101回目の来日公演は『フジロック』
、今こそボブ・ディランを知るための
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時計の針が深夜0時を告げ、日付が3月16日に変わった瞬間に事件は起きた。『FUJI ROCK FESTIVAL '18』(以下、フジロック)のオフィシャルサイトにて、ボブ・ディランの出演が決定したとが発表されたのだ。今回はこれまでのニュースと異なり、0時にアーティスト出演情報が発表されることは異例のことである。
『フジロック』とは、毎夏、新潟県 湯沢町 苗場スキー場にて開催される自然と音楽の共生を目指す日本最大級の野外ロックフェスティバルのことで、今年は7月27日(金)、28日(土)、29日(日)に開催されるアジアにおける音楽フェスのパイオニアだ。
これまで出演も、来日すらしたことのなかった大物アーティストが、『フジロック』出演を機に日本の地を踏むことも珍しくはなかった。しかし、ボブ・ディランの場合は、1978年の伝説の初来日武道館公演から40年が経過する今日まで、日本での通算公演回数100回を記録するほど来日が多いアーティストと言える。しかし、数日前にFUJIROCKERS.ORGが公開したSMASH・日高正博社長のインタビュー記事の中で「今まで何回も何回も話をしてきて、今年は不思議なことに「出たい」って言ってくれた」とあるように、これまでフジロックへの出演歴はなく、長年のラブコールにディラン側がようやく応えた形で初出演することになったようだ。
近年では、2016年に世界中のメディアを通じてボブ・ディランの名は響き渡っていた。その理由は、ノーベル文学賞受賞という偉業を成し遂げたからだ。彼はこれまでもアメリカ発のカルチャー雑誌『ローリング・ストーン』が選んだ歴史上最も偉大な100人のソングライターにおいて第1位、同誌の歴史上最も偉大な100組のアーティスト第2位をマークしてきた通り、世界が認めるソング・ライティング・スキルを持った稀有な才能を持つミュージシャンの中の、謂わば代表格である。もちろん、グラミーは殿堂入りだ。しかし、そうした芸術における才がカルチャーの枠を飛び越え、ノーベル文学賞にまでリーチできるということを体現し、世間に知らしめてくれたのは他の誰でもない、ボブ・ディランその人なのである。
この記念すべき『フジロック』出演を機に、今、改めて、ボブ・ディランについて知りたい若い層に向けて記事を書こうと決めたのだが、どこからどう書くべきかについて大きく迷った。彼の経歴も、エピソードも、その一つひとつまでもがあまりにも濃すぎるからだ。例えば、フォーク時代に「フォークの貴公子」と呼ばれていたのにもかかわらず、公民権運動に紐付いたプロテストソングを生み出したことで当時のフォークファンから総スカンを喰らった話や、それ以降も尾を引いたように活動家や政治に絡んで自分の作品が使用されることに辟易しているらしいということだけで容易に1記事できてしまえる。
そこで筆者は考えた。とにかく彼の生み出した音楽作品に触れることをお奨めしたいので、この記事を読んでくれている貴方もおそらく耳にしたことがあるであろう筆者の最も好きなディランの作品を紹介しようと思う。
「Like a Rolling Stone」

ボブ・ディラン史上、最大のヒットシングル「Like a Rolling Stone」を聴いて欲しい。これは、1965年にシングル・リリース、同年発売されたアルバム『Highway 61 Revisited』(追憶のハイウェイ61)に収録された楽曲で、多くのアーティストによって今日もカヴァーされ続けている、ロック史上、最重要作品のひとつと謳われているのだ。ディラン本人にとっても創作活動の上で“突破口”だったと後に語っているほど、当時の音楽シーンに一石を投じる変革の作品だったと言える。
筆者がこの曲を知ったのは、高校時代に聴いたデヴィッド・ボウイの長年のバディだったミック・ロンソンによるカヴァーだった。程なくしてオリジナルであるディラン・バージョンもチェックし、ボブ・ディランという天才を知ることとなった。かれこれ20年以上前のことである。こうして音楽は脈々と流れてゆく。誕生して四半世紀以上経過した曲であろうが、名曲は別の歌い手や演奏者が次世代へと紡いでいくのもまた音楽の持つ素晴らしさのひとつだ。そうすることによって、よりストーリー性も感動の度合いも増し、さらにまた人の心へと大きく作用するのだと思う。
今年の『フジロック』のヘッドライナーは、言うなれば、ボブディラン vs ケンドリック・ラマー&N.E.R.Dの図式だろう。しかしこれは新旧ではなく、どちらも今の音楽シーンを牽引するアーティストたちだ。今日という日をきっかけに、これまで耳にはしたことはあっても、今まで名も知らずにいた楽曲に触れることから始めてみて欲しい。そして今夏には、ディランの記念すべき101回目の公演、そしてノーベル文学賞受賞後初となる『フジロック』での特別なステージをじっくりと堪能して、一人でも多くの音楽ファンに歴史的瞬間に立ち会ってほしいと願っている。
出典=FUJIROCKERS.ORG(http://fujirockers.org/?p=12600
文=早乙女‘dorami’ ゆうこ
『FUJI ROCK FESTIVAL '18』出演アーティスト
BOB DYLAN & HIS BAND
KENDRICK LAMAR
N.E.R.D
SKRILLEX
VAMPIRE WEEKEND
サカナクション
DIRTY PROJECTORS
GREENSKY BLUEGRASS
JACK JOHNSON
マキシマム ザ ホルモン
MGMT
ODESZA
YEARS & YEARS
ANDERSON .PAAK & THE FREE NATIONALS
BERHANA / CARLA THOMAS
go!go!vanillas / HOTHOUSE FLOWERS
JAMES BAY / JON HOPKINS
MAC DEMARCO / 小袋 成彬
RANCHO APARTE / Suchmos
SUPERORGANISM / TUNE-YARDS
ユニコーン / WESTERN CARAVAN
and more artists to be announced
■現在、チケット1次先行販売中
チケットは1次先行販売中で、人気のオートキャンプが可能なムーンキャラバンチケットや3日間参加が難しい人向けのお得な2日券を含めた全券種の購入可能だ。また、チケットの受取方法で「配送」を選ぶと、リストバンド事前発送サービスを利用できる。そして今年も中学生以下は保護者同伴につき無料で入場できる。各券種、受付などの詳細はオフィシャルサイト(http://www.fujirockfestival.com)にてご確認を。
□イープラス
http://eplus.jp/frf (PC・スマートフォン・モバイル)
※コンビニ支払い・受取手数料0円、イープラス限定特典付き

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