【インタビュー】エクリプス「エクリ
プスをこき下ろせるのは自分たちだけ
だよ(笑)」

2016年に待望の初来日を果たしたスウェーデン出身のエクリプスが、再来日を果たした。
6thアルバム『Monumentum』をリリースしての再来日公演は、初の大阪公演も開催されサイン会やファンとのカラオケ企画、オフ時間を利用してのプライベートアコースティックライブの開催など、盛りだくさんの日本滞在となった。
新作『Monumentum』から多く披露された今回のステージも、常に観客との合唱が生まれる空間となっていた。前回の初来日公演では若干の調子悪さを感じさせたエリックの歌声も安定しており、演奏陣のパフォーマンスもパワフルでエネルギッシュに進行、何度も日本に対する思いを口にするエリックは、終始動き回りアグレッシブだ。アルバム毎に名曲を生んできたバンドだけに旧作からの披露は少なくなりがちだが、アコースティックコーナーもたっぷりと堪能、ライブ中の高揚感と終演後の爽快感で観客を幸福感で包んでいた。
東京公演前日に、エリック・モーテンソン(Vo.、G)とマグナス・ヘンリクソン(G)がインタビューに応じてくれた。
──2年ぶりの来日ですね。
マグナス・ヘンリクソン:素晴らしい気分だね。早めに東京に着いて、美味しいものを食べたりギターショップに行ったりして楽しんでいるよ。
エリック・モーテンソン:昨夜、アコースティックのシークレットライブをやったんだよ。マネージャーがこじんまりとライブができる場所を探していて、新宿の歌舞伎町にちょうど良いところがあってね。本当にシークレットだったからファンには知らせずに動画をFacebookに投稿したんだ。今夜はまた別の場所なんだけど、東京に着いた日は時差ボケもあって、寝てしまうと余計に辛いから頑張って起きてなきゃと思ってさ。そのわりにビールをガンガンに飲んでしまったよ(笑)。その時に行ったバーが良いところだったから今夜はそこでやるんだ。
──今回は初めての大阪公演もありますね。
エリック・モーテンソン:バンドとしては初めてだね。
マグナス・ヘンリクソン:10年くらい前だけど、今のベーシスト(マグナス・ウルフステッド)がロイヤル・ハント在籍時に行った事があるみたいだよ。
エリック・モーテンソン:みんな新幹線に乗るのを楽しみにしてるんだ。
──6枚目となるニューアルバム『Monumentum』ですが、このタイトルの意味は?
エリック:前作が『Armageddonize』だったでしょ?アルマゲドンという言葉はあるけど“ナイズ”は造語なんだ。僕らエクリプスというバンド名は普通の言葉なので、アルバムタイトルはスペシャルなものにしたくてね。そうすると検索したときも一番先に僕らのアルバムが出てくるし。今作も何かスペシャルにしたくて、ふたつタイトルを思いついたんだ。ひとつは記念碑を意味する「Monument」、もうひとつはちょうどバンドに勢いもあったので「Momentum」。この二つの候補をいっそひとつにしちゃえと思ったんだ。この時はこれは造語だと思っていたんだけど、実はちゃんとしたラテン語でモニュメントの事を『Monumentum』と言うことを後で知ったんだ。僕らの意味するところは、記念碑と勢いを表した造語だったけど、内容的にも記念碑に相応しいものになったからラテン語の意味でも合っているかな。
──前回は、マグナスが「エクリプスファイ」にしようか、なんて事も言っていましたよね。
マグナス・ヘンリクソン:それ最低だな(笑)。きっと僕は前夜に日本酒を飲み過ぎてたよ。
──今作はホワイトスネイクぽさも薄れ、オリジナリティ溢れるものになったと感じますがいかがですか?
エリック・モーテンソン:そう言ってもらえると凄く嬉しいよ、ありがとう。まさにそれがエクリプスの目標なんだ。どんなバンドもそうだと思うけれど、常に自身のサウンドを追求しているけれど、まだ僕らはこれだというものに到達していない。まだ開発途中だけど、アルバムごとに成長したいと思っているし音楽の旅をしているんだよね。
──新しいスタジオを作ったそうですね。レコーディングはそこで?
エリック・モーテンソン:うん、ストックホルムから300キロ離れた湖に浮かぶ島へ引っ越したんだよ。
マグナス・ヘンリクソン:自然がとても豊かなのでリラックスして作業できた。雰囲気がとても良かったよ。
エリック・モーテンソン:アミュニションやW.E.T.のアルバムもそこで作ったんだ。1年半くらい経つかな?
マグナス・ヘンリクソン:ミキシングもエリックが担当したし、ギターアンプも新しくしたりね。テクニックや機材面もそうだけど、一番は曲作りがとにかく良くなった。どんなに機材面が良くなっても曲ありきだからね。
──長過ぎずコンパクトなアルバムになっているのも意図してですか?
