マイアミ「UMF」にも出演した、世界
で話題の覆面日本人クルーAmPmとは?

先日開催されたマイアミ「Ultra Music Festival(UFM)」に出演していた日本人アーティストはたった2組だけ。それはKSUKEと……謎に包まれた覆面クルーAmPm(アムパム)。日本以上に海外で話題沸騰中のAmPmとは何者?

彼らが覆面を被り、素性を隠す理由とは
……

Keep Us Alive/ AmPm feat. Shel Bee (Lyric VIdeo)
2017年3月にリリースしたトロピカリーなデビュー曲“Best Part of Us”が、Spotifyを中心にバイラルヒット。その後も間髪いれず楽曲を発表しリスナーを拡大。それも日本以上に海外で注目を集め、その結果デビューから1年にして「UMF」に出演。そんな超シンデレラストーリーを疾走中のAmPm、ただその正体はマスクに覆われ謎だらけ。そこで、今回はAmPmとはどんなアーティストなのか、その本性をさぐるべくインタビュー!

Own This Groove / AmPm feat. Liyv (Lyric VIdeo)
——ネットを見てもあまり情報が出ていないし、覆面姿で正体不明。そこまで素性を隠す理由は?

AmPm(左)「よく言えば戦略ですが、そもそも僕らには本業があり、デビューとなるとよくも悪くもそこに影響を与えることが予想される。そのリスクを回避するためのマスクであり、素性がわからない形でやろうと最初から考えていました。極論を言ってしまえば、プロフィールも必要ないと思ったんですが、それだといろいろと都合が悪いので必要最低限の情報を開示している、といった感じですね」

——最も困ったのがなんと呼べばいいのかなと……。名前さえもわからず。

AmPm(左)「ですよね(笑)。正直、名前に関しては都合よく呼んでもらえればなと(笑)」

Darling Break Free / AmPm feat. Michael Kaneko (Lyric VIdeo)
——ファンからしてみれば、ライヴなどで困ると思うのですが……。

AmPm(左)「そうかもしれませんが、実はライヴでは中身が入れ変わることもありまして……」

AmPm(右)「それに、メンバーが増えることもあります。でも、それは素性を隠しているからこそできることで、自由度の高さにも繋がると思っていて。例えば、東京と大阪で同時多発的にイベントを開催したり。それがAmPmのひとつの強みだと思っています」

——覆面に関して言えば、それこそDeadmau5(デッドマウス)やMarshmello(マシュメロ)の例がありますね。

AmPm(右)「Daft Punk(ダフト・パンク)然り、夢の国然り、エンターテインメントという部分では演じるのは誰でもいい、そこに制限はないと思っています」

世界で注目された鍵はSpotify、そして
チームにあり!?

Best Part of Us / AmPm feat. Michael Kaneko
——デビュー曲“Best Part of Us”がSpotifyを中心に大きな話題を集めましたが、それは予想していました?

AmPm(左)「楽曲のクオリティという面では自信を持っているので、当然ある程度の反応は期待していましたが、正直想像以上でした。しかも、その勢いが継続し続けていることが何より嬉しかったです」

AmPm(右)「当初から常にトピックを発信することは意識していましたけど、まさかここまで……という感じです」

——トピック=新曲ということになると思うんですが、それはある意味メディアのようですね。

AmPm(右)「まさにその通りで、もともとAmPmという存在はメディアという考え方でもあるんですよ。僕らを媒体にして様々な情報を打ち出していく、それはアーティストだったり、音楽性だったり」

——面白い考え方ですね……。その打ち出し方としてはインターネットやストリーミングサービスが中心。なかでも、Spotifyをうまく活用されているようですが。

AmPm(左)「インターネットにおけるツールは全て意識していたんですが、その中でもSpotifyは数字(結果)もはっきりと出ますし、我々のような存在にとっては自分たちでなんとかしうるチャンスがあると思っていて。ただ、狙ったというよりは、そうせざるを得なかったというのが本音ですけど」

——ふたりとも本業があるとのことでしたが、そもそもなぜアーティストに?

AmPm(右)僕はもともと音楽活動もしていたのですが、彼と組みAmPmとしてシーンを俯瞰することで何かできることがあるんじゃないかと思って」

AmPm(左)「僕は広告制作やデザイン、マーケティングを生業にし、音楽と近い関係性にあったんです。そこで蓄えたノウハウや経験を活かせるのはやはり音楽であり、僕らが発信できる選択肢のひとつとして必然的にありました」

——では、様々な音楽があるなかでAmPmの音楽性として今のサウンドを選んだ理由は?

