で、心の底から歓喜呼び起こす魅力を放つ眩しい存在。だからこそ彼らを輝く存在として受け止め、「なりたい」憧れを覚えてゆく。でも、ロックバンドは、ロックミュージシャンって、そうあるべきだと思う。何時だって、その眩しい憧れを与えてくれる存在だからこそ、今でも年齢の垣根を超え、日本武道館を埋めつくす大勢の人たちが彼らの元へ集い、無邪気に熱狂し続けていくのだから。
ここ、日本武道館を一番熱い場所にしたい。
ザクザクとしたギターの音が鳴り響く。今宵のライブは、最新アルバム『LUV』の冒頭と同じ『Hold You Down』から幕を開けた。演奏が進むごと、大きく膨らんでゆく感情。スケール大きな楽曲に包まれながら、少しずつ体温も上昇していく。沸き立つ興奮を覚える!?。むしろ、彼らが気持ちを解き放つスイッチを、楽曲を通し押してくれたと言ったほうが正解だ。
INORANの荒ぶるギターストロークを合図に飛び出したのが、『TONIGHT』だ。一気に沸き上がる感情。天高く拳を突き上げ、舞台へ想いをぶつけてゆく人たちで埋めつくされた場内。興奮が、次々と身体の奥底から吹き上がる。止められない衝動を煽るように、今宵のLUNA SEAは『TONIGHT』をロングバージョンで演奏。嬉しい展開に、感情のストッパーは早くも壊れだした。
LUNA SEAは29歳に

RYUICHIの言葉を受け、飛び出したのが『Dejavu』。スタッカートの効いたソリッドな演奏を魅力に、観客たちを攻める5人。サビで生まれた「あなたさえ あなたまで」の合唱。舞台上から解き放たれた歌を心一つに受け止め、想いを分かち合う。だからこそ、胸が踊る。血が騒ぐ、何より心が叫びたくなる。真矢のドラムビートへ、SUGIZOのザクザクとしたギターの音が重なりだした。演奏は『JESUS』へ。タイトな演奏が心を弾ませる。何より、その歌は胸を熱く沸き立て、気持ちを思いきり解き放ってゆく。
序盤から新旧織りまぜ、感情を熱く掻き立てる楽曲を並べ立て、場内に総立ちの熱狂をLUNA SEAは作りあげていった。何より、1曲飛び出すごとに、「オーッ!!」と心の中で歓喜する想いが沸き立つ曲たちで攻めてゆく姿勢が、とても刺激的じゃない。
搖れる感情へ想いを重ねるように吹き上がる炎
 「今日はね、みんなにしっかり壊れて欲しい。ルールは一つ、ケガをしないこと。あとは何もないから」(RYUICHI)
次のブロックでは、最新アルバム『LUV』へ収録し楽曲を立て続けに披露。すべてのわだかまりを解き放つよう、心を思いきり開放するように歌や演奏を解き放った『Limit』。突き上がる興奮。光を集めるように、どんどん輝きを増してゆく『Brand New Days』。跳ねた演奏も心地好い、触れた人たちの気持ちを優しくおおらかな声で抱きしめるように歌った『誓い文』と、どの楽曲も眩い光を放ちながら、満員の観客たちの求める想いへ5人は熱を与えながらも、しっかりと演奏で包み込んでいった。
「ずっとロックを追いかけ続けて、30年経とうとしています。昔はヒリヒリとした感情をロックに求めていましたが、今は、ロックは人の気持ちを一つにする存在として受け止めています。みんなの気持ちをステージの上に投げてください」(RYUICHI)
中盤には、心に響かせる歌を中心に構成。雄大で幻惑的かつメロウな演奏に乗せ、美しい衝動を覚えるよう優しく歌いかけた『gravity』。おおらかな楽曲に身を浸していたい。切ない感情に優しく抱きしめられていたい。
続く『闇火』では、INORANがアコギを、SUGIZOがヴァイオリンを演奏。ゆったり流れるような、でも、切々とした調べのうえで、RYUICHIが搖れる感情のままにじっくり歌いあげる。やがてドラムとベースの演奏が重なると共に、舞台後方へ無数の篝火が炊かれた。揺れ動く気持ちへ連なるように響く歌声と演奏。その搖れる感情へ想いを重ねるように吹き上がる炎。次第に心の躍動が増してゆく。そのたびに、歌声と演奏にも熱が加わっていた。
 『I for you』を、INORANの奏でるアコギとSUGIZOの織りなすヴァイオリンの音色のみを背景に、RYUICHIが気持ち揺れるままに歌う形で披露。胸に染み渡る楽曲を、シンプルな編成のもと、RYUICHIの感情の揺れを生々しく感じさせる形へ昇華したことにより、この歌に込めた想いが、さらに肌触り良い臨場感を持って響いてきたことが嬉しかった。
