THE BAWDIES 結成から15年貫き通さ
れた唯一無二のロックンロール哲学

結成15周年目、そしてメジャーデビュー10周年目を迎えるTHE BAWDIESが初のベストアルバム『THIS IS THE BEST』を、4月18日にリリースする。インディーズ時代の楽曲から書き下ろしの新曲まで、転がりつづける彼らの軌跡をこれでもかと詰め込んだその内容に合わせ、ROY(Vo, Ba)とTAXMAN(Gt)の2人にこれまでの活動を振り返ってもらいながら、バンドのこれからについても語ってもらったところ、『DELUXE EDITION』の聴きどころ・見どころについて訊いた前回にひきつづき、THE BAWDIESが持つ唯一無二のロックンロール哲学が浮き彫りになるインタビューに。THE BAWDIESのロックンロールはまだまだ止まらない。これからあっとびっくりするようなことが待っている!
――結成15周年、およびメジャーデビュー10周年目を迎える心境から、まず教えてください。
ROY:そんなに実感がないと言えば、ないのかな。っていうのは、僕ら、バンド結成の時に出会ったっていう関係ではないので。小さい頃から一緒にいる中で、途中でバンドが始まっているから、音楽だけで切り取るってできないんですよ。だから、そんなふうに言われて、振り返ってみると、いろいろなことがあったし、10年間、日本のメジャーシーンというか、J-ポップというシーンの中でしっかりロックンロールを鳴らし続けてこられたんだなっていう喜びはありますね。
――TAXMANさん以外は小学校からの同級生なんですよね。
ROY:そうなんですよ。だから27年ぐらい一緒にいるのかな。TAXMANが19年ぐらい。みんなバスケ部だったんですよ。僕とJIMとMARCYは小学生の頃からバスケットボールが好きで、『SLAM DUNK』世代っていうのもあるんですけど、中学校に入ってそのままみんなでバスケ部に入ったし、クラスも一緒だったんです。だから、ホント、朝、登校する時も一緒だし、部活が終わって帰る時も一緒だし、親よりも長い時間、一緒にいるっていう。ホント、兄弟みたいな感じで、そのままバスケをやっていたんですけど、同時にバンドがすごく盛んな学校で。後輩にOKAMOTO’ Sがいるんですけど、バンドマンだらけだったんですよね。その中で僕ら、出遅れてしまって。バスケが忙しかったから、バンドをやっている暇もなく……なんて言ってたら、みんなバンドを組んで、ライブもバンバンやっていてみたいな。そこで音楽は好きなんだけど、取り残されたのが僕とJIMとMARCYで、「俺らもちょっとやろうか。でも、土日は試合があるし、時間はないけど、まぁ、スタジオで遊ぶ程度ならいいんじゃないかな」ってちょこちょこ始めたのが中学の2、3年の時だったんですよ。ただ、そのままバスケをメインでやりながらダラダラと、JIMは本格的にギターに目覚めたって感じだったんですけど、僕とMARCYはまだそこまでではなくて。そしたら、高校生になって、TAXMANがうちの学校に入ってきて、親の影響でギターもやっている。だけど、バンドは組んでいない。ちょうどいいと思って、バスケ部も誘ったし、音楽も一緒にやってみようよって、そこから休みの日はスタジオに集まって、学校ではクラスも一緒、部活も一緒みたいな感じで、4人で固まっていったんです。
――小学校からの3人グループに途中から加わるのは自然にできたんですか?
