【ライブレポート】Chanty、活動再開
後初の全国ワンマンツアーファイナル
「まだまだChantyは続きます」

Chantyが4月21日、3月より始まった活動再開後初の全国ワンマンツアー<桜舞い散る木の下で君が待ってるワンマンツアー2>のファイナル公演を吉祥寺CLUB SEATAにて行った。
会場BGMは初日の「大地讃頌」から「1年生になったら」に変更されていた。思い返せば約二年前に行われた<桜舞い散る木の下で君が待ってるワンマンツアー>も卒業シーズンから入学シーズンをまたぐツアーだった。開演を待つファンは、入学初日の新入生さながら、心躍らせ開演の時を待っている様子だ。SEを背に楽器隊の3人が登場すると、大きく吸った息を吐きだすように始まったのは「貴方だけを壊して飾ってみたい」。内に秘めた静かな狂気のようなイメージを裏切るように最後に登場した芥(Vo)は、マイクスタンドからマイクをぶんどるようにして力強く歌い始め、ライヴの口火を切った。
そして「不機嫌」「冤罪ブルース」と更に勢いづける楽曲を畳みかけ、フロアも飛び跳ねたり頭を振り乱したり、割れんばかりの声援でコール&レスポンスしたりとライヴが始まったことを大いに実感させてくれると、久しぶりに披露された「落ちる球体」では芥からのタイトルコールに会場中から驚き交じりの歓声が上がる。続く「パセリ」をノスタルジックにお茶目に披露すれば、少し懐かしい思いに浸った人も多かったのではないだろうか。正直、満員御礼とは言い切れないフロアの密度ではあったが、後ろのファンまでもが大きく声を上げ、楽しそうにはしゃぎ回っていた様子に、数ではなく各々が全力で楽しめる空間としてとても充実していたと感じることができ、心から嬉しくなった。
「ベースソロ始まりますけどいいですか!」普段は縁の下の力持ちのようにライヴの演奏を支える野中拓(B)。芥に盛大にソロパートを振られると、少し恥ずかしそうにしながらも軽快なベースソロから始まる「インピーダンス」。カラフルな照明も相まって、フロアをかける観客たちがめいいっぱい楽しむ姿にこちらまで笑顔を誘われる。最新アルバムから披露した「ミツケタ」は、パッケージされた音とは遥かに色を変え疾走感が味付けされた印象。「コバラがすいたなぁ」という芥の呟きと気が触れたようなシャウトから始まった「魔が差した」はここまでの空気を一変させるほどの狂気を見せ、観客もそれに必死に食らいつく。
ツアー初日にも多く披露していた「Chantyの世界へようこそ2」の楽曲たち。初日とは比べ物にならないほど熟成した演奏に、この全国ワンマンツアーでいかに新曲たちが育ってきたかを伺い知ることができた。続いても「m.o.b.」「謳う心臓」を披露し、鬼気迫る展開に拍車をかけたかと思えば、千歳(G)が緩やかに音を紡ぎ「天翔る」へ。優しい演奏はいつものままに、この日は少しだけ力強く凛として胸に直接響いてくるような、そんな感覚になったのが嬉しかった。そして「yureru」へと流れると、ライヴも第2ラウンドへ。エンジンをかけ直すように「ALIVE」を叩きつけると、芥がギターを手に取り「まだいけますかー!」と一声。「滅菌、消毒、絆創膏。」ではヘドバンにジャンプにとせわしない展開に満足そうにフロアを見下ろす芥。その後もアグレッシブに飛び跳ねる楽曲「ミスアンバランス」、「衝動的少女」と熱の加速する展開を見せると、もはや綺麗にセットされていた登場時の髪型が思い出せないほどに乱れきった千歳。会場の熱気とその激しさを物語っていた。
幻想的に始まった「揺らめくあの日は万華鏡」では、ここまでの勢いと疾走感はそのままに、繊細なガラスの中を掛けめぐるような軽やかな演奏を届ける。続いた「君とこの部屋」もまた、雨あがりの晴れた空の下のまだ濡れている道を歩くような清々しい1曲。最後に芥が発した「夜が明けたよ」というフレーズは、これまでChantyに訪れた夜がここでやっと明けたような、晴れやかな気持ちにさせてくれた。本編ラストを飾ったのは「最低」。どうしようもなかった気持ちを浄化してくれるように前を向かせてくれる楽曲。そんな楽曲を最後に本編は晴れ晴れしく幕を閉じた。また、このツアーで再確認できたのがファンの熱量。割と控えめなイメージのChantyのファンだったが、ワンマン時のエネルギーは驚くほどで、止まないアンコールに自分も声を出さなければ、という気さえしてきた。


