KOKIA

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【KOKIA インタビュー】
今伝えたいことが込められた
3年振りのオリジナルアルバム

2月にリリースした4枚組ベストアルバム『EVOLVE to LOVE -20 years Anniversary BEST-』に続いて、3年振りのオリジナルアルバム『Tokyo Mermaid』をリリースするKOKIA。20周年を迎えた今の心境、新作への想いについて話を訊いた。

4月で20周年を迎えられましたが、2月にリリースされたベストアルバムも含め、“20周年”を実感されているのかなって思うのですが。

そうですね。でも、ベストアルバムもそうでしたが、今回のオリジナルアルバムも含めて、1年くらい前から準備が始まっていて、いろんな打ち合わせをしながら、20周年というのを意識してきたので、急にやってきたという感じではないんですね。

ちゃんと準備をして迎えた感じだと。

はい。どれも重要な要素なので“これが一番”と決めるのは難しいんですけど、一番大切なことのひとつは“続けること”だと思うんです。続けることってとてもシンプルだけど難しい。でも、続けてこれたからこそ見えたもの、言えること、感じたことがあるということは実感しています。

ベストアルバムと今回のオリジナルアルバムを並行して制作されたということですが、ベストでこれまでのことを振り返る機会があったからこそ、オリジナルアルバムに今のKOKIAさん自身を投影できたんじゃないのかなって。

そうですね。ベストアルバムの他に『Bird Watching』という20年間の歩みを映像で振り返るDVDも発売したんですけど、その中で自分でナレーションを付けたりしたんです。そんなふうに自分で自分を振り返る時間が長かったので、今回のアルバムは“今の私”という内容になっていると思います。ベストアルバムを出させてもらったことで気持ちの中に“区切り”を付けることができて、1度区切ることで次を予感させる新しいアルバムも作ることができたのかなって思っています。

“Tokyo Mermaid”というタイトルを含め、今回のオリジナルアルバムはどんな作品にしようと思って作り始めたのですか?

今回の場合は、最初からコンセプトを決めて作ったわけではありませんでした。アルバムを作り始めた頃は、“20周年の節目に出すアルバムだし、KOKIAはどんなアルバムを聴かせてくれるんだろう?”と、お客様からの期待値が高まってるんだろうなって考えていました。そうしたら自分で自分自身のハードルを上げちゃって、どんな感じにしようかなっていろいろ考えてしまって…。でも、しばらく考えたあと、一巡して戻ってきたところは“20年間ちゃんとKOKIAとしてやってきたのだから、今の私が素直に、考えすぎずに出したものが20周年に出すのに相応しいものなんじゃないか”という考えでした。そういう結論に達したら、急に曲を書き進めることができて、8割くらいの曲が並んだあたりで、“私は今回、どんな感じで曲を書いたのかな?”って俯瞰で見てみた時、“Tokyo Mermaid”というテーマとタイトルが浮かんできました。

曲を作っていくうちに姿やかたちが見えてきたということですね。

はい。あまり構えたり考えたりせず、まずは今の自分が言いたいことや残したいこと、感じたことをどんどん曲にしていきました。“私はこの曲たちを通して、何が言いたかったんだろう?”って作った曲を俯瞰で見た時に思ったのは、いろんな人が東京に住んでいて、いろんな想いが集まっている場所だけれど、みんな大なり小なり、夢を見ているなって。仕事を頑張って夢を見ている人もいるし、まだ手を付けていないことに夢を見ている人もいるし。そんなことを思っていたら、光とか夢に向かって前に進んで行く歌を、私は東京に佇む夢を見ながら暮らしている人々の一員として書いているんだなって思いました。

俯瞰で見て、どんなことを感じたんですか?

私、東京生まれ東京育ちなんですけど、東京って最前線みたいなところでもあるじゃないですか。その中で夢を追い続けた20年でもあり、これからも25年、30年と夢を見続けるのかなって。この東京の片隅…それこそ小さな部屋でたくさんの曲を書いておりますが、そこから生まれたものが世界に飛び出して、たくさんの人とつながっている不思議さをいつも想像しながら曲を書いているんです。小さな部屋で作り出している音が、たくさんの人とつながっていくわけじゃないですか。その不思議さは作っている最中から感じていて、自分の作った曲を聴いた人が、その人の人生に何か影響などをもたらすとしたら、本当に魔法みたいだなって。そう思った時に“Tokyo Mermaid”という言葉が出てきたんです。

歌詞の内容とか、これまでとの違いや変化はありますか?

どういう部分が新しいかは自分では分からないんですけど、みなさんを楽しませるという意味で、“私はまだまだ他の引き出しを持ってるよ”というのをちょっと見せたいなって思いましたね。「天気がいい ビール飲もう」や「Aliens 〜宇宙人わかりました〜」は、これまでになかった感じになっていると思います。

4月29日と30日には東京オペラシティ コンサートホールでの20周年記念コンサートが行なわれますね。どんな内容になりそうですか?

今回のコンサートは『Tokyo Mermaid』を出したあとのコンサートでもあり、20周年の締め括りでもあり、次に向けての最初の一歩でもあります。なので、過去を回想していろんなことを思い出して、その気持ちを今から生きていくための自分を輝かせる栄養にするコンサートにしたいので、お客様と一緒に昔を振り返りながら、でも新しさも感じられる、そんなコンサートにしたいと思っています。

20周年を迎えましたが、やりたいことはまだまだたくさんありそうですね。

はい。音楽の可能性みたいなものを感じているので、やりたいことがたくさんあります。ありすぎて具体的なことをパッと話すことはできないんですけど(笑)、最初の話に戻っちゃいますけど、続けていくことがすごく大事だと思っているので、自分にできる活動範囲で、常に新しいことに挑戦しながらやっていきたいなと思っています。

取材:田中隆信

アルバム『Tokyo Mermaid』2018年4月25日発売 ビクターエンタテインメント
    • VICL-64986
    • ¥3,148(税抜)

『KOKIA 2018 20years Anniversary Concert 〜Beyond Imagination〜』

4/29(日) 東京・東京オペラシティ コンサートホール ※SOLD OUT
4/30(月) 東京・東京オペラシティ コンサートホール

KOKIA プロフィール

コキア:音楽・芸術を愛した祖父母の影響で多くの芸術に慣れ親しんで育つ。中でも音楽の世界に強く惹かれ、幼い頃より自然とピアノで曲を作るようになる。3歳からバイオリンを始め、高校・大学と桐朋学園で声楽を専攻。クラシックを学ぶ一方、自らが作詞作曲をした楽曲を通して、音楽の持つ素晴らしさやその可能性をたくさんの人に伝えたいと感じ、1998年にシングル「愛しているから」でデビュー。早くから海外での評価も高く、変幻自在なその歌声は“ボーダーレスな歌声”としてヨーロッパでも支持をされ活動の場を世界に広げている。KOKIA オフィシャルHP

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アルバム『Tokyo Mermaid』

OKMusic編集部

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