Hiroのもいもいフィンランドvol.55「
とってもユニークなロックバンドFor
te Silence活動スタート」
今回はちょっとユニークなロックバンドを紹介したいと思います。先日発売になった5人組ロックバンドForte Silenceのデビューシングル「No Self Control」の音源を最初に聴いた時、ちょっとエレクトリックでメロディアスなロックかなという印象受けたのですが、そのあとミュージックビデオを観てみると、あれ？このシンガーってラッパー？とびっくりしたのですが、なんとほんとにラッパーでした。ラップとロックのミックスというと一番に思い浮かぶのがLinkin Parkですが、Linkin Parkの場合、曲を聴くとラップとロックのミックスに気がつくと思うのですが、このForte Silenceの場合、最初に曲だけ聴いただけではわかりませんでした。
なんと私が知らなかっただけで、ヴォーカル、マリオスは数年前にHesaÄijä（ヘサアイヤ）というラッパー名でラウマ地方の訛りでヘルシンキを紹介するユーモアあふれるラップビデオで一躍人気者にのしあがったラッパーだったのであります。とはいうものの、「俺にはスピリット的にもいつもロックの血が流れていた。すでに子供のころからMTVの画面にくぎ付けになりながらマイケル・ジャクソンの歌を歌っていた。」とマリオスは語ります。マイケル・ジャクソンがロックなのかどうかは別として（笑）、探索してみたら出てきた記事に若かりし頃のロックなルックスの写真も発見！
実はラッパーで名が知られる前の2013年にこのバンドForte Silenceはすでに誕生していたんだそうです。当時オリジナルメンバーでアメリカLAのスタジオでレコーディングを始めたもののあまりにもポップすぎるということで、一部メンバーが脱退。そのあとギャリーとテイヨが加わり、一からのスタートになったのだそうです。
ギタリストのGaryはフィンランドのロックバンドNegativeにツアーギタリストとして加入していたことがあり、2008年5月末に東京で開催されたフィンランド･フェストでNegativeと一緒に来日もしているので、覚えている方もいるかもしれません。フィンランド国内ではTechnicolourというバンドのギタリストで知られていました。テイヨはその昔フィンランドの女性ボーカルの人気バンドKiller、そしてフィンランドの大人気ポップスターアンッティ・トゥイスクのバンドでドラマーを、ベースのジョニーは本名ユーソ・アラマキでバンド活動をしていたのに加え、特にユニークなのはバンドにDJがいること。このDJがサウンドにエレクトリックな色彩を加えているように思います。そしてこのDJの名前があまりにもおかしかったので問い合わせてみたところ、発音は「カラ オケ」でいいそうです。一発で覚えられそうな名前です（笑）。
2015年にレコード会社をまわったものの当時契約には至らず、ボーカルのマリオスは半分冗談でユーモラスなラップビデオをSNSにアップしたところ、それがたまたまうけたので、もちろんそのチャンスを逃がさずラッパー活動をしていたようですが、ロックバンドForte Silenceをあきらめたわけじゃありませんでした。ラッパーHesaÄijäと自分にはもちろん共通点はたくさんあるが、HesaÄijäは作り上げたキャラクターであり、自分そのものではない。Forte Silenceではその自分を表現しているとのことで、本来やりたかったバンド活動を本格的にスタートすることに。
マリオスは2012年に脳塞栓に襲われ、麻痺がおきてしまい、そのあと2年間酒におぼれ堕落した生活で、自分のコントロールができなくなってきていた時に書いたのが今回発売になった曲「No Self Control」なんだそうです。当時はとても感情が敏感になり恐れのあった気持ちを、曲にして発表することにより心が解放された気がする。同時にこういう話題について皆が考え、会話ができるようになればいいなという思いもあるとのことです。
彼らは自分たちのサウンドをハイブリッドロックと呼んでいます。ハイブリッドには異種のものを組み合わせたものという意味があり、ロックとラップとDJをミックスしたForte Silenceにはぴったりの言葉かも。彼らのデビューシングル「No Self Control」のミュージックビデオはこちらです。まずは観てみてください。
ありふれたものでなくちょっとユニークなロックバンドをお探しの方は要チェック！
ありふれたものでなくちょっとユニークなロックバンドをお探しの方は要チェック！
文：Hiromi Usenius
