INTERVIEW / SUSHIBOYS 「おれらは1
本満足バーも必ず2本喰うタイプ」ー
ーライブ、MV、音源、全てに抜け目な
し。全方位型ヒップホップ・グループ
の哲学

SUSHIBOYSが4月25日(水)に新作ミニ・アルバム『WASABI』をリリースした。
埼玉県越生町出身の3人組からなるSUSHIBOYSは、昨年1月に1st EP『TAMAGO』をフリーDLでリリース。その後YouTubeにUPした数々のユニークなMVで、徐々に話題を集め、10月にリリースした初のフィジカル作品『NIGIRI』で一気にその名を轟かせた。
さらに、今年1月にはこれまでとはやや趣の異なる、自らの今後の活動に対する宣誓とも取れる新曲「なんでもできる」を発表。楽曲のユニークな題材や、MVでのコミカルな演出とは裏腹に、スキルフルなラップや最新のトレンドともリンクする洗練されたトラックを武器に躍進を続ける彼らの本質はどこにあるのか。その原動力とは?
今回はそれらの謎を探るべく、SUSHIBOYSの3人にインタビューを敢行した。
Interview & Text by Takazumi Hosaka
Photo by Izumi Gibo
[L→R:ファームハウス、サンテナ:、エビデンス]
――昨年はSUSHIBOYSが大きく飛躍した年だと思います。その2017年を今振り返ってみるとどうでしょうか?
ファームハウス:2017年ですか……何ですかね。とりあえず、一気に露出が増えたと思うので、インターネットに感謝してます。YouTubeとかを通して多くの人に聴いてもらえて、僕らのことを知ってもらえたと思います。ただ、忙しさとかでいうと2018年入ってからの方が上ですね。今回のミニ・アルバム『WASABI』の制作も詰めていって、みたいな。それと並行してライブもやって、インタビューもしてもらったり。テレビもそうだよね。
エビデンス:新しいことが身の回りに増えたって感じですね。
サンテナ:あとは、ギャングから改心したっすね。自分たち結構ギャングだったんで(笑)。
――なるほど(笑)。
ファームハウス:あと、(2017年は)自分たちが間違ってないということを教えてもらったっていう感じですね。最初に出したEP『TAMAGO』は、自分たちが思った通りに評価されなかったんですよ。それで色々考えて、打開策として思いついたのがMVで。曲に映像を付けたらだんだんと評価してくれるようになってきて。だから、2017年は自分たちの表現がすごく伝わるようになった年だったと思います。
――今おっしゃっていた、「新しいこと、新しい体験」について、もうちょっと具体的に教えていただけますか?
ファームハウス:今少し話したテレビ出演もそうだし、MVの再生数も30万、20万再生いったものあって、自分たちの意識も変わったんじゃないかなって思うんですよね。具体的な目標に向けて、やるべきことをしっかり組み立てて考えるようになったし。あと、海外に撮影で行ったのも初めての体験でしたね。
そもそも、こうやってインタビューの話がきたりとか、関わってる人間が増えていくっていうこと自体が自分たちにとっては新しい出来事で。一年前だったら考えられなかったことなんですよ。「インタビューしてほしい」みたいな連絡を送ったりしても、全然シカトされましたし。だから、自分たちもそうだし、周りも変わってきたなって思いますね。
サンテナ:最初から自分たちでは「おれらヤバい」ってのはわかってたんですけど、やっぱり最初は全然相手にしてもらえなかったんです。でも、去年くらいから何かそういう波? みたいなものが一気にきた感じで。それは嬉しかったですね。
――去年の10月にリリースされた初のフィジカル作品『NIGIRI』の反響も大きかったんじゃないでしょうか。
ファームハウス:そうですね。やっぱり大きかったです。あんなに売れると思わなかったですし、自分たちが思ってる以上に注目してもらえてるんだなって思いましたね。Twitterとかでエゴサーチして、自分たちのこと呟いてくれてる人がすごく増えてることに気付いたり。
エビデンス:地元の友達とかが聴き始めたのもちょうどその時期だったんで、身近なところからも反応がわかるようになってきたしね。
――意識の変化について、もうちょっとお聞きしたいと思います。そもそもSUSHIBOYSというグループは、遊びの延長線上からスタートしたと思うのですが、先ほども話した通り、関わる人間も増え、作品も正規流通に載せて発表するようになった今、3人のなかでどのような話などをしていますか?
