Age Factory 主催ツアー『MY WAR 20
18【京都編】』Age Factoryとtricot
が京都で熱戦の模様をレポート

『MY WAR 2018【京都編】』2018.02.15(Thu)京都MUSE
奈良のAge Factoryが、2月15日 (木) に全国4か所を回るツーマンツアー『MY WAR 2018【京都編】』を京都MUSEで開催。9日に行われたTHE NOVEMBERSとの対バンに始まり、前日14日は広島でa flood of circleと、そして後日17日には名古屋でbachoとのライブを控える中、この日はホームの京都でtricotと凌ぎを削った。両バンドとも多くを語ることはせず、あくまでも楽曲と歌で想いを伝える、硬派なステージングが印象的だった。手に汗握るライブを繰り広げた当日の模様をレポートしよう。
tricot
先攻のtricotは、「MUNASAWAGI」でライブをスタート。続けざまに、キダ モティフォ(G/Cho)が鋭くギターを歪ませた「TOKYO VAMPIRE HOTEL」、「おもてなし」でアグレッシブに切り込んでいき、爆発的な動きある曲展開と聴かせる静けさの緩急で一気に観客を彼女たちの世界にダイブさせる。「WABI-SABI」では、繊細かつ大胆に歌い上げる中嶋イッキュウ(Vo/G)のボーカルに、コーラスを重ねていたキダとヒロミ・ヒロヒロ(Ba/Cho)が、「よそいき」では中嶋とボーカルをスイッチさせながら、ヒロミと吉田雄介(Dr)が打ち鳴らす沈み込むようなビートにリリックを乗せて歌うシーンも。
tricot
MCでは、tricotの全国47本回るツーマンツアーにAge Factoryを誘い、5か所で対バンしたことに触れながら、「最初は全然仲良くなかったよね」と中嶋が切り出すと、キダもすかさず「怖かった」とAge Factoryの一筋縄ではいかない印象を語り、会場から笑いが起こる。和やかなMCから一転、切実に訴えかけるようにして歌われた「青い癖」、吉田を迎え新体制後に4人で作ったナンバー「ブームに乗って」、複雑な展開で魅せる「アナメイン」と畳み掛けるようにしてエモーショナルにぶつけていった。柔軟で流れるような曲展開は、岩を砕くような力強さを兼ね備え、夜の街を彷徨うような浮遊感と雑踏の中を小気味よくステップしながら駆け抜けていくような解放感が入り混じったプレイに胸騒ぎが止まらない。最後は、「メロンソーダ」で前へ前へと向かっていく気持ちを洪水のようにうねりを上げる轟音に昇華させ、サッと一斉に音を止めてフィニッシュ。最後は、嵐が止んだかのような静けさと爽快さを残して、ステージを後にした。
tricot
Age Factory
tricotのライブを受けて登場したAge Factoryは、「OVERDRIVE」でのっけからゴリゴリのサウンドをフルスロットルで仕掛けていく。続く「clean up」では、《分かり合うわけはない/汗かいてない論外/とりあえず丸めて来い/にやにやしてんなよ糞が》と清水エイスケ(Vo/ G)が強烈なリリックを目をひん剥いて咆哮。追い打ちをかけるようにして鳴らす増子央人(Dr/Cho)のドラムと、長髪を振り乱しながら弾く西口直人(B/Cho)の力強いプレイが、刺激的で危うげな空気に火をつけ、フロアのテンションを更にバーストさせていく。そのまま、3曲目で新曲を披露。
Age Factory
ツアータイトルにぴったりで、拳を突き上げずにはいられない楽曲。興奮の沸点をグングン上昇させ、早くも天井知らずの勢いに心躍る。一転して、清水が憂鬱なギターを奏で、「見えてるもの、そこにあるもに価値などなく……、俺たち自身の価値です」と独白するかのように弾き語り、「真空から」へ。エイスケのおぼろがかった声が秘めたる気持ちが消えないように、言葉にしてフロアに投げかけられた。
Age Factory
そして今度は、夜を歌った新曲へ。溢れてくる、込み上げてくる衝動や欲望を受け止めながら、何か確信めいたものを探し、掴もうとするザラついた感情が歌われ胸を熱くさせられる。そんな闘うようにして音をかき鳴らし、エモーショナルに歌い上げてきた激しいステージングから一転。MCで清水が語り始めたのは、この前日もライブでバレンタインデーだったことについて。「チョコもらった? tricotもひとつもくれんかったな。ツーマンやで、ふつうあるやろ、そういうの」(清水)、「まだ怖がられてるな」(西口)、「ライブ中のモティフォさんの方が、全然怖かったけどな」(清水)と、バレンタインデーをやっかむ似合わない話題に観客も大笑い。人柄が伝わってくるMCから、「left in march」、「SUNDAY」へ。鋭く尖ったライブ展開から、今度は温かみのある楽曲が続き、拳を突き上げていた観客たちも、うなづくように聴きふける。「全力でやろう。この時代で、やろう!」と清水が口火を切って打ち鳴らされた「RIVER」、続けざまに「あいつらだって、到底、到達できないようなところまでいこう!」と「Puke」で、ロッケン大砲をぶっ放し、増子が倒れこむようにしてハイハットを止めた。
Age Factory
今の音楽シーンを切り開き、自分たちの世代を背負う覚悟がヒシヒシと伝わってきて、ガツンと胸を打つ。ここで、清水が結婚した友人とのエピソードを披露し、今度は「結婚」という行事にやっかむ。が、「グリーングリーン」、「さらば街よ」と続くクライマックスでは、この日一番の穏やかな表情もみせ、ガッツポーズをとる場面も。多くを語ることなく、想いはしっかりと歌で届け、ラストナンバーは「ロードショー」。アンコールでは「Tours」を披露し、どこまでも先へと続き、広がっていく彼ら未来を、予感させてくれるような楽曲で締め括った。
取材・文=大西健斗 撮影=日吉“JP”純平

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