TAXMAN:そうなんですよ。まずROYに誘われてバスケ部に入ったんですけど、最初は「仮入部という形で練習を見に来れば?」って言われたんですよ。本当は軽音楽部に入りたかったんですけど、じゃあ見に行ってみるよって行ってみたら、監督が「今日から入部する舟山君」って。「入部する」って、こいつ言ってたんですよ。
ROY:中学の頃から高校の監督とも仲良かったから、話はもうできてたんですよ(笑)。
TAXMAN:だから最初は渋々でしたよ(笑)。そんな中、部活が終わって帰るとき、駅で方向が分かれるんですけど、僕とMARCYは同じ方面だったんです。MARCYって当時からちょっとほんわかして、やさしい、まだ今みたいにクールじゃなくて、かわいい感じだったんで、最初にこいつから行けばいいと思って、MARCYとまず仲良くなって(笑)。
ROY:なめられたもんだな(笑)。
TAXMAN:バンドの話も、僕も乗り遅れたパターンというか。中学の時、周りに音楽をやりたいとか、やっているという人が一人もいなかったから、家でなんとなくギターを触っていたんですけど、バンドもやったことないし、うまいわけでもないし。そういう状態で、高校に行ったら軽音楽部に入ってバンドをやろうと思っていたんですけど、高校に来てみたら、中学からやっている手練れたちが“バンドやろうぜ”って感じになっていて。とてもじゃないけど、初心者じゃ無理だと思ってたんですよ。でも、この人たちから誘われて一回、練習を見に行ったら、けっこう下手くそで(笑)。一からやれるぞ、このバンドなら大丈夫だと思って。
ROY:なめられたもんだな(笑)。
TAXMAN:こんな下手くそがまだいたんだって。
ROY:俺もおまえが入ってきたとき、そう思ったけどな。こんな下手くそが入ってきたけど、どうしよう。足引っ張られるわって(笑)。
――その時は、どんな曲をやっていたんですか?
ROY:僕らが行っていた中学校が、メロコアとかハードコアとかがすごくて。だから、中学2年生の時、僕ら『AIR JAM』に行っているんですけど、行ったら周りは学校の先輩たちばかりで(笑)。そういうパンクの流れを汲んでいたので、そこらへんの楽曲をやりつつも、高校に入ってから音楽の幅も広がっていって、『フジロック』にも行ったりするようになって。
TAXMAN:最初に僕が入った時は、ペニーワイズっていうバンドの「カントリーロード」のカバーをやってたよね。
ROY:ペニーワイズは「スタンド・バイ・ミー」。あれじゃない? ミー・ファースト・アンド・ザ・ギミギミズ。
TAXMAN:そっか、ミー・ファーストか。
――じゃあ、ROYさんがベース/ボーカルっていうのは、Hi-STANDARDの難波(章浩)さんの影響?
ROY:そうですね。難波さんもそうだし、あのシーンってベース/ボーカルが多かったんですよ。LOW IQ 01さんとか、SHORT CIRCUITの原直央さんとか。僕は歌を歌いたかったんですよ、目立ちたかったから。でも、JIMがすでにギターに興味を持っていたから、ベースかドラム。じゃあ、メロコアの人はベースを弾きながら歌うし、「いいよ。一緒にやるよ」って持ち始めたのが最初なんですけど。歌が好きなので、後々ベースを入れようってなって、友達にベースをやってもらったこともあったんですけど、「この4人の結束が強すぎて入りづらい」って4、5人変わったから、THE BAWDIESを始めるとき、入って、やめてを繰り返すのはイヤだから、「元々、弾きながら歌ってたんだから、また弾くよ」ってなりました。
THE BAWDIES 撮影=中野修也
シーンが変わったり、どんどん若手が出てきたりもしましたけど、その中で自分たちがぶれずにやりたいことを貫き通せたっていうのは、一つ誇れるところだと思います。
――その後、ソニックスに出会うという転機が訪れるわけですが。
ROY:『フジロック』に行ったり、洋楽を聴くようになったりしてから、休みの日にCD屋さんに遊びに行くようになったんですけど、たまたま店内でソニックスが流れてたのを聴いてびっくりして、“何だ、これは!?”って。それからソニックスの近辺のバンドを聴きあさっていたらどっぷりはまってしまって。
――根っこのところでは、それが今も続いているわけじゃないですか。何がそんなに衝撃的だったんですか?