ファームハウス:根本にある「自分たちが楽しむための音楽」っていう部分は全く変わってなくて。たぶん、自分たちが楽しくないとお客さんも楽しめないと思うし。僕らの活動の根底にはそれが絶対にあって。ただ、その上でも自己満足だけで終わるんじゃなくて、聴いてるリスナーたちが共感できたり楽しめたりできるものをしっかり出していかないとダメなのかなって思うようになりました。お金をもらえるようになって、そういう意識は3人とも変わったと思います。
サンテナ:そうですね。やっぱりオナニーじゃなくて、SEXって感じで(笑)。
――対話というか(笑)。
ファームハウス:そうです。その中でも軸とかはブレることなく、上手くやれてるんじゃないかなって思いますね。
――SUSHIBOYSはまさに対話というか、直接お客さんと触れる機会であるライブも鉄板ですが、音源、MVのクオリティも高さも言わずもがなで、全方位型な印象を受けます。
サンテナ:そう。おれら、まさに「なんでもできる」んですよ。ギャングスターなんで(笑)。
ファームハウス:ギャングは何でもできないとダメですよね(笑)。
サンテナ:やっぱりスーパー・ギャングスタ・スタイルとしては、一生懸命作り込んだ楽曲をライブでカッコよく聴かせられなかったら意味ないかなって。いくら自信持って作った曲でも、「ライブはカッコ悪いね」って思われちゃったら、自分たちで自分たち自身に泥を塗ることになるというか。ギャングはそういうこと嫌うんで。自分のケツは自分で拭けよ、みたいな。
……あの、昔教わったんですよね。バイトしてたコンビニに変わったおじいさんがよく来てて。その人、カップ麺を買ってイートイン・コーナーで食べていくんですけど、毎回お湯を入れてからの3分とかで寝ちゃって、絶対にラーメンが食べれないんですよ(笑)。
――その話、ニート東京でも話してましたよね(笑)。
サンテナ:で、その人に言われたんですよね。ずっとおもしれぇ人だなぁと思って見てたら、「てめぇのハエを追え!」って言われて。最初は意味わかんなかったんですけど、最近気づいてきたんです。他人を見て自分たちを評価するんじゃなくて、まずは自分たちで自身のことを振り返れと。だから、ライブも音源もMVも、常に現状で満足することなく自分たちをけしかけるようにしています。自分のハエを追いかけ続けて(笑)。
ファームハウス:これ何の話だったっけ?(笑)
サンテナ:「おれは3分待てないけど、お前らはちゃんと3分待って食えるようになれよ」ってことだよ。
――確かに、満足しちゃったらそこで終わっちゃいますよね。
サンテナ:はい。おれらは1本満足バーも必ず2本喰うタイプなんで(笑)。1本じゃ満足しないんですよ。それぐらいハングリーじゃないと全方位型にはなれないんで。
――なるほど(笑)。早速SUHSIBOYSの哲学というか、核となるスタンスがわかった気がします。では、新作『WASABI』についてもお伺いしたいのですが、そもそも本作がリリースに至った経緯を教えてください。曲が溜まってきたから出そうと思ったのか、それとも作品を出すと決めて、そこへ向けて制作を進めたのか。
ファームハウス:リリースは結構計画的に考えていて。前回(『NIGIR』)が10月リリースだったんですけど、やっぱり半年くらいでひとつは作品出したいなっていう思いがありまして。「4月ぐらいには出そうよ」って決めて、そこへ向けて制作していきました。
――今回の作品を作るにあたって、改めてテーマというか方向性のような部分を練ったりしましたか?
