【ライブレポート】石川綾子、日本初
の<ハイレゾヘッドフォンコンサート
>にみた“新たなエンターテイメント
の誕生”

5月16日、青山Future SEVENにて<石川綾子ハイレゾヘッドフォンコンサート>が開催された。その名の通り、ヘッドフォンで最高音質を楽しもうという趣旨のもと、ライブのサウンドをコントロールするエンジニアはもちろん、オーディエンスも石川綾子本人も会場内全員がヘッドフォンを装着するという異例のイベントである。
この日は『ジャンルレスTHE BESTコンサートツアー』Blu-ray/DVDの発売日でもあり、リリース記念イベントのため6曲のみというコンパクトなセットリストだったものの、その内容は実に濃密でエポックなものだった。
生演奏は石川綾子のバイオリンのみで、バックのオケは、すべて『ジャンルレスTHE BESTコンサートツアー』Blu-ray/DVDに収録されている第一生命ホールでのライブ音源(2017年11月18日)が使用されている。石川綾子のバイオリンのみを取り除く必要があるため、このイベントのために新たにミックスされたもので、192khz/24bitというハイレゾ音源で制作されている。現在のレコーディング環境で考えうる最高峰のサウンドクオリティを実現するため、ハイエンドポータブルオーディオの旗手Astell&KernやTASCAM/FitEarの協力を受けることで、会場にはMASTER & DYNAMICやbeyerdynamic、FitEarのハイレゾ対応ヘッドホン/イヤホンが用意され、オーディエンスの手元までそのサウンドの品質をキープするべく、TASCAM MH-8でサウンドが分配されるシステムが組まれていた。
オーディエンスが聴いているオケ音源は、石川綾子が演奏のために聴く音源と全く同じものだ。石川綾子はその音源に乗ってバイオリンをプレイするわけだが、バイオリンの生音は天井から吊るされたマイクで集音され、リアルタイムにオケとミックスされてオーディエンスの耳元に届けられる。バックのオケはホールで録音されたものだが、この日の会場は小さなライブハウスのため、バイオリン・サウンドに乗っているアンビエンスは、オケのものと全く性質の異なるものだ。この違和感を埋めるために、バイオリンサウンドにホールリバーブをかけリバーブ成分だけを会場PAから出力することで、マイクから集音されたバイオリンのサウンドは、まさしくホールでの響きとなっていた。なお、リボンマイクと2本のコンデンサーマイク計3本が用いられていたが、高品質サウンドを担保するために立位置も厳密に指定され、普段はステージを動きながら弾く石川綾子も、この日だけはマイク直下から移動することなく激しいプレイを繰り広げた。
そもそも今回の取り組みは、高音質音源をヘッドフォン/イヤフォンで楽しむ環境が整ってきた中で、「コンサートの臨場感とバイオリンの生音をできるだけいい音で聴いてほしい」という石川綾子の思いから実現したものだ。細やかなディテールがビビッドに描写されるヘッドフォンならではの心地よさと、余計なノイズを寄せ付けない圧倒的な没入感が体験できる格別なひとときとなったが、会場内のすべてのオーディエンスに同じ音源が等しく配給されるという事実も、これまでありそうでなかったエポックな現象となった。座席位置の影響を受けず誰もが同じ音を享受できるという理想的なエンターテイメント環境の実現のみならず、アーティスト本人が聴いている音もオーディエンスと同じもの…演者とオーディエンスが同一線上に立つというありそうでなかった音楽環境の実現は、2018年現在だからこそ、初めて体験しうるものでもある。さらなる定位感のコントロールやビジュアルとの組み合わせを含めれば、よりリアリティあふれる新たなエンターテイメントの誕生を大いに予感させるものでもあった。
この日の音響を担ったエンジニアは、マイケル・ジャクソンやボーイズ・トゥ・メン、ザ・キラーズなどの作品に携わり、日本プロ音楽録音賞 優秀賞(ハイレゾ部門)受賞の経験を持つニラジ・カジャンチで、ライブ中にも3本のマイクのサウンドを曲に合わせてリアルタイムにチューニングする職人技をみせていた。会場を埋めていたオーディエンスの中には、通常のファンはもとより、オーディオ界の有識者やメディアも多く参列し、世界初のハイレゾヘッドフォンコンサートをしっかと受け止めている様子も印象的だった。
■<Astell&Kern presents 石川綾子ハイレゾヘッドフォンコンサート powered by TASCAM>2018年5月16日(水)@東京・青山 Future SEVENセットリスト


1.糸

2.ひまわり-Loss of Love-

3.君をのせて

4.NEVER ENDING STORY meets CANON

5.リベルタンゴ

6.千本桜

参加エンジニア:二ラジ・カジャンチ(NK SOUND TOKYO

企画・主催:タートルミュージック

協賛:Astell&Kern

協力:TASCAM/FitEar

■<石川綾子ジャンルレスシリーズ 2018 >

▼“VOL.1 ボカロクラシック”

2018年5月25日(金) ハクジュホール

開場18:30 開演19:00

コラボレーションゲスト:+α/あるふぁきゅん

全席指定5,000円(税込)

<演奏予定曲>千本桜/六兆年と一夜物語/桜ノ雨/初音ミクの消失 ほか


▼“VOL.2 シネマクラシック”

2018年6月22日(金) ハクジュホール

開場18:30 開演19:00

コラボレーションゲスト:May J.

全席指定5,000円(税込)

<演奏予定曲>パイレーツオブカリビアン/ひまわり/君をのせて(「天空の城ラピュタ」より)/ネバーエンディングストーリー/銀河鉄道999(THE GALAXY EXPRESS999)ほか


▼“VOL.3 アニメクラシック”

2018年7月29日(日) ハクジュホール

開場13:30 開演14:00

コラボレーションゲスト:松井咲子

全席指定5,000円(税込)

<演奏予定曲>前前前世(「君の名は。」より)/君の知らない物語(「化物語」より)/UNRAVEL(「東京喰種トーキョーグール」)/only my railgun(「とある科学の超電磁砲」)ほか
▼チケット

・チケットぴあ http://w.pia.jp/t/ayakoishikawa/

・e+ http://eplus.jp/ayakoishikawa18/

・ローソンチケット http://l-tike.com/search/?lcd=32918

・Yahoo!チケット http://r.y-tickets.jp/ishikawa1801

※取扱い席種等、各プレイガイドの受付サイトにてご確認下さい。

※予定枚数に達し次第、受付終了となります。

(問)タートルミュージック 03-6427-6466

■Blu-ray /DVD『ジャンルレスTHE BES
Tコンサートツアー』

2018年5月16日発売
【Blu-ray】TMRC018 6,480円(税込)
【DVD】TMRC017 5,400円(税込)
<収録曲>

01.CHILD’S ANTHEM

02.糸

03.NEVER ENDING STORY meets CANON

04.君をのせて

05.ひまわり-Loss of Love-

06.四季より「夏」

07.剣の舞

08.六兆年と一夜物語

09.前前前世

10.君の知らない物語

11.『誓い』

12.『PASSION』

13.リベルタンゴ

14.千本桜

15.only my railgun

16.チャルダッシュ

全16曲 収録時間:77分

▼出演

石川綾子(Vn)、森丘 ヒロキ(Pf) 豊田 稔(Per) 吉田 篤貴(1st Vn) 松村 宏樹(2nd Vn) 萩谷 金太郎(Va) 内田 麒麟(Vc)
■ハイレゾ音源『ジャンルレスTHE BESTコンサート』

2018年4月25日先行配信リリース

3,000円

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