【インタビュー】ロイヤル・ハント「
同じ事の繰り返しは悲劇だよ」

ロイヤル・ハントが通算14枚目となるニューアルバム『Cast in Stone』をひっさげ、デビュー25周年も迎えての来日公演を果たした。
デンマーク出身のロイヤル・ハントは、キーボードのアンドレ・アンダーセンを中心にメロディアスな様式美スタイルで日本でもブレイク、シンガーのDC・クーパー在籍時に大きな人気を誇っていた。成功とともに紆余曲折を経るも、数年前にDC・クーパーが復帰し、再び安定した活動を行っている。
来日公演では、非常に輪郭のあるクリアでバランスが良いサウンドを聴かせてくれた。時折、サビをオクターブ上で歌うDCはそれでもまだ余裕さえ見え、ステージアクションも相変わらず独特な色気が満載で、その豊かな表情はミュージカルシンガーのようである。アンドレはキーボードの城が築かれている為に背中を向ける場面が多々あったものの、ショルキーでセンターに登場もあり、ヨナス・ラーセン(G)も昨今のメタルギタリストではない様式美スタイルが心地よい。ふたりのアンドレアス(パスマーク/B、ヨハンソン/Dr)も終始楽しんでいる様子が伺え、MC場面でも現在のバンドの雰囲気がとても良好である事が伺えた。オープニングからアンコールのラストまで、ベテランの安定感をしっかりと観せたステージとなった。
東京公演前にバンドの中心人物であるアンドレ・アンダーセン(Key)とDC・クーパー(Vo)にインタビューを行った。
──デビュー25周年おめでとうございます。再来日と合わせて今のお気持ちを。
DC・クーパー:ありがとう、歳を取ったなあ(笑)。
アンドレ・アンダーセン:日本はいつ来ても楽しいし、2~3年に一度くらいの定期的なペースで来日公演もできて、たまに<ラウドパーク>にも出られたりね、とても感謝しているよ。初来日は多分1994~1995年だったと思うから23年以上は経ったね。
──振り返ってみて困難だった事や印象深かった事は?
DC・クーパー:楽しかった事を話そうかな(笑)。
アンドレ・アンダーセン:どんなバンドも例外なく困難な時期ってあると思うんだ。僕らの1990年代にあった確執はわりと公にされていたけど、そういう時期も終わって今はこうして仲良くやっているよ。
DC・クーパー:僕にとってのライブやロイヤル・ハントとしてのキャリアの中では、1996年の渋谷公会堂での映像収録がとても印象深いかな。日本はステージでもいつも楽しいし、人間いつキャリアが終わるかもわからないから一日一日を大切に生きたいと思うし、ステージで歌っている瞬間が一番生きている実感がする。長い間、ファンも僕らに付いてきてくれて、神様に与えられた歌う才能をステージで存分に発揮出来る事が本当にハッピーだよ。
アンドレ・アンダーセン:2度目の来日の頃かな…阪神大震災の直後に、大阪と川崎だったかな。震災の追悼で作った「Far Away」をアンプラグドでやったんだけど、あの時は凄くグッと来たよね。プロレスラーの蝶野がステージに上がった事もあったな、インパクトあったよ。
──日本のマーケットやファンは大きな存在でしたか?
アンドレ・アンダーセン:この手のジャンルの音楽はみんなそうだろうね、日本に来たくないバンドはいないと思うよ。
DC・クーパー:ロイヤル・ハントにとってとても重要なマーケットだよ。
アンドレ・アンダーセン:ずっと維持するのは難しいよ。やっぱり1990年代の方がCDやチケットの売れ行きも良かったし、ライブ会場の規模も大きかった。多少の浮き沈みはあるけど、それでも日本はバンドにとって重要な国だね。
──最新アルバム『Cast in Stone』は通算14枚目となりますが、作品を作り続ける上で大切にしている事は?
DC・クーパー:チャレンジだよ。
アンドレ・アンダーセン:一番根底にあるのは楽しむ事だね。ほとんどのアーティストはアーティストである以上、常に新しいものを作り上げてチャレンジして成長して行くべきだと思う。その上で、楽しさはなくてはならない。たとえCDの売上げが良くなくても、その楽しさがあれば常にチャレンジし続けて行けると思うんだ。『Cast in Stone』で言えば、アナログ機材にこだわった事もチャレンジさ。そういうチャレンジをやらなくなってしまったら同じ事の繰り返しは悲劇だよ。
──アナログ機材にこだわったとの事ですが、『Cast in Stone』は暖かみはありダイナミックになっていますよね?