ファームハウス:今回は初の全国流通ということだったので、改めて名刺になるような作品にしたくて。そのためにも、自分たちの幅を見せられたらなっていう話はしていましたね。収録されている6曲全部、結構バラバラな曲が集まったんじゃないかなって。
――本作のリリースに先駆けて、シングル「なんでもできる」が1月にリリースされましたよね。この曲はユニークな題材を軸としたこれまでの方向性とは異なる世界観で、フレッシュな印象を受けました。
ファームハウス:そうですね。ライブやってても、ずっとふざけた感じだと一本調子になっちゃうというか。あとは、単純に心に残るメッセージみたいなものを残したかったっていうのはありましたね。
エビデンス:幅広くやっていくためにも、自分たちができる幅みたいなものを、わかりやすく提示した方がいいのかなって。
ファームハウス:何か「ダンボールギーニ」みたいな曲をずっと出し続けた後に、ああいう曲を出したらファンの方も「えー!?」ってなっちゃうと思うんです。だから、今のうちに早く出しとこって思って。おれら、ああいう曲も普通に好きなんで。
サンテナ:そもそも、昔からああいう真面目な曲も作ってたんですよ。あまり世には出てないですけど。だから、別にシリアスにやることに対しても何も抵抗なかったし、リリックとかもすんなりと書けましたね。
ファームハウス:なんならこれまでに作ってきた曲数で言ったらああいう路線の方が多かったかもしれないですね。
――たまたまユーモアに振り切った側面がフィーチャーされて、誤解されていたというか。今作からは「問題ねえ」などもリリック的には同じような路線の曲と言えると思います。今回はこの曲のみ、作曲にSUSHIBOYSがクレジットされていますね(その他の曲はバックDJも務めるタイプライターが作曲)。
ファームハウス:この曲は、福岡に住んでいるピアニスト/コンポーザーの Osamu Fukuzawa(https://twitter.com/OsamuJSJ/followers) さんという方がいて。同い年なんですけど、彼に弾いてもらった音源をサンプリングして作りました。「この人、カッコいいな〜」って思ったので、一緒にやらせてもらいました。
ファームハウス:さっきも言いましたけど、今回のアルバムはバラエティ豊かな作品にしたくて。あと、「ゲートボーラー」と「KUNG FU」に関しては、先にテーマができていて、それに合うトラックをタイプライターさんのストックから選ばせてもらいました。
エビデンス:トラックを聴いた時点で自然と映像が浮かんでくるような感じのもの選択していったような気がします。音楽って景色が変わるじゃないですか。イヤホンつけて街を歩いたりすると、いつもと同じ街並みに色がつくというか。
――バラエティが豊かになったのもそうなんですけど、全体通してサウンド・プロダクションが洗練された印象を受けました。制作環境には何か変化は?
ファームハウス:録りとか基本的な制作はこれまで通り、自分たちの家でやってるんですけど、ミックスとかマスタリングは今回スタジオでやってもらったので、その違いは出てると思います。
――ちなみにリリックのテーマはどういったやりとりから浮かんでくることが多いのでしょうか?
