【どついたるねん インタビュー】
俺、こういうバンドがいたら
絶対に好きになる!
“何をやりたいのか分からない”さえも褒め言葉に変えてしまう、独特の音楽観が魅力のどついたるねん。セルフタイトルを掲げたメジャー1stアルバムも、さまざまな音楽性の上、痛快で爽快な歌や言葉が乱舞する彼らの特有性が満載だ。唯一無二さと聴き終えたあとに沸き出る不思議なバイタリティー。彼らを知るなら、まずはここから!
今作からは、みなさんが自身らしさに自覚的になり、そこをより前面に押し出した印象を受けました。
ワトソン
今まで好き勝手に、その都度興味のある音楽性を次々にやってきましたが、今回はその中から見えた自分たちの武器を聴き手にも伝わるようにとの意識はありました。より多くの人たちに届くチャンスでもあったんで、その辺りを前面に出してみたというか。
DaBass
曲もたくさん作って、その中からより自分たちらしい曲を選んでいきましたからね。
確かに。これまででもっともみなさんがどんなグループかが伝わりやすい作品かなと思います。まっ、相変わらず、何がやりたいのかはまったく伝わってきませんでしたが(笑)。
山ちゃん
歴代の彼女たちからもことごとく“わけが分からない”と言われ続けてきましたからね(笑)。ここまでくれば、もうそれも自分たちの立派なオリジナリティーであり、武器なんで。
ワトソン
でも、そこが自分たちの狙いでもあって。自分で聴き返してみても、“果たして何がやりたかったんだろう?”でしたから。でも、それらも含め嘘偽りない自分たちが出せたかなと。
ある意味、潔いアルバムですもんね。相変わらず曲のタイプもさまざまだし。
山ちゃん
支離滅裂だし、わけ分からないし。まじキモいでしょうが、その“キモさ”こそ自分たちにとっての褒め言葉ですから。言い換えると、それが自分たちらしさなんだろうなって。今回はその辺りも含めて思い描いていたものが表現できましたね。
ワトソン
基本、自分たちはひとつの音楽性を突き詰めて、“これが俺たちです!”ってグループじゃないですからね。さまざまな音楽性をつまみ食いしたいし。逆にそれが出せればいいんです。
DaBass
聴き終ったあと、“何だ、これ!?”と気になって何回も繰り返して聴ける。そんな中毒性がありますよ、この作品は。自分としては最初にどついたるねんを観た時の“何だ、このバンド!?”に近いものがありました。
先輩
逆にこういった作品はどのような人が聴くんですかね?
基本的にはポップで、1度聴いたら口ずさめるキャッチーさもあって、幅広い人が聴ける作品ですが、中でも音楽をいろいろと幅広く聴いている人は、より楽しめるんじゃないですかね。サウンドやリリックのいろいろなところにさまざまなオマージュが盛り込まれていて、それを発見する度にニヤニヤしながら聴ける作品かなと。
ワトソン
まさにそこです! 自分で完成させた作品を聴き返して、“俺、こういうバンドがいたら絶対に好きになる!”と自信を持ちましたもん。できるだけ自分たちに素直にやろうとやった結果、満足したものが出来上がったので悔いはないです!
ちなみに、これまでいろいろな音楽性を経てきているわけですが、今回のメジャー1stアルバムのリリースにあたって、その中で特化して“これだ!”というものを前面に出す方法論を取ろうとは?
ワトソン
それができなかったんです。自分たちでも何か“これだ!”というものを押し出して特化させるバンドじゃない自覚があるし。自分たちがやってて楽しくて、聴いている人たちも楽しい、元気が出る!…そんな音楽をやりたいですから。そうなるとやはり、こうなっちゃう。でも、今作ではその“楽しい作品”の目標は達成できました。
うーちゃん
逆に無理して作っても変なものしかできず、結局満足した作品には至らなかったでしょうから。
山ちゃん
狙ってやっていいものができた試しがないですからね。これまでやってきて、良い意味で何も考えずにやることが最良だと知ってるし。逆に今回は何も考えないで作った結果、自分たち的には非常に上手くいったんです。
あと、今作からはみなさんの個性もより反映された印象も持ちました。
浜 公氣
その辺りは初めてこの6人で作り上げた面も大きいかなと。従来の曲もアレンジし直したし。風通しも良くなり、各々の個性や役割がより引き立つし、引き立て合えたかなって。
うーちゃん
メンバーが減った分、個人の濃度や役割分担が増えて個性も出しやすくなりましたからね。
先輩
その各人の役割や個性がはっきりした分、僕はそれをあえて濁らせたり、かき混ぜたりする役割を担いました。
でも、今作はこの10年のみなさんの活動や作品作りの縮図のようにも映りました。というのも、これまでいろいろなタイプの曲を…それこそ無数に作ってきたがゆえの珠玉の楽曲たちのような感受があったんです。
ワトソン
これまで数多く失敗してきましたからね。それこそ3歩進んで2歩下がる的な活動や作品作りで。その中で学んだり、見つかったものをより特化させたのが今作でもあるんです。そう考えると自分たちなりのオリジナリティーは出せたかなと。
先輩
これまで誰も正攻法を教えてくれませんでしたからね。自己流や自力でようやくここに辿り着けました。
今作もみなさんのライヴ同様、聴き終わったあとに不思議な充実感や活力が沸いてきました。なんか“よし、頑張ろう!”みたいな。
ワトソン
それ、すごく嬉しいです。“あの曲、好きです”とか“あの曲いいですね”とは、ほぼ言われないけど(笑)、たまに言われるんですよ、“観ていて元気になります”とか“楽しくて好きです”とか。そのような言葉がすごく嬉しくて。それ以外、何の取り得も欲しい言葉もないんで、自分ら。
今後のどついたるねんのビジョンというのは?
DaBass
このアルバムのダブミックス盤を出したいです。ヴォーカルを抜いて、ダブ処理をして逆にチルアウトしてもらいたい。
浜 公氣
ちゃんといいアルバムを出せたんで、次はいいライヴをしていきたいです。まっ、“いいライヴ”の定義自体、自分たちでもまだ分かってませんが。これからもそれを探って行く旅を続けていきます。
ワトソン
やっぱその答えは、聴く人や観てくれる人の笑顔かなって(笑)。作品にしても、ライヴにしても、今後もその答えを見つけるための旅を続けていきます!
取材:池田スカオ和宏
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アルバム『どついたるねん』2018年3月28日発売
EVIL LINE RECORDS/KING RECORDS
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『どついたるねんワンマンライブ Let's Go Party!! 4649!』
どついたるねん:2008年、前身バンドを経て結成。11年に初のフルアルバム『ダディ』発表。映画の主演・音楽担当、写真家7人による撮り下ろし写真集『MY BESTFRIENDS』の刊行、ファッションブランド BEAMS のモデルへの抜擢等、多岐に渡る活動を展開。15年春には変名“SUSHI BOMBER”でアメリカ西海岸ツアーを敢行し、同年秋には初のR&Bを取り込んだ8thアルバム『ミュージック』を発表。そして、17年12月20日にメジャーデビュー作となるシングル「BOY」をリリースし、同日に渋谷CLUB QUATTROでフリーライヴを敢行した。どついたるねん オフィシャルHP