悔しさはより輝くための決意と原動力
に――Amelie、2度目のクアトロワン
マン 

Amelie 「ステップ✕ステップ」Release Tour 2017-2018 FINAL

2018.3.11 渋谷CLUB QUATTRO
「2018年3月11日。とうとう来たよ、今日が。なんか、正直まだ答えはわかっていないんだけど、それでも最後の最後まで<僕たちに朝は来る>って信じて歌います。「ステップ✕ステップ」リリースツアー、ファイナル、Amelie始めます! どうぞよろしく!」(mick)
フロアから歓声があがる中、この日の1曲目に選ばれたのは「朝は来る」だった。“ど”がつくほどにまっすぐで力強いロックナンバーを、4人は今の気持ちをぶつけるように高鳴らし始める。
Amelie 撮影=日吉”JP”純平
昨年11月にリリースした1stシングル「ステップ✕ステップ」を掲げ、年をまたぐ形でリリースツアーを行なってきたAmelie。そのツアーファイナルとして開催されたのが、今回レポートする渋谷CLUB QUATTROでのワンマンライブだ。Amelieがこの会場でワンマンをするのは、これで2回目。1回目は昨年5月に行なった1stミニアルバム『ドラマチック』を掲げたリリースツアーの最終公演だ。そのときにチケットを売り切ることができなかったことから、次こそはとリベンジを果たすべく、4人は再び渋谷CLUB QUATTROのステージに立つことを決めた。
Amelie 撮影=日吉”JP”純平
そして2度目のクアトロワンマン。当日は、ソールドアウトとは発表されなかったものの、かなり大勢のオーディエンスが会場に足を運んでていて、拍手と歓声で迎えられたメンバーからも笑顔が見られた。しかしやはり、ライブ冒頭のmickの言葉は、悔しさを帯びていたように思う。おそらく4人全員が同じ気持ちだったんじゃないだろうか。
Amelie 撮影=日吉”JP”純平
しかしそれでも、4人は前を向き、フロアに音をぶつけていた。mickがオーディエンスに力強く歌いかければ、直人がそれに寄り添うように声を重ねながらギターをかき鳴らす。髪を振り乱しながらプレイするあっきーも、熱いドラミングを繰り出すアサケンも、どれだけ今が悔しくても、いつか<僕たちに朝は来る>と、笑顔でフロアに向けて音を届けていた。あまりにもエモーショナルな幕開けに、胸が熱くなった。
mick「朝だとか夜だとか、光だとか闇だとか、そんなもん今はもうどうでもいいよ。とにかく、今日ここに来てくれたことが本当に幸せです! 最後の最後まで付いてこいよクアトロ!」
Amelie 撮影=日吉”JP”純平
この日はワンマンということもあり、「どっぷりたっぷりAmelieワールドに引き込みます!」と宣言したmick。その言葉の通り、この日のセットリストは、ときにロックに、ときにポップに、それでいて強烈なまでのキャッチーさを持ったAmelieの曲たちを存分に堪能できるものになっていた。どこか怪しげな雰囲気の曲調でありながらも、オーディエンスの掛け声と共に繰り広げた「月夜に君とランデヴー」や、4つ打ちに2ビートとフロアのテンションを問答無用で高めるメロコアテイストの「GuruGuru」、“ワン! ツー!”の掛け声と共にポップに弾けた「ドラマチック」など、様々な表情を持った楽曲群でフロアを魅了していく。また、mickが鍵盤を柔らかく奏でたスロウナンバーの「君といま生きている」は、優しさだけでなく、光や熱が満ち満ちていて、とても感動的だった。
Amelie 撮影=日吉”JP”純平
MCでは、今回のツアーで変わったこととして、「機材車がステップワゴンからハイエースに進化した」と話す4人。ちなみに、「step!」の歌詞に出てくる<オンボロ白いワゴン>であり、同曲のミュージックビデオに出ている白い車が旧機材車で、撮影翌日に無事役目を終えて廃車になったそうだ。また、今回のツアー中、久々に観客が少ないライブハウスに立ったこともあり、「改めて、観に来てくれる人たちがいるからライブが成り立っていることを心底感じた」というmickの発言も。それもあって、会場に足を運んでくれたオーディエンスに向けて、感謝の言葉を何度も伝えている彼女の姿が印象的だった。そして、2度目のクアトロを埋めることができなかったことについて語る。
