橋本さとし、尾上松也、浦井健治らが
生ライブ! 劇団☆新感線☆RS『メタ
ルマクベス』製作発表

2018年7月23日(月)から大晦日まで、3組のカンパニーが連続して上演する「ONWARD presents 新感線☆RS『メタルマクベス』Produced by TBS」の製作発表会見が、5月10日(木)東京・豊洲PITにて催され、橋本さとし、濱田めぐみ、尾上松也、大原櫻子、浦井健治、長澤まさみと脚本を手がけた宮藤官九郎、演出を務めるいのうえひでのりが登場した。
『メタルマクベス』とは、シェイクスピアの四大悲劇の一つ『マクベス』を、いのうえが「近未来、映画『マッドマックス』の世界観で」と宮藤にオーダーし、大胆に脚色が施されて生まれた新感線の代表作の一つ。2206年の人類が衰退した世界と、空前のバンドブームに沸く1980年代の日本を行き来しながら、生演奏によるヘヴィメタルサウンドと共に、宮藤✕いのうえ流『マクベス』が描かれる。3組はそれぞれdisc1、disc2、disc3と名付けられ、作品の中心人物であるマクベスとマクベス夫人(本作ではランダムスターとランダムスター夫人)をdisc1では橋本と濱田が、disc2では松也と大原、disc3では浦井と長澤が演じることとなる。
冠徹弥
橋本さとし
尾上松也
浦井健治
3000人の応募者の中から選ばれた1000人の観客が見守る中、製作発表会見がスタート。冒頭は生演奏によるスペシャルライブ。新感線の“音モノ”舞台でおなじみ、冠徹弥がハイトーンシャウトで観客を煽るなか、橋本、松也、浦井が登場し、劇中歌の一つ『きれいは汚い、ただしオレ以外』を熱唱。ランダムスターを彷彿とさせる黒のロングマントをまとい、スタンドマイクを抱え、拳を振り上げヘドバンしながらシャウトする3人。途中から濱田、大原、長澤も登場し、ライブを盛り上げた。
濱田めぐみ
大原櫻子
長澤まさみ

