【インタビュー】青山テルマが覚醒し
た、ほんとうの理由

自分全開、超ハイテンションの己に覚醒した青山テルマが、最新アルバムを完成させた。7月25日発売のニューアルバム『HIGHSCHOOL GAL』である。そしてそのアルバムからのリード曲として5月28日に先行配信されたのが、100%パラパラビート「世界の中心~We are the world~」だ。
バラエティTV番組でもインスタ・ストーリーでも、歯に衣着せぬ武闘派トークでお茶の間に爆笑と共感を呼び起こしてきた青山テルマだが、今回彼女が生み出したパラパラ楽曲「世界の中心~We are the world~」では、渋谷で活動している現役ギャルとeggモデルを集結させ、一緒にパラパラを踊るというハッピーなミュージックビデオを作り上げている。
ビデオの収録は5月某日、渋谷の某怪しげなパーティルームでパラパラを踊りまくり、その足で街中に移動、渋谷109前でも2ステップを踏みまくるという高テンション振りを見せていた。もちろん渋谷の街を闊歩する外国人観光客が次々と吸い寄せられ、あたりは大混雑である。
6月1日放送の情報番組『有吉ジャポン』(毎週金曜深夜0時20分から放送)では、現在のギャル文化を紐解く「渋谷サー人」が特集されているが、ここに登場しているギャル/eggモデルが「世界の中心~We are the world~」でパラパラを踊っている面々でもあり、青山テルマ本人も、番組内でギャルが大好きであることを公言している。
「筋が通ってしっかりしている」というギャルへのリスペクトと共に、みんなで楽しみたいという気持ちから「ライブでもみんなで踊れて盛り上がれる曲ってなんだろ…」と考え、完成させたのがパラパラ楽曲「世界の中心~We are the world~」だったという。ロサンゼルスで青春時代を過ごし、R&B/バラードでヒットを飛ばすシンガーとしてデビューを飾った青山テルマが、なぜパラパラへ向かったのか?ここ数年でハジケてしまった青山テルマという人物を直撃してみた。


