【ライブレポート】ライオット、9年
越しで現実となった夢のライヴ

2018年3月10日(土)、ライオットが<Thundersteel 30th Special in Japan>と題して日本公演を行った。
アメリカン・メタルの生ける伝説として40年以上活動を続けるライオットだが、名盤『サンダースティール』(1988)から30年…招聘・企画制作・会場のクラブチッタも30周年を迎えたことから、“CLUB CITTA' 30th AnniversaryーHard Rock Revolution”シリーズ第3弾として開催され、3月10日、11日の2days公演で行われた。
それにしても頻繁に日本を訪れるバンドで、現在の“ライオットV”編成になってからも2014年の<ラウド・パーク>、2015年の単独公演、2016年の<ラウド・パーク>という連続来日を果たしている。数々の名曲をエキサイティングな演奏で聴かせてくれるステージは毎回素晴らしいものの、そろそろ供給過多かな?…というタイミングで、遂に伝家の宝刀を抜いてきた。『サンダースティール』完全再現というスペシャルすぎるライヴに、場内はかなりの盛況ぶりだ。しかも前方がギュウギュウ詰めというあたりから、ファンがこの瞬間を待っていたことが伝わってくる。
2009年の来日公演が<Thundersteel Reunion Japan Tour>と銘打たれ、『サンダースティール』再現が噂されながら実現しなかったため、実に9年越しで現実となる夢のライヴだ。これが興奮せずにいられようか。さらに「本日の公演は二部構成。11台のビデオカメラで撮影します」というナレーションに、さらに温度が上がっていく。完全再現への期待にヒートアップする観衆を前に、ライオットは最大級のチャレンジをしてきた。1曲目に、ニュー・アルバムからのタイトル曲「アーマー・オブ・ライト」をぶちかましてきたのだ。いきなり発売前の新曲で勝負をかけてきたのは、新作への絶対の自信、そして過去に安住せず前方へと進んでいく強靱な意志を感じさせるものだ。それに観衆は大声援を送り、その熱気は前作『アンリーシュ・ザ・ファイア』からの「ライド・ハード・リヴ・フリー」へと繋がっていった。ライオットは見事、賭けに勝ったのだった。
近年の作品からのナンバーを中心に攻める第1部は、トッド・マイケル・ホールが「この曲は日本でしかやっていない。ジャパン・スペシャルだ。君たちのために特別にプレイするよ」と日本のファンの心をくすぐるMCから始まる「ランド・オブ・ザ・ライジング・サン」、そして『アーマー・オブ・ライト』からの新曲「メサイア」…と、バンドの演奏と観衆の盛り上がりでクラブチッタの天井が抜けそうだった。
そんな中に挟み込まれるのが「ブラック・レザー・アンド・グリッタリング・スティール」や「エンジェル・アイズ」などのクラシックスだ。バンドの1980年代を知るメンバーはドン・ヴァン・スタヴァーン(B)とマイク・フリンツ(G)のみ。しかもマイクは『サンダースティール』制作後に加入、1990年代にドンは不在だったが、40年におよぶライオットの魂は、現在のラインアップに受け継がれている。
この日、ステージ上にはバンドのマスコット、アザラシ頭のジョニーが斧と盾で武装する『アーマー・オブ・ライト』ジャケット、そしてメンバー達がライオットの旗を掲げる垂れ幕があった。ライオットとはいわばアザラシの“紋章”や“旗”の下に集まったミュージシャン達を指す名称なのだ。今回、メンバー達が黒コスチュームに赤ライン、ギター&ベースも黒あるいは赤でビジュアル面を統一させていたことも、彼らがライオットの名を継承するチームだという想いを新たにさせた。とはいえ、ライオットがまったく別のバンドになってしまったわけではない。「テイク・ミー・バック」は前作『アンリーシュ・ザ・ファイア』からの新しめの曲だが、初期の彼らを思わせる古き良きシャッフル・ビートでノセてくれる。イントロMCで2012年に亡くなったギタリスト、マーク・リアリに言及、「今夜、彼はステージ上にいるよ」と宣言したのも、この曲が初期ライオットのスピリットを持っていることの表れだろう。「メタル・ウォリアー」でバンドはいったんステージを下りる。休憩を挟んで、お待ちかねの『サンダースティール』完全再現だ。ドリンクチケット消化やトイレタイムもそこそこに、観衆はステージ前方に詰めかけ、その瞬間を待ち構えることになった。
第2部のオープニング曲「サンダースティール」から、CLUB CITTA'はバンドと観衆を連れて30年前にタイムスリップ。トニーは伸びやかなハイトーン・ヴォイスを聴かせ、マイクはコーラスも含め、バンドの屋台骨をがっちり支える。ニック・リーのギター、フランク・ギルクライストのドラムスも「ライオットとは何ぞや?」と身体で知るプレイで、アルバムを曲順どおり、ほぼ忠実に完全再現してくれた。
アンコールは「ロード・レーシン」、「ソーズ・アンド・テキーラ」、そして「ウォリアー」という初期クラシックス3連打。最後のクライマックスとなった「ウォリアー」ではマスクを被ったジョニー軍団が大挙(10人?)ステージ上に登場し、アザラシ頭のヘッドバンギングを見せた。翌11日のショーも、若干セットリストを変えながら、大熱演が繰り広げられたようだ。1970年代後半にデビューし、イギリスのメタル・ブーム(NWOBHM)でブレイクを果たしたライオットだが、彼らが2度目のピークを迎えたのが『サンダースティール』だった。それから30年、彼らは3度目の頂点を極めようとしていることを、このライヴは証明してみせた。1977年にアルバム『ロック・シティ』でデビューしてから40年とちょっとが経つ。『アーマー・オブ・ライト』で“光の鎧”をまとい、“暴動”をバンド名に冠したウォリアー達はシャイン・オン=輝き続ける。
文:山崎智之

