[第47回]宮澤佐江「どこかしらに幸せ
の芽は生えている」新しい"命"、別れ
の"命"、舞台で感じたそれぞれの幸せ
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「ひとりでいる時間って本当に大切」。これまでの舞台が佐江ちゃんに与えた、以前にはない大きな変化について。新たに増えた小さな家族や、命にまつわるシーンに対面して思ったこととは?

ーーさあ、佐江ちゃん。今回もよろしくお願いします。
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よろしくお願いします!
ーー前回に引き続き、地球ゴージャスプロデュース公演Vol.15『ZEROTOPIA』、本番真っ最中の佐江ちゃんに、お話をお聞きしていきます!
はい、ありがとうございます。
ーー東京公演の前半を終えたところで(編集部註:取材日は4/24)、今日は舞台の休演日とのこと。普段のお仕事でも、「休みはあまり好きじゃない」という佐江ちゃんにとって、公演期間中のお休みって、どういう感じなんでしょう?
今日は「ミラチャイ」のお仕事が入って、よかったと思ってます(笑)
公演期間中のお休みは、ありがたいです。というのは、予定がたてやすいから。本番に入る前の稽古中だと、何時に稽古が終わるかわからないことが多いので。だから、前もって予定をたてるのが難しいんです。
でも、「この日のこの時間は、ガッチリ空いている」と、前もってわかると、病院の予約を入れたり、身体のメンテナンスに行ったりできますし。いろんな人とご飯に行ける機会も多くなるから、ありがたいなぁって思ってます。
今は、公演期間中なのに、フワフワしてるんです。
ーー「フワフワ」って、どんな感じですか?
「今、私、本番期間中だよね? 」って、ふとしたときに思うというか。
自分が舞台に立ってない日も、「皆は今頃、幕が上がって、1幕の、あのあたりだよな…」って、考えたりしちゃいます。
ーー公演の開始時間も日によって違ったり、ときには、お休みが3日間続いたり。身体のリズムを整えるのは、大変ではないですか?
今回も、体力は大丈夫ですよ! ただ、ゴールデンウィークに初めて、昼夜2回公演に出るんです。今まで経験がないので、どうなるだろう? とは思ってます。
ーー今回は、殺陣のシーンもありますよね。
そうなんです! 他の男性陣と比べたら、ハードなシーンは少ないはずなのに、殺陣の部分だけは、長距離走の後みたいになるんです。
「何でノドから血の味するの? 」
って、感じなんです(笑)。でも、そのシーン以外はハードではないから。振りだけで観せるところが多いんです。歌って踊る部分はそんなにないから、ハァハァ息切れすることもなく、体力は全然、余裕です!
ーーこれまでの経験が効いてそうですね。
はい。中学の頃から培ってきた「体力」と「忍耐」が、身体と心に刻まれてます(笑)
でも、『王家の紋章』のときは、いろんなプレッシャーがあって、全公演、緊張しないときはなくて。特に、大阪公演に入る前の、帝国劇場に立っているときは、フワフワする余裕はなかったです。
でも今回は、メインキャストさんに入れていただいてるけど、歌や振り、台詞がたくさんあるわけでもなくて。ちょっと心の余裕があるからか、「フワァー、フワァー」と、しちゃってます。
ーー『クザリアーナの翼』のときとも違いますか?
4年間での変化
そうですね。やっぱり全然違うかな。
あのときは、ダブルキャストではなかったので、毎公演ずっと出ていたし、舞台での歌、ダンス、芝居も初めての経験だったから。
4年前は自分自身、キャピキャピしてた。人なつこく、いろんな人に話しかけに行ったり、皆がいる中に必ずいたいというか。一番、人が集まるところに混ざってストレッチしてました。
『クザリアーナの翼』のときの私の役割を、今は、まっけん(新田真剣佑)がやってくれている感じがしてます。
私は4年で全然変わっちゃって(笑)。今は、変に落ち着いてるんです。
稽古場でも、ストレッチと筋トレをして、自分の時間を作って、空気作って…、みたいに過ごしてました。
ストレッチは、原田治さんという方とふたりで、黙々としてる感じです。治さんは、『クラウディア』とか、もう10年以上前からゴージャス作品に出演されていて、LVのトップに名前が書かれている方なんです。
ーー今回も、LVの方の先頭に写真が載っていますね。
そうなんです。ゴージャスのパンフレットやリーフレットは、ゴージャス作品の出演経験が多い方から順に、名前が載っているんですよ。
なので、前の方に名前が載っている方とは、『クザリアーナの翼』や、ガラコン(地球ゴージャス 20th Anniversary GALA CONCERT)でも、一緒に舞台に立たせていただきました。(第103回)(第108回)