Amelie 撮影=日吉”JP”純平
mick「正直めっちゃ悔しいよ! ウチらじゃ埋めらんないのかなって、やっぱりダメなのかなって思っちゃったよ。だけどさ、ここで諦めるようなウチらじゃないよ。ここでやめるようなAmelieじゃないよ! もしかしたらハラハラさせちゃってるかもしれないし、もしかしたらギリギリなのかもしれない。それでも、挑戦し続けて行くのがAmelieなんだ! 何度だってやってやるよ! だって、こんなにみんなが信じてくれて、ついて来てくれて、教えてくれたんだ!」
Amelie 撮影=日吉”JP”純平
決意表明と共に届けられたのは「ゼロじゃない」。時折がなり気味に歌うmickが、「もっとやろうぜ!」と煽ってなだれ込んだ「エラー」では、「俺たちは負けない!」とボーカルも務めた直人が絶叫。さらに「このツアーで一番ヤバい景色、いや、今まで見たことないぐらいのやつを見たいなと思ってるんですけど!」とフロアを焚き付つた「メグリメグル」では、オーディエンスが手を左右に突きあげ、シンガロングが巻き起こる。そして、「ツアーは今日で終わりますけど、Amelieの旅はまだまだ続きます。みんなと一緒だったら大丈夫だって、心の底から信じてます!」と、本編のラストナンバーは「サイクル」。歌い始めたmickと共にオーディエンスが歌い出すと、込み上げてくるものを堪えながら、mickはその声に感謝するように、ノーマイクで歌い上げていた。
Amelie 撮影=日吉”JP”純平
アンコールに応えて登場した4人は、5月30日に2ndフルアルバム『ビューティフルライフ』を発売すること、そして、6月からリリースツアーを行なうことを発表し、オーディエンスを喜ばせた。なお、同ツアー初日は6月16日、バンドのホームである埼玉県越谷で開催する主催サーキットイベント『Amelie 鐘フェス 2018~君が為に越谷で鳴らす~』。そこから大阪、名古屋で初ワンマンを行なった後に全国を廻り、ツアーファイナルは9月22日、恵比寿LIQUDROOMにて開催される。ツアーファイナルの会場について、「普通はクアトロを埋めてから行くんだと思うんですけど、どうやらこうなったということは、たぶんAmelieは期待されているということなんだと思います。飛び級しまーす!」と宣言。フロアからは大きな歓声が送られていた。
Amelie 撮影=日吉”JP”純平
またこの日、2ndフルアルバムから「ビューティフルライフ」が一足先に披露された。Amelieのポップサイドが炸裂したパワフルで軽快なこの曲は、初披露ながらもオーディエンスの身体を自然と揺らすもので、アルバムへの期待がグっと高まった。そして、「“出会ってくれてありがとう”と、みんなが目の前にいてくれるだけでウチらは何度も救われたから、“救ってくれてありがとう”という感謝を込めて」と、最後に「ヒーロー」を届け、2度目のクアトロワンマンを締め括った。
Amelie 撮影=日吉”JP”純平
悔しさはあったかもしれないが、ライブの内容は決して悪くなく、というか、むしろすごくよかった。バラエティ豊かな楽曲群を熱く奏でる演奏力や曲の運び方など、ライブバンドとして着実に力をつけてきているし、純粋にかっこいいなと思わされる瞬間が何度もあった。また、2ndフルアルバムについては「ベストを更新しちゃった」とも話していて、かなり自信作の模様。とにかくこれからが楽しみでしかない。歌詞を引用させてもらうならば、Amelieの旅はこれからも輝き続けていくだろうし、ここからその光の強さはどんどん増していくだろう。きっと、いや間違いなく、4人に朝は来る。

取材・文=山口哲生 撮影=日吉”JP”純平
Amelie 撮影=日吉”JP”純平

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