REPORT / MOSHI MOSHI MUSICI FESTI
VAL 2018 Spincoaster Stage Spinco
asterがキュレーターを務めたステー
ジのライブをレポートをお届け!

「新しいにっぽんのお祭り」をテーマに、2018年3月24日・25日に渋谷・原宿エリアを舞台に開催された、イン&アウトバウンド・イベント“MOSHI MOSHI NIPPON FESTIVAL 2018 in SHIBUYA”。
今年はテーマ別に5箇所の会場で様々なコンテンツが展開され、イベント参加者数は合計で1万6千人にも及んだ。今回、コンテンツ・パートナーとしてSpincoasterも参画し、タワーレコード渋谷内で開催される“MOSHI MOSHI MUSIC FESTIVAL”内にSpincoaster Stageのオーガナイズを担当させてもらった。

本記事では、SpincoasterでブッキングしたSIRUP、大比良瑞希 with 小林うてな、The Wiserly Brothersの3組のステージを中心に、当日のイベントの様子をお届けする。

Text By Kohei Nojima
Photo by Official

出演アーティストプレイリスト

14:50〜SIRUP
オープニング・アクトのMANONの後に登場したのは、“SPIN.DISCOVERY vol.05”にも出演したSIRUP。今回はKREVAのライブなどでも活躍するMPCプレイヤーの名手・熊井吾郎と、showmoreの活動をメインに様々なアーティストのライブ・サポートも行う、キーボーディスト・井上惇志をバック・メンバーに迎えた3人編成。
〈Tokyo Recording〉がプロデュースを手がけた「Synapse」からスタート。まずは挨拶代わりにその歌唱力を見せつけた。続いて「Last Lover」「バンドエイド」とゆったりとした楽曲を披露。ここでMPCプレイヤーの熊井吾郎の本領を感じることができた。どちらもテンポの遅い楽曲なだけに、リズム感がとても重要になってくるのだが、熊井はその指先だけで抜群のグルーヴを生み出していく。一糸乱れぬビートをクリックを聴かずに人力で打ち込み続けているというのだから驚きである。いつも以上に体を揺さぶるライブとなっていた。
「Living in the moment now」、つまりは“今この瞬間を楽しもう”ということを歌った「LMN」では、オーディエンスも大きく手を左右に振る。ラストはタワーレコード渋谷の地下に集まった、「NO MUSIC,NO LIFE」なミュージック・ラヴァーに送る「SWIM」。「誰かかけてよ、Virtual Insanity!」と歌うところでは、Jamiroquai「Virtual Insanity」のピアノのフレーズを一瞬差し込むという、井上のニクい演出も見られた。
最後は同曲の「We Need! Good Muisc!」のコール・アンド・レスポンスで幕を閉じた。どれも決して派手な曲ではないし、BPMも早くない。それでも、SIRUPのライブは何度観ても楽しい。SIRUPのライブには「音楽の本質的な楽しさと、音楽への愛」が詰まっている。そう感じさせてくれる30分であった。
15:45〜 大比良瑞希 with 小林うてな
先日のtofubeatstとの2マン・ライブでは5人編成のバンド・セットを披露した大比良瑞希だったが、今回は昨年の“SUMMER SONIC”ぶりとなる小林うてなとのスペシャル編成での出演。
小林うてなはスチールパン/マリンバ奏者としてとしてD.A.N.のサポートなどでも活躍しながら、自身のソロ名義でも活動するアーティスト。今回は大比良瑞希の楽曲を小林が大胆にアレンジ。そのトラックを軸にライブが繰り広げられた。

BjörkやFeist、Cat Powerなどをルーツに挙げる大比良はアーティスティックかつドープな側面を持ち合わせた稀有な存在。さらに、同い年の女性アーティストということもあり、小林とは抜群の相性の良さを発揮していた。
1曲目の「焚き火」はイントロから太い重低音のビートが響き、早くも小林うてなワールド全開。小林のスチールパンの演奏が始まった瞬間に、思わずD.A.N.を想起してしまった人も多いのではないだろうか。しかし、これはD.A.N.のサウンドにおける小林うてなの重要性を逆説的に証明しているとも言えるだろう。
“陽”のイメージのある「TIME LIMIT」も、小林の手に掛かれば“陰”になる。小林によるトラックと大比良の知的なボーカル、そして色気のあるメロディの絡みは本当に素晴らしく、最初からこういった曲だったのでは? と思わされるくらいの完成度を誇っていた。

「Sunday Monday」や「アロエの花」は原曲に忠実なアレンジとなっていたが、どちらもビートがより強調されていた。特に「Sunday Monday」は、ボーカル + ギター + リズムトラック + スチールパンという編成がハマっており、出色の出来となっていた。
大比良はMCで「外国の人は電話でも挨拶でも同じように『ハロー』を使うのに、日本人は『こんにちは』と言わず、『もしもし』という電話専用の言葉を使いますよね」と、“もしもし”というフレーズに付随する日本人らしさについても言及。

