ニコ動の天使 ナナヲアカリが提示す
る「メジャーって何だ?」
インターネットが生んだ天使、ナナヲア
カリ
現在、動画投稿サイトにアップしたMVの総再生回数が900万回を突破したナナヲアカリ。
有名になっていく過程を知っている身からすると、まさしく彼女はシンデレラ。もちろん、本人にしか分からない苦悩や葛藤はあるのでしょうが、夢を着実に実現してゆく様には、観ているこちら側が勇気をもらえます。会場を埋め尽くす観客を相手にしたこの日のライブも、その勢いを証明するような内容でした。
日本の音楽シーンを揶揄する意味で「ガラパゴス(=独自の生態形を持つ音楽)」という言葉が使われますが、個人的にはこの日のライブを観て少し違和感を覚えるようになりました。断絶などしていないと強く感じたのです。
ひとことでナナヲアカリの音楽性を表現するならば、「RADWIMPSと大森靖子とボカロカルチャー」というところでしょうか。野田洋次郎の言葉のリズム(押韻の仕方など)、大森靖子の向こう見ずな破天荒さと、様々なジャンルを吸収しながら独自の音楽性へと昇華していったボカロカルチャーの音楽をバックボーンに感じます。『眠らない街、眠りたい僕』のようなミディアムテンポな曲もあるけれど、『一生奇跡に縋ってろ』しかり、『ハノ』しかり、テンポが速く、疾走感のある曲には特に、ネットを通じて進化してきた「ボカロカルチャー」も感じられ、様々な音楽性を取り入れて再構築した独自のスタイルを感じました。
「バンドみたいなソロ・アーティスト」
の意味
「わたし、『ナナヲアカリって何だろう?』ってずっと考えてたの。わたしは大阪出身で、今は東京に住んでて、ひとりしかいない。でも『ナナヲアカリ』には、ひとりではなれないんだよね。バンドがいて、動画があって、ライブに来てくれるみんながいないと、音楽ができない。それでわたし思ったんだけど、皆(会場内の人間全員)でナナヲアカリなんだよ。だから明日から『自分、ナナヲアカリっす』って名乗ってくれて全然オッケーなんで」
「陰キャラ(=教室の隅っこで目立たないキャラ)」を自称する女の子が、教室に入るMAX人数の何倍もの数を相手にする。この状況って、ものすごく感動的じゃないでしょうか?
デスクトップの前からメジャーデビュー
へ
数年前までは、デスクトップの前でDECO*27(デコ・ニーナ)がつくる楽曲を聴く、数多いるリスナーのひとりに過ぎなかったナナヲアカリ。この数年間でどれだけの夢を叶えたのかは想像もつかないけれど、メジャーデビューは間違いなく分岐点になることでしょう。インディーのままメインストリームで活躍するアーティストも多いなか、なぜ彼女は「メジャー」を選択したのか。その答えは、どこまでもナナヲアカリらしいものでした。
「先のことはまだ分からないけど、もっとみんなと楽しいことができる機会が増えると思う。支えてくれた人を裏切るようなことはしない。『ナナヲアカリ』っていうプロジェクトをみんなと一緒に進められたらいいな」
■ナナヲアカリ「ナナヲアカリはじめてのとうめいはん『♡(いいね)』収穫ツアー」
日時: 2018年3月5日
開催地: 渋谷WWW
ナナヲアカリ公式Twitter
https://twitter.com/nanawoakari
ニコ動の天使 ナナヲアカリが提示する「メジャーって何だ?」はミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。
ミーティア
「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。