[第45回]地球ゴージャス『ZEROTOPIA
』公演中、宮澤佐江「生」のステージ
への熱く深い思い、そして楽しさ。

絶賛上演中の舞台、地球ゴージャスプロデュース公演Vol.15『ZEROTOPIA』。毎回、ひとつとして同じものはない「生」のステージへの思い、楽しさをたっぷり聞きました。

ーーさあ、佐江ちゃん。今回もよろしくお願いします。
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はい、よろしくお願いします!
ーー地球ゴージャスプロデュース公演Vol.15『ZEROTOPIA』に、サンディー役で出演中の佐江ちゃん。今回も、舞台についてたっぷりお聞きしていきたいと思います。(編集部註:取材日は4/2)
ありがとうございます!
ーー前回に引きつづき、今回も、お稽古期間中のお話で、岸谷五朗さんと寺脇康文さん、そして佐江ちゃんの3人でお食事に行かれたお話からお聞きしようかと。…というのは、3人でのお食事は、意外にも初めてなのだそうですね。
はい、3人は初めてでした。おふたりと「さしめし」しました。五朗さんと寺さんは、ふたりでひとりだから、「さしめし」(笑)
おいしかったし、楽しかった! 初めておふたりと行ったんです。ご飯に行けたことによって、どこかしら気持ちがふっ切れて、稽古に臨む意欲がさらに強くなりました。
ご飯に行ったのは、稽古が始まって2週間くらいたった頃。それまでの2週間は、自分のなかに、何なのかよくわからない「葛藤」のようなものを抱えながら稽古に臨んでいたんです。
そんなときに、おふたりとご飯へ行って。そこで聞けた言葉が、次の日から自分を変えてくれる「きっかけ」になりました。
ーーこの回が更新される頃には、初日の幕が上がっています。幕が上がると、7月の千秋楽まで長丁場ですね。
そうですね。
毎日が100パーセント完璧な自分でいたいと思っています。だけど長い公演期間のなかには、今日はこのターンで止まれなかった、とか、この台詞かんじゃったとか。1パーセントくらいの隙ができちゃう瞬間もあるかもしれません。
やっぱり人間だから、絶対あると思う。
でも、自分が舞台を観に行くときは、そういうちょっとしたハプニングを観られるときの方が好きだったりします。
ーーそれが、舞台のおもしろさでもありますよね。
同じものは二度とない
「生」なんだもん! もちろん、事故とかはいやですよ。だけど、「いつもとは違ったのかな? 明日はどんなふうになるんだろう??」って、また観たくなるきっかけにもなると思うんです。
ーーそれがあるから、くり返し、観る方がいるんですね。
そうですね。だから、演劇が好きな人は、同じ作品を公演期間中、何度も観たくなるんだと思います。
ーー同じものは二度とない、ですからね。
そう! それは、観る側にとってもそうだし、演じる側にとっても言えることです。「毎公演、まったく違ったものを観せたい」っていう、気持ちで舞台に立つから。「年パス」があったら、毎公演、観てほしいです(笑)
ーー(笑)。「年パス」、いいですね!
例えば、もともと3公演だけ観る予定だったけど、ほかの日の公演も観たくなって追加していったら、結果的に毎公演観ていた、とか。
でもね、自分は舞台に立ちたいと思うから、人がやっている舞台も観に行こうと思うけど、そうではなくても、舞台へ足を運んだり、お金をかけたりすることは、本当にすごいことだと思うんです。
だから、自分のファンもそうですが、ファンってすごいな、ありがたいなって、本当に思うんです。
ーー10回、20回と、同じ作品に足を運ぶ人もいるようです。
そうですね。私のファンのなかにも、そうして来てくれる人がいます。もっと感謝しなきゃいけないな。
ーーチケットの値段も、決して安くはないですからね。
Wキャスト
そういうお話も今回、五朗さんとしました。
「本当は高くしたくないんだ」
「今日、舞台を観に行こう、って言ってすぐに行けるくらい、映画と同じような感覚で演劇の楽しさを感じてほしいんだ」
って、五朗さんはずっと言っていて。
でも、地球ゴージャスを観に来てくれるファンも増えて、劇場も大きくしなくてはいけなくなって、かかる費用もたくさん増えて。そうなると、「本当に、仕方なく値段をあげなくちゃいけなくなる時代なんだ」って。
ーーなるほど。値段が高いぶん、1回のチケットを大事に握りしめて行く感じですよね。
そうですね。
あと、何回か観に来てくれる方のなかには、宮澤佐江のファンか、アイドルのファンかは別として、私じゃない、もう一人のWキャストを観たいといって、観てくれる人も多いです。
演劇を入り口としてではなく、「舞台」というものを知ってくれた人は、『王家の紋章』のときなら(新妻)聖子さんの方も、今回なら(花澤)香菜ちゃんの方も観に行く。
そう言って観に来てくれる私のファンも多いんじゃないかなと思います。
ーーそこは演劇ファンの方たちと、異なるところかもしれませんね。
そうですね。演劇のファンの人は、もしかしたら、Wキャストだったら、どちらか一方を観られればいい、という人も多いかもしれませんね。
ーー何回も観に行くという点で、公演中に、時期を変えて観に行くのも、また違ったものが観られるのかな、と思います。
演劇のさみしさ?
