藤井フミヤ、「生きているようにしか
見えない」と大絶賛! 『パリ凱旋・
傘寿記念 与 勇輝展 創作人形の軌跡
』レポート

『パリ凱旋・傘寿記念 与 勇輝展 創作人形の軌跡』が、2018年3月21日(祝・水)〜4月10日(火)まで、東京・松屋銀座8階イベントスクエアで開催されている。3月20日(火)に先立って開催されたプレス内覧会には、本展のオフィシャルサポーター・藤井フミヤと、与作品に扮した衣装を着た寺田 心と谷 花音もゲストで登場した。
(左から)《おやつ》(1994)、《たま》(2015)
日本が世界に誇る人形作家、与 勇輝(あたえ ゆうき)。1965年に創作人形づくりを始めてから52年。彼の手から生まれる人形たちは、国や世代を越えて多くの人々を魅了し、観る人々にさまざまな言葉や思いを語りかけ、優しい空気で包み込む。そんな与の半世紀にわたる創作活動の軌跡をたどる集大成として、パリの日本文化会館で傘寿記念展(2018年2月9日〜3月3日)を開催。凱旋帰国展となる本展では、《灰かぶり》(1970)など初期の作品から、人気のある郷愁シリーズより《置屋のみね》(1985)や《おやつ》(1994)などの代表作約80点と、近年から今現在までの新作約70点の計約150点を展示。年を重ねても創作意欲あふれる与の変わらぬ世界観を堪能できる。
《木の葉の精》(1986)
第1章「プロローグ 物語の中へ」では、1970年にグループ展で初めて《灰かぶり》を発表し、作家としての一歩を踏み出した与の初期作品を展示。マネキン会社に勤務しながら、この頃の作品には主に西洋の童話やイギリスの挿絵作家、アーサー・ラッカムの絵からインスピレーションされたモチーフが取り入れていた。また、劇作家・飯沢匡より依頼を受けて、人形絵本『シンデレラ』や『ピノキオ』などの人形制作も担当。その絵本は世界30カ国以上で売られ、ロングセラーとなった。
《置屋のみね》(1985)

《椿峠の合戦》(1988)

第2章「古布に魅せられて」では、1985年以降の作品が並ぶ。その頃には画廊で個展を開催するようになり、主に木綿の古布を活かした和装の人形を制作するようになった与。使い古した木綿はしなやかで折りひだがつきやすく、与作品の造形にはかかせない素材となっていく。次第に、日本の懐かしい情景と与自身のエピソードを重ね、日本の原風景を映し出す作家として注目を浴びるようになる。1990年からは、国内巡回展を開催。何気ない子どもの表情をとらえた作品や妖精、ニングルなど、さまざまなテーマに挑戦していく。
《四つの夢(II)》(2000)

《翔んで 翔んで》(2017)

《ファイト》(2015)

第3章「未来をつなぐ子どもたちへ」では、近年の作品が展示される。2010年に開催された『昭和・メモリアル』展で、戦中・戦後をテーマに作品を発表した与。激動の昭和を体験した与ならではの視点と長年あたためてきた思いを、未来へ、子どもたちへ残したいという思いが込められている。

《埴生の宿》(2015)
人形の制作過程
ここでは、与人形の制作工程も紹介されている。制作にかかる日数は、人形によってそれぞれ異なるといい、1週間ほどで完成するものもあれば、2ヶ月ほどかかるものもあるそうだ。油粘土で頭部の原型を作ってから、張り子紙を何枚も重ねて人形の顔を作る。皮膚となるのは、肌色に染めたメリアス布。1体の人形を作るためにさまざまな材料が使用されていることが伺え、とても興味深い。
《ところさん》(2017)
終盤には、所ジョージをモデルとした《ところさん》も登場。与作品のファンという所は、VTRで「与さんの人形を見るとホッとする」と語る。自分自身に思いを巡らせる暇もないような忙しい毎日の中で、与作品に触れている瞬間は、ふと立ち止まって自分を振り返ることができるという。
そして、所同様、与作品の大ファンだという藤井フミヤ。藤井は過去に人形を収集しており、自身で人形作りをすることもあったそうだが、与作品と出会った衝撃で人形収集や制作をやめてしまったという。その後、与とは20年ほどの付き合いになるという藤井は、作品の魅力について「毎回見る度に感動します。本当に生きてるようにしか見えない。人形の魂が宿っていて、本当に動き出しそうです。人形のバックボーン、生活や住んでる家や街まで想像が広がるんです」と語る。
(左から)藤井フミヤ、寺田 心、谷 花音、与 勇輝
この日、寺田 心は《おやつ》の衣装、谷 花音は《たま》の衣装に扮してそれぞれ登場。ふたりを見た与は、「かわいいね、(人形より)こっちの方がかわいいよ」と目尻を下げ、集まった報道陣を笑わせた。泉は、「(衣装を着た自分を)鏡で見て感動しました。本当に人形そのままだったし、こうやって人形と同じお洋服を着て同じ髪型をする機会はめったにないので、すごく貴重な体験をさせていただいたなって思いました」とうれしそうにコメント。
《陽だまり》(2006)
80年の人生、そして人形と共に過ごしてきたこれまでを、与は以下のように振り返る。
「ここに並んでいる人形は(作られてから)50年以上経ったものもありますし、忘れかけていた人形もあります。その時々の私の生きざまが感じられて、よく『人形は分身、子ども』などと言われますけども、本当に分身だなぁと思いますね。昔の人形は出来がよくないんですけど、見ていて愛おしくなります。これからも、指が動かなくなるまで人形を作り続けるつもりです」
たくましく生きる子どもたちの仕草を、与は傘寿を迎えた今なお追い続けている。
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