BRADIO ライブレポート:ピンチをチ
ャンスに変え、むしろパワーアップし
たグルーヴを武器に雄々しく進む

きらダン・ナイト @ 東京

2018.4.24 渋谷WWW
中野サンプラザを満員にしたバンドを渋谷WWWで見られるなんて、なんてラッキーなんだろう。新生BRADIOの誕生を誇らしげに告げたメジャー2ndシングル「きらめきDancin’ 」の初回盤購入者限定招待イベント、すなわちBARDIOを心から愛するファンキーパーティーピープルだけの集い。3人体制になってから、対バンイベントへの出演を除き、3日前の大阪とこの日の東京が今年初の主催ライブだ。バンドは一体どうなっているのだろう、という不安や疑問がオーディエンスの表情に浮かぶ……ことは特になく、開演前の場内には笑顔と期待感しかない。大歓声に迎えられてメンバーが登場する。真行寺貴秋が「きらダンナイトへよォーこそ!」と叫ぶ。お揃いの、シルバーグレーのジャケットと黒いシャツが決まってる。さあ、ラッキーでファンキーでハッピーな宴の始まりだ。
BRADIO 2018.4.24 撮影=タマイシンゴ
1曲目は「LA PA PARADISE」。貴秋のファルセットの音程と美しさはいつもながら完璧だ。酒井亮輔はサポートドラマーと共にがっちりとビートを固め、大山聡一は鋭いカッティングでサウンドに浮遊感を与える。貴秋は一人一人に挨拶するように、客席をくまなく見渡しながら歌っている。「ファンキーなファンタジスタとは、おまえたちのことだぜ!」。曲は「FUNKASISTA」に変わったが、グルーヴは途切れない。一緒に歌い、踊り、ワイパーを繰り返し、振付を揃え、オーディエンスも忙しい。聡一がさりげなく滑り込ませる「セックスマシーン」のリフがかっこいい。息つく間もなく、スピード違反の高速ファンクチューン「-Freedom-」へ。歌い終わると貴秋はぐははははと高笑い。たった3曲で、渋谷WWWは熱気渦巻くパーティースペースへと早変わりだ。
BRADIO 2018.4.24 撮影=タマイシンゴ
「みんなファミリーだから。初めてBRADIOを見る人も、全員連れてってやるから」
初めてライブに来た女性が手を挙げ、彼女に向けて貴秋がかっこいいセリフを吐いた。アリーナ! 1階席! 2階席! 3階席! って、WWWにそんな席ねえよ!とみんな笑った。EW&F「September」のリフに乗せ、揃いのステップの練習をしたあとは、「Back To The Funk」で大はしゃぎだ。BRADIOのライブは全員参加型、恥ずかしがってる場合じゃない、踊らにゃ損損だ。
ニューシングルのカップリング「Once Again」は、爽やかさと憂いの塩梅が絶妙な、シティポップ感あるソウルチューン。貴秋が見事なスキャットを聴かせ、聡一がここぞとばかりにエモいソロを決める。「Chocolate Flavor」はさらにメロウにアダルトに、サポートキーボードの流麗なピアノと共に美しいファルセットを決める貴秋が、めちゃくちゃイケメンに見えてくるから不思議だ。メンバーの挨拶をはさみ、「久しぶりの曲を」と言って歌った「Baddest」は、ハートウォームなオルガンがいい味を出しているクールなファンクチューン。たっぷりと隙間を空け、グルーヴの波が寄せては返す。はしゃぐだけじゃない、ゆったりじっくり聴かせるのもBRADIOのライブの得意技だ。
BRADIO 2018.4.24 撮影=タマイシンゴ
「まだまだBRADIOミュージック、食らいたいかい? みんなの中のミラーボール、回しちゃっていいかい?」
きらきらのミラーボールが華麗に回る下、お待ちかねの「きらめきDancin’ 」は、録音された作品よりもグルーヴも音像もぐっとファット、何倍も破壊力のあるとんでもない演奏だった。強力なディスコ/ファンクビートに乗ってベースソロからギターソロへ、貴秋の口笛もばっちり決まる。会場は全員モンキーダンスで大フィーバー、こいつは紛れもなくモンスターチューンだ。さらに「遊ぶぞ!」という貴秋の掛け声と共に、ラストチューン「スパイシーマドンナ」へと一気になだれ込む。豪快なエイトビートのロックンロールにまたがって、エロい歌詞に合わせてセクスィーなパフォーマンスを繰り広げる貴秋に、やんやの歓声が飛ぶ。聡一が炎のギターソロを弾く。貴秋が「サンキューサンキュー!」と100連発で叫ぶ。ファンキーな時間は早く過ぎるもの、ジャスト1時間、あっという間のショータイムだ。
BRADIO 2018.4.24 撮影=タマイシンゴ
アンコール。いつになく真面目な3人のMCが胸に沁みた。「いろいろあったけれど、僕らはめちゃめちゃ元気です。新しいものをどんどん発信していきます。これからも最高の景色を一緒に作っていこうぜ!」と、貴秋がBRADIOチーム全員の思いを束ねて叫ぶ。曲は「Overnight Superstar」。輝くミラーボールの下、幸せのクラップがファンキーパーティーピープルの心を一つにする。最後の貴秋のセリフは、マイクを持たない生声の「音楽って素晴らしい。ありがとう!」だった。
BRADIO 2018.4.24 撮影=タマイシンゴ
BRADIOは6月にアメリカで初の海外フェス出演、その後は国内で恒例の主催ツアー『ALIEN CIRCUS 2018』に挑む。もちろん夏フェスにもエントリーするはずだ。メンバー脱退というピンチをチャンスに変え、むしろパワーアップしたグルーヴを武器にBRADIOは雄々しく進む。その道をファンクの神様はきっと祝福してくれている。
取材・文=宮本英夫 撮影=タマイシンゴ

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