大好きな作品だったら、最初と、中日(なかび)と、千秋楽近くと行きたくなりますよね。
ーーそうですね。例えば、最初の頃だったら、まだ模索している過程というか、完成形ではない、最初の頃ならではの緊張感が見られるような気がします。
おおー、なるほど。
最初の頃だと、やっぱり慣れていないから、皆さんの前で披露する緊張感はもちろんあって。ケガしないかとか、出るタイミングを間違えないかとかありますね。
ーー演劇って、期間中はもちろんくり返し上演されますよね。でも、公演期間が過ぎると、すべてがなくなってしまう。そう思うと、惜しいというか、儚(はかな)いというか…
そうですね。「それが演劇のさみしさだ」って、『朝陽の中で微笑んで』のときに、寺さんがおっしゃっていました。
それは、私自身、今まで考えたことがなかったけど、そうだなぁと、思いました。映画や、ドラマは、作品になってから公開されて、形として残せますよね。
でも演劇は、毎回が生。1回、1回を残すことはできないんです。
千秋楽が終わってしまったら、今のスタッフ、キャストの全員が、全く同じメンバーで集まることも絶対にない。
それは演劇のさみしさだけど、「別れ」があれば、新しい「出会い」もあるから。それも演劇の楽しい部分だよね、って。寺さんがそういう話をしてくれて。本当にそうだなって思ってます。
ーーそういうことも含めて、何回も観に行く人がいるんですね。
ね! 心に残しておきたい、というか。
ーーたとえ映像になったとしても、そこの空気感はわからないですから。
そうですね、違いがあると思います。もちろん、映像のありがたさもたくさんあります。
映像化されてから、もう一度観て、「ああ、ここはこういう表情をしていたんだ」「ここは、こういう歌詞だったんだ」って、わかることがたくさんあります。
でも、私自身、ミュージカルは、映像より生の舞台の方がやっぱりいいな。生の舞台では、舞台全体や、役者さんの全身を観られるからこそ、映像とはまた違ったものを感じられると思うんです。
だからなのかな。皆が「いい! 」って言って、話題になっているミュージカル映画でも、いつも「わかる、わかる!!」って、話題に入っていけないんです。
何でいつも、人と違う方向に進んでいってしまうんだろう?? って、いつも思っているんですよ。
ーーそれは、昔から?
私は「サブ」が好きだから
どうだろう。。 そんなに「へそ」は曲がっていないと思うけど(笑)
ファッションでいえば、流行を着たいと思うタイプではないですし、皆が「いい」と言っているものは、追わないタイプというか。
例えば、あるお店で人気ナンバー1と、ナンバー2の飲み物があったとして。いつも、ナンバー2の方を買っちゃう。やっぱり1位が好きじゃないんだと思う。
ずっと言いつづけていますけど、私は「サブ」が好きだから(第10回)。ナンバー1より、オンリー1。どこか、へそが曲がっているんでしょうナァ。あははは(笑)
ちょっと、話の内容がずれちゃいましたね!?