ライブ後、宮藤といのうえも登場して製作発表となるはずだったが…ここでハプニングが。ステージ上に人数分の椅子が並べられ、一同が座ろうとするのだが、小柄な大原が椅子の高さを調整しようとする。その様子を見ていた松也が手伝おうと大原の椅子の高さ調整レバーに力を込める。すると「バキッ」と何かが折れたような音が場内に響き渡り、観客は大笑い。「これが“傾く”ということで…すみません!椅子を壊しました!」と平謝りの松也。その横で浦井が自分の椅子と大原の椅子をそっと交換するファインプレーを見せていた。
椅子の高さを変えたい大原。手伝おうとする松也だったが…
「バキッ」直後。松也さん顔が笑ってます。
そっと自分の椅子と取り換えるジェントル浦井さん
落ち着いたところで改めて製作発表がスタート。本作をIHIステージアラウンド東京(以下、ステアラ)にて上演することになったいきさつについて、いのうえは「最初に“新感線がステアラを使ってほしい”という話をいただいた時、『ロングランで』と言われたんです。自分たちが持つレパートリーの中では『髑髏城の七人』か『メタルマクベス』しかないと思っていたんです。最初、4年間やってくれと言われ、大阪をはじめ地方にもお客様がいる僕らとしては難しいから「1年で」と返したら、それは困ると。結局、間を取って2年となりました。ならば最初は『髑髏城』をやって、結局『メタルマクベス』もやることになったんです」と説明した。
宮藤官九郎、いのうえひでのり(いい笑顔ですね!)
宮藤は12年ぶりの上演について「最初は360度の劇場で上演するイメージがつかなかったんです。そこで『髑髏城の七人 season花』を観にいって「ああ客席が回るのか」とまずびっくりしました。『髑髏城』も回を追うごとにいのうえさんが進化していき、回るだけじゃない演出になっていったので、この『メタルマクベス』はいったいどうなるのか、と楽しみにしています」とコメント。ステアラでの上演に際し、脚本を書き換える予定は?と聞かれると「基本、変えないと思います。シェイクスピア先生が400年前に書いた本が原作ですから、たかが12年で変えちゃいけないなって(笑)」と宮藤。そう先人に敬意を表する一方で、自分が作詞した歌詞については「センスがすごいですね(笑)。これはシェイクスピア先生と私の合作ですから。『きれいは汚い』まではシェイクスピア先生ですけど、『ただしオレ以外』って付けたところにセンスを感じます」と自画自賛しながら笑っていた。
橋本さとし(お帰りなさい!)
橋本は新感線退団後、実に21年ぶりに古巣への出演となる。「退団後、毎日僕はいつか新感線の舞台に立つことを目標にしていたんです。いのうえさんのGOが出ればいつでも、と思っていたんですが…21年は長かったですねえ(笑)」。その言葉にいのうえは「ミュージカル界で大きくなられたので(その後の新感線作品で)ハマるものがなかった」と苦笑する。橋本は「(この会場には)大昔から新感線のファンだった人も数名いると思うんですが(笑)、新感線は僕でも楽屋に行くと緊張するような劇団になってしまって、劇団の人も多くなり新しいお客さんもいっぱい増えて。でも僕の中では『直撃!ドラゴンロック~轟天』(1997年)の時のままなんです。その頃の色を今回感じてほしい」と期待させた。
現在、橋本は『メタルマクベス』初演でランダムスター役を演じた内野聖陽とTVドラマ『ブラックペアン』で共演中。撮影現場で「毎回ビビらされてます。(内野のモノマネで)『ランダムスターは大変だよ~痩せなきゃ!』と毎回言われています」と苦笑。するといのうえが「痩せます!ステアラは出演すると皆7~8kgは落ちます!“ステージアラウンドダイエット”と言われてます(笑)。逆に体力維持のためこまめに食べた方がいいんです」とフォロー。体重減のすごさに驚きの声が上がっていた。
濱田めぐみ
ミュージカル『メリー・ポピンズ』に出演中の濱田は、メリーとは真逆のダークヒロイン・ランダムスター夫人を演じるにあたり「今日は(メリーの)傘を置いてきました!」とライブ後に語り、笑いを誘う。新感線は初参加。「実際に稽古場に行かないとわかりませんが、普段も楽屋や稽古場でさとしさんとしゃべっているそのままの空気感が出ればいいかな」と答えつつ「何から何まで初めてなのでよろしくお願いします!」とミュージカル界のトップ女優とは思えない謙虚な姿勢で挨拶をした。
尾上松也
松也は「新感線に出たい!と以前から言っていましたが、ついに念願叶いました。本当に嬉しいです。ありがとうございます」と喜びいっぱい。「なにより人前でシャウトしたかったんです。気持ちよかったアアアア!」とシャウトを交えて想いを述べる。冒頭のライブについては「あと2、3曲歌いたかったですね、『SAY HO!』とかやってみたかった」と言うと、「ならば今ここでやってみて:と誘われ、観客と「SAY HO!(HO~)」とコール&レスポンスをしてこぼれんばかりの笑顔を見せていた。
喜びをシャウトで表す尾上松也
「夫婦に見えますか?」

松也と夫婦役を演じる大原は「このお話をいただいて驚きました。今は不安しかないです」と語る。22歳の大原とは11歳差となる松也が「(僕は)33歳。夫婦に見えますかね?」と大原に顔を近づけ、若夫婦のようなムードを出して和ませていた。
大原櫻子
浦井健治。ついに王様になりました!

新感線には今回3度目となる浦井は、「(初演に出演していた森山)未來と仲が良く、(今回の出演は)未來がやった役になるかなと思っていたら…まさか内野さんの役! 今回で3回目の新感線出演となりますがそのうち2回は同じ役で…金髪で『アッハハハ~』と高らかに笑う(シャルル)王子役。それが今回はついに王になりました。位が上がりました」と笑顔。また「ミュージカルではなかなかシャウトしませんから…♪皇帝ルドルフは立ち上がアアアアア!」と浦井の出世作『エリザベート』内の楽曲を歌いながらシャウト。観客から悲鳴と笑い声が沸き起こっていた。
♪皇帝ルドルフは立ち上がアアアアア(長澤さんがたまらず笑い出しています)
長澤は初演でランダムスター夫人を演じた松たか子と「最近お会いして、自分がこの役をやることを伝えたら『大丈夫、できるから』と言っていただき、勇気をいただきました」と微笑む。稀代の悪女を演じるにあたり、現在出演中のTVドラマ『コンフィデンスマンJP』で七変化を見せる役に絡め「私も悪女の顔は持っていると思います」とコメントした。
長澤まさみ
ここで、キャストや観客に観ていただきたい映像として、劇中歌「きれいは汚い、ただしオレ以外」のMVが初披露される。ランダムスターの3人が出演するこの映像は、メタルバンドの重厚な演奏風景から一転、2本の鉄輪を平行につないだ体操器具「ラート」に3人が乗り、自ら回転しながら歌唱を続けるというシュールかつナンセンスな内容。撮影はしたが出来上がりを見ていない男性陣、このMVを撮影していたことすら知らなかった女性陣、そして観客は映像を観ながら身をよじらせ笑い転げていた。
☆衝撃の問題作「きれいは汚い、ただしオレ以外」スペシャルMV(β版)はこちらから
MV「きれいは汚い、ただしオレ以外」鑑賞中のお二人
MV「きれいは汚い、ただしオレ以外」鑑賞中
MV「きれいは汚い、ただしオレ以外」鑑賞中

