[第43回]宮澤佐江、デビュー13年目の
春。新しい門出に向けた人へメッセー
ジ「人は人、自分は自分」とは?

地球ゴージャス公演、舞台『ZEROTOPIA』の本番を間近に控えた佐江ちゃんが、「春」をテーマにお話します。コミュニケーション・モンスター直伝の、新学期に役立つ? あのコトも聞きました。

ーーさあ、佐江ちゃん。今回もよろしくお願いします。
この記事の完全版を見る【動画・画像付き】
はい! よろしくお願いします。
ーー前回に引き続き、地球ゴージャスプロデュース公演Vol.15『ZEROTOPIA』について、現在、お稽古真っ最中の佐江ちゃんに、お話をお聞きしていこうと思います。
はい!
ーーが、その前に、いよいよ春到来ということで、今回は、「春」をテーマに少しお話をしたいと思っています。「春」、「4月」といえば、佐江ちゃんにとって、1年の始まりの季節ですよね。(第42回、第53回、第102回)
そうです!
ーーしかも、4/1でデビュー丸12年! 少し早いですが、おめでとうございます。
おっ! 2006年デビューだから13年目に入るんですね? ありがとうございます。
ーーいよいよ13年目に突入なんですね。デビューまる10年で、48グループを卒業したのが、つい先日のことのようですね。
本当ですね。卒業からの2年は、本当に時間が経つのが早かった。
13年目かぁ。14年目のときは、もしかしたら、家族が増えちゃってるかもしれないな。
ーーえ!? ええ??
お兄ちゃんの子どもが生まれているかもしれないから。
ーーああ、そういうことですね。
8月に生まれる予定で、もう準備を始めているんです。私も、おばさんになるし、宮澤家の一番年下じゃなくなっちゃう。もう、甘えていられなくなっちゃうな。
今までは、知り合いの子どもとかに「かっわいい〜 」って、言ってきたけど、甥となるとどうなんだろう? 血は繋がっているから、かわいいのかもしれないけど、おばさんになる経験がなさすぎて、今はまだ、想像がつかない!
ーー甥っ子に、デレデレになっている佐江ちゃんが想像できるような、できないような(笑)
そうかなぁ。
ーーところで、佐江ちゃんは、デビューも、AKB48グループから卒業したのも「春」ですが、「春」といえば、佐江ちゃんにとってどんな季節ですか?
花粉との戦い!
ーー「春」といえば、「花粉症」?
いやー、ほんとに、花粉、キツいです。今、末期症状って言ってもいいくらいです。
花粉症に効く注射をしているんだけど、2カ月間続けて打つ注射なんです。今はまだ、1本目しか打ってないから。2本目を打ったら効くって信じてます。(編集部註:取材日は2/28)
本当に高い注射だから(泣)。5秒で終わる注射なのに…。
ーー早く効いてくれるといいですね。『ZEROTOPIA』の舞台の本番が始まったら、本番中にマスクをするわけにいきませんからね。あれ? この話は、前にもしましたよね。(第56回)
「この1年、あっという間だったなあ」
した、した! 前回の、地球ゴージャスの舞台(『クザリアーナの翼』)のときですよね。花粉症は、あの頃から始まったような気がします。
花粉症だからって、もちろん舞台ではマスクできないから、春の舞台はキツいなぁ。お客さまと一緒に、花粉は外から客席に入ってくるので、会場にくるときは、
「皆ぁー、コロコロ(粘着クリーナー)してから来てねー! 」
って、言いたい(笑)
ーー(笑)。それにしても、毎年、春にはいろんな出来事がありますね。去年の春は、4/8に『王家の紋章』の再演が初日、今年は、4/9に『ZEROTOPIA』が初日を迎えます。
そうですね。『ZEROTOPIA』は、ダブルキャストだから、私の初日は4/10なんです。
ああ、この1年、あっという間だったなあ。
ーー早かったですね。いろんなことがあって、佐江ちゃん自身、大きく成長した1年だったのではないですか?
成長しているかどうかは、自分ではわからないです。でも、この1年で「やってみる精神」が、自然と身に付いてきているのを感じてます。
私自身、いつも新しい現場へ行くと、最初はやっぱり緊張しちゃって。引っ込み思案な自分から、現場に入っちゃうんです。
でも最近は、どこの現場へ行っても、それが失敗だったり、間違いだったりするかもしれないけど、まず「やってみよう」っていう精神でいるんです。
ーーまず、「やってみよう」?