──BARKSです。音楽メディアなので音楽のお話をしっかりと聞きたいのですが、そもそも年齢的にも育った環境的にもギャル文化/パラパラとの接点はなかったですよね?
青山テルマ:そうなんです。一番ブームだった時、私はLAに住んでいたので。アメリカから帰ってきたときには、時代は浜崎あゆみさんとかに変わっていたので、世代的にはドンピシャではないんですよね。
──アメリカにいく前は…
青山テルマ:ギリギリ安室奈美恵さんの時代ですね。で、LAに行った頃からあゆさんの時代になっていった気がします。
──LAではヒップホップの時代?
青山テルマ:そうなんです。エミネムがガンガンヒットしていた時代。私もR&Bやヒップホップを軸に音楽を聞いていました。ブリトニー・スピアーズとかクリスティーナ・アギレラとかもヒットしていましたけど、ヒップホップが熱かったので、日本での流行が全く違う音だったのはカルチャーショックでしたね。
──そんな音楽体験をベースに持つシンガーにとって、パラパラという音楽の難しさ/馴染めなさはありませんでしたか?
青山テルマ:いや、パラパラは普通に歌いやすいです。あまりフェイクもないし淡々と歌う感じ。R&Bやバラードになると「ちゃんと気持ちが伝わるかな…」とか、テクニカルな面でもメロディラインを作っている時でも気を回す部分が多いんですけど、パラパラはみんなで一緒に叫べるようなフレーズや共感できる言葉、そしてなによりライブで何も考えずに無性に盛り上がれる…ということが大事だから。自分が難しいと思っちゃうと、歌う側も聴く側も難しいと感じちゃうから、直接ギャル文化を採り入れて、「ケータイの光るアンテナ」とか「タピオカ神」「うちらのアイドル永遠NAMIE」とか、みんなが“いえーぃ!”と言えるような言葉を選びました。だから、歌というよりも一緒に喋りながら盛り上がるみたいな感覚ですよね。
──曲の作り方が、いつもと全く違うんですね。
青山テルマ:そうなんです。パラパラを作るのは初めてだったんですけど、いい意味で曲も詞もダサいものにしたかった。パラパラをやって、中途半端にカッコ良くしたり青山テルマ色を出したとしても、それこそダサくなると思ったんです。メロディもカッコつけて「こんなのできるよ」みたいな感じになっちゃうと、もうなんか伝わらなくなる。
──そうなんですね。
青山テルマ:今回はやりきる精神ですよね。私もデビューして10年も経って、すでにプライドも何もないんで。
──んな(笑)。
青山テルマ:いやほんと(笑)。そうなると、家で騒ぎながら作ったらメロディも意外とすぐにできちゃった。
──ほぉ…でもそれこそ本来の音楽の生まれ方のような気がする。
青山テルマ:そうなんです。この曲もそうですし、今回のアルバムの曲ってすごく楽しんでやっているんです。「私に求められているのはバラードだ」とか「私のイメージが…」とか「アーティストとしてはこうでなくちゃいけない」とか、今ではそういう変なプライドや感情が全く無いので…。
──なぜ、そのプライドがなくなっちゃったんでしょう。
青山テルマ:なんか、ダルいなと思って。
──ぶはは(笑)。
青山テルマ:私のキャラもそうなんですけど、猫かぶっているとき…もちろんそれ自体が悪いことではないし後悔しているわけでもないんですけど、ここ2年で(本当の私自身が)溢れるように出ちゃったので、その決められたレールに沿っていくこと自体が「もう無理でーす」みたいな感じになっちゃった。R&Bのシンガーってカッコつける人も多かったりして、バラエティでいじられるのが嫌な人は嫌なんですけど、でも私は全部なんでもいいみたいな感じの人なので。
──本当の青山テルマが噴出しちゃったわけだ。
青山テルマ:「プライドって金になんねーな」とも思います。プライド持って「これはこうだ」って自分の我を出しすぎても、本来音楽ってみんなが楽しむものでしょう?もちろん自分が産むものだけど、産まれた瞬間からみんなのものになるものだから、「自分がこうだから」「青山テルマはこうじゃなきゃ」みたいなものを押し付けるよりも、「みんなで青山テルマを楽しもう」みたいな精神になったときに、昔15歳で事務所に入った頃の「音楽って楽しい」という気持ちを取り戻したような気がしたんですよね。
──素晴らしい。
青山テルマ:長年活動していくと、ミュージシャンってどっちかですよね。自分で決めた道をガッチガチに決めるか、いろんなトライをしていくか。どっちがいい/悪いじゃないんですけど、私の場合はプライド持ってやったところでつまらないのはつまらない。みんなが楽しんでくれるようなことに重きをおいて制作するほうが、とにかく楽しかったし自信もある。だから、10年かけてきて今回のアルバムが一番私らしいんですよ。
──最高ですね。
青山テルマ:このパラパラもジャンル的には世代ではないんだけど、でも「楽しもう精神」というか、そういうのが伝わればいいなと思って作りました。
──でも、マネージメントやレコード会社からは、「The 青山テルマ」的な大ヒット作品を求められたりはしませんか?
青山テルマ:あ、それはもう諦めてますね(笑)。じゃないとバラエティ番組なんかにも出ませんし(笑)。最初のころはね、スタッフも「おいおい…」って感じだったとは思うんですけど、今ではもう完全に諦めてますよ。だから今回のアルバムも「いいよもう、テルマがやりたいようにやりな」みたいな感じです。
──それはいいことだ。
青山テルマ:そのプレッシャーはもちろんあるし、10年経ってこのように自由にやらせてもらえるのも珍しいケースだし、もちろん音楽が売れたら最高だから、売れないと思ってやっているわけではないですよ。ただ「売れたい」という気持ちの前に「音楽を楽しみたい」というのが先に来るはずだし。もちろん「そばにいるね」というヒットした曲を背負っているわけだから、その栄光を求めるスタッフはもちろんいますよね。でもあれは、世代と歌詞とCM…いろんな要素が一致してのあの奇跡ですから、あれをいま再現しようとしてもそれは絶対ムリなんです。バラエティもそうですよね。今と昔ではノリも違うし、ちょっと前にぶっちゃけ要素が流行ったところにちょうど私もそのノリに乗れた、みたいなことで、世代と一致するものが提供できたらムーブメントに乗っかれるけど、昔のものをもう一度新しく形にしろと言われても、流行る気配も感じない。2018年になった今「売れ線の曲を!」「バラードを!」と言われても、全く作れない(笑)。
──むしろ清々しい。
青山テルマ:ま、求められてもいないんですけど(笑)、そもそも「共感ってなんだろ?」って思います。みんな違うし。だからね、今回のアルバムではおにぎりの曲を作ってみたりとか。
──おにぎり?
青山テルマ:おにぎりを食べたことのない日本人っていないなぁ…これ共感じゃん、って思って。
──確かに。
青山テルマ:楽しんでます。オトナの匂いがするものってやっぱり魅力的じゃないし、リスナーも変わってきているしね。もちろん私が失恋してそういう曲を書きたいと思ったらそれは書くけど、私自身の感覚がスタッフよりもリスナーに近いから、50歳代のおじさんから「こういうの流行るよ」と言われても「いやいや、お前知らねえじゃん」ってなっちゃう。やっぱり私達やその下が今から引っ張っていく世代なので、そこはリアルじゃないとね。
──そうですね。
青山テルマ:SNSが増えて、もう流行りもなくなってきたじゃないですか。流行りというよりも個人的にみんなが集まって楽しくなれることを私はしていきたいし、私は今のポジション…バラエティのテルマと音楽のテルマを一致させたいんです。だから、それが一致するようなアルバムになっているし、パラパラもそういう気持ちで作ったので、つながればいいかなーって思っています。
──今回の『有吉ジャポン』の「渋谷サー人」特集も、今の青山テルマが持つリアルとシンクロした要素ですね。
青山テルマ:そうなんです。こういうところでも一致するとやっぱり嬉しいですよね。もともと私もギャル文化は消えないでほしいと思っていたし、パラパラを作る前も、ギャルカフェとかいろんなお店でコギャルに会いに行って「最近ギャルは何やってんの?」って色んな話を聞いたりしたんです。そこで「ギャルも消えそう」だとか「渋谷を盛り上げてくださいよテルマさん」って言われたり(笑)。だから「よし、まかせて」みたいな感じで作った曲ではありますね。
──その「世界の中心~We are the world~」ですが、イントロのカウントダウンでいきなり猛烈な早口になるの…あれなんですか?
青山テルマ:あれはあの(笑)、もともと凄えダサいイントロを作りたくて「カウントダウンしたら、くそダセえんじゃねーか?」ってことで、音が入ったところから「10、9…」ってカウントし始めたんですけど、「ありゃもう曲始まるわ」ってことで、7から残りを早口で詰め込んだんです(笑)。で、それがそのまま。面白いなと思ってキープです(笑)。
──あれはアドリブだったんですね。
青山テルマ:アドリブだし、事故ですね。
──あの早口英語カウントダウン、日本人には真似できないなあ。
青山テルマ:そういう要素が今回のアルバムにはたくさん入っています。事故を大事にした楽曲ばかりで、その場のノリやアドリブの声がそのまま使われていて、全部が楽しくて面白いんです。是非楽しみにしていてください。
取材・文:BARKS編集長 烏丸哲也
■『有吉ジャポン』「渋谷サー人特集」