曲をたくさんやりたいという希望の元、口数少なく本編を終えたメンバーが盛大なアンコールに答え、再び登場。まずは今回のワンマンツアーの思い出から終始和やかなムードでトークが進む。実は節約のつもりで“炊飯器”を持ち込んで全国を回ったと話したこのツアー。楽屋でお米の炊ける音を聞く新鮮さや、それぞれ美味しかったご飯を語り合うなど飾らない彼ららしい緩い話題に会場からも常に笑いが起こっていた。そんな中、ホテルの外にあるコインランドリーを“野生のコインランドリー”と表現した成人(Dr)の天然ぶりがフィーチャーされると、知らない物や場所を“野生”と例えた千歳。「今回のツアーでは野生がなくなった。色んな地方に行って輪を広げてくってのは改めて大事な事だと思うし、怯えてちゃダメだなと。だからこのツアーやって良かったなとみんな思ってる」と、有意義なツアーを送ることができたことへの喜びを素直に伝えた。
千歳のアルペジオを背に、少しずつ口を開いた芥。「アルバム出して、怒涛の流れでツアーに突入して。ツアーって結構地方回り終わって日常に帰ってきたりすると途切れる事もあったりするんだけど、今回は一切途切れずバンドのメンバーと常に一緒にいるような気持ちで今日に至ることができました。それは本当に、このツアーに参加してくれたみんなの道しるべがあったからそういう風に思えたんだなって改めて今思います。もちろん、どんな形でも想いを届けてくれたらこれからもその方向に向かって歩いて行きたいと思うので、辛かったら辛い、楽しかったら楽しい、ムカついたらムカつく、大好きな人にそういう気持ちを届けてください。そして僕らにも届けてください」。
そんな芥らしい言葉から始まったアンコール1曲目は、「フライト」。このツアーで繋いできたものを素直に表現し、またこの日同じ時間を過ごすことを選んでくれたファンへの感謝をまっすぐに伝えたこの曲では、曲中互いに見合わせながらリズムを取り合うメンバーの姿が微笑ましく、とても印象的だった。そして「答えが見つかったとしても、またぐるぐるぐるぐる繰り返す毎日が、少しでも救われますように、こうして群れましょう。」と前置きし始まった「無限ループ」。自身の卑屈さを荒々しく嘆くこの曲では、お馴染みの「俺を!しばく!」のコール&レスポンスに会場も更なる盛り上がりを見せた。
「このツアーが始まってから書こうと思ってた曲、やっと届けることができます。」と口を開いた芥。もちろん事前に準備することもできたはずだが、どうしてもツアーを通してリアルなものをパッケージしたかったという思いから限られた時間で制作された楽曲となったことを明かした。ここでこの日初めて披露された新曲「ゴーシュ」は、彼らのこのツアーに対しての思い、届けたい気持ちが純度高く表れた1曲と言っていいだろう。「不思議とこのツアーで思ったのはツアーの終わりは始まりだなって。僕らのことを送り出してくれてありがとう。僕らのことを迎えてくれてありがとう。Chantyはまだまだ続きます。一緒に行きましょう。」そう芥が言葉を紡ぎ、最後は結成当初から大切に歌い続けている「奏色」を届けた。
「Chantyワンマンツアー最終公演これにて終了!!」という芥の言葉とともにこの日の公演はフィナーレを迎えた。と、思ったのも束の間、成人がお馴染みの祭囃子のリズムを刻み始めると、呆気にとられる芥を尻目にそのまま「やんなっちゃう」へなだれ込む。この日1番の歓声を上げたフロアも、タオルを振り回したり、割れんばかりの声援で答えたりと最後までしっかりと遊びつくし、正真正銘、Chantyワンマンツアーツアーファイナルは幕を閉じた。
いつも以上にメンバー各々の音が鮮やかにストレートに伝わってきたこの日の公演。再出発として開催された今回のワンマンツアーを経て、また一つ大きく成長したバンドの姿を見ることができた。改まって告知をしたとき、歓声が上がらないのが不安だったらしくアンコール中にさりげなく次の展開を口にしていた芥だが、ここで改めて2018年9月16日に、TSUTAYA O-WESTにて毎年おこなっているChantyの周年記念ライヴの開催を報告し、その近辺でミニアルバムのリリースがあることを発表。フロア中から大きな喜びの声が上がったことも記載しておこう。
4人で迎えた初めてのワンマンツアーを、無事ファイナル公演まで完走したChanty。最後のお決まりのカーテンコールで整列した4人の姿が晴れやかに見えたのは、全国各地で声援を届けてくれるファンに導かれながら、これからも変わらずに歩むべき道を再認識できたからだろうか。まだまだChantyは続きます、と力強く断言した芥。これからも途切れることなく、多彩な展開を見せてくれることを期待して、とりあえず、今は9月半ばリリース予定と発表されたミニアルバムの完成を楽しみに待つことにしよう。
文◎糸永緒菓子
※なお、Chantyは5月23日に開催されるBARKS主催ライブイベント<千歌繚乱 ~Massive Triangle~>への出演も決定している。こちらのチケットは、現在イープラスにて一般発売中。
<千歌繚乱 ~Massive Triangle~>