はい。そう変われたのは、確実に、去年、立て続けに舞台をやらせていただいたからだと思ってます。今回の『ZEROTOPIA』の稽古場でも、(岸谷)五朗さんが、
「稽古場は、恥をかくところだからね」
って、あの名言を、また、言ってくれたんです。なので、「よし、私も、たくさん恥をかこう」と思って稽古に臨んでます。
まず、やってみて、後から「そうやってくれたけど、こっちの感じでお願いします」って、言われたら修正をして。でも、まず「自分はこう思っています」というのを、やってみようと思ってるんです。
去年の、松任谷由実さんの舞台(『朝陽の中で微笑んで』)でも、(松任谷)正隆さん演出の元、自分が思った感情を生かして、自由に動いて、台詞を言って。
その経験からも「やってみよう精神」が、かなり身に付いたと思います。
ーー以前、「カッコ悪い姿は、あまり見せたくない」と、佐江ちゃんは言っていたと思うのですが、その頃は、「まず、やってみる」ことに抵抗がありましたか?
はい、抵抗があったし、台詞やシチュエーションへの想像ができなかった、ということもあります。
例えば、脚本の中に、「一輪の花を見つけて、その花に声をかける」というシチュエーションがあったとします。稽古場では、舞台装置もないし、花もないんです。以前は、その環境で、想像をすることができなかったんです。
でも今は、「想像力」がついてきたかな、と思ってます。
ーー想像ができないと、「まず、やってみる」こともできないですもんね。
そう思います。プレゼンできませんから。
だから、『ZEROTOPIA』、がんばりますよぉーー!!
ーー『ZEROTOPIA』で、佐江ちゃんが演じる「サンディー」について、前回お話が出ましたが、もう少し役柄について教えてください。
新たな挑戦
はい。今回は、毎公演、「チャレンジ」ができるような感じではないのかもしれません。
ーーというと?
これまでの舞台と同様に、「毎公演、違うものを観せたい」という意識(第36回、第38回)でいますが、たぶん今回は、ある程度固定されたお芝居をすることになるのかな? と、思ってます。
ーー「サンディー」という役柄が、そういう設定だから?
そうですね、役柄的に、かな。「サンディー」は、ありのままの宮澤佐江で生きられる役ではないと思ってます。今まで経験した役柄でいうと、『ピーターパン』のタイガー・リリーに近いかもしれません。
公演時間の間は、ずっと役を背負っている感覚になりそう、というか。これまで経験した、
『クザリアーナの翼』のコルリ役
『AKB49』の浦山実と、みのり役
『王家の紋章』のキャロル
TOKYO TRIBE』のスンミ役
『朝陽の中で微笑んで』の北岡紗良役。
どの役柄も、ほとんど、ありのままの自分で臨めた役柄だったけど、今回はそうではないのかな、と、自分的に思っています。
ーーキャラクターの設定がしっかりあって、それに自分を近づけていく感じ?
そう! そうです。そういう意味で、『ピーターパン』のタイガー・リリーに近いと思うんです。
ーー型のはっきりしたなかで、変化を出したり、磨き上げたりしていくのは、それも大変な作業だと想像しますが、大変な分、やりがいも大きそうですね。
はい、すごくあると思います。
今回も、毎公演楽しく、自分自身が新鮮な気持ちで楽しめるために、自分の中で、どんな目標を立てていくか。それが大切だと思っています。
ーー佐江ちゃんにとって、新たな挑戦とも言えそうですね。どんな「サンディー」が観られるのか楽しみです。
ありがとうございます!
前回も話しましたが、『ZEROTOPIA』、すごいです。
「佐江」
船が沈没して、色のない世界に、ある理由があって集められた8人の話なんです。シリアスなお話ですが、もう、おもしろくて。地球ゴージャスらしさが、すごく出ているお芝居です。
寺(脇康文)さんもすごいです。もう、最高なんです! 寺さんッ!!
