マグロ解体×老舗ホストクラブ×ハウ
スDJ!異色コラボの先に描く“未来”
とは? アフロマンスと『CONNECT歌舞
伎町』柴本新悟氏が語る

新宿・歌舞伎町のライブハウスと地元商店街が力を合わせて立ち上げた街中音楽フェス『CONNECT歌舞伎町MUSIC FESTIVAL』。5月13日に開催され、3回目を迎える『CONNECT歌舞伎町MUSIC FESTIVAL』では、10ヶ所の会場、120組以上に及ぶ規模で、さまざまなジャンルの、多数のアーティストのパフォーマンスを体感できる。そんななかでも、特に注目を集めているのが、老舗ホストクラブ・愛本店で開催されるイベント『マグロハウス』である。ハウスサウンドが鳴り響くなか、マグロの解体ショーを行うというコンセプトは、まさに異色の中の異色。そんな『マグロハウス』の生みの親であり、『泡フェス』なども手掛けるパーティークリエイター・アフロマンスと、CONNECT歌舞伎町プロデューサーの柴本新悟氏が、開催を前に愛本店で再会。「ホストクラブ✕ハウス✕マグロ」の強烈なコラボレーションが成立するまでの経緯、そして『CONNECT歌舞伎町MUSIC FESTIVAL』に向けた想いを語り合った。
マグロ=外タレ?赤身魚とハウスが生み出すもの
左から、アフロマンス、柴本新悟氏(CONNECT歌舞伎町プロデューサー) 撮影=岩間辰徳
――『マグロハウス』のコンセプトはとても異色だと思いますが……思いつかれたきっかけを教えていただけますか?
アフロマンス(以下A):最初は、2015年12月末ごろに「イベントを手掛けて欲しい」と、渋谷のClubasiaの方から頼まれまして。そこでいくつか案を考えているときに、テレビでスシローのCMが流れていたんです。スシローのCMはJazztronikのPVと似ていて、スタイリッシュでカッコいいんですよ。それを見ているうちに、赤身の魚とハウスって合うんじゃなかな、と。つまり、“ハウスの4つ打ち”と、“赤身の魚が上から降ってくる感じ”が自分の中でクロスオーバーしたのがきっかけですね。すぐにイメージが沸いたので、やることにしました。EDMも考えましたが、やはりハウス。「マグロハウス」という言葉の響き的にもしっくりくるじゃないですか。実際にやってみたら凄くおもしろかったので、成功でしたね。
――当然、最初はマグロの調達から何から、初めて経験されたわけですよね。どうされたんでしょう?
A:素人では無理なので、解体業者や職人に連絡しました。「クラブでDJに合わせてマグロを解体するイベントをやるので協力してくれないか」と。軒並み断られ続けるなか……浅草で毎日マグロの解体をする居酒屋・たいこ茶屋のガッツおじさん(嵯峨完氏)という方だけが快諾してくださって。何でもチャレンジする方なんですけど。
――被災地でもマグロ解体をされたりしている方ですね。最初の開催での反応はどうでした?
A:『マグロハウス』は開催前から反響があって、当日は大賑わい。DJを前にしてガッツおじさんが頑張ってくれて、いいイベントになりました。それから年2回ぐらい、定期開催というよりはコラボという形で開催しています。
アフロマンス 撮影=岩間辰徳
――やはり通常のDJスタイルとは異なりますよね。
A:マグロを捌くのに合わせてハウスをDJしている感覚ですね。マグロの進捗具合を見ながらDJしていますから。ガッツおじさんが「かぶとー!!」と叫ぶときに、うまく曲をフェードアウトさせるとか、盛り上がりのポイントを解体ショーと一緒に持っていくように工夫しています。
――エンターテインメントですね。
A:マグロは外タレみたいな感じです(笑)。一番の盛り上がりは、マグロの登場シーン。外タレが飛行機から降りたときに沸き起こる歓声に近いものがあります。お客さんも全員、写真を撮りますよ。前回は65キロもある黒マグロの一番いいヤツを使いました。朝イチに築地から仕入れたマグロですから、確実にウマい。みんな喜んで食べてくれました。
――マグロの他にもイベントの見どころを教えてください。
A:やっぱり、ハウスの楽しさを知ってもらいたい。そのきっかけづくりになればいいと思っています。DJ、今回は10名ぐらい。9nineの佐武宇綺さんも参加します。彼女のDJは、カッコいいんですよ。ハウスも結構好きな方なので、いい意味で全然アイドルっぽくなくて、めっちゃ硬派なDJをします。この間は渋谷で声かけられて、9nineのファンの方に「アフロマンスさんですよね?佐武宇綺ちゃんをもっと呼んでくださいよ!」とリクエストされました。
左から、柴本新悟氏(CONNECT歌舞伎町プロデューサー)、アフロマンス 撮影=岩間辰徳
――9nineのファンも集まるとなると、当日はかなり混雑しそうですね。