日時:2018年5月23日(水)開場18:00/開演18:30

出演:Initial'L/Chanty/Jin-Machine

会場:GARRET udagawa

料金:【先行チケット】3,800円 【一般チケット】4,000円 【当日券】4,500円 ※ドリンク代別途
【先行チケット】

受付終了
【一般先着受付】

4月17日(火)12:00~5月22日(火)18:00

[イープラス]

チケット購入ページURL:http://sort.eplus.jp/sys/T1U14P0010843P006001P002257610P0030001

ライブ情報

<5th anniversary oneman. ~Chantyの世界へようこそ~>

2018年9月16日(日)TSUTAYA O-WEST
<春の秘め事スペシャルエディション~芥生誕祭~>

OPEN 17:30 / START 18:00
前売¥0/当日¥0(Drink代別)

[出演]
Chanty

[チケット]

・招待制になります。
・2018年2月28日に発売される2nd full album『Chantyの世界へようこそ2』をご購入頂き、アルバムジャケットをお持ちになって4月29日当日の16時ライブハウス前にてお客様が並ばれた順に整理番号引き換えを行います。
※引き換えの際にアルバムジャケットの提示をお願い致します。
※お並び頂いたお客様がアルバムジャケットを何枚お持ちでも整理番号引き換えはお客様1人につき1枚とさせて頂きます。

・オープン時間前になりましたら再整列して頂き入場となります。

※整理番号はランダム配布となります。

※時間前からライブハウス付近にたむろする行為はライブハウス、近隣の建物のご迷惑となりますのでお控え下さい。スタッフが注意しても移動しない場合、お並び頂いても整理番号をお渡し出来ない場合も御座います。

※整理番号には限りがあります。当日お並び頂いてもお渡し出来ない場合も御座います。

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