AmPm(右)「それはシンプルにインターネット上で比較的に認められ、なおかつ自分たちがカッコいいと思えるもの、ですね。僕らが好きなヒップホップからハウスの範疇の中でいろいろと試した結果でもあります」

——ある意味、音楽性も戦略的に考えていたわけですか。

AmPm(右)「それはあくまで結果論ですね。ただ、アーティストのマインドというよりも、今世の中にある面白いものを搾っている感覚はあります」

AmPm(左)「新人ではありますが長年音楽に接し、ある程度の音楽感は持ち合わせていると思うんです。そして、それを表現するチームを備えているので、然るべくしてできたと思っています」

——AmPmはふたりだけではなく、ひとつのチームでもあるんですね。

AmPm(左)「今のシーンにおいては、個で戦うのは難しいと思うんです。ライヴやプロデュースだけでなく、マーケティングにプロモーション、それこそデザインやファッションまで必要ですし、全てがトップレベルになければ戦えない。世界的なアーティストはチームがあってこそ、そこは僕らもすごく痛感しています」

AmPm(右)「それこそリミックスさせてもらったR3HAB(リハブ)やAfrojack(アフロジャック)などはまさにチームでしたね」

R3HAB – Hold Me (AmPm Remix)
——もともと海外志向があったんですか?

AmPm(左)「そうでもないです。かといって日本でというわけでもなく、特にこだわりはありませんでした」

AmPm(右)「いいものを作って発信する、最初はそれだけでしたね」

今のダンスミュージックシーンで求めら
れるもの

VASSY & Afrojack feat. Oliver Rosa – LOST (AmPm Remix)
——ふたりは今のダンスミュージックシーンに関してはどんな印象をお持ちですか?

AmPm(左)「R3HABやAfrojackのリミックスをしていて思ったんですが、今は圧倒的なスピードで総合力が求められていますね。彼らのスピード感は尋常ではないくらい早いんですよ。それは決断のスピード、変化を理解するスピード、全てにおいて。そこにどう食らいついていくか、大きな課題のひとつですね」

AmPm(右)「制作環境も僕らが今考えるべき問題だと思っています。日本のミックスやマスタリングの精度は、まだまだ世界に追いつけない部分が絶対的にあると思っていて。あとは、世界と戦うという意味ではワールドワイドなヒットを作ること。どんなにDJがうまくてもそれだけでは上にはいけないので、そこは狙ってきたいですね」

AmPm(左)「例えば、ライヴひとつとっても、トップアーティストは同じ会場でも違った演出や見せ方をしていますよね。それは機材の良し悪しに関係なく、ある種アイディアやセンスだと思うんです。僕らもそういったことは貪欲に学んでいきたい。それこそ、昨年多くの海外アーティストと共演して、意外だったのがみんな相談すると親身になって教えてくれるんですよ。R3HAB(リハブ)も様々な道標を示してくれましたし。彼はオランダ人ですが、向こうでは情報をシェアして先輩が後輩を引き上げる、素晴らしい関係性ができていた。だからこそ優秀な人材が続々と出てくるんですよね。僕らもそういったことができると最高です」

I don’t wanna talk / AmPm feat. Nao Kawamura (Lyric VIdeo)
——音楽的な部分ではどうでしょう?

AmPm(右)「EDMに関して言えば、日本ではその勢いはまだ続くような気がしています。ただ、僕らがその中で挑戦してみたいのがライヴ。日本は単曲で盛り上がる傾向がありますが、それもひとつの手段としてありつつ、ライヴ自体大きな物語として魅せ、動員する。するとクラブが潤い、ミュージシャンも潤う。それが僕らのチャレンジでもありますね。僕らは仮面を増やすこともできるので、仲間とともにライヴという形にこだわっていきたいと今は思っています。そして、その中でシチュエーションによって音楽性も変化していく、そんな柔軟性も必要かなと」
——先日は「Ultra Music Festival」のステージに立ち、4月7日(土)には
Galantis(ギャランティス)公演で日本初のパフォーマンス。今後日本でのライヴも積極的に行なっていく予定ですか?

AmPm(左)「日本に限らず、国内外でライヴは増やしていきたいと思っています。当然楽曲のリリースも並行しながら。個人的には2018年は準備の年だと思っていて」

AmPm(右)「準備というのも海外に向けて、2019年、2020年のフェスに出られるよう活動していきたいですね」

AmPm(左)「アメリカやヨーロッパはもちろん、南米も間違いなく大きなマーケットですし、日本にはまだ届いていないビッグフェスもたくさんある。僕らは今そこに挑戦していかないといけないと思っているんです。せっかく海外でチャンスをもらっているので、今は世界をどこまで開拓できるかですね」

AmPm(右)「そして、その後日本のアーティストを世界に紹介していく。それこそメディアとしての機能性を持ち合わせた、AmPmだからこそできることだと思うんです」

AmPm(左)「そこにはボーカリストだけでなく、作詞、作曲者など音楽に関わる全ての人がAmPmをきっかけにフォーカスされるようになってほしい。そのためには、僕らがもっともっと売れなくてはいけないんですけどね(笑)」

AmPm(右)「近い将来、現場のDJもAmPmのマスクを被ることでより大きなステージが体験できる、そういった環境が作れたら最高ですね。それだけでもみんなのモチベーションが変わると思いますし。そして、様々な知識や経験をシェアしながら、そこからまた生まれてくる何かを僕ら自身楽しみたい。そのためにも、今は僕らが頑張らなくてはいけないタイミングなんだと思っています」

▽あわせて読みたい!AmPm(アムパム)日本初のパフォーマンス、Galantis(ギャランティス)公演はコチラから

Addicted To You ( Utada Hikaru cover ) / AmPm feat.Nao Kawamura

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