賞金女王・鈴木愛が渡米! LPGA『ア
クサレディス』は混戦模様の大会に

3月18日に決勝ラウンドが行われた『Tポイントレディス ゴルフトーナメント』で、今季初優勝を飾った昨年の賞金女王・鈴木愛。その鈴木がアメリカツアー・メジャー第1戦『ANAインスピレーション』出場のため国内を2戦休むため、“鬼のいぬ間”に上位を目指そうと、各選手の目の色が変わる。今週の『アクサレディスゴルフトーナメント in MIYAZAKI』は誰が制するのか? 注目が集まっている。
今年の女子ゴルフツアーは昨年とはまた違った形で面白い展開になっている。例年どおり、韓国勢の強さは相変わらずだが、そんな中“実力”を持っている選手はしっかりとその結果を残しているからだ。シーズンオフにその準備を行い、開幕に合わせられた“実力者”たちには、さまざまな傾向が見られる。
一つは、昨年開花した勢いを続けている選手だ。昨年まさに彗星のごとく登場したイ・ミニョン(韓国)や、同じく韓国のユン・チェヨン、川岸史果、永井花奈などが挙げられる。
すでにイ・ミニョンはもちろんのこと、川岸も永井も昨年に優勝を経験している。数あるプロの中で優勝を経験できない選手もいる中、実力だけでなく運も味方につけた選手だけが、その栄冠に浴することが出来るのだ。永井もその一人だろう。昨年10月に行われた『樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント』で最終日が荒天で中止となり、前日までトップだった永井に優勝が転がり込んできた。次は3日間(4日間)競技での“完全優勝”が目標と口にした永井。今季も3戦予選を通っており、実力は間違いなくついてきている。
ユン・チェヨンは優勝こそないものの、昨年安定した戦いをしてきた。今月に31歳になったばかりの、いわば“遅咲き”の選手だ。昨年は7月の『センチュリー21レディスゴルフトーナメント2018』で決めどころのパットを何度も外し、惜しくも穴井詩に届かず2位に終わったが、着実に優勝に近づいている。今季も開幕戦の『ダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメント』で2位に入賞し、以降も安定したプレーで予選突破し、現在賞金ランキングで5位(約900万円)と好位置につけている。
こうした“勢い”を持った選手と対照的なのは、優勝経験者ではあるものの、ここ数年は怪我などに苦しみながら調整をしてきたベテランの“復活組”だ。『ダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメント』で3位タイに入り、久しぶりに存在感を示した諸見里しのぶもその一人。気持ちがカラ回ったのか、この2戦は予選落ちを喫したが、この『アクサレディスゴルフトーナメント in MIYAZAKI』は主催者推薦を受け、上位を窺う。
2011年の『伊藤園レディスゴルフトーナメント』以来の2勝目を狙う藤本麻子にも注目したい。最終日にスコアを伸ばせず、悔しい思いをしてきた藤本も、今季はかなり状態が良い。LPGAも3戦経過したが、その3戦すべて予選を通過。『ヨコハマタイヤ ゴルフトーナメントPRGRレディスカップ』で5位タイ、『Tポイントレディス ゴルフトーナメント』で4位と尻上がりに調子を上げている。この2年は惜しくも予選落ちと、コースとの相性が悪そうに思えるが、2015年は27位タイ、14年は7位タイと、開催コースのUMKカントリークラブを苦手にしているわけではない。今のような安定感があれば、十分上位を狙える状況にある。
ある意味、“復活”を期待されている選手に渡邉彩香がいる。圧倒的飛距離で頭一つ抜け出す逸材かと思われたが、昨年は気持ちと体が一致していなかったのか、ショットが安定せず昨年33試合中、予選落ちが16回と不本意な1年となった。この2年間、優勝から遠ざかっているが、渡邉のモチベーションの一つに「東京五輪」がある。再来年をピークに考えても、今年は重要な一年となる。元祖ビッグドライバーの渡邉の奮起、復活を期待したい。
逆に飛距離はないものの、得意の小技で勝負をする選手もいる。『Tポイントレディス ゴルフトーナメント』で久しぶりのトップ10入り、3位に入った酒井美紀だ。昨年はランキング51位で悔しいシード落ちを喫した。今や280ヤードを飛ばす女子プロも何人も出てきており、その中で“いぶし銀”のように小技で戦ってきた。しかし、平均217ヤード(昨年の部門ランク92位)ではあまりにも厳しいと、スイングをドローに変えた。その効果がすでに出ていることで、本人も手ごたえを感じているはずだ。
もう一つのグループは、黄金世代と言われる1998年生まれを中心とした推薦枠や昨年のプロテスト合格者、シード外からの参戦組で、今年になって上位に顔を出している選手たちだ。すでにアマチュア時代に一勝している勝みなみ(19)、QT1位で出場機会の多い高橋恵(21)ら若い選手たちは、今の世代らしく物怖じしないところが特徴だ。
この2戦で予選を突破し、『Tポイントレディス ゴルフトーナメント』でも最終組で回った三浦桃香(19)も有望株の一人で、アマチュア時代から280ヤードをかっ飛ばすそのパワーは、見かけの可憐さからは無縁に思えるほど。同大会で優勝した鈴木愛、3位に入った酒井美紀とのラウンドは大きな刺激になったようで、さらなる高みに登るために、いい経験となったようだ。
あのジャンボ尾崎の秘蔵っ子と言われる原英莉花(19)も、黄金世代の1999年早生まれ組。主催者推薦で出場する。ヘッドスピードは男子顔負けの48メートル/秒を誇り、平均飛距離も260ヤード超の逸材。先週も初日にトリプルボギーを打ちながらバーディを6つ量産して、結果34位タイでフィニッシュ。将来性を見込み、あの日本通運がスポンサーになった。安定感が増せば上位にとっても怖い存在になりえる。
そのほか、今年2戦を予選クリアした権藤可恋(22)、優勝こそないものの昨年も上位に顔を出している新垣比菜(19)など、いつ“爆発”してもおかしくない若手が、「次は私」と存在感を示そうとしている。
リランキング制度でより熾烈な争いになっている今年のLPGA。優勝や賞金女王という称号が、何よりも本人を大きく変化させるのは、昨年の鈴木愛を見れば分かろうというもの。もうすぐ開花の季節となるが、宮崎県花はヤマザクラという。この宮崎で大きな桜を咲かせるのは誰か? 復活組を含め、『アクサレディスゴルフトーナメント in MIYAZAKI』はネクストガールが現れる、そんな大会になる予感がする。

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