ーー2作品連続で共演するというのも、なかなかできない経験ですね。
寺さんは、『朝陽の中で微笑んで』のときと、全っ然、違いますよ。『朝陽の中で微笑んで』の鳴沢肇はどこへ行った?? という感じです(笑)
五朗さんも、私のことをわかってくれていて。すごく、なんか、こう…、ええと、基本的に五朗さんは、私を呼ぶとき「佐江ちゃん」って呼んでくれるんです。
だけど、ふとしたときに「佐江」って呼んでくれることがあって。
距離が縮まってるこの感覚! ドキっとしちゃうんです。
五朗さん 「明日、佐江いるもんね? 」
佐江 「はっ…、います…、はぃ(喜)」
さらっと、「佐江」って呼ばれると、嬉しいぃーーっ!!
他にも、ゴージャスで2度目の共演の方がいて。前回までは「佐江ちゃん」って、呼んでくれていたのが、今回から「佐江」って呼んでくれているんです。
時間経過とともに、名前の呼び方も変わるのって、すごく嬉しいですよね。
ーーそうですね。距離感の変化がわかりますね。
そう、そう、そう!
コミュニケーション・モンスター
「佐江さん」とか「宮澤さん」って呼ばれると、「いや、いや、いや、私、そんな人に見えますか?? 」って思っちゃう(笑)
やっぱり「佐江ちゃん」って呼んでいただけると嬉しいし、それが呼び捨てになったらさらに嬉しい。
「佐江」って呼ばれると、やっぱり新鮮!
中学の頃までは、男子からも、女子からも「佐江」って呼ばれていて、「ちゃん」付けされることもなかったもん。
48グループに入って後輩ができてからは、同期以外、なかなか「佐江」って呼んでくれる人がいなくて。一期生の子からも「佐江ちゃん」って、呼ばれていたので。グループから外に出て、女性、男性問わず「佐江」って呼ばれると、
「うっぉぉーーー、う、うれっしぃ。新鮮だなぁ」
って、思います。名前を呼ばれるって、大切だなぁ。
ーー佐江ちゃん自身、人の名前を呼ぶときは、意識してますか?
意識しますね。基本的に相手が年下だとわかったら、呼び捨てにするようにしています。
ーー最初は、「ちゃん」や「くん」付けして呼んでいた友だちを、最初に「呼び捨て」にするときって、「照れ」はないですか?
ある、ある。でも、人によります。
ーー照れずに呼び捨てにする、何か、いい方法はないでしょうか?
(笑)。例えば、ゲームをしていて、一番、盛り上がってるときに、
「ダメだよ〜!! ◯◯〜!! 」
って、ドサクサにまぎれて「◯◯」って呼び捨てにする(笑)。そこから、呼び捨てにするのが、一番ナチュラルなコミュニケーションの取り方だと思います。
コミュニケーションのプロ(=佐江ちゃん)の経験談ですけどね。あはは。
あと、相手が遠くにいて、呼びかけるときに、「◯◯ちゃーん」や「◯◯くーん」じゃなくて、「◯◯ーっ!! 」って、叫ぶとか。そこから呼び捨てに変更するんです。
ーー(笑)。1回できたら、後はもう自然と呼べますね。
呼べます、呼べます。でも、私は、ですけどね。コミュニケーション・モンスターなので(笑)
ーー佐江ちゃん直伝の手法、是非一度、トライしてみます。
是非、どうぞ!
ーーここまで、「春」と『ZEROTOPIA』の話題でお聞きしてきましたが、最後に、もうすぐ4月ということで、この春から新しい環境に身を置く人たちへ、今の佐江ちゃんから、応援メッセージをお願いできますか?
2018年の私から?
ーーはい!
「人は人、自分は自分」、かな。
私の永遠のテーマ
こう思えるようになるのは、本当に難しいと思う。私の永遠のテーマ(笑)
そう言い聞かせて、自分をある意味、洗脳することがすっごく大切だと思う。洗脳っていう言葉は、大っ嫌いなんだけど。
意識することが本当に大切だと思います。そうじゃないと、やっていけないことってあるから! あ…、新学期早々、そんなこと、感じる人もいないかな??
