【ライブレポート】感覚ピエロ×POL
YSICS、「柏さあ、オリジナリティ溢
れすぎだよ(笑)」

感覚ピエロが3月から開催している自身二度目の47都道府県ツアー<KKP TOUR 2018 またイかせてもらいます!! 47都道府県全国津々ムラ×2!! デリバリー感覚ピエロ!! ~チェンジだなんて言わせない~>の17本目を4月8日、柏ThumbUpで開催した。この日の対バン相手はPOLYSICS。結成21年目の先輩バンドを迎えて、ライブハウスを主戦場に、常に“楽しませること”を追求し続けるバンド同士の熱い先輩後輩対バンとなった。
トップバッターはPOLYSICS。2017年、新メンバーのナカムラリョウ(G / Syn)がまさかの電撃加入を果たしたことで7年ぶりに4人体制になったPOLYSICSは、揃いの黄色いつなぎとバイザーを着用したお馴染みのスタイルでステージに現れた。
「POLYSICSです! どうぞよろしく!」──ハヤシヒロユキ(G / Vo / Syn)
この言葉と同時、バンドの衝動をギュッと凝縮した「Beat Flash」を挨拶代わりに一気にフロアを湧かせていく。「Coelakanth Is Android」から「Digital Coffee」へと、ライブ定曲を惜しみなく投下するセットリストだ。ヤノ(Dr)が繰り出すタイトなビートと、フミ(B)の豪快にして繊細なベースラインは盤石だが、新メンバーのナカムラがギターとシンセの二刀流でバンドを援護射撃することで、いまのPOLYSICSは楽曲の賑やかさが一段と増していた。なかでもメンバーチェンジも多かったPOLYSICSの21年におよぶ歴史のなかでも初となるツインギタリスト編成だからこそ、強靭なアレンジで蘇った「Funny Attitude」は、新生POLYSICS誕生の意味を痛感される演奏だったと思う。
「トイス!……これ、“トイス”っていうのは、POLYSICSが普段言ってて、全然流行らない挨拶のことです。覚えて帰ってね~!」と初見のお客さんが多いであろう会場に向けて、いつもより親切に語りかけたハヤシ。「3月で21周年を迎えました!」と伝えると、会場からは「おめでとう!」の声があがる。「ありがトイス! こういう使い方もできるんだよね(笑)」と、いちいち説明するのが新鮮だ。
後半戦はハヤシとフミの掛け合いが楽しい「You Talk Too Much」を皮切りに、最新アルバム『That’s Fantastic!』の楽曲が続いた。“Everyday”と“エビで”をかけたユニークな歌詞がPOLYSICSらしいニューウェイブ・ファンク「Sea Foo」では、ハヤシが率先して人差し指を突き上げて踊ると、すかさずお客さんもその真似をして一緒に踊っていた。たとえ“初ポリ”なお客さんが多い会場でも、抜群の親しみやすさで気づいたら全員を根こそぎ虜にしてしまう。それが百選練磨のライブバンドだ。
クライマックスは新曲「That's Fantastic!」から、問答無用の「MEGA OVER DRIVE」、さらに「Electric Surfin' Go Go」を畳みかける怒涛の展開でカオスへと導いたPOLYSICS。「感覚ピエロのみんな、呼んでくれてありがとう~!」というハヤシの感謝でライブを締めくくった。
転換を挟んで、いよいよ感覚ピエロの出番だ。憧れの先輩バンドがきっちり会場を温めた後とあって、メンバーの気合いは十分だった。
「準備できてるやつ全員手をあげろ!」──横山直弘(Vo / G)
横山がフロアを挑発するように悪そうな視線を投げかけながら煽ると、西尾健太(Dr)が叩き出す破壊力抜群の4つ打ちのリズムにのせたダンスロック「CHALLENGER」でライブの口火を切った。耳をつんざくような秋月琢登(G)の歪んだギターを合図に“あなたの世界は何色か?”と問いかける狂騒的なロックナンバー「疑問疑答」のあと、「あなたたちが愛してくれた分だけ、愛し返してやるよ」と横山。タフな演奏だけでなく、脳天を打ち抜くキラーワードを次々に投げかけてフロアの心を鷲掴みにしていくのが感覚ピエロだ。
