A9 ラルクKenプロデュース新曲「UN
REAL」MV公開&ホワイトデーライブで
見せたバンドの真髄

A9が3月10日、東京・SELENE b2にて『White Day LIVE 2018「白の間」』を開催。このライブの終演後に、4月25日に発売するニューアルバム『PLANET NINE』から、前作「F+IX=YOU」に続きKen(L’ Arc〜en〜Ciel)をプロデューサーに迎えて制作したリード曲「UNREAL」のMVのショートバージョンを集まったファンに初公開した。
先月、同会場で開催した『Valentine’ s Day LIVE 2018「赤の間」』はファンクラブ限定、シッティングチケットだったが、この日は完全スタンディング。チケットも一般発売され、場内は開演前から満員の観客の熱気に包まれた。SEが響くなか、Nao(Dr)から順番にスーツ姿でビシッときめたメンバーが登場。ホワイトデーに合わせて「WHITE PRAYER」でライブは幕開け。

A9 撮影=Miki Fujiwara
「みんな、もっと声出せるでしょ?」。将(Vo)の告げたその一言から、ライブは急激に加速。“oi,oi”と叫ぶフロアの声が明らかに大きくなり、みんなで人差し指を天に掲げ「Le Grand Blue」へ。VJが手がけた映像のなかに桜の花びらがひらひら舞った「闇ニ散ル桜」は、沙我(Ba)のベースラインが心地よいうねりを生むなか、観客たちがフロントめがけて何度も逆ダイを繰り返し、間髪入れずに始まった「-DICE-」ではフロアが左右真っ二つに分かれてモッシュへ。という具合に、この日のライブは序盤からステージ上の5人もフロアも終盤並みのテンションで、熱いパフォーマンスを展開。のっけからカオスな盛り上がりを見せるファンを真っ先に讃えた将は、自分も暴れすぎて、この日のために用意したイギリスのブランドもののスーツが、すでに破けそうだと告白。
「今日の私のパンツは赤ですが。ホワイトデーなのに(笑)。見えてもなにも見なかったことにして!」といってファンの笑いを誘う。カッコつけているように見えて、最近さらにやる音楽もライブも自由度を増してきたA9。こんなお茶目な彼らが見えるたびにファンが一喜一憂するなか、ライブはテンポよく進行。
中盤に突入しても、まだまだ勢いは止まらない。虎(Gt)の速弾きのあと、そこにヒロト(Gt)が音を重ね力強いツインリードが炸裂していったドラマチックなヘヴィーチューン「the Arc」に続け、MVではメンバーが真っ白い衣装を着てパフォーマンスしていた「Spiegel」を連発。バンドアンサンブルがスリリングにからみあい、緊迫感あるプレイで聴かせていく濃密な2曲でフロアを圧倒したあとは、スピーディーな「開戦前夜」を畳み掛け、躍動感あるこの曲で全員でぶちあがるようにスパークしていった。こうして、場内に熱気が渦巻いたところで、この日集まったファンとの絆をさらに深めるように心を込め、彼らは「9th Revolver」〜「朱い風車」を続けてアクト。「朱い風車」では将に「みんな歌うまっ!」、「もっと聴いていたい」といわしめるほど、ファンが一丸となり、アカペラで美しいシンガロングを届け、場内に多幸感を生み出していった。その温かい合唱に対して感謝を述べ、「それでは俺たちからみんなへのホワイトデーのお返しを」という将のコメントに続いて、舞台のフロントには5本のマイクスタンドがセットされる。それを見て観客たちはそわそわ。
バレンタインデーライブで嵐の「Love so sweet」をカバーし、ファンを狂乱させた彼らは、この日はなんとLUNA SEAの名バラード「I for You」を5人でマイクリレーしながら本気で熱唱。バンドでありながらも、あえて5人で歌うというスタイルでファンへの愛をしっかりと届けたあとは、彼らが楽器を離れてパフォーマンスするというA9の新たなスタイル。その可能性を切り開いたといってもいい画期的なダンスナンバー「UNDEAD PARTY」を楽しそうに歌い踊って、フロアをみるみる沸かせていった。バンドでありながらも、こんなことが自由にできて、しかもそれをメンバー自ら楽しんでやっているところは、いまのA9の強みだ。このあとは再びバンドモードに戻り、ラストを「MEMENTO」でびしっと締めくくって本編は終了した。
A9 撮影=Miki Fujiwara