その治さんと、稽古場でストレッチしながら、まっけんの楽しそうな声を聞いて、「今日も元気よさそうですな」って、思ってました。
私、大人になっちゃったな。あははは(笑)
ーーあれから4年ですもんね。
そうですね。48グループのメンバーや、家族以外の人たちと、毎日一緒にいられるワクワクは、それまでなかった経験だったから。あのときは、稽古場の1人ひとりに興味津々になり過ぎちゃった。
今日はこの人、明日はこっちの人、って。毎日違う人と一緒にいましたけど、今となっては、毎日、治さんと一緒にいます(笑)
ーーこういう話からも、すごく成長しているのを感じます。
「大人になったな」
自分でも、特にこの1年はいろんな意味で成長したなと思います。「大人になったな」って、すごく思いました。
「ひとりでいる時間って本当に大切なんだ」って、この1年で学びました。
楽屋も、去年は一人部屋のときも多かったので、自然と、誰とも話さないでメイクしたり、ストレッチしたりしていたんです。だから、ひとりの空間がすごく好きになっちゃって。
もともと、ストレッチは人より何倍もやりたい派だから。今は、皆でストレッチするよりも、自分の時間をもって、マイペースでやっています。
ーー48グループが大所帯でしたから、そのときからの振り幅が大きそうですね。
そうですね。あの頃はひとりになりたくても、なれない環境でずっとやっていたから。卒業して1年目はさみしかったけど、去年の4本の舞台を通して、やっと、ひとりでいられるようになったというか。
「ひとりが楽だな」って思えるようになった。「親がいないと買い物に行けない」って言ってた、数年前の自分はどこへ行ったんだ? っていうくらい、今はせっせとひとりで買い物に行ってます(笑)(第25回)
ーー以前、「ひとりデビュー」をテーマに話したこともありましたよね。それくらい、ひとりが嫌だった(第119回)
ほんと、ほんと! ひとりで買い物に行けないし、外食もできなかった。でも、特にこの1年で、「ひとり映画」や、「ひとり舞台観劇」、「ひとりコンサート」へ行く機会も増えました。
「あ…、これが自立か」
って、感じてます。この1年で、親が子どもっぽく見え始めたり、自分は親よりしっかりしてるなって、思える部分が増えてきました。
ーー大きな変化ですね。変化といえば、甥っ子さんの誕生によっても、結婚や出産について、昔と考えが変わったようですね。(第46回)
不思議な気持ちになった1週間
甥っ子ができて、家庭をもつとか、出産とか、以前より希望が強まりました。
でも、実際にはまだ、「自分の夢や、希望が叶った」と、言えるところまできていないから。やっぱり、家庭をもつことは考えられない。
だから、口では「結婚したい」って言ってても、占いで見てもらうと、「結婚願望は、そんなにないですよね」って、すぐ当てられちゃうんです。
兄の赤ちゃんを初めて見たときは、びびった! 爪とか、もうあるんだ…。まつげとか、もう、うっすく生えてる…、マジで!? って。
赤ちゃんのすべてが神秘的で、この子がついこの間まで、お腹の中にいたんだと思ったら、もう! すごい!! と思って。
なので、甥っ子ができたことによって、強まった希望を叶えるためにも! 自分の納得のいくところまで、昇り詰めたいなと思っています。
ーー新しい命の誕生に対面したときは、どんな様子だったですか?
思ったより小ちゃかったんです。宮澤家のなかでは、たぶん一番小さく生まれたって、言ってたと思います。私より100gくらい小さかったみたい。
「佐江が生まれたときも、こんな感じだったの? 」
って、ママに言ったら、
「そう、これぐらいだったんだよ」
って。お兄ちゃんたちは3000gくらいだったらしいから、もうちょっと大きかったみたい。甥っ子は2700gくらいで生まれてるので、超小柄というか。
きっと、これからプチプチ、ムニムニしていくんだぁ…。あの赤ちゃんならではの感じにさぁ。。(目を細めながら、愛おしそうに話す佐江ちゃん)
楽しみで仕方ないです。
甥っ子が生まれてからこの1週間、今まで抱いたことのない、不思議な気持ちになりました。
かわいい…。
この世に生まれて、まだたったの10日だなんて! しっかり抱っこしてあげないと、首も、グラグラしているんです。
「佐江ちゃんも、ミルクあげてみて」
って、姉に言われて、30分くらい抱っこしてミルクをあげたり、湯上がりに寝巻きを着せてあげたり。初めてオムツ交換もさせてもらいました!
ーー貴重な初体験ですね。
どんなおばさんになるんでしょう?
そうですね。いつか自分にも赤ちゃんができて、そのとき突然経験するよりも、慣れておけるのは本当にありがたいなって思うんです。
母は、兄ふたりと私、3人のママをやっていたし、身近に姉もいるので。いろんなことを教えてもらえると思うと安心です。
ーー小さな家族が誕生して、お家のワンちゃんはヤキモチ妬きませんか?