最後に製作発表後に行われた囲み会見のコメントを紹介する。
ヘドバンしながら歌う橋本さん。グラサンが動く!動く!
■橋本さとし
(製作発表のライブは)1曲で燃え尽きちゃいました。エネルギー使いましたね。生バンドを入れてやる製作発表ってなかなかないですし、場内の一体感を感じました。もうちょっと(ライブを)やりたかったくらいです。ライブ中、かけていたサングラスがぶっとぶんじゃないかと後半は手で押さえながらやってました。今は首が痛いです(笑)。
この舞台はdisk2、disk3と続いていきますが、次のチームにただバトンを渡すのではなく、ハードルを上げまくって(笑)バトンを渡して見送りたいです。disk3にバトンが渡る時には棒高跳びくらいの高さに上がっているようにしたいですね。
■濱田めぐみ
今日の製作発表で、ファンの皆さんが『メタルマクベス』を心から待っていらっしゃったことがすごく伝わりました。私は新感線は初参加ですが、今日の製作発表で3分の1くらい溶け込めたかな?メタルの世界に浸りきってさとしさんと素敵な作品にしたいです。さとしさんが21年ぶりに新感線の舞台に戻ってきた、ということで私も毒の華を添えられるように今からウォーミングアップしておきたいです。これまで自分が出してこなかった部分を思いっきり出してはっちゃけたいです。
■尾上松也
皆さんの盛り上がりの熱気が伝わり、こちらも気合いが入りましたね。一俳優として今回の公演が大きな糧になればと考えています。さとしさんからバトンをいただき、それを健ちゃんに渡せるように櫻子ちゃんと手と手を携えて臨みたいです。ロックの文化って音楽の世界では逆風の中で出来たような気がしますし挑戦的。また歌舞伎も出来たときは傾奇(かぶき)者って言われたくらいですから、何事にも挑戦的で目立つ存在。両者は精神的なところで共通項があると感じていますね。
■大原櫻子
新感線の舞台の出ることができるのが夢のようです。今も信じられないです。濱田さん、長澤さんという色気のある女性が演じる役をなんで私がやるのか、大丈夫かしらと思うんですが、でも逆に自分らしさを出して、精いっぱい私が出来るマクベス夫人をやれたらと思っています。
■浦井健治
今日のこのメンバーが同じ舞台に立たないのがちょっと寂しいですが、『メタルマクベス』のバトンを“兄貴”さとしさんから大晦日まで繋いでいく覚悟ができました。新感線の舞台は3度目の出演なんですが、(初演のランダムスター役の)内野聖陽さんから引き継いで、しかも3チームでやる舞台。各チームのカラーもそれぞれ違うので、3倍じゃなく300倍くらい楽しめる舞台にしたいです。先ほど松也とも話していたんですが、まず完走することを目標にしたいです。
■長澤まさみ
この作品をお客様は本当に待っていてくださったんだなと感じました。また、あたたかい歓声で私たちを迎え入れてくださいました。私は歌の舞台がまだ2回目で、わからないことだらけです。先ほどの会見で(ステアラの舞台に出演すると)7キロくらい痩せてしまうと聞いて心配していますが、皆さんについていけるよう、教えていただきながら初日を迎えたいです。自分の中のロック魂を解放していきたいです。
メタルな6人にご期待ください!
取材・文・撮影=こむらさき

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