アンドレ・アンダーセン:昨今のアルバムはほとんどがデジタルでしょ?そして小さなスペースでの宅録だよね。そういうふうに作れてしまう時代なんだけど、自分たちが聴いてきた好きな音、クラシックロックと言われるものはアナログで作られたものだから、それを2018年に蘇らせたいというコンセプトなんだ。だからアナログ機材でテープや真空管も使って、マスタリングまでもアナログでやったんだ。それが暖かみとダイナミックで奥行きのあるものにつながったと思うよ。
──楽曲もよりクラシックハードロックになり、特に「The Last Soul Alive」はまさにレインボーですよね?
アンドレ・アンダーセン:うん、そこは狙ったんだ(笑)。僕もこの世界は長いのでもう少し違うようにも作れたけどね、あえて狙ったよ。イントロもハモンド使ったしね。1978年を意識したんだ、リッチー・ブラックモアに訴えられてもいいくらいの気持ちさ(笑)。
──たしかにアンドレのハモンドも珍しいと思いました。
アンドレ・アンダーセン:そうだね、実はどのアルバムにもハモンド入っているけど、少しだったり、どの曲にも使ってるわけではないからね。
──近年のアルバムはギターサウンドがとてもフィーチュアされていますが、これはバンドにとって大きな変化ではないですか?
アンドレ・アンダーセン:うん、ミステイクさ。間違えたね(笑)。これはやっぱりギタリストのヨナスがこのバンドでの自分の居場所を見つけたんじゃないかな?加入当初は凄く慎重だったよ。自分が自然に出せるようになったんじゃないかと思うよ。
──これまではわりとキーボードがメインで、ギターは引っ込んでいる印象でしたけど。
アンドレ・アンダーセン:みんな気づいてないかもしれないけど、キーボードが入っていない曲も全然あるし、ロイヤル・ハントには素晴らしいシンガー、ギタリスト、ベーシスト、ドラマーが揃っているからね。でもそこまで言われると次はもっとキーボード入れちゃおうかな(笑)。
──25周年を記念して、スペシャルな予定はありますか?
アンドレ・アンダーセン:そうだな、お祝いだと1ヶ月間くらいどこかでのんびり休暇を過ごしたところだけど、だいたい働いているよね。レコード会社がバハマとか行かせてくれたら嬉しいんだけどな(笑)。2016年にグレイテスト・ヒッツをリリースしたから、今の時点での企画物リリースの予定はないかな。
──日本のファンへメッセージをお願いします。
DC・クーパー:長年、ロイヤル・ハントと僕の人生に関わってくれた事にとても感謝しているよ。ステージに上がる度に嬉しい思いをしている。でも、この音楽業界で生き延びて行く事はどんどん難しくなっているんだ。Spotifyなどがある為にミュージシャンとして生計を立てて行く事もアルバムを作って行く事も困難になってきている。これを打開するにはみんなのクチコミやSNSに頼るしかない、もしロイヤル・ハントのファンだったら家族や友人でもいい、クチコミで広めて欲しいと思う。映像もアップしているけど、200回とかしか再生されていなかったり、僕らのファンは200人以上は居るはずでしょ?やっぱりみんなの目に届いていないんだ、だからファンのクチコミで広めてもらわないと全体的に落ち込んでしまうよ。アイアン・メイデンのような大物バンドでない限り生き延びて行く事は難しいんだ、バンドもどうしたら良いかわからない。ファンのみんなには是非お願いしたいよ。
アンドレ・アンダーセン:手短に話すよ(笑)。ニューアルバムと今日からのコンサートを楽しんでね。
取材・文:Sweeet Rock / Aki

写真:Yuki Kuroyanagi

<Royal Hunt ~Cast in Stone Japan
Tour 2018 ~>

2018.4.16.Shibuya Club Quattro

1.Last Goodbye

2.A Million Ways to Die

3.Wasted Time

4.Tearing Down the World

5.Hard Rain's Coming

6.Harf Past Loneliness

7.The Last Soul Alive

8.Until the Day

9.Cold City Lights

10.Message to God

11.A Life to Die For

~Encore~

12.Fistful of Misery

13.Epilogue

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