ファームハウス:やっぱり日常会話ですかね。あとは物事をちょっと違った角度で見たり、擬人化させたり。一般的な物の見方っていうのは、常に疑う癖がついてるんですよね。「これは、何かのトピックになるんじゃないかな」っていうのは常に考えてるし。そういった種を普段から溜めておきます。僕らの場合、「なんでもできる」とか「問題ねぇ」みたいな、自分たちの身を切り出していくようなリリックよりも、外部の物事に対して書いてくリリックの方が性には合っていて。
サンテナ:正直、何でも曲にできると思うんですよ。例えば「ガードレール」で曲作ってって言われても作れちゃう。普通のラッパーがテーマにしないことでも、おれらは全く気にせず曲にしちゃう。そのおかげで、単純に作れる曲の幅が広がると思うし、聴いてて楽しいんじゃないかなって思うんですよね。同じような曲ばっか作っててもつまんないじゃないですか。
エビデンス:確かに。何でも曲に変換できると思います。
サンテナ:っていう機能を搭載したんで(笑)。
ファームハウス:でも、やっぱりそれをカッコよく聴かせるっていうのが重要で。ただそれを作るだけならある程度の人なら誰でもできると思うんですよ。だけど、やっぱりその曲をカッコよく、音楽的にも優れたものにしなきゃいけない。だからこそ、トラックも絶対に手を抜けないというか。
サンテナ:ただ、そんなに意識高い系の話でもなくて。逆にみんなはそういうの気になったりしないのかなって思うんですよね。ある物事を、別の視点から見てみようとか、不思議に思ったりすることって、生きてれば普通じゃないかなって。そこは田舎で育ったのが関係しているのかもしれないですけど。
――それは、どういう意味でしょうか?
サンテナ:田舎っていうのは何もないじゃないですか。だから、自分で何かを生み出していかないといけないんですよ。そこで考えることを辞めちゃうと、田舎だとマジで屍のようになってしまう。都会だったら周りに何でもあるから、外出たら何も考えなくても楽しめると思うんですよね。でも、田舎だと思考停止は死活問題なんです。
――自分たちで遊びを作っていく感覚みたいな。
エビデンス:何もないから、遊ぶために考える必要がある。だから、ある意味、暇つぶしに本気ってことですよね。「うめTUBE」ですねマジで(笑)。
ファームハウス:あんまり田舎をマイナスだとも捉えてないんです。田舎でよかったなって思ってて。田舎に住んでなかったらこういう考え方も持ってないし。
サンテナ:都内と違って、タクシーの運転も穏やかだしね(笑)。
――間違いない(笑)。せっかくなので、今回のアルバムに入ってる曲のテーマについて1曲ずつお聞きしたいです。
ファームハウス:結構覚えてないのも多いんですよね。直感で思いつくやつとか。まず1曲目の「KUNG FU」は……
サンテナ:「KUNG FU」は、ある種元々のおれらのノリっていうか。
ファームハウス:なんだろうね。あれは自然に、ロック・バンドを意識してできたんだっけ。ちょっといやらしい話ですけど、ああいうBPMだと、ロック系のイベントとかフェスとかでも戦っていけるんじゃないか、というか。そういうシンプルに盛り上がれる曲というか、縦ノリでジャンプできる曲を作ろうと思って。で、そういう時にゴリゴリのヒップホップだったらキツいじゃないですか。そこで「KUNG FU」っていう中華テイストを入れることによって、少し中和するというか。ポップになる。
――めちゃくちゃ考えられてますね。
ファームハウス:そうですね。だからあんまり言わないでほしいっす(笑)。
サンテナ:「KUNG FU」っていった時にみんなどういう曲を作ればいいかすぐに察して、すぐにリリックも書き上げました。自分たちってUSBみたいっすよね、「KUNG FU」っていう情報をポチっと差し込めば、何を作ればいいかがすぐにわかるんですよ。
ファームハウス:16小節が自然と沸いてきて(笑)。
――ツーカー過ぎますね(笑)。
サンテナ:リリックができなくて日をまたぐとか、そういうこともないよね。
ファームハウス:そうだね。この日書こうと思ったらパパっと書いて、曲作って、レコーディングしてって感じです。結局、何回も何回も曲作り直しりとかしても、あんまり意味がないと思うんですよね。だから、その時のテッペンをバーンと出して、じゃあ次の曲に行こうって感じですね。
