ヘクとパスカル インタビュー写真

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ヘクとパスカル、
アジアツアーを敢行!
岩井俊二、椎名琴音、桑原まこが語る
ライブへの想いとは?

映画監督の岩井俊二が率いるバンド、ヘクとパスカルのアジアツアーがスタートした。2018年5月6日に開催された大阪公演を皮切りに、中国・深セン、上海、香港、台湾を周り、6月1日に東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEでファイナルを迎える。今回、彼らがツアーのリハーサルを行なっているスタジオを直撃。女優でシンガーソングライターの椎名琴音、作曲・編曲を手掛けるピアニストの桑原まこ、岩井俊二の3人に6都市に及ぶアジアツアーに挑む率直な心境を聞いた。
映画監督の岩井俊二が率いるバンド、ヘクとパスカルのアジアツアーがスタートした。2018年5月6日に開催された大阪公演を皮切りに、中国・深セン、上海、香港、台湾を周り、6月1日に東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEでファイナルを迎える。今回、彼らがツアーのリハーサルを行なっているスタジオを直撃。女優でシンガーソングライターの椎名琴音、作曲・編曲を手掛けるピアニストの桑原まこ、岩井俊二の3人に6都市に及ぶアジアツアーに挑む率直な心境を聞いた。

——日本で1月24日にリリースされた1stアルバム『キシカンミシカン(既視感未視感)』が台湾に続き、香港、シンガポール、マレーシアでも発売されることが決定しました。

椎名:私、インスタグラムですごく可愛い唄を歌う女の子を見つけて。香港の子だったんですけど、自分のインスタに“すごくいい”ってアップしたら、本人から日本語で“ありがとう”っていうコメントが返ってきて。そのあと、私が英語でこういう音楽をやってるんだよって、「fish in the pool」のPVを載せたら、“知ってる! 聞いてます”って返ってきて。すでに「風が吹いてる」も『キシカンミシカン(既視感未視感)』も聴いてくれていたんですよ。自分が好きな人が自分の音楽を聴いてるのが嬉しかったし、国を越えたっていう実感もありましたね。メリーラムラム っていうアーティストなんですけど、香港のライブも来てくれるそうなので、会えるのがすごく楽しみです。

岩井:僕の場合は、映画を観てくれてる人も多くて。自分の中では、日本というよりも、アジアっていう風に世の中を見ることが、普通の日本人よりは相当多いんだろうなって思います。アジアをここ30年くらい見てますけど、いまは文化的に日本と近づいて、ほぼ同じものを共有してるのかなって感じていて。例えば、僕らが1980年代にテクノサウンドに出会った頃、中国にはテクノはなかったけど、いまはジャズとテクノとヒップホップを同時に吸収してるところがある。そういうスパンで見ると、世の中がすごく劇的に変わって、価値観もどんどん変化していってる流れの中にいるけど、100年前にあったドビュッシーの音楽が今も変わらずに鳴っているし、僕の音楽に対する趣味嗜好も小学生の頃から変わってない。そこを信じてやりたいなって思いますね。自分たちの音が、どんな風に聴こえているのかはわからないけど、本当にこれからだと思う。音楽も映画も、どんどんケミストリーが起きていってほしい。やっとアジアが理想的な状態になってきた気がするので、これからいろんな文化の交流があって、どんどん面白くなるんだろうなっていう気がしますね。

桑原:私はそういうことに一番疎いので、全然実感がないんですけど、SNSでの反響を見る限りでは、ま、嬉しいことなんだろうなって感じてます(笑)。

——(笑)。2016年7月には中国5都市でツアーを開催しましたよね。5公演で4600人を動員したツアーでもアジア全域で人気を得ている実感はなかった?

桑原:音楽をやるってことは、日本でもどこでも変わらなくて。だから、同じくらい楽しかったし、同じくらい大変だったし。でも、人はみんな優しいんだなって思いました。

椎名:お客さんが温かかったですね。自分が覚えている日本語を言ってくれる人がいて。“ダージャーザンマイアイン”=“みなさん、どうですか?”って呼びかけると、だいたい、“ハオ”=“いいです”って返ってくるんですけど、北京では“優しい!”とか、“可愛い!”っていう声が上がって(笑)。知ってる日本語を大声で叫んでくれたのが嬉しかったですね。

椎名:岩井さんはギターのお披露目が16年の中国でしたよね。

岩井:そうだね。あの時に人前で初めて弾いた。

——そうなんですか!? もともとバンドのギタリストだと思ってました。

岩井:最初は、演奏には参加してなかったんですよ。曲を作ったり、作詞をしたりはしていたけど、基本的にはプロデューサー的な立ち位置にいて。若干、キーボードを触れるくらいだったんですけど、ギターはまったくのゼロから始めたんですね。ギターを練習したら、少し参加できるかなと思って。ユニットを結成して最初の2年はやってなくて。この1年で、どうにか参加できるようになってきた。まだ全然ですけど、ちょっとずつやるとうまくなるもんで。普通にみんなが通るFコードの壁を乗り越えて、だいぶ、大丈夫になってきましたね。

