電気グルーヴ『クラーケン鷹』という
ナチュラル・ハイ

電気グルーヴが2018年3月17日、東京・Zepp Tokyoにてワンマンライブ『クラーケン鷹』を開催した。本公演は、3月3日に大阪・Zepp Namba、3月16日にはZepp Tokyoでも行われ、計3回開催された。本記事ではファイナルとなった17日の模様をお届けする。

Text_ Sotaro Yamada
Photography(LIVE)_ Masanori Naruse


電気グルーヴのライブを見たことがある人とそうでない人では、おそらく音楽観がまったく違ってしまうだろう。それほど、彼らのライブは異次元のものであり特別なものだ。

しかし、「二人合わせて100歳」というベテランのミュージシャンでもあるから、ミーティア読者には、電気グルーヴを知らない人、あるいは名前だけ知っているという人もいるかもしれない。そこで、(いまさら感はあるけども)まずは簡単に電気グルーヴの紹介から。この日のセットリストをプレイリスト化したので、こちらを聞きながらどうぞ。
(Netflixオリジナルアニメ『DEVILMAN crybaby』PV第3弾。冒頭で流れているのが電気グルーヴによる主題歌『MAN HUMAN』。超面白い作品なので、アニメが苦手な人にもおすすめです)

Netflixオリジナルアニメ『DEVILMAN crybaby』

『柿の木坂』からはゲストとしてギタリストの吉田サトシを呼び込み、ラストの『CATV 2017』では、瀧が消火器をサックスに見立てて吹き鳴らし、ギターとエアーサックスのセッションが行われた。

日本最高の電子音楽の帰結(きけつ)は
肛門へとむかう……ケツだけに。

アンコールでは、こんな格好に着替えて登場。

「二人合わせて100歳」のおじさんたちがケツを出して登場することにも驚くが、卓球の「全国2ヶ所の長いツアーも今日で終わりますが、特に話すこともないので、最後に瀧くんと相撲を取ります」という言葉にオーディエンスは大湧き。立ち会って、勢い良く2人がぶつかり合う……と思いきや、飛びかかってきた卓球を瀧がキャッチしてお姫様抱っこ。2人が満面の笑みを見せ、さらに瀧が卓球を指して「親友」と嬉しそうに言うと、会場にはこの日いちばんの笑いと拍手が起きた。

アンコール用のスペシャルゲストには、真っ赤なドレスに身を包んだ日出郎(ひでろう)が登場。バブル時代を代表するオネエタレントの登場に、Zepp Tokyoを新宿二丁目的な妖しい雰囲気が覆い始める。かつての日出郎の楽曲を卓球がバキバキにリメイクした『燃える!バルセロナ』が演奏されると、会場全体で「エクスタシー獲たけりゃ肛門よ!」というコスリまくりの大合唱が起きた。こうして、日本最高の電子音楽の帰結(きけつ)は肛門へとむかう……ケツだけに。
フラメンコギターと、テクノと、ケツ丸出しの50歳と、オカマ。電気グルーヴのライブ以外ではほとんど起こり得ない珍妙かつ絶妙な組み合わせで、最後は『人間大統領』。おかまの大統領が狂ったように踊り、あっという間に熱狂のライブは幕を閉じた。

(次ページ:きみは50歳になって、人前でケツを出せるか?)

電気グルーヴ『クラーケン鷹』というナチュラル・ハイはミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。

ミーティア

「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。

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