「最後はふたりだけでやります」と、まるで大比良と小林以外にも演者がいるかのようなMCに、思わず小林もツッコミを入れていたが、これはPCによる同期トラックを使わずにという意味。
ボーカルとギターとスチールパンだけで演奏される「見えない糸 ~Never Be The Lonely One~」は、その剥き出しな色気を湛えたふたりの演奏に、オーディエンスも思わず見入ってしまっているようだった。
3組目はこの日、唯一のバンド・アクトとなる女性3人組バンド、The Wisely Brothers。転換時には来日公演で共演を果たし、それ以来親交も深めているFranky Cosmosや、最新作『YAK』制作時にもよく聴いていたというThe Lemon Twigsが流れ、会場の空気もナチュラルに塗り替えられていく。

SEにはお馴染みの映画『かいじゅうたちのいるところ(原題:Where The Wild Things Are)』の主題歌Karen O & The Kids「All Is Love」を使用し、丁寧にひとりずつ一礼をしながらステージに登場。ハイハットが裏を打つ軽快な4つ打ちナンバー「キキララ」でライブは幕を開ける。この日、初めて体感する生のドラムとベースのグルーヴには、思わずハッとさせられたオーディエンスも少なくないはず。彼女たちのフレッシュな雰囲気も相まり、これまでとは大きく違った空気が会場を覆った。
ゆったりと、しかし骨太なバンドのグルーヴと、女性3人ならではの息の合ったコーラス・ワークでバンドとしての個性が発揮された「アニエスベー」、「私 センスなし子ですか」というフレーズが強烈に耳に残る「サウザンド・ビネガー」と、前作『HEMMING』の楽曲を立て続けに演奏。ちなみにこのタイトルの「サウザンド・ビネガー」とは、「センス=千酢=サウザンド・ビネガー」から来ているということらしい。作詞作曲を手がける真舘晴子の独特な言語感覚と世界観がよく伝わってくるだろう。
ここからは最新作『YAK』から「おいで」「グレン」「彼女のこと」と3曲連続で披露。3ピースという最小編成ながら、とにかくどの曲も演奏が力強い。ソリッドなギターと太く思いベース、そしてタイトなドラムと、彼女らのサウンドから海外のインディ・ロックとの共鳴を感じる大きな理由は、この武骨な音作りにあるのではないか。

今回はSIRUP、大比良瑞希with小林うてな、とクラブ・ミュージックやヒップホップに近い音作りをしているアーティストとの共演となったが、そういった低音に重きをおいたサウンドと並んでも、大きなギャップを感じることはなかった。
MCでは「日本の好きなところ」について話をしていたが、完全に着地点の見えない女の子同士の会話を、オーディエンスが微笑ましい眼差しで見守るというまさかの展開に。バンドの仲の良さと、人の良さが滲み出ていた。

Franky Cosmosに宛てた手紙をテーマにした「The Letter」は、晴子の可愛らしい英語の語りから、激しいバンド・サウンドへと繋がるとても聴き応えのある1曲。最後は『YAK』のリード曲でもある、開放感のある8ビートのロック・チューン「庭をでて」で幕を閉じた。

4月7日(土)には渋谷WWWXでワンマン公演を控えているThe Wisely Brothers。彼女らのサウンドを体感するには絶好の会場でもある。ぜひ足を運んでみて欲しい。
【イベント情報】

“MOSHI MOSHI NIPPON FESTIVAL 2018 in SHIBUYA” Spincoaster Stage

日時:3月24日(土) 開場 14:00 / 開演 14:30
会場:タワーレコード渋谷店 B1F CUTUP STUDIO
出演:
MANON (OPENING ACT)
SIRUP
大比良瑞希 with 小林うてな
The Wisely Brothers

==

“MOSHI MOSHI NIPPON FESTIVAL 2018 in SHIBUYA”

日時:2018年3月24日(土)・25日(日) 11:00〜21:00(予定)
開催場所:渋谷・原宿エリア(東京都渋谷区)
主要開催場所:
ラフォーレミュージアム原宿
渋谷キャスト
RETHINK CAFE SHIBUYA
穏田神社
タワーレコード渋谷店
実施内容:
体験型コンテンツ
ライブ
ファッション
参加型コンテンツ
街回遊サービス
インバウンドサービス ほか

[主催]
MOSHI MOSHI NIPPON 実行委員会

[後援]
渋谷区/一般財団法人渋谷区観光協会

[協力]
東京急行電鉄(株)/渋谷キャスト/タワーレコード(株)/ラフォーレ原宿
宗教法人穏田神社/(株)ジェイノベーションズ

[コンテンツパートナー]
(株)ぐるなび/Airbnb/ナタリー/Spincoaster/WREP

■オフィシャル・サイト:http://fes18.moshimoshi-nippon.jp

Spincoaster

『心が震える音楽との出逢いを』独自に厳選した国内外の新鋭MUSICを紹介。音楽ニュース、ここでしか読めないミュージシャンの音楽的ルーツやインタビュー、イベントのレポートも掲載。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着