椎名:“やっと部員になれた”って言ってましたよね。そんな気持ちだったんだなって思ったけど。

岩井:ベンチを温めてたのが、少し試合に出られるようになって。中学校の頃、剣道部だったんですけど、最初の頃は補欠だったんですよ。スタメンになった時の嬉しい気持ちと似てますけど、本当に人生、何があるかわからないですよね。なんだかんだ言って、計画的にやってきた方だったんですよ。でも、ある段階から、予期せぬことをやったほうが面白いって考えるようになって。その中のひとつが、ヘクとパスカルかもしれないですね。これは想定してなかったなっていう人生ですね。
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——中国公演のMCでは“W杯の選手の一員としてピッチに立ってる感じ”と言ってました。

岩井:そうそう。なぜ俺が?っていう(笑)。それは夢で何度か見たことがあるんですけど、夢の中では、なんの喜びもない恐怖体験でしたね。有名な選手が蹴ってくるボールをどうしたらいいんだろうっていう夢でしたけど、最初はそれに近い感覚がありました。映画は自分ができることとしてやってるので、緊張はないんですけど、人前で演奏することは人生の中でやってきてなくて。そこに挑むって言うのは、相当な刺激でしたね。体の細胞が全部、1回、初期化されるみたいな快感がありましたね。

——恐怖を乗り越えて快感になった?

岩井:両方ですね。音楽を作ることを含め、何かしらのものづくりをすることは映画にもすごい相乗効果をもたらすと思うんですけど、自分がパフォーマンスするってなると別の話で。映画でいうと、役者をやるのに近いことなんでしょうけど、どんな体験でも無駄なことはないので。ただ、これが、自分の人生の中でこういう意味があったのかって理解するには、まだ時間がかかる気がしますね。でも、それも後年のひとつの楽しみではありますね。
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——今回のツアーに関してはどんな思いでいますか?

岩井:やっぱり、すごく楽しみですね。映画もお客さんに観せてるものなんですけども、映画を観ているお客さんを見られたとしても、だいたいは映画を観てるお客さんの背中を見てるっていうスタンスなわけですよね。でも、自分が演奏をするとなると面と向かってるわけだし、しかも、自分が手を止めてしまったら、音が止まってしまうじゃないですか。恐ろしいですよね。

桑原:あははははは。やめてくださいね。

椎名:好奇心でやりそう(笑)。どうなるんだろうって。

岩井:自転車の車輪に足を入れてみたことがあるんですよ。足を入れてもまだ走るのか、止まるのか……止まりましたね(笑)。恐ろしい目にあいました。痛かったし、ひっくり返ったし。それはそうだろうっていう。

桑原:私も、車輪に足を突っ込んでみたことがあるし、実は演奏をやめたらどうなるかっていうのを試したこともあって。小学校くらいの頃に、アンサンブルだったんですけど、先生からは“メロディを弾く人はふたりいる”って言われてたんですよ。ほんとかな?と思って、1回弾くのをやめてみたら、メロディがなくなって。その瞬間、やべ!って思って、すぐに弾きだしましたけど。だから、岩井さんもやめちゃダメですよ! いいことないんで。

椎名:代わりはいないですからね(笑)。私は、チキンなんで、いまは怖いですけど、いつもライブの最後は楽しかったっていう感想で終わっているのを信じようと思ってます。1曲1曲、心を込めて、その時間を楽しめれば、ジェットコースターみたいにわ〜っと終わって、“あ、気持ちよかった。明日も頑張ろう”っていう気持ちになる。それだけを信じて、練習してるところですね。

桑原:私は前回の中国ツアーを振り返ると、まだメンバーを信用できてなかったなって思うんですよね。今、リハーサルの時点で、みんなのいいところが見えてきたり、成長を感じたりすることで、真剣に弾くとか、伝えるとかじゃなく、楽しむっていうことができるようになってきて。みんなの音を聴くみたいなことが、今は楽しくて。それが本番で、お客さんもいるなかでできることにすごくワクワクしてます。全然怖くなくて、すっごい楽しみです。みんなの音を聴きながらやれるんだって。

——どんなツアーになりそうですか?