アンコールで再登場した彼らは、将から「学生の頃のホワイトデーの思い出は?」という質問が上がり、虎は「貰ってねぇから返してねぇよ」と即答。ヒロトは「縁がなかった」といい、Naoは「貰えなくてもみんなが俺の魅力を分かってないだけって思ってた」と当時を振り返った。「なんで俺らモテなかったんだろう?」と将がいうと、虎が「足が遅かったからじゃね?」と再び即答。「そうそう! 小学生は足が速い子がなぜかモテるんだよ」と沙我がいい「小学生の頃太ってた人?」と続けると、無言で虎と将とヒロトが挙手。「俺はその頃から“痩せたらカッコいいのに”っていわれ続けてるわ」と自虐的に笑顔でいい放つ虎に、メンバーもファンも爆笑。和気あいあいとした雰囲気に場内が包まれたところでアンコールのパフォーマンスへ。そのなかで、アルバム制作期間にこうしてバレンタイデー、ホワイトデーとライブができたことが「よかった」と集まったファンに話しかけた将。
「いつも俺たちがみんなを引っ張っていかなきゃと思ってるんだけど、こうしてみんながいてくれることで、俺らは呼吸ができて“生きてる”ことを実感できてます。本当にありがとう。5月からのツアーでは、みんなのことをとことん幸せにしてやるから。言葉にできない思いをこの曲にのせて最後に届けて、またみんなに会いたいなと思ってます」(将)
新しく始まるツアーでの再会を約束したあと、最後に彼らがこの日届けたのは「すべてへ」だった。場内いっぱいに彼らがファンを思う心、ありがとうという感謝の気持ちとともに、辛いとき、悲しいとき、絶対に僕らがそばにいるからというメッセージが広がり、ライブは感動に包まれたまま幕を閉じた。「このあと、少しだけサプライズプレゼントがあるから。楽しみにしてて下さい」と将がいい、メンバーが舞台を去ると、照明が暗転。A9のロゴマークに続いて、まだ誰も見たことも聴いたこともない新曲「UNREAL」のMVがタイトル告知もなく流れ出すと、ファンは驚き、半狂乱状態に。将に続いて沙我がカッコよくラップする姿がアップで映し出され、悲鳴があがるなか、MVは途切れ、客電がついた。
この日流れたMVは、4月25日に発売するA9のニューアルバム『PLANET NINE』のリード曲となるもので、シングル「F+IX=YOU」に続き、Ken(L’ Arc〜en〜Ciel)プロデュースの楽曲となる。前作に反して、こちらはあやしいシンセとねっとりとした将のヴォーカル、哀しいギターフレーズとリズムがダークに熱く絡み合うなかに、クールな沙我のラップをフィーチャーした楽曲になっている。次にリリースされるニューアルバムはいったいどんなものになっているのか。そこへの期待感は高まるばかり。また、こちらの「UNREAL」は日本テレビ系『バズリズム02』4月エンディングテーマとして放送される。
そうして、気になるニューアルバムのタイトルが『PLANET NINE』であるということ。また、5月4日から始まる全国ツアーが『「STARWAY TO MOON」—月への招待—』、『「STARWAY TO MARS」—火星への招待—』と、前半/後半で異なった惑星がらみのタイトルがつけられていること。そのスケジュールのなかで、メンバーの誕生日がマークされていること。さらに、このツアーファイナルとして8月25日にいつもの新木場STUDIO COASTで行なう14周年記念公演までもが『「ALICE IN CASTLE」—星の王子と月の城—』と星、月をフィーチャーしたタイトルで行なわれることも含め、アルバム『PLANET NINE』に合わせて、A9がこれからメンバー、ファンとともに9番目の新しい惑星の物語をみんなで一緒に作っていこうとしていることが分かる。これまでも銀河、星など天体にまつわるモチーフをたくさん楽曲に織り込んできた彼らだからこそ、ニューアルバム、次のツアーを通して、どんな9番目の新しい惑星を描き出すのかが楽しみで仕方ない。
LIVE PHOTO by Miki Fujiwara

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