Keishi Tanakaが挑戦し続ける理由 
ーー新たな環境で始まった「今」と「
過去」、そして「未来」を語る

Keishi Tanakaが新曲『This Feelin’ Only Knows』をストリーミング配信でリリースし、2018年をスタートさせた。3月20日からは再びツアーに出る。昨年は、詩集『真夜中の魚』を発売し『Whatʼ s A Trunk?』のリリースツアーをはじめ、全国 37か所で行った『ROOMS TOUR 2017』など、年間100本に及ぶライブを精力的に行った。そんなKeishi Tanakaは、今までのNiw! Recrdsを離れ新たな環境で“今”スタートさせていた。そこに辿り着くまでの“想い”、そして常に挑戦し続ける彼の“想い”とは。

Keishi Tanaka 撮影=西槇太一

●人の気持ちは残っていくので、僕が良い音楽を作れば、その作品は無視されないと思うんです。
ーー2018年はKeishiさんにとって新たな環境でスタートさせた年になりましたね。
そうですね。『What's A Trunk?』という良い作品が出来て、ツアーも充実していて、新しい展開も見せられたと思っていて。リリースツアーの後は毎回必ず「次、どうしようか」となるんですが、小さいことでも良いので何か新しいことを常に探してて、例えば、誰かにアレンジを頼んでみようと思ったのもそうだし、バンドを解散してソロをやってみようと思ったのもそうだし、弾き語りを始めた時も同じような感覚で、無意識だけど今回も一緒なんだと思う。だから、時にはちょっと大きな決断もするけど、心境としてはずっと変わってないですね。
Keishi Tanaka 撮影=西槇太一
ーー2017年は変化の1年だったと。
そうですね。今思うとそうですけど、2018年、2019年をもっと大きな1年にするつもりです。去年、詩集『真夜中の魚』を出したことも大きくて、去年のリリースはそれだけだし、タイミング的にも過去の詩をまとめて振り返れる良いタイミングで。次、何かないかなとも思ってた時期でもあったので。今の自分のモチベーションがすごく高いけど、それをどうみんなに発表していこうかという段階でもありました。その1つ目として、今回の『This Feelin’ Only Knows』のストリーミング配信でした。
Keishi Tanaka 撮影=西槇太一
ーー今回の『This Feelin’ Only Knows』はプロモーション期間がなかったとか。
楽曲完成と配信開始がほぼ同時だったので。もちろん準備をきっちりしてプロモーション期間を経てリリースするというのも出来たんですけど、1番早く世の中に送り出す方法って何だろう? と話し合って、このストリーミング配信っていうのは盤も必要ないし、且つ、今までやったことない手順だったので、「やってみよう!」となって、年末にレコーディングして、とりあえず聴いてもらいたかったので、告知と同時に配信を開始しました。
ーーKeishiさんにとっては新しい方法ですよね。
うん。サブスクリプションを使って配信するというのは今までの曲もやっているけど、最初にそれだけでリリースするというのは初ですね。ストリーミングって人それぞれ使い方もあるし、それでしか音楽聴かないって人もいれば、盤を買うための試聴ツールとして使う人もいると思うんです。登録してるけど使ってないって人も中にはいるかもしれないけど、とにかく今回はこれが1番早い手段だったから。で、そのあとにレコードも出すという新しいやり方を取り入れました。
ーー結果的にはどうでした?
面白かったです。広がりを感じました。サブスクリプションって、なんとなくラジオみたいな使い方をしてる人もいるなと思っていて。ラジオって何気なく好きな番組を聴いてて知らない曲に出会ったりするじゃないですか。昔も今も。それのちょっと現代版で、Spotifyのプレイリストをなんとなく選んで聴いていたら、自分が知らない曲が流れてくるわけだから、「あ、この曲良いな」と思って知ってもらうキッカケになれば良いわけで。そういう意味では、僕はいろんな人に届いて欲しいと思って音楽を作ってるので、自分の意思とあってるというか。やって悪いことが何もない。
Keishi Tanaka 撮影=西槇太一
ーー『This Feelin’ Only Knows』は具体的なテーマを設けて作られたんでしょうか。
そうですね。今回の一連の流れと同時進行で楽曲を制作していたので、2018年の1月にリリースすること、そこに向けての決意表明みたいなところが自然と曲に反映されたと思います。何曲かレコーディングしたんですけど1曲目はこれが良いかなと思いました。
ーーそのあとにアナログ盤でもリリースされます。