写真:Mikio Ariga

編集:BARKS編集部

ライオット 『アーマー・オブ・ライト

2018年4月25日 日本先行発売予定

【100セット通販限定 直筆サインカード付きCD+ライヴCD+Tシャツ】¥7,000+税

【初回限定盤CD+ライヴCD】¥3,000+税

【通常盤CD】¥2,500+税

※日本語解説封入/歌詞対訳付き

1. ヴィクトリー

2. エンド・オブ・ザ・ワールド

3. メサイア

4. エンジェルズ・サンダー, デヴィルズ・レイン

5. バーン・ザ・デイライト

6. ハート・オブ・ア・ライオン

7. アーマー・オブ・ライト

8. セット・ザ・ワールド・アライト

9. サン・アントニオ

10. コウト・イン・ザ・ウィッチズ・アイ

11. レディー・トゥ・シャイン

12. レイニング・ファイア

13. アンビリーフ ※ボーナストラック

14. サンダースティール

ボーナス・ライヴCD<キープ・イット・トゥルー・フェスティヴァル 2015> ライヴ

1. ライド・ハード・リヴ・フリー

2. ファイト・オア・フォール

3. オン・ユア・ニーズ

4. ジョニーズ・バック

5. メタル・ウォリアー

6. ウィングス・アー・フォー・エンジェルス

7. サイン・オブ・ザ・クリムゾン・ストーム

8. ブラッドストリーツ

9. テイク・ミー・バック

10. ウォリアー

11. ロード・レイシング

12. ソーズ・アンド・テキーラ

13. サンダースティール
【メンバー】

トッド・マイケル・ホール(ヴォーカル)

ドン・ヴァン・スタヴァン(ベース)

マイク・フリンツ(ギター)

ニック・リー(ギター)

フランク・ギルクライスト(ドラムス)

アーティスト

BARKS

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