ストレイテナー、SUPER BEAVER、BIG
MAMA ーー3組の対バン “リスペクト
”を全力で表現したライブ

GREENS presents『ReSPECT』2018.3.27大阪・なんばHatch
この春、新たに立ち上がったライブイベントGREENS presents 『ReSPECT』が、3月27日(火)に大阪・なんばHatchにて開催された。出演バンドは、今年バンド結成20周年を迎えたストレイテナー、4月に初の日本武道館公演を控えるSUPER BEAVER、3月7日にメジャー第一弾シングルをリリースしたばかりのBIGMAMAという3組だ。活動歴の近い盟友同士でもあるこの3組の対バンは意外に初ということで、開催前からファンの期待値も上々。
まず熱気を帯びた会場に登場したのは、オープニングアクトのDATS。6月にはメジャーデビューアルバムの発売を控え、4月からはバンド初の東名阪のワンマン・ツアーも決定と、飛躍の時を迎えている彼ら。サンプラーからエレクトリックな打音が鳴り、上手にドラムセットを配置し、サンプラーやシンセもセットしたステージにメンバーがスタンバイ。のっけからハンドマイクで「手を挙げませんか!」と煽るバンドの頭脳、杉本亘(vo)が好ヴァイブスで飛ばしていく。
DATS
「今日は全力でみなさんの心をつかみにいきます!」との言葉通り、「Mobile」「Memory」では、クラップやコール&レスポンスを煽りまくり、気合も十分。シンセや打ち込みを多用した先鋭的なダンスビート・ミュージックでありながら、フィジカルで熱量の高いライブを繰り広げる4人。そのハイブリッドかつクールな音を浴びると自然と腰から踊らされてしまう。この独特の陶酔感に浸っていると、メンバーと一緒に音楽を奏でている気分に。ラストの「Heart」ではハンドクラップと共に全身で音を感じるオーディエンス。短い持ち時間の中でもしっかりと彼ららしい濃密なライブで会場をあたためてくれた。
BIGMAMA
そして本編トップバッターに登場したのは、BIGMAMA。「交響曲第9番」(ベートーヴェン)のSEが鳴らされると大きなハンドクラップと共に迎えられたメンバーたち。2階席も総立ちで手が挙がる。1曲目は圧巻のキラメキを放つライブアンセム「MUTOPIA」! ミラーボールが回り出す中、東出真緒(Violin)の流麗なバイオリンのフレーズから音のシャワーが降り注ぐ。息つく暇もない曲展開に合わせ、照明も綺羅びやかに高揚感を煽り、自由にどこまでも飛んでいけそうなファンタジックな空間が一瞬で作り上げられた。
BIGMAMA
中盤、メジャー第一弾シングルに収録の「POPCORN STAR」も披露され、さらに「最後の一口」「秘密」などファン垂涎のナンバーをたたみかける。後半は冒頭からコーラス部分の大合唱でスタートした「ファビュラ・フィビュラ」の骨太なグルーブに圧倒され、待ってましたの「荒狂曲“シンセカイ”」では、イントロから大熱狂の渦に。続いて演奏された、ドラマ主題歌にもなった新曲「Strawberry Feels」は、ライブで是非味わいたいナンバーだと確信。疾走感のあるサビに、攻撃的なラウドサウンドとプログレ的な間奏のせめぎ合いなど聴きどころ満載。新しい未来に向かっていくBIGMAMAの新境地をみせた。
BIGMAMA
最後に金井政人(Vo&G)が「記憶の片隅ではなく真ん中に! BIGMAMAでした!」という印象的な言葉を叫び、それ以外はMCなしで全9曲を駆け抜けた5人。すべてを音楽で表現した鮮烈なパフォーマンスに魅せられた40分間だった。