柴本:いろいろとオペレーションは考えています。『マグロハウス』は凄く注目度が高くて、特にマグロ解体ショーの時間帯は相当混雑が予想されるので、対策を考えてます。
A:『マグロハウス』自体は、昨年も愛本店で開催しているのですが、そのときは200名入って、満員電車状態でした。
ライブハウスに行って初めてわかること
左から、アフロマンス、柴本新悟氏(CONNECT歌舞伎町プロデューサー) 撮影=岩間辰徳
――柴本さんは、なぜCONNECT歌舞伎町に『マグロハウス』を招聘したのですか?
柴本:愛本店の方に、「通常の営業以外に一番盛り上がったイベントは何ですか?」と訊ねたんです。すると、「昨年行われた『マグロハウス』です」と返事をもらったので、だったら『マグロハウス』を招待したいと思ったんです。イベントの写真や映像を見たら、とっても合う気がしたのです。だって、全部がハチャメチャじゃないですか。まずこの店で、そしてDJイベントでマグロを解体するというのも前代未聞です。このカオスな組み合わせは、まさに歌舞伎町を連想させますよね。最高の組み合わせだと確信したので、お願いすることに決めました。
ホストクラブ 愛本店の内層 撮影=岩間辰徳
A:愛本店のロゴや店内も含めて、“日本人が間違って捉えた西洋”みたいな感じがしますよね。西洋風なゴージャス感がありつつ、日本のDNAがあるというか。そういう意味でも『マグロハウス』とは相性がいいと思っています。
柴本:ジャパニーズですよね、愛本店は。そこでDJイベントとマグロ解体ショー、そして解体されたマグロを刺身でお客さんに配るという、あり得ないことが起こるので、異種同士がぶつかり合う楽しさに期待しています。
――『マグロハウス』参戦の告知をした反響はあったのでしょうか?
柴本:まず、愛本店が参加することに反響がありました。さらに『マグロハウス』というイベントが決まって、凄いことになっています。CONNECTに集まるお客さんはほぼロックファンなので、『マグロハウス』は新鮮に映るのではないでしょうか。
柴本新悟氏(CONNECT歌舞伎町プロデューサー) 撮影=岩間辰徳
A:『マグロハウス』をきっかけに、ハウスの楽しさも知ってもらえると嬉しいですね。
柴本:そうなるといいですよね。色々ときっかけが生まれるフェスしたいと思っています。今、第一線で活躍しているバンドも、スタートはライブハウスです。つまり、ライブハウスはサブカルチャーが生まれる最前線。実際に足を運ばないと、わからないものです。CONNECTを通して、ライブハウスに通う楽しさを知って、何度も通うようになってもらえたらいいな、と。今まで歌舞伎町を歩いていなかったような若い方がこれをきっかけにライブを見に行くようになると、周囲の飲食店にも経済効果が生まれると期待しています。
A:昨年、愛本店で開催したときに来ていた知り合いは、お店の方に声をかけられて、その後に体験入店を経て、今はホストですよ。仕事、変わっちゃいました。
柴本:そういう縁が生まれるのも嬉しいですね。
アフロマンス 撮影=岩間辰徳
A:さきほど柴本さんがおっしゃっていた、「ライブハウスに通わないとわからないもの」という話は、よくわかるんです。知っているけど、行ったことのないライブハウスっていっぱいあるじゃないですか。実際に行ってみないと、わからないことって、たくさんありますよね。自分の好みに合うとか合わないとかも。実際に足を運ぶことが大事。本当に行ったことがあるのとないのでは、全然違うので。
柴本:自分から探すということをやってもらいたい。そのアクションのきっかけが、CONNECT歌舞伎町というイベントだったらいいな、と思います。
左から、柴本新悟氏(CONNECT歌舞伎町プロデューサー)、アフロマンス 撮影=岩間辰徳
――では、最後にイベント開催に向けた抱負を聞かせてください。
A:前回よりパワーアップして、より楽しめるようにカオスにやりますので、ぜひ遊びに来てください。
柴本:マグロハウスもですけど、他にも魅力的なアーティストが120組以上も出ます。歌舞伎町中をぐるぐる回れるアドベンチャーみたいなイベントになると思います。今まで聴かなかったタイプのジャンルを聴いたり、新しいお気に入りのバンドを見つけてもらいたいです。昼間の歌舞伎町も面白いので、ライブハウス間を移動する際に面白そうな店とか見つけてくれたら嬉しいですね。未体験のサウンドとこれまで気付かなかった街の表情に出会いながら、一日歌舞伎町を遊んでもらいたな、と思っています。

取材・文=シン上田 撮影=岩間辰徳

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