三谷幸喜の舞台『酒と涙とジキルとハ
イド』初日前会見~優香の夫・青木崇
高が台湾公演でなぜ号泣?

2018年4月27日(金)から東京芸術劇場プレイハウスにて、三谷幸喜作の喜劇『酒と涙とジキルとハイド』の幕が上がった。初日前日には会見、並びにプレスコール(舞台の一部を披露するもの)が行われ、主演の片岡愛之助、優香、藤井隆、迫田孝也、そして三谷が登場した。
『酒と涙とジキルとハイド』フォトコール
本作は2014年に初演されて以来の再演となる。三谷がロバート・ルイス・スティーヴンソン原作小説「ジキル博士とハイド氏」を題材に、二重人格者の悲劇を喜劇に仕立てたもの。基本的に自身の作品の再演はめったなことではしない三谷だが、今回、台湾国際芸術フェスティバルに招待されたこともあり、再演を決めたという。
『酒と涙とジキルとハイド』フォトコール
囲み会見では、台湾公演の話で盛り上がるキャストたち。愛之助は「台湾の人があんなに笑うとは思わなかった」と振り返ると、三谷も「日本のお客様より台湾の方のほうがこういうお芝居の楽しみ方を分かっているようでしたね」、優香は「お客さんが手を叩いてヒューヒュー言ってくれたり!すごく楽しかったです」と顔を上気させていた。
『酒と涙とジキルとハイド』フォトコール
愛之助の妻・藤原紀香、そして優香の夫、青木崇高も台湾まで観に来てくれたという話から、三谷が優香に「夫(青木)の話をしていいですか?」とささやく。「変な事を言わないでくださいよ!」という優香の声をスルーしつつ三谷が話し出す。「芝居が終わってから、青木くんがボロボロ泣きながら楽屋に来られたんですよ。この芝居、泣く芝居ではないんですけれど(笑)」、すると優香も「どこの場面で泣いたんだろう」と夫の姿に驚いたとコメント。三谷は「後で聞いたら日本のお芝居がこれだけ台湾で盛り上がり、それに自分の奥さんが出ていることに感動したんですって」と涙の理由を説明し、「(青木を)大事にしてあげてくださいね、あの人はいい人ですよ」と優香に語り掛けていた。
『酒と涙とジキルとハイド』フォトコール
一方、愛之助も「うちの妻はこの芝居が大好きで! 楽屋に戻ってきたらやはり目が赤くなっていたんです。台湾の方の盛り上がりが尋常じゃなくて、それに感動したそうです」それだけ反響が大きかった台湾公演であったと皆、興奮を隠し切れない様子だった。
さて、大盛り上がりの台湾公演からの東京公演となるが、愛之助が「心を無にして、リセットしようかと。台湾ではここで笑いが起きたのに東京はないんや~……とか考えて落ち込まないようにとりかかりたいです」と笑いを誘いつつ意気込みを見せていた。
『酒と涙とジキルとハイド』フォトコール
再演まで4年の期間が空いたことについて、優香は「4年分歳を取ったので(セットの)階段の昇り降りがちょっと辛いです」。この言葉に藤井も「本当にきついです。膝の痛み、腰の痛みが……愛之助くんからいいお薬を紹介してもらいました。愛之助印のグルコサミンを……」と笑わせる。
『酒と涙とジキルとハイド』フォトコール
迫田は「この4年の間で私がいちばん変わったかもしれません。4年前はフリーの役者だったんですが、この作品をきっかけに一気に環境が変わりまして…」この4年間でNHK大河ドラマ『真田丸』をはじめ、ドラマなどへの出演が増えており、一躍注目を集めている迫田。「出る杭は打たれるといいますか……」と言うと、三谷がすかさず「いやそれほど出てないから」と突っ込みをかけていた。
『酒と涙とジキルとハイド』フォトコール
プレスコールでは、ジキル博士(片岡)の元に婚約者イヴ(優香)が訪ねてくる場面が披露された。自分の殻を破りたいと考えているイヴは、ジキル博士の別人格・ハイド(実は役者のビクター/藤井)に会い、その願いを達成しようとする。新薬をこっそりジキルに飲ませたイヴは、ハイドの出現を待ち望むが、その新薬はそもそも別人格を引き出す効果などないため、やむなくビクターがジキルと入れ替わってハイドとして登場。ところがもう少しのところで殻を破れないイヴは、今度は自分でその新薬を飲む。すると効き目がないはずなのにイヴの別人格、妖艶な女「ハイジ」が出現して……。
『酒と涙とジキルとハイド』フォトコール
くるくると表情がキュートに変わるイヴ役の優香はステージ上を跳び回り、ジキル博士の片岡とハイド役・ビクターの藤井を絶妙なテンポで振り回す。このパワーバランスが実によい。ハイドを演じているときの藤井の振り切れた演技は、従来のハイドのイメージを強調しすぎてもはやただの変人にしか見えないおもしろさがあり、ジキルはハイドとの対比でどこかしら情けなさや弱さが浮き彫りとなり、3人揃って魅力的なキャラクターとなっていた。そこに迫田が演じる沈着冷静なプールが場の空気をぐっと引き締める。スピード感溢れる芝居は、容赦なく観客を笑いの渦に叩き込む。最初から最後まで笑って笑ってスッキリできる心地のいい作品だ。
(左から)三谷幸喜、優香、片岡愛之助、藤井隆、迫田孝也
取材・文・撮影=こむらさき

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