ROY:現代の音楽と明らかに違ったんですよ。当時、クラブ文化がどんどん盛んになってきた時代で、音楽もより現代的に、生感がどんどん減ってきていたんですよね。だから、ソニックスのような、めちゃめちゃ生々しい音って聴いたことがなかったんです。だから、僕らには衝撃的だったし、新鮮だったし、“あ、こういう音楽があるんだ”って。音の厚みを作ろうと思えば、現代だったらどうにもできるじゃないですか。でも、ソニックスの時代はそれができないから、演奏している人間が自ら作り出さなきゃいけなかった。そういう熱量が現代の人たちよりも振り切れているってことに気づいたとき、これが本当にかっこいいことなんじゃないかって思ったんですよ。その感覚って音楽だけじゃなくて、人間としてもかっこいいっていうか、そういうことをすべて教えてもらった気がしたんです。それが僕らの原点になってしまったので、そこは変わらないというか、それ以上はないんですよ。だから、ソニックスよりも生々しいっていったら、ソニックスが聴いてきたリトル・リチャードをはじめとする黒人のR&Bしかなくて、今度はそこにどんどん惹かれていったんです。
――それから15年やってきて、外からは順調にキャリアを積んできているように見えますが、実際のところは?
ROY:最初に言ったように、10年間、英語の歌詞のバンドで、現代の音楽ではないロックンロールで、メジャーのシーンでやり続けられたっていうのは、順調だと思います。ただ、そこはバンドなので、いろいろ波はありました。シーンが変わったり、自分たちが若手だと思っていたら、どんどん若手が出てきたりもしましたけど、その中で自分たちがぶれずにやりたいことを貫き通せたっていうのは、一つ誇れるところだと思います。これだけやって来られたんだから、この先もまぁ、ブレることはないだろうって自信にもなっているし。現代の人たちにロックンロールをどうやって伝えるか、デビュー当時からずっと考えて、僕らも伝え続けてきましたけど、5年も経てば、また「ロックンロールって何ですか?」って新しいリスナーが増えてくるんです。だから僕らはベテランになって、鋭さ、初期衝動みたいなものをマイルドにしてしまうと、そこで終わってしまうと思うので、常に研ぎ澄ましていないといけないんだって、ここ最近、気づかされたところではありますね。バンドってやり続けていると、やっぱり落ち着くじゃないですか。でも、そうなってはいけないって感覚は強くありますね。これまで発表してきた曲では、「THE EDGE」って曲が一番新しいんですけど、今までで一番激しいものを作ろうって、常に最新のものって何だろう?って考えてやっていますね。
――インディーズ時代は、それなりに苦労もしたという話も小耳に挟んだのですが。
ROY:苦労っていうか、楽しかったので。とにかくバンドをやっていられることが。だから夢中でしたよね。
TAXMAN:修業期間っていうか。
ROY:インディーズの頃はモッズとか、ガレージとか、ロックンロールとか、ロカビリーとか、いろいろなルーツミュージックを愛する人たちの、いろいろなイベントに僕らは顔を出していたし、同じような音楽を愛している人たちの前で演奏することが当たり前だったから苦労って感じではなかったです。
TAXMAN:そりゃ肉体的なつらさはありましたけど、ライブを1日2本やったりとか、車も中古で買って、基本、自分たちで運転しながら日本中、移動したりとか。
ROY:ホテルに泊まるお金もないから、その日にライブで会った対バンの人と打ち上げでどうにか仲良くなって、その人の家に泊まらせてもらったり(笑)。その人たちも学生だったりするから、ワンルームにその子たちも寝て、僕らも寝て、みたいな。
TAXMAN:みんなやさしいんだよね。知り合った人が実家住まいだとラッキーなんですよ。お母さんが朝おにぎりを作ってくれたり。飯にありつけるっていう(笑)。ホント、そんな感じでしたね。でも、楽しかったですよ。
ROY:若かったから、疲れもたまらなかったし。今それをやったらけっこう大変かもしれないけど(笑)。
TAXMAN:バンドで車に機材を積んで、日本中を旅するっていうことが憧れだったから、それをやれていることに満足してましたね。
ROY:60年代のバンドもこうやってたんだろうなって。そういうのはうれしかったです。
――車中泊もしたんですか?
