浦島坂田船、crewと共に駆け抜けた春
ツアーファイナル・Zepp Tokyo公演を
レポート

浦島坂田船 Spring Tour 2018 ~桜吹雪で乱de舞(ランデブー)!~

2018.4.5 Zepp Tokyo
桜の花は例年よりも早めに見ごろを終えてしまっていたものの、多くの学校が春休み最終日を迎えていたと思われるこの夜のZepp Tokyoには、爛漫と咲き誇るかのような桜と春のイメージが満ちあふれていた。
全国6都市計9公演の規模で開催された『浦島坂田船 Spring Tour 2018 ~桜吹雪で乱de舞(ランデブー)!~』の千秋楽が行われた今宵、メンバーそれぞれのパーソナルカラーをあしらった番傘と、和テイストを活かした衣装にて舞台上に現れた浦島坂田船がまず歌いだしたのは、まさにこの季節にこそふさわしい「百花繚乱」と、ボカロ界・不朽の名曲「千本桜」。いずれも桜をモチーフとした楽曲だけに、ライティングの薄紅色や和の要素を活かした粋な映像演出などによって、それこそツアータイトル通りの光景がそこには生み出されていた、と言っていい。
浦島坂田船
「東京のみなさん、こんばんはー!僕たちが…浦!」(うらたぬき)
「島!」(志麻)
「坂田!」(となりの坂田。)
「船でーす!」(センラ)
ここでの自己紹介のとおり、浦島坂田船とは浦=うらたぬき、島=志麻、坂田=となりの坂田。、船=センラの名を組み合わせた、4人が集っての活動の際に使われているグループ名だ。昨夏には両国国技館での公演を2日間とも大成功させるなど、目下右肩上がりでその活動を激化させており、なんと今ツアーについても過去最大キャパにして全公演をソールドアウトさせてしまったというから、恐れ入る。その勢いを物語るかのごとく、今宵のライブでも浦島坂田船が終始エキサイティングでダイナミックなライブパフォーマンスを繰り広げていくこととなったのは、間違いの無い事実だ。
うらたぬき
志麻
ある種のシュールレアリスムが漂う「チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ!」や、往年のディスコチューンを彷彿とさせる「太陽系デスコ」を4人で派手に歌い踊ったかと思えば、センラがソロで歌ってみせた「ターミナル」では場内が観客たちの灯すペンライトにより、菜の花畑にも似た鮮やかな黄色に染まることに。
また、志麻&センラのツインボーカル曲による「#嘲笑ポラロイド」では自撮り文化・インスタ映え文化を皮肉った一幕が展開されつつ、志麻がソロで歌う「カメリア・コンプレックス」では先ほどとは一転して、あたりが観客たちの手により、これまた春の花であるスミレ色に彩られたりもした。さらに、となりの坂田。がひとりでマイクを持った軽快な四つ打ち楽曲「お気に召すまま」では、これも春を代表する花であるチューリップを思わせるような真っ赤な色が、観客フロアを華やがせたのだった。
となりの坂田。
センラ
うらたぬき&となりの坂田。による、夢見がちなラブソング「ノンファンタジー」では2人による曲途中の「好きだよ♡」コールに対して場内から大きな歓声と嬌声が湧き上がったり、うらたぬきが「テオ」をひとりで歌ってみせた場面においては、オーディエンスたちの振っていたLEDのグリーンが、野に群生するクローバーを思わせたり。
そんな何かと見せ場の多かった今回のライブではあるが、中でもよりことさらに際立っていたシーンを挙げるとすれば、それは本編後半での4人による和太鼓パフォーマンスであった、とも言えそうだ。
普段の4人は微笑ましいワチャワチャ感や、アイドルも顔負けの無邪気な愛らしさを振りまくことが多々ある一方で、本物の和太鼓を前に彼らが気合いの入った一打一打を打ち込んでいった様子からは、たくましい男気と凛々しい漢(おとこ)らしさを感じることとなったのである。
浦島坂田船
浦島坂田船
それでいて、この前後に上映された幕間映像ではバラエティ色満載な『列島縦断ウラトラクイズ』なる企画で、わんこそば早押し対決や、熱湯風呂対決を通して、芸人ばりの奮闘ぶりを発揮してみせるところもまた、浦島坂田船の面白いところにほかならない。これがいわゆる、ギャップ萌えというやつなのだろうか?(笑)
なお、今回のライブは4人の歌心が映えた「Shoutër」と、彼らの内にあるエンターティナーとしての心意気が色濃く滲み出ていた「SHOW MUST GO ON !!」で一旦は本編を締めくくり、このあとクルー(浦島坂田船のファンの呼称)からの熱き声援にこたえるかたちでアンコールへと突入。
センラ
「3月から始まったこの春ツアーですけれども、今回はめちゃめちゃ“駆け抜けた感”がありました。これからもいろいろな浦島坂田船を皆さんに感じていただきたいですし、みんなも僕らも楽しんでいけるようなことを考えていますので、これからも応援を宜しくお願いします!!」(センラ)
となりの坂田。
「最初はね。本数もけっこうあるし、今回の春ツアーは長く感じるんちゃうかなぁ?と思ってたんですよ。でも、いざ始まってみたら「あっ」という間で、今日のファイナルを迎えてました(笑)。凄く楽しかったです。僕は、本当にこのメンバーが大好きですし、そんなメンバーのことを応援してくれている皆のことも大好きです!今日はありがとうございました!」(となりの坂田。)
うらたぬき
「こういう場って、結局は「凄く楽しかったです。ありがとう」しか言えなくなっちゃうんだけど、今思うと最初に浦島坂田船でライブをやった時は200人とかでやってたんだもんね。それが、気付いたら今日はその10倍でしょ。こんな素敵な光景を見せてもらえるなんて、普通ありえないことじゃないですか。皆さんがこうして応援してくれているおかげで、この春ツアーは大変ありがたいことに全てソールドアウトすることが出来ました。……なんか俺にしては真面目なこと言っちゃってるけど(笑)、これからも浦島坂田船をよろしくお願いします!じゃあ、最後は、まーしーにきっちり締めてもらいましょう」(うらたぬき)
志麻
「まぁ、また話を掘り返すようでアレなんですけれども。去年、僕は体調を崩しまして夏ツアーを半分以上休んでしまいました。今回の春ツアーでは、その時に行けなかったところにもやっと行くことが出来まして、ファンの皆さんからたくさんのエネルギーをいただくことが出来ました。あらためて今回のツアーでは、皆の力って凄いんだなということを実感いたしました。皆さんがこうしてライブに足を運んでくれたり、放送を観に来てコメントをくれたり、そのひとつひとつが我々4人にとっての大きな糧となっているんですよ。春ツアーは今日でファイナルとなりますが、これから先も我々が力強く進んでいけるように、今後ともぜひ皆さんのお力をお借り出来ればと思います。僕たち自身も、また皆さんの前にこうして立てるように頑張ります。ありがとうございました!!」(志麻)
浦島坂田船
かくして、この『浦島坂田船 Spring Tour 2018 ~桜吹雪で乱de舞(ランデブー)!~』において本当の意味での有終の美を飾ったのは、これもまた桜を題材にした楽曲である「そらに、ひらり」。機微ある余韻を残しながら紡がれた春の光景はただただ美しく、それは同時に次の季節へと向かう予兆のようにも感じられた。
そう。やがて来る夏にも、きっと浦島坂田船の4人はあらたな何か、新しいときめきを我々に向け提示してくれるに違いない。

取材・文=杉江由紀 撮影=小松陽祐[ODD JOB]
浦島坂田船

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