エビデンス:それが楽しいんですよね。時間かけたら新鮮さがなくなっちゃうっていうか。
――なるほど。では、次の曲は「アヒルボート」です。
ファームハウス:自分らの隣町にでっかい湖があって。景色が綺麗なんでドライブとかで行くんすけど、そん時にアヒルボートが湖にポツンと浮かんでたんですよね。その時に「これ、おれらみたいだな」と思ったんですよ。社会っていうすごい狭いネットワークが湖で、そこにいるアヒルボートがおれら。退屈なんすよ、毎日同じルートで回るしかなくて。そんなアヒルボートがある日川へ入り、海へ流れ着くまでのストーリーが脳みそにパンと浮かんで。
サンテナ:お前哲学者みてぇだな。アヒルボート見てそんなこと考えてんのか(笑)。
ファームハウス:自分には見えたんですよね(笑)。おれらにとっての武道館が海で、そこまでのサクセス・ストーリーに見えたんですよね。だから早く離脱して、でその武道館まで行くサクセスストーリーを書いた曲です。
エビデンス:おれらはあのアヒルボートを小さい頃から見てきたから、マジでエモい曲になったよね。
サンテナ:そういうエモさが隠れた曲って感じっす。
――次はMVも公開された「ゲートボーラー」ですね。
ファームハウス:「ゲートボーラー」は、自分たちの町の状況と少子高齢化をわかりやすく伝えました。あとはおれたちが「get ballerするぞ」(米スラング:金持ちになる、勝組になるの意)っていうのとかけてて。老人になるまでには「ballerになろうぜ」みたいな。こういう言葉遊び、元々結構やってるんすけど、気づかれていないんすよね。自分たちにとってはわかりやすくやってるつもりではあるんですけど。
エビデンス:おじゃる丸の一二三四(ひふみよ)は結構バレてないよね。あんま遊びすぎんなよ~(笑)。
ファームハウス:フックの頭が一二三四ってなってるんですけど、誰からも指摘されず。
サンテナ:誰も気づかないんすよ〜。本当、勘弁してくださいよ〜。
ファームハウス:コメント欄にサブアカで書いちゃおっかな、みたいな。「うわ! これフックが一二三四になっとるやんけ!」って(笑)。
――なるほど。恥ずかしながら、自分も気づけませんでした。
ファームハウス:もうちょっとそういう角度からも見てほしいんですよね。ただのバカな曲じゃないんだぞ、みたいな。
エビデンス:昔作った曲と、新しい曲の歌詞が繋がってたり。
ファームハウス:昔の曲に出てきた人物が別の曲で再登場したり。そういうのは探ってほしいですよね。
サンテナ:ヒップホップって、そういうところがおもしろい音楽でもあると思うので。
――そういう言葉遊びの感覚とかって、どういうところから生まれたのだと思いますか? やっぱりヒップホップを聴いてきたところから?
ファームハウス:それもあると思うんですけど……。
エビデンス:おれはリサイクル・ショップだと思う。リサイクル・ショップで服とか買ってると、何かそういう、自分たちで工夫して遊ぶっていう感覚が養われる気がするんですよね。
――「ゲートボーラー」のMVは、地元の仲間が多数出演したり、特殊メイクを施すなど、これまで以上に作り込まれた印象を受けます。
ファームハウス:何かこれまで以上にお金かけてる感出ちゃってますよね(笑)。単純にああいうのをやってみたくて。でも、まだまだ理想には届いてない感じなんですよね。もっと「こう撮りたい」とか「こういう風にしたい」とか、アイディアは尽きないんですけど、今はまだ実現できないことが多いので、工夫してます。
――あれだけMVを出しているのに、まだまだアイデアが尽きないというがすごいですよね。
ファームハウス:でも、いつ尽きるかわかんないですけどね。今はアラブの石油みたいにガンガン沸いてるんで、大丈夫ですけど。
エビデンス:あと50年くらいはね。尽きた頃には何してるかね。
サンテナ:まぁ、尽きた頃にはまた違う場所に行ってるかもしれないし。新しいエネルギーも開発されてるかもしれない(笑)。
エビデンス:電気で動く車もあるしね。
サンテナ:そういうバイブスっすね。ガソリンが尽きたら電気で走ればいいんすよ。
エビデンス:そうっすね。自分たちはまだ軽油っす。ガソリンスタンドっす。