そう! ワンコと甥っ子が初対面したとき、私は劇場にいたから見られなかったけど、すごく興味津々だったそうです。
「何か、来たぞ」
って(笑)。ワンコも甥っ子も、体重的には変わらないんだけど、身長的にはワンコの方が長い? んです。だから、「おまえの方が大きいぞ! 弟できたぞ!」って、言ってます。
犬は頭がいいからか、空気を読んで「赤ちゃんには近寄っちゃいけない」って、何となくわかってるみたいなんです。人間ではないけど生き物だから、ナイーブというか、デリケートで。
「赤ちゃんに触っちゃダメ。あっち行っててね」って言い過ぎると、ワンコもストレス抱えちゃうみたいだから。今はまず、最初にワンコを抱っこしてコミュニケーションをとってから、ベビーの方へ行くようにしてます。
ーー佐江ちゃんはこれから、どんなおばさんになるんでしょう?
「何でも買っちゃうおばちゃん」になると思う。
今一番、買ってあげようと思ってるのは、ビデオカメラ! 今、家族はデジカメとか、携帯で撮影してるから「ビデオカメラとかさ、買わないの!?」って言ってるんです(笑)
といっても、デジカメも、携帯も、私が子どもの頃より、画質も機能も、よくなってるんだけど。でも、ビデオカメラって、「一家に一台」って感じがするじゃないですか。だから、ビデオカメラでメモリーを残しておきたくて。
なので、近々私はそれをプレゼントすることになると思います。あははははは(笑)
だって、お洋服だったら、絶対すぐ着れなくなっちゃうから。布も「大人より全然使ってないじゃん!」っていうくらいちっこいのに、値段は大人と同じくらいだしッ! 1年後には着られなくなっちゃうんだよなぁ、と思うと、ね!
ーーでも、その頃には佐江ちゃんにも、もしかしたら…。
え? 自分の!? いやいやいや(笑)
じゃぁー、言っときますよ、えーとぉっ、
「五輪婚」!? 目指しましょうか? ゴリンコンッ!
ーー目指せ、2020!?
目指すことは悪いことじゃない! 2020、目指しますよぉーっ!
ーー(笑)。小さな命の誕生はとってもおめでたいことですね。でも、この1週間のうちに、佐江ちゃんは、ほかにも命にまつわるシーンに対面したようですね。
はい、そうでした。。 新しい命の誕生と、長いときを生き抜いて天に還った方と…。命にまつわることが続きました。続くのって不思議だな…、と思いました。
ーー出演中の『ZEROTOPIA』も、ある意味「命」がテーマになっていますね。
「笑顔は、どこかしらにしっかりと落ちてくる」
そうですね。
いい方にばかり考えちゃいけないこともあると思うけど…、でも、いい方に考えたら、誰かが亡くなったときって、親族が久しぶりに集まれたりしますよね。
それもやっぱり、めぐり合わせてくれているというか。
「天に還られたあなたのおかげで、今こうして、皆が久々に会って、たわいもない話ができていますよ」
って。そういう瞬間も、すごく幸せな時間だなって、ちょっと思ったりもしたんです。
今日もどこかで誰かが亡くなって、どこかで新しい命が生まれて。
悲しいこともあったりするけど、どこかしらにしっかりと、「幸せの芽」は生えているなと思うんです。「笑顔は、どこかしらにしっかりと落ちてくるんだ」って。すごく感じました。
そう考えると、「興味深いな。おもしろいな。この地球って」って、思ったんです。大き過ぎる話になっちゃうけど!
ーーいえいえ、そんなことないと思いますよ。「どこかしらに幸せの芽は生えている」、とってもいい話ですね。
ありがとうございます。なんか、こう、いろんなことを考えられた1週間でした。
ーー貴重な経験でしたね。こうした経験もまた、お芝居のなかに生かされてくるのかもしれませんね。『ZEROTOPIA』の公演、引きつづきご成功を願ってます!
ありがとうございます!
ーー最後になりましたが、今回もたくさんのお話ありがとうございました。また次回もよろしくお願いします。
はい! ありがとうございました。いろんなことを考えた1週間。休日に「今日、昼まで寝ちゃった。無駄に1日を過ごしちゃった」って、思う日もあるけど、後悔するってもったいない! 「今日はそうする時間が、私には必要だったんだ」って、思ってあげないと。
やっぱり「私の人生は私のもの」。私は、自分のタイミングじゃないと行動ができない人。だからこそ、今のひとりの時間が、すごく大切に思えてます。次の「ミラチャイ」もどうぞ、お楽しみに!
撮影:増田慶 スタイリング: 藤井エヴィ ヘア&メイク: 小林依里香
次回の更新は、6/8(金)予定です。

ウレぴあ総研

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