ーーいえいえ(笑)
生と、映像の話が出ましたが、私自身、「映像をやってみたい欲」が強くなってきてるんです。
いろんな人に、「舞台をこれだけ踏んでいれば、映像は楽だよ」って、言われるんですが、楽なことなんて、絶対にないと思っているんです。
ーー違う技術を問われるかもしれませんね。テレビと映画でもまた違うと思いますし。
テレビドラマと映画の経験が本当にないからわからなくて。
映画もそうですが、連ドラとかも経験してみたいです。でも、台詞覚えが悪いからなぁ。。 「明日、このシーン撮ります」って、10行くらいの台詞がきたら、どうしよう。絶対にできない!!
だから、テレビや映像に出ている役者さんは、本当に頭がよくないとできないなぁって、すごく感じてます。
ーー役者さんは、台詞を忘れる力も必要だそうですよ。
おふたりロス、くる?
台詞をひとつ覚えて、本番が終わったらすぐに忘れて。また、次の台詞を入れる、みたいな。
ーーそうしないと、次々と台詞が頭に入ってこないというわけですね。岸谷さんや寺脇さんも、舞台と映像の両方で活躍されていますね。
すごいですよね。
映像でもすごく活躍されているおふたりも、それでもやっぱり、「演劇が一番好き」って、おっしゃってます。そうでなきゃ、25年も地球ゴージャスという演劇ユニットをできないと思います。
すご過ぎて、おふたりみたいにはなれない!
ーー佐江ちゃんも、おふたりの分子を受け継いで…
すご過ぎて、受け継げないっ!
でも、五朗さんと、寺さんが本当に大好きです。毎日、気持ちをかみしめながら、一緒にいさせてもらってます。おふたりの顔を思い出しただけで、泣きそうになっちゃうくらい。本当に大好き。
ーー終わった後は、「おふたりロス」がきそうですね。
きちゃうかもしれない…、久々にロスが。おふたりと知り合ってから、定期的に、こちらから勝手に連絡をしたり、舞台を観に来ていただいたりはしているんですけど…。
地球ゴージャスへの出演は、2回目までは期待できても、3回目に出演できるかといったら、正直、期待はできないと思っているんです。だから今回は、いろんな感情があって。
『ZEROTOPIA』という作品に対してはもちろんだけど、今回は、「地球ゴージャス」に対していろんな感情があります。
ーー初めて地球ゴージャスに出演した『クザリアーナの翼』のときとは違いますね。
次はどこを目指そうか
そうです。『クザリアーナの翼』の後は、2回目の出演を夢見てお仕事をしてきて、『ZEROTOPIA』でその夢が叶っちゃって。次はどこを目指そうか…。
ーー佐江ちゃんがそう考えていることを、岸谷さんや寺脇さんはご存知ですか?
言ったかなぁ…、言ったかもしれません。どちらにしても、これから約3カ月間ある公演期間中に伝えます。ははは(汗)
初日を迎えるまでは、「早く、皆に観てほしい」って言ってるのに、公演が始まっちゃうと、「もう千秋楽きちゃう」みたいな(笑)
ーー(笑)。時間が経つのが惜しいですね。
本当に。
ーー次回の「ミラチャイ」取材は、舞台期間中ですね。演じる役柄の、「サンディー」になりきっている佐江ちゃんに会えるかも!?
実生活では、サンディーには、なれない。絶対に、なれない!
舞台は今回、笑いの部分が多いですよ! あと、皆、泣くかなぁ?? 泣いてほしいわけじゃないけど。
あと、1幕の終わり方が、ゴージャスでは初めての試みだそうです。だから、
「お客さんの反応、どうなるんだろう」
って、五朗さんと寺さんが、心配して言ってました。「皆、休憩中、大丈夫かな」って。私は、初日(4/9)に客席から見ます。きっと、ひとりで号泣してるんだろうなぁって思います。
ーーいずれも気になることばかりです。次回、ぜひそのあたりもお聞きしたいです。
はい!
ーーそれでは最後になりましたが、今回もたくさんのお話、ありがとうございました。次回もよろしくお願いします!
はい! ありがとうございました! 次の「ミラチャイ」取材のときは、もう、本番が始まっています。次回はもっと、『ZEROTOPIA』の中味についても、お話できるようになっていると思います。皆さん、どうぞ楽しみにしていてくださいね!
次回の更新は、3週間後の5/11(金)予定です。
撮影:増田慶 スタイリング: 藤井エヴィ ヘア&メイク:伊藤遥香

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