サンテナ:「ガソリンスタンド」っていいな。
ファームハウス:こういう感じで曲ができるんすよ(笑)。こういうやりとりがいきなり始まって、「じゃあガソリンスタンドってメモしとこうか」みたいな。マジでガソスタはいいっすね。作業着系のMV撮ってみたいと思ってたし。
――こういうのが楽しくてやってると。
サンテナ:自然と考え始めちゃうんで。それをそのまま垂れ流しにしちゃうのはもったいないじゃないですか。だったら何か作品にしてもいいだろうし。自分の脳みそから捻り出したものを、無駄にはしたくないっすね。
――なるほど。先ほども話に出ましたが、「旅に出よう」はポジティヴなメッセージ性を感じさせる一曲ですよね。
サンテナ:単純に、旅は楽しいですからね。
ファームハウス:自分らも旅に出て結構変わった部分があるというか。いろんな気付きってのがあったんですよ。だから、旅ってやっぱりいいもんだなって思うから。押し売りじゃないですけど、「みんなも旅に出ようぜ」みたいな。
――過去の動画を漁ると、インドへ行った際の時の気持ちを曲にしたものもありますよね。
ファームハウス:個人的には東南アジアに行ってほしいんですよ。ちょっと鬱になっちゃった人とか、今の自分の現状に満足できてない人とか、とりあえず東南アジア行けば解決するような気がするっす。日本と全然環境が違うからこそ思うことってあると思うんですよね。人生が変わったとまでは言わないですけど、本当いい機会になるかなっって思うんで。行ってほしいっす。
サンテナ:旅の話になっちゃった。
――ちなみに、今行きたい所とかってありますか?
サンテナ:おれはフィヨルドかな。あと、ロシアのツンドラ気候をちょっと拝見したいっすね。
エビデンス:おれはエジプトのピラミッドを見てみたいですね。
――次の曲、「問題ねぇ」も先ほど話しに出たとおり、内面から出たストレートな内容ですよね。
サンテナ:基本的に、おれら何にでも「問題ねぇ」って思ってるんですよね。だから、これは普段の自分たちのマインドみたいな。
ファームハウス:普段よく聞く言葉でもあるし、そのマインドって結構大切なのかなって思いますね。色々心配したり不安になったりすることもあえるけど、後から振り返ってみると大したことじゃなかったってこともたくさんあるんで。今までの経験からすると、もう大体のことは問題ないぞって。
サンテナ:ポジティブでいたいですよね。今は何か暗い話題ばかり目につくんで。
――最後の「ママチャリ Remix」は、“SPIN.DISCOVERY Vol.06”のMCでもおっしゃっていましたが、「おれらも漕ぎたくなった」とのことで、サンテナさん、エビデンスさんのフックが乗っかったと。
サンテナ:単純にヤバい曲なんで、漕ぎたくなっちゃったっすね。
ファームハウス:3人でやったらもっと「ヤバいのできるでしょ」って感じでした。なんだかんだで再生回数も高くて、人気あったので。あと、あの曲はラップのスキルを見せやすいというか。ある意味スキル重視の曲ですね。テーマも面白い感じで練られましたし。
――スキルの向上などについて、3人で話したりはしますか?
ファームハウス:そういう話はしないんですよね。でも、しょっちゅう音楽の話はしていて。「何聴いてる?」みたいな。たぶん、そういうのが無意識に自分たちのラップとかに繋がってくると思うんですよ。
――ちなみに、ファームハウスさんは先日初のソロEP『PEDAL』をリリースしましたよね。あれは、SUSHIBOYSでは試せないアイデアが溜まってきたということなのでしょうか?
ファームハウス:まぁ、それもありますね。でも、ぶっちゃけちゃうと国民健康保険と年金を払わためです(笑)。自分の完全なるお金、「Make money」っすね。そんなこと言いつつ、マジでめちゃくちゃヤバい作品なんで。
――サンテナ:こいつの保険のお金賄ってやんねーといけないな、みたいな(笑)。
ファームハウス:「ほんと、お願いします」って感じでしたね。でも、みんなすぐに買ってくれたんで助かりました(笑)。
――これまでの話でも、SUSHIBOYSにとっての可能性というか、余白のような部分がまだまだあるのだということがわかりました。その上で、今後の具体的な目標などはありますか?
