『ミュージカル『テニスの王子様』1
5周年記念コンサート Dream Live 20
18』青学9代目、いよいよファイナル
へ!

ミュージカル『テニスの王子様』恒例のコンサート公演“Dream Live”の最新ステージ、『ミュージカル『テニスの王子様』15周年記念コンサート Dream Live 2018』越前リョーマ役の阿久津仁愛を残した11名の9代目青学メンバーにとってはこれが“卒業”となるメモリアルなステージの模様をお届け!
2018年5月5・6日の神戸ワールド記念ホールでの盛り上がりを引き継ぎつつ開幕した“ドリライ”神奈川公演は、この19日と翌日の20日の2日間のみ。会場となる横浜アリーナは、“今の”テニミュカンパニーの勇姿をその目に焼きつけようと集まったファンの熱気であふれていた。
(c)許斐 剛/集英社・NAS・新テニスの王子様プロジェクト (c)許斐 剛/集英社・テニミュ製作委員会

青学1年トリオの軽妙な前説でスイッチが入った会場……やがて、映像による全キャスト紹介といい感じに焦らしてくれる長めのイントロダクションでジリジリと体温が上がれば、全員総出のオープニングナンバーが歌い出された瞬間に即爆発! 学校カラーに光り輝くライトで埋め尽くされた場内が一気に揺れる。
正面ステージから伸びる花道は、途中と突端にそれぞれ出島のステージが設けられ、観客はそこをグルリと取り囲むスタイル。ステージ上では全方位からの視線を一心に浴びたキャストたちが立海、青学、六角、比嘉……と学校ごとに入れ替わりながら、それぞれの出演回で披露したナンバーを繰り出していく。たたみかけるように続くおなじみの楽曲も、やはり劇中で聴くのとコンサート仕様とではなんとなくニュアンスも新鮮。なにより、一緒に口ずさんだり合いの手コールを入れたりと、客席も参加できるのはやっぱり楽しい。
(c)許斐 剛/集英社・NAS・新テニスの王子様プロジェクト (c)許斐 剛/集英社・テニミュ製作委員会

青空と爽風を想起させてくれる青学、王者の風格と凄みでグイグイくる立海、屈託のない海の子集団六角、ストリートスタイルでちょっとワルな海人の比嘉と、それぞれの“校風”を生かした遊びも散りばめつつ駆け抜けた前半は、聴きたい曲満載の“ベスト盤”的構成。発表されているキャストに加え、不動峰・橘桔平役の青木空夢、聖ルドルフ・観月はじめ役の宮城紘大、山吹・千石清純役の森田桐矢もチームを代表して出演、華を添えた。我らが座長・リョーマ役の阿久津は一作ごとに歌声に磨きをかけそのメッセージ性を高めて来たが、今回、キモノ風衣裳で刀を握ったサムライスタイルのソロは特に伸び伸びとした強さを感じさえ、非常に魅力的だった。
MCコーナーを挟み、着ぐるみ風の衣裳や本格マジック、炎の特効なども飛び出した中盤は、バラエティ感多めの演出でさらに熱く盛り上げていく展開に。そして再び短めのMCコーナーを挟んだ終盤は、またしてもグッと“聴かせる”モードへ。そうしてここまでとにかく楽しく熱い時間を夢中で過ごしてきたが、気づけばラストへ向け初演から歌い継がれて来たナンバーを続けて歌う青学がクローズアップされ──いよいよ、ドレスアップした9人がしっとりとした表情でパフォーマンスするミディアムテンポの“青学ソング”へと到達。曲の終わり、そっとラケットを床に置く8人と、頼もしい表情でひとり掲げ続けるリョーマ。その対比におのずと観る者の心に“卒業”の2文字が浮かび上がる。そして、閉幕の挨拶へ。
(c)許斐 剛/集英社・NAS・新テニスの王子様プロジェクト (c)許斐 剛/集英社・テニミュ製作委員会

ちなみに今回MCコーナーを仕切ったのは初代青学の大石役を務めた土屋佑壱。そしてOBゲストとして初代氷帝学園のメンバー、跡部景吾役の加藤和樹忍足侑士役の斎藤 工、日吉若役の河合龍之介が参加。共に“卒業”を経験している先輩たちが、テニミュという舞台が自分たちにとってもずっと宝物であること、ここでの経験が今の自分に繋がっているんだという感謝の気持ちを自身の言葉で語り合い、後輩に、そして応援してくれている客席に向けて届けてくれたのも“15周年記念”ならではのスペシャルな時間だった。とある曲中の映像に歴代キャストの姿が映し出されたのも忘れ難い。
……と、ここで終わるのはまだ早い。最後はお楽しみのアンコールソング! 場内を明るくし、アリーナ席の通路はもちろん、2階席、そして3階席の端の端の一番上まで、全キャストが歌い踊り練り歩く。少しでも長い時間、少しでも近くに──会場中が歌声と身振りと笑顔を交わす、幸せに満ちたひととき。お互いに出会えたことを直に喜び合うこのひとときが、ドリライの真骨頂である。
あくまでもミュージカルのコンサートということで過剰な演出はせず、全33曲をひたむきに歌い切ったカンパニー。お別れのしんみりとは無縁、「また会おうね」という気持ちで締めてくれるのもさすが。これぞ“青春体感”、だ。
(c)許斐 剛/集英社・NAS・新テニスの王子様プロジェクト (c)許斐 剛/集英社・テニミュ製作委員会
取材・文=横澤由香

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