でもね、やっぱり、人見知りの子が、私みたいなコミュニケーション・モンスターを見て、「あの人、すごいなぁ」って、思うこともあるかもしれない。
でも、「自分は、人としゃべるのが苦手だから、仕方ないや… 」、って思えば…、って、それはまた違うなぁ。。 そう思っちゃ、やっぱりダメだから…
(ひとり言をつぶやきながら、真剣に考えている佐江ちゃん)
あーん、人見知りの人のことは、一番、難しい。本当にわかんない(汗)。うーん…、でもね。人見知りの人に言うならば、「人見知りのままで、いいや」って思っていたら、それは損だなって思います。
人見知りでも、2通りの人がいると思うんです。
「人見知りって、損だな」って、思っている人見知りの人の方が、素晴らしいと思う。「人見知りを、どうにかしたいな」と、思う心があるだけ、すごくいいと思う。
コミュニケーション・モンスターからすると、「人見知りをどうにかしたい」って、思っている子には、ガンガン話しかけたいと思うし、「絶対、仲良くしてやるぅ!! 」って、その子の「殻」を、破きまくりたくなります。
でも、「このままでいいや」って、シャッター閉じちゃってる子だと、「この子には、何をしゃべっても、何にも返ってこないな。だったら、もういいかな」って、思っちゃう。
だから、人見知りの子は、どこかに少しだけでも扉を開けておいてほしいと思う。「どうにかしたい」と思っていてほしい。
私が思うに、やっぱり人見知りは損だと思うから。
だって、道ですれ違う人も、「レアだ」と、思ったらすごいと思うから。
この地球上の、何億人もの人のなかで、一瞬、道ですれ違って。その人とはもう、一生、会わないかもしれないんですよ! そう思ったらレア過ぎて、道ですれ違う人ですら、興味をもたずにはいられないじゃないですかっ!
そういうことよ! 本当に。出会えて当然じゃないから。
学生だったら、「同じクラスになったのは、奇跡」って、まず思った方がいいと思う。もし、嫌いな子と同じクラスになったら、「コイツとは、離れられない運命なんだな」と、思うしかない(笑)
ーーそんな自分の運命も、まるごと受け止める?(笑)
ふぁーーーんん、懐かしいぃぃ
そう、そう、そう。そう思えば、逆におもしろくなると思う。「まっ、まっ、まっ、また、コイツと一緒かぁぁ〜(笑)!? 」って。そういうことを、ひとつのネタというか、話題にもできると思うんです。
私からすると、出会いの場所がたくさんある「ミラチャイ」を見てる学生の皆がうらやましい。「クラス替え」とか「席替え」とか。ふぁーーーんん、懐かしいぃぃ(泣)
学生役の仕事、こないかな。
席替えとか、めっちゃドキドキした。あの、給食時間に机を移動して、くっつけるのとか。あああ〜、楽しかったなぁ。中学生に戻りたい。給食、食べたーい。
ーーちなみに、給食で好きだったメニューは?
ジャージャー麺! 我が家では絶対出ないメニューだから。給食で初めて食べたなぁ。あと、揚げパン。給食の甘いホワイトシチューも大好きだった。我が家ではビーフシチューが多かったから。
ーー給食、おいしかったですよね。やっぱり、学校で食べるっていう、雰囲気もあるからですかね。
雰囲気は大事ですからね。だから、雰囲気を感じとる「五感」は大切だと思います。視覚、嗅覚、触覚、味覚、聴覚。五感って大切。
あー、給食食べたい! お腹空いたぁ!!
ーーお腹、空きましたねぇ。では、そろそろ、今回の「ミラチャイ」連載は、ここまでといたしましょうか。
はい!
ーーそれでは、今回もたくさんのお話、ありがとうございました。次回もどうぞ、よろしくお願いします!
はい! ありがとうございました。クラス替え、席替え、給食の時間…、中学生の頃が懐かしいな。一緒のクラスになりたくても、卒業まで一緒のクラスになれない人っていたなぁ。
だから、同じクラスになれることって、奇跡。出会えたことが、奇跡。そう思います。皆さん、ステキな春をお過ごしくださいね。次回の「ミラチャイ」も、どうぞお楽しみに!
撮影:山田大輔 スタイリング: 藤井エヴィ ヘア&メイク: 小林依里香
次回の更新は、4/6(金)予定です。

ウレぴあ総研

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着