TAXMAN:車中泊はないですけど、サービスエリアの仮眠室で寝たりとか、24時間やっているサウナに行って、そこの休憩所で寝たりとかはありました。
ROY:あまりにもそれが続いて疲れたんで――。
TAXMAN:初めて行った土地で、友達もさすがに作れなくて、マネージャーとメンバーと全員で一人200円ずつ出しあって、1000円持ってパチンコ屋さんに行ったんですよ。パチンコってやったことなかったんですけど、「ジャンケンで勝った人は運があるから」って、ジャンケンに勝った僕がパチンコ台に座ったんですけど。回し方もわからないから店員さんに来てもらって、「どれくらいの感じですか?」って(笑)。「いえ、それは言えないんです」って言ったけど、「これぐらいですか?」って聞いたら、僕の手を持ってくれて、「もうちょっとこれぐらいで、はい、ストップ。その感じです」って、そしたら大当たりしたんですよ(笑)。
TAXMAN:それでまあまあのお金になって、みんなでカプセルホテルに泊まって。
ROY:快適でした(笑)。
THE BAWDIES 撮影=中野修也
最近、ライブを見に来てくれる方が終演後、「ライブかっこよかったです」じゃなくて、「MCすごかったですね」って、そればっかりで(笑)。
――ロックンロールの魅力を多くの人にわかりやすく伝えるというところで、何か曲作り、サウンド作りで、意識的にこうしてみたっていうことはありましたか?
ROY:インディーズの時は、60年代の音を再現するってことに力を入れていたと思うんですけど、メジャーになってからは、より多くの人に聴いてもらうことになるし、「ロックンロールって何ですか?」っていう人たちにも触れてもらう機会も増えると思うから、そういう人たちに伝えるために、現代的なというか、もちろんヴィンテージの音ではあるんだけど、単なる当時の再現ではなく、あの匂い、あの感覚を現代の音で届けないとってことにはこだわってやってきましたね。あとは、ロックンロールっていうものを聴きなじみのない人に、そのままやっただけではスルーされてしまうかもしれないと思いました。僕らがビートルズではなく、ソニックスに引っ掛かったのは、ソニックスが振り切れていたからで。かっこいいからではなくて、“何だ、これ!?”っていうのがきっかけだったんですよ。それで、よくよく聴いてみたら“かっこいいじゃん!”ってなったわけなんですけど、それでいいと思ったんですよ。だから、まずは“何これ!?”っていう驚き、衝撃を与えなきゃ絶対に伝わらないと思って。特に僕はボーカルだから、まず声を聴いた時に“何、こいつ。誰? どこの誰!?”っていう、それぐらいの衝撃を与えるところまで行かないと、絶対に人は振り向かないと思って、そこに関してはすごくシビアに、ストイックにやった気がします。
――確かにROYさんのボーカルは衝撃でした。THE BAWDIESは音源ももちろんですけど、ライブの魅力も大きいじゃないですか。
ROY:そうですね。僕らがライブを一番大事に思っているからだと思うんですけど、ロックンロールのライブってクールなものというより、暑苦しくてホットなものだって思うから。人間性がわかって、こういう奴らがこういうことをやってるんだって見えたほうが、音楽が伝わると思うんですよ。だから、さらけ出す、楽しむってところで言うと、お客さんよりもまず自分たちが一番楽しむ姿を見てもらうってことは一番大切にしてます。あとはやっぱり、メンバーそれぞれのキャラクターも出しまくる(笑)。僕ら、ロックバンドでは考えられないようなMCの多さなんですけど、普段からのメンバーの仲の良さとか、人間性が伝わって、それもバンドの魅力の一つになっているんじゃないかなって思います。
――MCはデビューした頃から暑苦しかったですよね(笑)。
ROY:暑苦しかったですね(笑)。その頃から多少、変化してきているとは思うんですけど。
TAXMAN:昔はもっと尖ってたよね。
――今はもう話芸の域に達していませんか?
ROY:寸劇みたいなものもありますしね(笑)。
TAXMAN:最近、ライブを見に来てくれる方が終演後、「ライブかっこよかったです」じゃなくて、「MCすごかったですね」って、そればっかりで(笑)。
ROY:だね。ちょっと考えなきゃいけないかな(笑)。でも、僕らは、「かっこよかったね」っていうのももちろんうれしいですけど、それよりも「楽しかったね」って言われるのが一番いいかなって思うんですよね。楽しいって感じるって最高じゃないですか。ロックンロールってやっぱ背中をどんと押してくれるような元気を与えてくれる音楽だと思うんですよ。みんなで汗かいて、踊って、楽しい。とにかく前に進んでいこうっていうポジティブなエネルギーが伝えられる音楽だと思うので。笑顔になってもらうのが一番かなってずっと思ってるんで。
THE BAWDIES 撮影=中野修也
――さっき言っていた寸劇をやるようになったきっかけは?