6月1日(金)0時20分~

渋谷の街を盛り上げるため、イベント開催など20年に渡り活動してきた“渋谷サー人”の実態に迫る。すると、ギャル文化&サー人が絶滅の危機に瀕していた。復活をかけ奮闘するサー人たちの「鉄の掟」とは?ギャル歴史の勉強会や幹部を集めての激アツ会議、意外と厳しく真面目な姿に有吉驚愕。さらにスタジオでは若者の間で大流行中のTikTokに挑戦。青山テルマが、最上もがが、千鳥ノブが、そして有吉までもが大はしゃぎ。一体どんな動画が出来上がるのか?
■青山テルマ「世界の中心~We are the world~」

2018年5月28日一斉先行配信スタート

iTunes / LINE MUSIC 他
■青山テルマ『HIGHSCHOOL GAL』

2018年7月25日発売

初回盤 : [CD + THELMA HIGHSCHOOLオリジナル学生証] UPCH-7433 ¥3,400(税込)

※初回盤なくなり次第、CDのみの通常盤(UPCH-2165)¥3,400(税込)に切り替わります。

1. 世界の中心~We are the world~

他全10曲収録予定

<AOYAMA THELMA LIVE TOUR 2018 “HI
GHSCHOOL GAL”>

8月24日(金)

@名古屋・クラブクアトロ

開場18:00 / 開演19:00

[問]サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
8月27日(月)

@福岡・IMS HALL

開場18:00 / 開演19:00

[問]BEA 092-712-4221
8月28日(火)

@広島・クラブクアトロ

開場18:00 / 開演19:00

[問]夢番地広島 082-249-3571
9月1日(土)

@東京・マイナビBLITZ赤坂

開場17:00 / 開演18:00

[問]H.I.P. 03-3475-9999
9月5日(水)

@大阪・なんばHatch

開場18:00 / 開演19:00

[問]サウンドクリエーター 06-6357-4400
STANDING ¥5,800 (税込・入場時別途ドリンク代)

2F指定 ¥6,300 (税込・入場時別途ドリンク代) ※東京・大阪公演のみ

[先行予約限定CD付きライブ・チケット セット販売]

「HIGHSCHOOL GAL」初回盤CD ¥3,400 (税込) + チケット代 (入場時別途ドリンク代)

※上記セット販売についてはチケットぴあにてのみ販売。

http://w.pia.jp/s/thelma18/

一般発売日:7月28日(土)

企画制作:garden / H.I.P.

協力:ユニバーサルミュージック合同会社

BARKS

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