ヒップホップのマナーで会場を揺らした「無い ナイ 7i」では、ファンキーなベースを繰り出した滝口大樹(B)がフロントの際まで歩み出た。すると最前列のお客さんが手を伸ばせば、触われるほど距離が近くなる。今回の47都道府県ツアーは主要都市ではZepp級の大箱もあるが、地方ではキャパ200人ほどの小箱公演も数多く含む。そういう場所では、メンバーから飛び散る汗や息遣い、細かな仕草まで全てを至近距離で感じられるのだ。
「俺らの前の君のいちばんやらしい姿を見せてくれますか!?」──横山直弘
横山の卑猥な言葉を皮切りに、中盤はエロかっこいい楽曲を立て続けに披露していった。コール&レスポンスに、タオル回しにと手法を変えながら、これでもかとフロアを煽り、どの曲でも“お客さん参加型”をモットーに楽しい空間を作り上げていく。「A BANANA」では、「昨日(4月7日、栃木 Heaven's Rock Utsunomiya VJ-2公演)は酸欠で空気が薄くなりました。今日もお前ら、酸素なくしてくれるよな!」と、容赦ない横山。曲が進むにつれて、会場の温度は天井知らずに上がっていき、この日も、どんどん酸素が薄くなっていくものだから、MC中にスタッフがフロアの扉を開けて、空気を入れ替えなければいけない程だった。
「俺らがPOLYSICSと初めて対バンをしたこの日、柏のみんなが目撃者です。記念すべき日じゃないですか!?」と、人生初のライブ体験がPOLYSICSだったという秋月が喜びを語ったあと、いよいよライブはクライマックスに向けて勢いを増していった。プログレッシブな展開で感覚ピエロというバンドが優れたプレイヤー集団であることも痛感させた「変幻」から、イントロ一発でフロアを一斉にジャンプさせた「Japanese-Pop-Music」へ。会場の盛り上がりがピークへと達したところで、横山がひとり語りかけた。
「自分の信念を絶対なくすんじゃないよ。その胸にあるもの、あんたが大事にできなくて、誰が大事にするんだ? 俺らも何度もブレそうになったけど、“絶対になくさないぞ”って思って、ここまで来ました。君にもできるよ、絶対。このドアの先にある素敵な未来を掴みとってください」──横山直弘
そして、最後に届けたのは「ハルカミライ」だった。メンバーの背中を強い光が照らすなかで届けた希望の歌は、感覚ピエロのライブとは、その場限りの楽しさだけでは終わるものではなく、このライブハウスの外に出たあとにこそ、本当の意味を持つことを伝える名演だった。
本編が終ると、「wanna be!wanna be!」「リア充大爆発!」というお客さんのコールで、メンバーが再びステージに登場。「他の会場では、(アンコールで呼び込むときに)「O・P・P・A・I」をやってくれる子たちが増えてきたの……柏さあ(笑)。ちょっとお前らオリジナリティ溢れすぎだよ」と横山が嬉しそうに笑いながら言うと、そんなお客さんの想いを汲み取るように、アンコールの1曲目では「リア充大爆発」を届けた。
さらに「選択肢がふたつあります。もう1曲やるか? このまま帰るか?」と、横山。もはや一択も同然の二択に、会場からは当然「もう1曲!」の声。そして、「拝啓、いつかの君へ」が披露された。ステージでは言わなかったが、実はアンコールでは「リア充」か「拝啓」のどちらか1曲をやる予定だった。だが、おそらくこの日の「拝啓」は、感覚ピエロの存在を『ゆとりですがなにか』の主題歌で知ったというPOLYSICSに贈る、粋な計らいでもあったのだと思う。
   ◆   ◆   ◆
ライブを終えて、横山と秋月にPOLYSICSとの対バンについてコメントをもらった。
「諦めないでバンドをやってて良かった、これに尽きますね。12年前に自分に言ってあげたい。“お前、いま目の前に見てる人と千葉でやるで”って(笑)」──秋月琢登
「単純に音楽のカッコよさに痺れました。プログレッシブに展開していくんだけど、ちゃんとお客さんがワッて反応できるツボをついてる。だから、うちらのお客さんも一緒に楽しく遊べたんだと思います。そこにシンパシーを感じましたね。今回はPOLYSICSさんのおかげで柏公演は大成功したので、今後とも仲良くしてもらいたいです!」──横山直弘
   ◆   ◆   ◆
千葉・柏公演を終えて、47都道府県ツアーは残り30本。次回は、5月23日に開催する群馬・高崎club FLEEZのアルカラとの対バンにて、対談とレポートをお届けする予定だ。
取材・文◎秦理絵