ROY:「HOT DOG」っていう曲の前に僕ひとりがテンション上がって、曲紹介をしてからバッとやるっていうのをやってたんですけど、行き過ぎて意味がわからなくなってきたので、メンバーを巻き込んだほうがいいんじゃないかって。メンバーに振るようになったら、嫌々、参加してくれるようになって。
TAXMAN:って言うか、参加せざるを得ない状況になったんだよ。1回、「あれってアリなの?」って話になって、「何なの、あれ?」って怒られたんですよ。
ROY:すごい落ち込んだんだよね、あの後(笑)。
TAXMAN:だったらメンバーも巻き込んじゃえば、みんなも文句言えないねって。で、メンバーもやるってことになったら、ちゃんとやるしかないから。
ROY:“ちゃんとやる”って何だよ、って話なんですけど(笑)。だったら、ちゃんと台本を作ってやったほうがいいんじゃないかなって思って。今では台本を書き下ろしてね、毎回ライブ前に渡して、リハでもしっかりそこに時間を割くようになりましたね。
TAXMAN:PAさんも、照明さんも巻き込んで、今では一つのショウになっているものね(笑)。
ROY:エンターテイメントとしてね(笑)。それを見に来ている人もいると思います。
TAXMAN:それはない(笑)。
――どんな新ネタが飛び出すのか楽しみしている人は多いと思いますよ。MCと言えば、初期の頃から、「ロックンロールと言えば、お祭り。お祭りと言えば、打ち上げ花火。打ち上げ花火をみんなで打ち上げませんか」って言っているじゃないですか。初めて聞いた時は、あれも衝撃でした。
TAXMAN:いまだに言ってますもん。
ROY:いまだに言ってるって、思うことは変わらないから(笑)。確かに初めて聞いた人は意味がわからないかもしれないけど、ちゃんと紐解くと、要はロックンロールって元々、歌詞はすごく単純だったじゃないですか。かわいいあの娘と恋に落ちた、どうしよう、しか言ってないけど、それを歌っているミュージシャンのシャウトとか、歌声とか、演奏とかって、その歌詞とは不釣り合いなエネルギーが渦巻いていた。つまり、歌詞云々じゃなくて、そのエネルギーをドンと伝える音楽だと思うんですよ。僕らの音楽もまさにそれを継承しているんだから、それを日本のものでたとえた時に僕は、お祭りの神輿を担いでいる時のワッショイワッショイだよなって思ったんですよね。ワッショイって意味をいちいち考えながらやっていないじゃないですか? 元々、ワッショイにも意味はあると思うんですけど、ワッショイワッショイやっている時の、あのグルーヴ。口にはしているけど、その意味がどうこうよりも、あのグルーヴを感じて、みんなで一つになるあれってロックンロールだなって僕は思ったんですね。だから、ライブの終わりもワッショイで締めるし、ロックンロール=お祭りってことで日本の人に伝えれば、“あ、お祭りのあの感覚で楽しめばいいのか”って楽しみ方も伝わるじゃないですか。そこから始まっているんですけど、今はそこを端折って、「みなさんお祭りですから、打ち上げ花火を上げましょう」って言うから、みんなポカーンだと思うんですけど(笑)、実はそういう意味があるんです。

――さて、今回、収録される新曲の話も聞かせてください。タイトルが――。
ROY:「FEELIN’ FREE」。ベスト盤だから、今までの集大成みたいな曲を作ったほうがいいのかなって思いながらも、モード的に、どんどん新しいものを作りたくなっていた時だったので。それこそ「THE EDGE」「45s」を作った後だったので、さらに先に進みたいという気持ちから作った曲です。集大成的なものを収めるのもいいけど、ここで一つお祭りってことは打ち出しておきながらも、やっぱりこの先にまだあるんだよってことも見せたほうが僕ららしいし。それこそ「KEEP ON ROCKIN’ 」じゃないですけど、転がり続けることを伝えたいっていうことで、新境地じゃないですけど、さらなるTHE BAWDIESを楽しんでもらいたいっていう曲ですね。
――これまで以上にタフな印象を受けました。
ROY:4人で固まって、どんと前に進む感じは、今まで以上にあると思います。ロックンロールでしっかり踊らせたかったんです。今はもう少なくなってきましたけど、4つ打ちのダンスビートって、フェス文化とともにすごく広まったと思うんですよ。わかりやすいし、踊りやすいから。でも、それには頼らずにしっかりロックンロールのビートで踊らせたい。この曲では、それが貫けたかな。
――ギターの歪みもけっこうエグい感じになっていますね?
