中井智彦にインタビュー!「数々の名
曲の中に生きた男の姿を思い浮かべて
もらえたら嬉しい」『-I Live Music
al! III』開催によせて

歌手・俳優の中井智彦のソロコンサート『I Live Musical! III』が、​2018年5月11日(金)に東京・ヤマハ銀座スタジオにて開催される。中井は、2007年ミュージカル『レ・ミゼラブル』でデビュー、劇団四季に在籍したこともあり、艶のあるバリトンボイスと豊かな声量・確かな表現力を武器に『美女と野獣』のビースト役、『オペラ座の怪人』ラウル役など主役級の役どころを務めてきた。四季退団後も様々なミュージカルに出演、直近では7月にミュージカル『KNIGHTS’ TALE ナイツ・テイル-騎士物語-』に出演予定。そんな中井がセルフプロデュースするこのコンサート。3度目となる今回はどのような内容となるのか、4月に川崎で行われた『オーケストラで楽しむ映画音楽IX』の公演後に話を聞いてきた。
■G2さんからも大きな影響を受けました
――今回のコンサートはどのような内容になるんでしょうか?
コンサートを2部構成にして、国立音楽大学のジャズ科出身の長濱司さんにピアノを弾いてもらい、第2部からはテオクソンさん(ドラム&パーカッション)にも参加してもらいます。第1部は「独りミュージカル」に挑戦します。ポップスやシャンソン、ミュージカルナンバーを紡いで、「あるひとりの男の人生」を演じてみようと思います。
そして第2部では、これまでのアンケートなどからリクエスト頂いたミュージカル楽曲を歌いまくろうと考えています『ノートルダムの鐘』や『レ・ミゼラブル』、そして『ラ・ラ・ランド』なども……『ラ・ラ・ランド』はピアノとドラム&パーカッションに加え、僕もピアノで弾き語りをする予定です。
――どちらも気になりますね。特に1部の内容は、まるで新作ミュージカルのように想像していますが具体的にはどのような構成になるのでしょうか?
『レ・ミゼラブル』でマリウス役を演じていたマイケル・ボールが、既存の楽曲を繋げてひとつの物語のように歌うライブ映像を見たことがあって。そこからもヒントをもらいました。それと以前、G2さん(演出家)の舞台『ミュージカル バイオハザード~ヴォイス・オブ・ガイア~』に出演させていただき、そこで彼の宇宙みたいな発想力に大きな刺激を受けて、大ファンになったんです。その後、G2さんが手掛けた『TWENTIETH TRIANGLE TOUR 戸惑いの惑星』を観にいきました。トニセン(20th Century=坂本昌行、長野博、井ノ原快彦)さんの曲を元にG2さんがストーリーを書かれたそうですが、トニセンさんのそれまでの楽曲が、あの物語のためのオーダーメイド曲のようになっていて! 緻密にぴたっとハマっていて本当に心地よく、感動しました。
僕は昭和の歌謡曲も、ポップスもシャンソンももちろんミュージカルナンバーも大好きなんですが、魅かれる歌で共通するのは、歌詞はシンプルなのに物語がリアルということなんです。今回は僕が魅かれた楽曲を紡いで、「あるひとりの男の人生」を演じてみようと思います。当たり前かもしれませんが、人生って色々ありますよね。喜びや悲しみ、出会い、そして恋……。そんな人生の物語を、椎名林檎さん、井上陽水さんらの楽曲を紡ぎながら、歌の中に込められた想いや風景を元にした物語を考えています。終わった後、数々の名曲の中に生きた男の姿を思い浮かべてもらえたら嬉しいですね。
僕のコンサートでは歌う楽曲をどのように演出するか、それに対する自問自答をずっと続けています。曲を繋げていく先のビジョンは僕の頭の中にしかないから。セルフプロデュースの限界までやってみようと思います。
――コンサートで自分が演じていない役の曲を歌うとき、あるいはJ-POPのようにそもそもミュージカル作品ではない楽曲を歌うとき、中井さんはどのような心情で歌っているんですか?
実は恥ずかしがりやで…(笑)。“中井智彦”として愛を表現するのは苦手なんですが、歌の中の登場人物としてだったら存分に感情をぶつけられます。例えば「愛の讃歌」を歌うときはエディット・ピアフとして歌う。以前「詩人・中原中也の世界~在りし日の歌~」という中原中也の詩に僕が曲をつけた一人芝居を発表したのですが、そのときは中也の生い立ちや人生、作品に触れることで、自然と中也として舞台に立っていました。実際、中也自身も自分の詩を歌にして欲しくて、作曲家団体に詩を持ち込んだ・・という話も聞き、そのときは、中也が僕にそうさせてくれたのかなと感じましたね。
今回のコンサートの2部は、ミュージカルナンバーを歌いまくるステージなので、役が次々降りてくることになりそうです(笑)。でもMCではしっかり中井智彦としてお届けしますので(笑)。そこも楽しんで観ていただけたらと思います。
中井智彦
■私生活の趣味に迫る!「ブルートレインが大好きで」
――さきほどのコンサートで少し話が出てきていましたが……中井さんは鉄道マニアなんですか?
マニアというほど知識はないですけどね(笑)。この仕事をするようになってから、ずっと仕事のことばかり考えていて、仕事とは関係ない趣味が欲しいなあと思っていました。そんな中、30歳を過ぎたくらいでふと、鉄道に乗っているとテンションが上がっている自分に気が付いたんです。
――中井さんの資料に「Nゲージ」という単語が出てきたので「ん? 模型鉄さんかな?」と思ったんです。自分が「乗り鉄」なものでつい(笑)。
(笑)。子どものとき、父親の仕事の関係でブルートレインで東京から長崎まで鉄道に乗ったときの感動が忘れられなくて! ラウンジカーに夜中に行ってみたり、興奮してしまって(笑)。また、あの青い車体が美しく感じ、それがきっかけで僕は青色が好きになったんだな……などといろいろ記憶が繋がって今に至ります。(私物のブルートレイン「N-65」の模型を取りだす)練習のあと、このブルートレインの模型を観て和んだり、テンションを上げたりしています。まったく違う世界に連れていってくれる存在なんです。あ、でも僕は「模型鉄」と言えるほどのファンではありません。一応線路は買ったんですが、このブルートレインのNゲージ一つしか持っていないんですよ。
――ピンポイントにブルートレインだけがお好きなんですね!
そうなんです……あ、でも山口県に中原中也の記念館があり、そこを見学しに行った際、新山口駅にあった転車台(車両の方向を変えるための機械)を観て興奮したのは事実です(笑)。あと、劇団四季時代に札幌から釧路まで表敬訪問に行ったとき、鉄道に乗りまして……。(以下、鉄分たっぷりの話が続く)
中井智彦
■話を戻して……
――最後になりますが、5月11日(金)の『I Live Musical! III』に向けて、お客様にメッセージをお願いいたします。
今回のコンサートは、自分の中では挑戦でもあり、ワクワクもしています。一人の男の生涯をミュージカル仕立てで観ていただける1部、ザ・ミュージカルな楽曲たっぷりの2部、二つのエネルギーを楽しんでいただけることになるかなと思います。どうぞ楽しみにお越しください。
取材・文・撮影=こむらさき

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着