岩井:今日もリハーサルをやってたけど、集中していくと、本当に映画を観てるみたいな感覚になるんですよね。これをお客さんと共有できたらいいですね。

桑原:岩井さん、今回、弾く曲が多いので、一番ドキドキしてるのかなって思います。

椎名:スタジオに入って来るとき、ズーンとしてた。

桑原:結構、無言だったりね。

岩井:あはははは。ちょっとね、やっぱり。

桑原:でも、一緒に合わせて、弾ききった時に、いい感じにまとまってると嬉しいんでしょうね。ひとつのライブが終わるごとに団結力がどんどん増していったらいいなって思います。それにしても、表情が重いですよね、岩井さん。

岩井:みんなは慣れてるけど、本番はどういう気持ちで挑んでるのかな。

桑原:リビングから寝室に行くみたいなノリで出たほうがいいんですよ。

椎名:私もいつもコンビニに行くくらいの感じで、ステージに出てますね。だいたいバンドメンバーの最後に出るんですけど、本来は緊張しいなのでガチガチになるんですよ。でも、みんなが“先に行ってるね。あとでね”っていう感じで出てくれるから、ホッとします。あとでコンビニでみんなに会おうっていうような気持ちで出ていける。あとは、余計なことを考えると失敗しがちなので、頭を空っぽにして、その時に感じたままを出すのがいいなって思いますね。

岩井:確かに。初めてやった時は、本当にギターを見てないと演奏できなかったので、譜面が見れなかったんですよ。

桑原:暗譜してましたね。

岩井:全部、記憶しなきゃいけなかった。それが大前提っていう状況だったんだけど、練習すると自然に譜面を見ながらでも手が動くようになってきたし、自分ができること以上のことはできないっていう考え方で精一杯やれたらいいなと思いますね。もともとね、すごいスーパーテクニシャンな人たちが集まって、技術を見せつけるような世界というよりは……。

桑原:赤ちゃんでも安心して聴けるような純度の高い音楽ですから。

岩井:そう。赤ちゃんのハートにも届くような、ハンドメイドな質感というか。そういう意味で、音作りでも、アコースティックにこだわって、機械的なものは使わずにやってきたので、ライブ1つひとつ、毎回、同じ曲でもちょっとずつ違っていいし、その都度唯一無二の演奏ができたらいい。映画やCDは完成したら完成。何回観ても、何回聴いても同じなんだけど、ライブはそうじゃないんだよなって。舞台のお芝居もそうかもしれない。そこは、自分がやってないゾーンなので、この機会に楽しめたらいいなって思いますね。
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——最後にファイナル公演に足を運ぶお客さんにメッセージをお願いします。

椎名:アルバム『キシカンミシカン(既視感未視感)』の曲は全部やるので、ぜひ聴いてきていただきたいなって思います。絶対に曲を知ってたほうが楽しめると思うし、岩井さんの映画のインストもやるので、岩井さんの映画をちょこっと観てくるのもいいかもしれない。ちょっとでも予習してきてもらえると、もっともっと楽しめるライブになると思いますし、アジアツアーの一番最後なので、それまでのツアーで見た景色も吸収して、全部を東京で出したいなって思います。

桑原:私は自分がライブにいく時に、盛り上がらなきゃいけないっていうのがプレッシャーになることがあるんですけど、ヘクとの曲は、わざと明るくしようとしないでそのままでいるところがすごく好きで。だから、“どんな気持ちで来ても大丈夫だよ”って言いたいですね。私たちも自然体でいたいし、そのままを届けたいし。誰でも来ていいよって思ってるので、多くの方に来てほしいし、会場でお会いできることを楽しみにして待ってます。

岩井:アルバムに入ってない、さらなる新曲というか、初めてやるカバーもあります。僕の映画の中からサンプリングされたものだったり、アルバムとは別の『キシカンミシカン(既視感未視感)』の曲=“聴いたことがあるはずなのに初めて聴く気がするカバー曲”もやるので、楽しみにしていてほしいですね。ヘクとパスカルは、自分の映画のフィルモグラフィーと並行して、またひとつの作品として作ってる世界で、気がつけば結成からもう5年くらい経っていて。成長したのかどうか、そういう部分も楽しんでもらえたらなと思います。僕は映画を1作品作るごとに、自分の価値観もリセットされてる気がするんですね。だから、ふたつと同じものを作れないし、自分も変わっていくしっていう中で、5年というスパンでやってきた音楽がどういうものになっているのか。僕らは表現する側で、お客さんがそれを聴いて受け止めて、どんな気持ちになるのか。その気持ちこそが“作品”なんだと思うんですよね。だから、どんな作品を作ったのかが、ライブで初めてわかるんだろうって思うし、どんな作品になったのか、皆さんの感想をぜひ聞きたいなと思います。
撮影:西角郁哉/取材:永堀アツオ
【ライブ情報】
『キシカンミシカン(既視感未視感)』
6月01日(金) 東京・duo MUSIC EXCHANGE(渋谷)
<チケット>
券種・料金:全自由¥4,500(税込)
※入場時ドリンク代別途必要
※3歳以上チケット必要
■チケット情報ページ
http://bit.ly/2KiPf7I
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『キシカンミシカン(既視感未視感)』
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※入場時ドリンク代別途必要
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OKMusic編集部

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