 続いては、プログレッシブなEDMナンバーを背景に、真矢が野生味あふれるドラムプレイを披露すれば、同じくJも、EDMナンバーを背に、気持ちを熱く唸らせるベースプレイを叩きつけていった。
その興奮を受け、想いを一気に明るく解き放つように、LUNA SEAは『Be Awake』を演奏。楽曲が進むにつれ、雄大さを増せば、サビではファンたちと歌を交わす場面も登場。とても胸に熱を与えてゆく演奏だった。
熱狂というハートをスリリングな演奏で射抜く
 ライブも終盤戦へ。とても力強く雄々しい歌声と楽曲だ。『STORM』が大きなウネリを描きながら、会場中の人たちを暖かな想いの中へ包み込んでゆく。心踊りだす気分、心地好く高揚する気持ちへ導かれるまま、誰もが歌の嵐の中へ身を浸していた。
「もっといこうかー!!」、RYUICHIの煽りを受け、演奏は一気に走り出した。流れたのが『TIME IS DEAD』だ。一瞬にして沸点に達した興奮。会場中の人たちが、彼らの呼びかけに合わせ、「TIME IS DEAD×2」と歌い騒ぎだす。切れ味鋭い楽曲に触発され、熱く燃えたぎる感情。もっともっと騒ぎたい、もっともっと理性失くすほど「大好き」な中に溺れたい。その興奮を掻き立てるように、熱いパッションをぶつけるよう『ROSIER』が飛び出した。感情のレベルメーターを目一杯レッドゾーンへ振り切る勢いで騒ぐ観客たち。はしゃぐ仲間たちの熱狂というハートを、熱したスリリングな演奏でしっかり射抜いてゆくメンバーたち。ほとばしる情熱を抑えきれない。そして…。
最後にLUNA SEAは、ワイルドでロックンロールな演奏を始まりに、スケール大きなスタジアムナンバー『BLACK AND BLUE』を届けてくれた。場内中から沸き起こった「ラーラララララーララ」の大きな合唱。誰もが大きく手を振り、沸き立つ喜びを歌声に乗せ会場中へ撒き散らしていった。歌で心を一つに抱きしめあう、そんな風景が、日本武道館には生まれていた。
求めたい自分のあの頃へ
観客たちの「HAPPY BIRTHDAY DEAR LUNA SEA」の歌声に導かれ、メンバーたちがふたたび舞台へ姿を現した。アンコールの最初に披露したのが、最新アルバム『LUV』に収録している『So Sad』。切なささえもしっかりと抱きしめながら、これまでの熱気や興奮をすべて優しく包み込むようおおらかに歌うRYUICHI。なんてスケールあふれるラブバラードだろう。その愛情が、たまらなく愛おしい。
ここから、頭の螺子を一気に吹き飛ばす熱狂ゾーンへ突入だ。勢いあふれる歌が飛び出した。「キミの描く夢を見ていたい」、気持ちを歓喜させるように『BELIEVE』が飛び出した。魂が熱く昂りだす。大サビ前には、会場中の人たちがRYUICHIと共に歌を交わしあう光景も登場。歌が気持ちを嬉しく掻き立てる、歌に熱い衝動を覚える。何より、歌が魂を震えさす。
激しくザクザクとした演奏が炸裂。昂った感情へさらに熱を描き加えるようにLUNA SEAは『PRECIOUS…』を演奏。活動初期からずっと熱狂を作り上げ、彼らとファンたちを結び繋げてきた楽曲の登場に、場内へは、興奮渦巻く愉悦な風景が広がっていた。RYUICHIは歌う、「あの時には戻れない」と。でも、心を震わせる歌は、何時だって時空を超え、熱狂したあの頃の気持ちへ戻してくれる。29年かという時の流れを自由に行き来し、求めたい自分のあの頃へ、その歌は心を揺り戻してくれた。
「お前ら、全員でかかってこい!!」。お馴染みのイントロに合わせ、場内中から沸きだした「I WISH」の叫び。最後の最後にLUNA SEAは『WISH』を演奏。誰もが気持ちを思いきり開放し、共に歌っていた。一人一人がLUNA SEAのメンバーとなり、舞台上の5人と一緒に想いを分かち合っていた。「I wish for こんな夜には~夢みて」。すべての心のわだかまりを消し去るように、ただただ感動な想いに全身を満たしながら、『WISH』に心を委ね、彼らと熱狂の中で抱きあっていた。最後に共に交わしあった「ラーラーララー」の合唱。この興奮と歓喜と憧れと幸せ、ずっとずっと味わっていたい。そんな気持ちに包まれながら、ずっと5人の姿を追いかけていた。
さぁ、次は6月23日と24日に幕張メッセで行われる「LUNATIC FEST.」だ。この熱狂の続きは、その2日間へと繋ごうか。
Text:長澤智典
Photo:(株)LUNA SEA提供

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