ファームハウス:目標は武道館かな。
エビデンス:小さいステップのうちのひとつですね。
ファームハウス:あと、今年からはアジア、韓国とか中国も攻められたらなって思ってて。SUSHIBOYSっていう名前も、世界で認知してもらいやすい名前だと思うので、ゆくゆくは世界での活動も視野に入れてますね。
サンテナ:自分、下北沢の古着屋さんで外人さんと話したときに、「SUSHIBOYS知ってっか?」って聞いたら「おう今日の朝ダウンロードしたよ!」って言って、『NIGIRI』のアルバムが入ってる画面見せられたことがあって。「お……おう。わかってますね」って(笑)。「自分も一応、SUSHIBOYSでやらしてもらってます」みたいな(笑)。
――すごい話ですね(笑)。では、具体的ではなく、抽象的な話にすると、最終的にはやっぱり自分たちが楽しいことをやり続ける、ということになるのでしょうか。
ファームハウス:そうですね。自分たちだけでなく、聴いてる人たちもみんな幸せになるのが理想というか。Win-Winの状況じゃないと、自分たちも楽しめないし。やっぱりずっと音楽を楽しみながら続けたいっすよね。
あと、超個人的な考えなんですけど、コンセプチュアルな、物語性のある作品みたいなのもいつか作りたいなって思ってて。曲の内容でも起承転結をつけて、さらにそこに映像がついて、結果的には一本の映画みたいになる、みたいな。そういうのはいつか作れたらいいですよね。
エビデンス:アルバムで映画はヤバい。
ファームハウス:それをUSBでリリースするとかね(笑)。めっちゃおもしろいとは思うんすけど、予算がないとできないですよね。そういう遊び心のあるものをいっぱい作りたいんですけど、そのためにはもっとステップアップして、評価されないとダメだと思うので。やっぱりまずはそこですかね。
サンテナ:あと、テーマパークとかも作りたいっすね。
ファームハウス:はえーな(笑)。
サンテナ:SUSHIBOYSランドって名前で。今、ちょっと土地を探してるところで、目星も大体ついてきて。東京湾辺りの埋め立て地なんですけど。
――埼玉じゃないんですね(笑)。すでに競合相手もいますし……。
サンテナ:埼玉から直通で行ける道路とかも作るつもりなんで。首都高から乗る感じで。むしろ相手を潰すくらいの勢いで。いつまでもてっぺんであぐらをかかせるわけにはいかないなって。
エビデンス:おれは普通に海外の海岸とかでライブやりたいですね。花火とか打ち上げながら。
【リリース情報】

SUSHIBOYS 『WASABI』

Release Date:2018.04.25 (Wed.)
Label:Trigger Records
初回盤 TRGR-1007 LP ジャケット仕様
通常版 TRGR-1008 ジュエルケース仕様
Price:¥1500 + Tax
Tracklist:
01.KUNG FU
02.アヒルボート
03.ゲートボーラー
04.旅に出よう
05.問題ねぇ
06.ママチャリ remix
【イベント情報】
SUSHIBOYS 東名阪 Tour
「SUSHIBOYS “WASABI” Release Tour 2018。」

日時:6月23日(土) 開場18:00 / 開演18:30

会場:名古屋 CLUB ROCK’N’ROLL
ゲスト:パノラマパナマタウン

日時:6月24日(日) 開場18:00 / 開演18:30

会場:大阪 アメリカ村 CLAPPER
ゲスト:DENIMS

日時:6月30日(土) 開場18:00 / 開演18:30

会場:東京 Shibuya eggman
ゲスト:ドミコ
チケット代金:前売¥2,500(税込) ※ドリンク代別途

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