マグナス・ヘンリクソン:そうだね、僕らもあまり長い作品にはしたくないんだ。僕らがずっと聴いてきた名盤と言われるアルバムはみんなそんなものだよね。人間が一度に頭に取り込める量ってそんなに多くないと思うし、ある程度コンパクトにする事は心がけているよ。2枚組で17曲とかって退屈せずに通して聴くのは難しいよね、グレイテスト・ヒッツとかは別だけど。20曲そこそこの曲があるより、2曲キラーチューンがある方がいいでしょ。
──良い作品を作り続けていると、新作を作る際にプレッシャーは感じませんか?
エリック・モーテンソン:1stアルバムの頃から感じていないわけじゃないけど、そんなに考えない方かもしれない。世の中にはたくさんの評論家がいるけど、誰よりも自分たちに厳しくあるべきは自分たちバンド自身だと思うんだ。「このヴォーカル最低だな」って、エクリプスをこき下ろせるのは自分たちだけだよ(笑)。これだけ厳しくやって来たからあまり考えないのかもしれないね。
──エリックは楽曲制作の際、これはエクリプス、これはW.E.T.、これはアミュニション…と意識は変わりますか?
エリック・モーテンソン:大抵はアルバム単位で仕事をするので、曲を作り溜めて割り当てるわけではないね。これが何の仕事かは自分ではもちろんわかっているし、W.E.T.ならW.E.T.のモードに入るし、アミュニションならそっちのモード。例えば、大工だってキッチン作っているときはバスルームの事は考えないでキッチンに専念するでしょ?でもたまに、W.E.T.の曲を書いていても、これはW.E.T.よりもエクリプスに向いているかな?ってものができてしまう事はある。そういう時はそっちに回すし、その逆もあるよね。
──ネタは尽きないですか?
エリック・モーテンソン:まだ大丈夫、枯れてないよ。ずっと書き続けているとインスピレーションが沸くんだよ、一旦止めてしまうとダメかもしれないね。バンドで数年オフを取ってカムバックしても厳しそうだな…。常に書いている事がコツかな。
──関わっているバンドの北欧人脈も、親交が密なイメージです。
エリック・モーテンソン:お互いに凄くインスパイアし合っていると思う。ヘヴィ・メタルだけでなく、日本のEXILEというグループのポップソングでも成功したヨハン・ベッカーとかも親しいしね。
マグナス・ヘンリクソン:近所にたくさんのミュージシャンが住んでいるんだよ。僕の家の通りにはオーペスのギタリストやシンガーも住んでいるし、ゴーストのシンガーもいる。その通りにある小さなパブはミュージシャンの溜まり場だよ(笑)。みんなロックスターを気取っていなくて等身大の仲間なんだ。
──EXILEの名前が出ましたが、日本のバンドからプロデュースして欲しいとオファーが来たらどうしますか?
エリック・モーテンソン:もちろん大歓迎だよ。今のところオファーはないから、どんどん宣伝してくれる?連絡さえしてくれたらぜひ一緒にやりたいよ。
──今回は日本のファンとのカラオケ企画もあるそうですが、十八番ナンバーってありますか?
マグナス・ヘンリクソン:僕はエルヴィス・プレスリーやロイ・オービソンのラブソングかな(笑)。
エリック・モーテンソン:僕は絶対にこれちゃんと歌えないぞってところで、スレイヤーとかクィーン「Bohemian Rhapsody」とか、絶対に不可能な曲を選ぶよ(笑)。今日は特にこれはダメとかもないからファンと一緒にデュエットもありかもね。
マグナス・ヘンリクソン:日本のファンはナンバーワンだよ。明日のショウも楽しみにね。
エリック・モーテンソン:僕らを呼んでくれてCDを聴いてくれたりライブに来てくれて本当にありがとう。
取材・文:Sweeet Rock / Aki

写真:吉浜弘之 / Hiroyuki Yoshihama
<Eclipse ~ MonumenTour 2018 ~>

2018.4.27.Shibuya O-West

1.Vertigo

2.Bleed and Scream

3.The Storm

4.Wake Me Up

5.Jaded

6.Hurt

7.Killing Me

8.Ain't Dead Yet

~Drum Solo~

9.Live Like I'm Dying(Acoustic)

10.Wide Open(Acoustic)

11.Battlegrounds(Acoustic)

12.The Downfall of Eden

13.Black Rain

14.Instrumental

15.Blood Enemies

16.Stand on Your Feet

~ Encore ~

17.I Don't Wanna Say I'm Sorry

18.Never Look Back

19.Runaways

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