やっぱり自分がモノとして持っていたい方なので、それは最初から決めてました。最速で出せるのはストリーミングだとしても、それだけで終わりたくないというか。『This Feelin’ Only Knows』の他に『知らない街の大聖堂』という曲の2曲入りで、ジャケットもLPサイズにして、アート作品としても作れないかなと思って。文字情報も余計なものは何も入れずに、『This Feelin’ Only Knows』のジャケはヤマテツ(カメラマン・山川 哲矢さん)の作品として、『知らない街の大聖堂』はエンナちゃん(イラストレーター・Enna Yamashiroさん)の作品として、部屋や玄関にでも飾って欲しいなと。より“モノ”としての感じを出したかったんです。話はちょっと逸れるかもしれないですけど、昔よりもシングルが好きになってきていて。アルバムやミニアルバムは流れを作るという意味であいかわらず好きなんですが、例えば今までやってきた絵本やハンカチ付きのものも、1曲に対してのイメージじゃないですか。だからシングルの方がやっぱり出しやすくて。アルバムの作品が絵本になってたらイメージが広すぎるし、あれは『秘密の森』という1曲だから絵本として納得できるものが出来たなとその頃から思っていて。今回もシングルでこういう意思表示が出来たのは自分としては良かったなと思ってます。
Keishi Tanaka 撮影=西槇太一
ーー確かにアナログ盤の方が作品として、重みがあるように感じました。
ダウンロードコードも付いているので、レコードプレーヤーがなくてもパソコンで再生できます。SpotifyもApple Musicやってない、レコードも聴けないという人も、ぜひ手にして欲しいです。やっぱりストリーミングよりは絶対に作品感は出せるから。1曲だろうが2曲だろうが、モノとしてあったほうが音楽を大切にしてもらえると思うし。なくなるものってあるかもしれないけど、例えばCDを買わないという人はさらに増えるかもしれなけど、その音楽が好きという感情はなくならないじゃないですか。たとえCDがなくなったとしても音楽はなくならないし、人の気持ちは残っていくので、僕が良い音楽を作れば、その作品は無視されないと思うんです。今回は、実験的なところもあって、音楽や作品を作り続けるためにはどうしたら良いのかというのを常に考えています。
●挑戦するという感覚は、人生の中で今が1番強いかもしれない。意地を捨てて、提案してもらったことや誘われたことに対して素直に向き合ってみる。それでもこだわることはできる。
ーーそうなってくると今後のリリースが気になるところですが、まずは3月20日からツアーが始まります。
今回のツアーは初のスリーピース編成という新しい試みでもあって。過去にたまたま1、2回スリーピースでやったことはあるんですけど、手応えみたいなものもあったんです。去年の春のツアーが終わったくらいから、また次の春にツアーをしようとは思っていて、でも弾き語りではない方が面白いかなとはその時から考えていました。だから、まずツアーをやることを先に決めて。……ここまできて言うのも何ですが……、今日、話してること、順序的にはツアーが最初に決って、戻って行く感じ。「ツアーをする、アナログのリリースもしたい、最速でとりあえず聴いてもらおう!」となったわけです。1個決めるとモチベーションがどんどん上がってくるから。
Keishi Tanaka 撮影=西槇太一
ーーなるほど! Keishiさんはいつも何か新しいことに挑戦されてるイメージです。
常に挑戦する気持ちというのはあるので、あとはその都度、決断していくだけなんですよ。1つの決断を繰り返していけば、挑戦が続いていくと思っていて。このスリーピースもかなり挑戦ではあります。まだ自分の中でもどうなるか分からない部分もある。スリーピースのイメージはぼんやりとずっとあって、今までは自分の作ってる音楽とやりたいライブ像にあてはまらなかったから、自分でやりたいと思える時期まで待っていたというか、決断するタイミングを自分の中で探していた感じですね。それが今なんです。
Keishi Tanaka 撮影=西槇太一
ーー2018年これからがますます楽しみです!
新しく始まったことに対するワクワクがあるので、楽しい1年になるんじゃないかなと思ってます。自分がいろんなことに挑戦するという感覚が、人生の中で今が1番かもしれない。意地を捨て、提案してもらったことや誘われたことに対して素直に向き合ってみる。それでもこだわることはできるし、それが楽しかったりもする。その感情が結構強いなと思ってるから、今後どうなっていくかが自分でも楽しみだし、例えば何も起こらないとか、失敗したとしても、その時考えれば良いかなと思えてるので。とにかく、何もしないで終わるよりか、“やる”という決断をしていきたいです。
Keishi Tanaka 撮影=西槇太一
取材・文=高野有珠 撮影=西槇太一

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