SUPER BEAVER

休憩を挟み、2番手はSUPER BEAVER。お立ち台が設置されたステージに、柳沢亮太(G)、上杉研太(Ba)、藤原“29才”広明(Dr)が登場し、最後に渋谷龍太(Vo)が現れると大歓声が会場を包んだ。一週間前にも大阪でライブを行った彼ら。「1週間もあけちゃってすみません! 今日のイベントタイトルの “敬意”という意味を重たく受け止め、先輩と先輩に挟まれてがんばります!」と親近感のあるMCで一気に観客との距離を縮める。
SUPER BEAVER
1曲目の「証明」からマイクスタンドが倒れるほど、エモーショナルなパフォーマンスで魅了する渋谷。すべてを肯定してくれるような強さがみなぎる歌声と想いが胸に刺さっていく。曲間にMCを絡めながら、最後は《ないという証明》の歌詞でシンガロングが巻き起こった。続く「青い春」ではまさに青春パンクな輝きに満ちた晴れやかなメロディーを会場の一人ひとりが歌い叫ぶ。ジャンプ&ジャンプでロックサウンドをまくしたてる「正攻法」「irony」ではフロアはもみくちゃに。
SUPER BEAVER
「東京流星群」でまたもや特大のシンガロングが響き渡り、すさまじいまでの熱量を発し続けるパワフルなライブはあっという間に残り1曲に。「目の前に人がいること、後ろで誰かが支えてくれる人がいるその素晴らしさに気づきながら― その手がずっとそこにあるとは限らないから」と最後に披露したのは珠玉のバラード「人として」。バンド結成13年、紆余曲折しながらも進み、困難を乗り越えてきた彼らの生き様と彼らが信じ続ける愛の形が確かに歌の中にあった。最後は、何度も感謝の言葉を述べながら、「ストレイテナー先輩出てきますんでよろしくお願いします!」と真摯にバトンを渡す姿にオーディエンスからも大きな声援が。彼らなりの“リスペクト”を全力で表現したライブとなった。

ストレイテナー

そしてラストを締めくくったのは、今年バンド結成20周年のアニバーサリーイヤーに突入したストレイテナー。「今年、大阪初ライブです!」とホリエアツシ(Vo&G)の挨拶から「Melodic Storm」で幕開け。その美しいメロディに身をまかせていると、早くも夏フェスで聴きたくなりうずうずしてくる。そして、輝度の高い大山 純(G)のギターがどっしりとしたリズム隊と重層的に絡み合うドラマチックな「原色」へと続き、みんなのテンションもマックスに。「大阪初ライブがこんなに強(つ)ええバンドたちとの対バンでワクワクすっぞ!」となぜが孫悟空的な言い回しで笑いをさそうホリエ。
ストレイテナー
そして、「春らしい曲をやりましょうかね」とユルくフリながらも、ライブ定番曲である「BERSERKER TUNE」で狂騒へ導き、ファンを歓喜させた。MCでは、一番先輩らしく各バンドのライブの感想と「金井(BIGMAMA)のパーカーがボロボロすぎて心配……」など愛あるイジりも多々(笑)。「結成20年のアニバーサリーイヤーということで、普段やらないことをやろうと、2月にマニアックなセットリストのライブをしたんです。自画自賛したい曲もたくさんある」と語り、届けられたのは4thアルバムに収録の「CLARITY」。この曲は、4月11日にリリースする両A面シングルの3曲目にもリアレンジされ収録されている。幻想的なヴォーカルから始まり、よりダンサブルにアレンジが施された“テナマニ”ヴァージョンに進化を続けるバンドの可能性を感じた。安定のアンサンブルでバンドの存在感を見せつけたストレイテナーの本編最後は「REMINDER」、アンコールでは「彩雲」と、春らしい2曲で締めくくり、爽やかな余韻の中、イベントは幕を閉じた。
ストレイテナー
個性際立つ4バンドそれぞれの現在を余すことなくみせてくれた3時間。それぞれのバンドのヴァイブスが会場で呼応しあっていたのは言うまでもない。次は、どんな音や人との出会いをもたらしてくれるのか、次回の開催も楽しみにしたい。
レポート・文=岡田あさみ 撮影=VIOLA KAM (V'z TWINKLE)

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着