TAXMAN:全編ファズで押し通す……です(笑)。ファズってやっぱり、60年代のロックンロールに欠かせないペダルなんですけど、意外に僕らってファズファズしている曲って、今までそんなになくて。そんな中、今回はファズと……ファズ。JIMも僕もどっちもファズっていう(笑)。プラスちょっと飛び道具っぽいものも入れているんですけど。
――イントロとアウトロで、みょーんって鳴っているあれですか?
TAXMAN:そうですね、JIMがワーミーを踏んで、僕もソロではオクターバーを踏んでいるんですけど、そこはファズ+今時エフェクターでおもしろいものになったのかなってところはあります。
ROY:ファズを使いながら、古臭く仕上げないっていうのも新たなチャレンジでした。メンバーそれぞれに、いろいろなことにチャレンジしていますね。
TAXMAN:ファズも60年代のトーンベンダーじゃなくて、僕は90年代のロシアンビッグマフを使ったんですよ。そっちのほうが合っていたんです。いろいろ試したんですけど、今回の曲はその感じがおもしろかったから、60年代にこだわりすぎずにというか、一歩先をというか。
ROY:ギターのサウンドに合わせてボーカルも、元々、僕の声って低音の要素が多めなんですけど、低音が多めだと楽曲に対しての速度が落ちるというか。なので、速度を変えないように割と高めのところをバリっと出して歌うっていう、普段あまりやらない歌い方をしているんですよ。いつもの自分だったらどっしり歌うんですけど、敢えてそうしなかったっていう。そういうこともいろいろやっています。
――そんな集大成だけに止まらないベストアルバムをリリースした後は、4月22日の新木場STUDIO COAST公演から全国ツアーが始まるわけですが、今回は久々に47都道府県すべてを回るそうですね。
TAXMAN:2回目ですね。
ROY:タフですね(笑)。これはけっこう。でも、待ってくれている人たちもたくさんいると思うし、普段なかなかバンドが来ないところもあると思いますし、リスナーの中には学生さんも多いと思いますし。学生さんって遠征できないじゃないですか。でも、生で聴いてもらうのが一番伝わると思うから、できれば回りたいんですけど、なかなかタイミングが合わなかったりもするから。でも、今回はベスト盤というお祭りなので、これは伝えに行かなきゃと思って。自分が住んでいる町じゃないっていうのはあるかもしれないけど、必ず近くには行くので。ロックンロール・バンドは生で感じてもらいたいから、この機会にぜひ。“でも、THE BAWDIESあまり知らないからな”っていう人でもいいと思うんですよ。生で見てもらえれば、僕らは絶対楽しませますので、そこらへんは迷わずに、それこそお祭りに来るような感覚で遊びに来てもらうのが一番かな。
TAXMAN:今回はベスト盤のツアーなので、いろいろな曲をやれるから、曲もいろいろ入れ替えると思うんですよ。中には、何公演か来てくれる人もいると思うんですけど、“あ、今日はこの曲をやってくれたんだ”っていう楽しみもあるだろうし、そのへんはベスト盤のツアーならではというか、毎回、新鮮な感じになるんじゃないかな。
ROY:昔の曲もガンガンやりますので、最近ライブに来てないっていう人も、ベスト盤っていうタイミングで懐かしさも感じてもらいつつ、THE BAWDIESをまた感じてもらえるんじゃないかなと思ってます。
取材・文=山口智男 撮影=中野修也
THE BAWDIES 撮影=中野修也
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