今度の「パタリロ!」は泣ける! 舞
台「パタリロ!」★スターダスト計画
★ ゲネプロレポート

舞台「パタリロ!」★スターダスト計画★がいよいよ開幕した。衝撃の初演から1年余り。果たしてあの昭和全開の「パタリロ!」ワールドはどのようにパワーアップしたのか。3月15日の初日に先駆けて行われたゲネプロをもとに、進化した「パタリロ!」の世界をレポートする。
濃すぎる面々が劇場を「パタリロ!」ワールド一色に
2016年12月、紀伊國屋ホールを笑いで沸かせた初演。魔夜峰央の耽美でシュールな原作を、脚本:池田テツヒロ✕演出:小林顕作の最強タッグで舞台化。次々飛び出す昭和の匂いムンムンのギャグや、まさかの月影先生(!)まで登場する白泉社イジリなど禁じ手を連発。終演後は「すごいものを観てしまった……!」という観客の感想でロビーが騒然となるほどだった。
そんな「パタリロ!」ワールドは第2弾も健在。いや、むしろ劇場が紀伊國屋ホールから天王洲 銀河劇場へとスケールアップしたことで、ますますショーアップしている! 冒頭のパタリロ(加藤 諒)登場のシーンからタマネギ部隊を従え、歌&ダンスで観客を盛り上げると、バンコラン(青木玄徳)も名物の目からビームで全美少年&観客のハートを瞬殺。マライヒ(佐奈宏紀)はますます色気が加わって、もう出てくるだけで桃色吐息。前回以上に“濃く”なったキャラクターたちが、サイズアップしたステージを所狭しと大暴れした。
“世紀のハマり役”の呼び声高いパタリロ=加藤 諒だが、実はその頭身を除けば、加藤 諒とパタリロは決して似ているわけではない。漫画のパタリロは猫のような糸目である一方、舞台上の加藤 諒はトレードマークの眉毛が強烈な存在感。声色も、あくまで別人だ。
けれど、そんなギャップがまったく気にならないほど、舞台上の加藤 諒は、紛うことなくパタリロなのである。この秘密は、やはりパタリロのゲスで暴君な性格を、加藤 諒が余すことなく全身で体現しているからに他ならない。特に、本人も役づくりの重要なポイントとして挙げた“顔芸”は今回もインパクト大。眉を寄せたり、唇の端を吊り上げたり、白目を剥いたり、加藤 諒の表情筋の粋を結集した“顔芸”が、実写化不可と言われたパタリロという超飛び道具的キャラクターを見事に3次元化させている。
さらにバンコラン&マライヒの愛もより濃厚&甘美に。特に今回は、ビョルン(小林亮太)というライバルが現れたことで、嫉妬に狂うマライヒの暴走が大きな笑いを呼んだ。いつもの吐息まじりのセクシーな声色とは一転、雄みの効いた声を響かせるマライヒがいとしい。
真顔でお茶目なダンスを踊るバンコランも、見逃せない萌えポイント。正統派二枚目の青木が、こんなぶっ飛んだ役どころを真剣にこなすので、一層笑いがこみ上げてくる。
新キャラも見どころ満載。キーパーソンのビョルン&アンドレセンを演じる小林亮太は、マライヒ役の佐奈に負けない美少年っぷり。登場シーンは自前で風を用意して、まるで“T.M.Revolution”状態。このチープなふざけっぷりこそが、舞台「パタリロ!」の面白さだ。
そして、ロビー少尉役の三津谷 亮は、月下美人のごとく慎ましやかな存在感で作品に華を添えた。三津谷も小林も、とにかくウエストが細すぎるのだ……! うっとり堪能するか、「恐ろしい子……!」とおののくかはあなた次第。いずれにしても希少価値の高い美シルエットなので、しかと拝んでおいた方が良いのは間違いないだろう。
そして、前作から特にパワーアップしているのは、ストーリー性。今回は原作屈指の人気エピソード「スターダスト」編だけあって、とにかく泣ける。原作未読の方のためにも詳細は一切ふれないが、グッと胸にこみ上げてくるものが待っているので、ぜひ楽しみにして劇場に足を運んでいただきたい。
映画化も決定! この「パタリロ!」ワールドに乗り遅れるべからず!
ゲネプロ前の囲み会見では、パタリロ役の加藤 諒、バンコラン役の青木玄徳、マライヒ役の佐奈宏紀、原作者の魔夜峰央、脚本の池田テツヒロ、演出の小林顕作が登壇。
加藤が「パタリロの中でも人気のあるエピソードが入っているので、大事に演じられるように頑張りたいと思います」と意気込みを述べると、青木も「キャスト・スタッフ一丸となって面白いものをつくれたと僕は思っているので、あとはお客様にこれをどう受け入れてもらえるのかというドキドキだけ」と開演が待ちきれない様子。佐奈は「今回、ストーリーがすごく動くんですけど、そんなこと関係ない感じで僕はバンコランのために生きようと思います」とバンコラン愛を宣言した。
原作の魔夜は「生きている人間がパタリロを演じられるとはそもそも思っていませんでした」と前置きしつつ、加藤 諒というキャスティングを聞いて「『あ、いた』と思いました」と太鼓判。「フーテンの寅さんが渥美清さん以外できなかったように、パタリロは諒くんしかできないと思っています」と最大の賛辞を送った。
昭和ギャグ満載の本編について、池田が「自分がかつて笑ったギャグをそのまま使えばいいと思っている」と古き良き時代へのリスペクトを語ると、小林も「あのときに感じたものを今にリバイバルさせようということは思っていなくて。面白いものは不変だと思っている」と解説。「稽古場でやっているのは間ですね。とにかく間が違うなと思ったらとことんやって。どうでもいいギャグのシーンばっかり練習して、みんなを困らせてます」と苦笑した。
さらに、2018年秋、映画版の公開が決定したことも同時発表。舞台版キャストがほぼ続投ということで、加藤は「“2.5次元舞台を映画化した”っていう作品になっている」とアピール。佐奈からは「レッドカーペット歩けるんじゃないかと思っています!」と大胆発言が飛び出すなど、自信の程をうかがわせた。すでに撮影は終了しており、池田からは「数々の現場を俳優として見てきましたけど、こんな現場見たことなかったです」と前代未聞の作品になっていることを強調。「ホームランか三振かわかりませんけど、魔夜先生は予知能力がございまして、『この映画絶対に当たる』とおっしゃっていました。当たるはずです!」と息巻いた。
「パタリロ!」旋風が吹き荒れそうな2018年。その先陣を切るのが、この舞台「パタリロ!」★スターダスト計画★だ。東京公演は3月15日(木)から3月25日(日)まで天王洲 銀河劇場にて。大阪公演は3月30日(金)から4月1日(日)まで森ノ宮ピロティホールにて上演される。
原作未読、初演未見の観客も十分楽しめる間口の広い作品となっているので、ぜひ劇場で思い切り笑ってほしい。

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