撮影◎ヤマダマサヒロ
■Digital Single「一瞬も一生もすべて私なんだ」


主要配信サイトにて配信中

▼iTunes

https://goo.gl/UnUKry

▼Apple Music

https://goo.gl/hvoKNs

■オトナの土ドラ『いつまでも白い羽根』

放送局:東海テレビ・フジテレビ系全国ネット

毎週土曜日23時40分~24時35分

▼出演者

新川優愛、伊藤沙莉、酒井美紀、さとうほなみ、瀬戸利樹、清原翔、柳沢慎吾榊原郁恵、加藤雅也 他

番組オフィシャルサイト: http://tokai-tv.com/shiroihane/

■<47都道府県ツアー2018『KKP TOUR またイかせてもらいます!!47都道府県全国津々ムラ×2!! デリバリー感覚ピエロ!!~チェンジだなんて言わせない~』>

03月04日 愛知 Zepp Nagoya

03月09日 東京 Zepp Tokyo

03月01日 埼玉 西川口HEARTS

03月11日 静岡 UMBER

03月17日 大分 DRUM Be-0

03月18日 宮崎 SR-BOX

03月02日 鹿児島 SR-HALL

03月21日 熊本 熊本 B月9 V2

03月23日 福岡 DRUM LOGOS

03月24日 佐賀 Live House GEILS

03月25日 長崎 DRUM Be-7

03月31日 山梨 甲府KAZOO HALL

04月01日 長野 松本ALECX

04月04日 岩手 盛岡CLUB CHANGE WAVE

04月05日 青森 青森Quarter

04月07日 栃木 HEAVEN’S ROCK Utsunomiya VJ-2

04月08日 千葉 柏ThumbUp

04月13日 広島 HIROSHIMA CLUB QUATTRO

04月14日 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM

04月18日 愛媛 松山サロンキティ

04月02日 高知 高知X-pt.

04月21日 香川 高松DIME

04月22日 徳島 徳島club GRINDHOUSE

05月16日 秋田 秋田LIVESPOT2

05月17日 山形 山形ミュージック昭和セッション

05月23日 群馬 高崎club FLEEZ

05月26日 茨城 水戸LIGHT HOUSE

05月27日 神奈川 横浜BAYSIS

05月31日 福島 郡山 CLUB #9

06月01日 宮城 仙台CLUBJUNKBOX

06月03日 新潟 新潟GOLDEN PIGS RED STAGE

06月06日 石川 金沢LIVE HOUSE vanvanV4

06月09日 福井 福井CHOP

06月10日 富山 富山MAIRO

06月17日 北海道 Sound Lab mole

06月23日 岐阜 岐阜CLUB ROOTS

06月24日 三重 松阪M'AXA

06月30日 和歌山 和歌山GATE

07月01日 奈良 奈良NEVER LAND

07月06日 兵庫 music zoo KOBE 太陽と虎

07月07日 京都 京都MUSE

07月08日 滋賀 滋賀U★STONE

07月14日 鳥取 米子 AZTiC laughs

07月15日 島根 松江 AZTiC canova

07月16日 山口 LIVE rise SHUNAN

07月21日 沖縄 桜坂セントラル

07月28日 大阪 なんばHatch

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