【インタビュー】Lucie,Too「ずっと
女の子に寄り添っていけるような曲を
提供していきたい」

2月7日に初の全国流通盤となる1stミニ・アルバム『LUCKY』をリリースした3ピースのガールズ・バンド、Lucie,Too(ルーシートゥー)。宇都宮を拠点に活動する彼女たちは平均年齢20歳、結成してわずか1年弱にも関わらず、今作にも収録された「Lucky」のMVが三ヶ月弱で再生回数40万回を突破、ライヴハウスでの人気も急上昇中と、2018年最も注目されているバンドの一つといっていい。ガールズ・バンドが群雄割拠する音楽シーンにおけるLucie,Tooの魅力とはいったいどこにあるのか? バンドの成り立ちから、アルバムの楽曲について、5月に控える初の北米ツアーのことまで、メンバー三人に話を訊いた。
■3ピースのガールズバンドにはいないような

■ポップ路線に行こうっていうのが今の路線のキッカケ
──1stミニ・アルバム『LUCKY』がリリースされて少し経ちますが、反響はいかがですか?
Chisa(Vo.Gt):結構、反響はありますね。
かなこ(Ba. Cho):MVが一番、目に見えて反響がわかりやすくて。再生回数を見ると、すごく人に届いているんだなって思います。
Chisa:「Lucky」のMVが約40万回再生になっていて、すごいなって。昔の友だちとかからも連絡が来たりしますね。
シバハラナホ(Dr.Cho 以下・ナホ):初めて会ったバンドマンに「MV見たよ!」とか言われたり。
──結成1年弱とのことですが、どんな成り立ちでできたバンドなのか教えてもらえますか
Chisa:もともとは、高校生の頃に宇都宮でそれぞれ違うバンドをやっていたんですけど、私が高校を卒業してやっていたガールズ・バンドが解散して。前のドラムと一緒にベースを探していたときに、ライヴハウスの人から「良いベースを弾く子がいるよ」ってかなこを紹介されたんです。
かなこ:私が高校の部活でバンドを組んでいたときに出ていたのが「宇都宮HELLO DOLLY」というライヴハウスで。Chisaさんとも対バンをしていて顔見知りではあったんです。
Chisa:それで前任ドラマーが脱退して、元SUNNY CAR WASHのドラマーだったナホが加入しました。
ナホ:地元でドラムをやっている女の子があんまりいなかったこともあって誘ってもらって。
かなこ:もともと、私とナホはライヴハウスで知り合った友だちで。お互いのバンドのことを話していて、ドラマーが抜けたときにサポートをやってもらうようになったんです。そこから今の三人になりました。
──三人ともライヴハウスによく通っていたんですか?
Chisa:私は、Someday's Goneのシュンちゃん(VO.Gtのニシヤシュン)がいとこで、高校生の頃に軽音部でバンドをやっていたときにライヴハウスを紹介してくれて行くようになりました。
かなこ:バンドをやってない人からすると、ライヴハウスってちょっと怖いイメージがあるかもしれないんですけど、宇都宮HELLO DOLLYは系列店のスタジオも家族で経営しているすごくアットホームなところで。バンドマンもライヴハウスの人もみんな家族みたいな優しい環境だったので、行きやすかったですね。
Chisa:SUNNY CAR WASHもそこに出ていたし、みんなそこで交流していった感じです。年上のバンドマンさんとかとも、みんな仲が良いんですよ(笑)。
▲Chisa(Vo.Gt)


──Lucie,Tooを結成したときはどんな音楽をやろうって話していたのでしょう。
かなこ:Lucie,Tooっていうバンド名は、Now,Nowっていうアメリカのバンドの曲から取っているんですけど、最初はNow,Nowみたいなすごくダウナーな音楽をやろうって話していて。
Chisa:Now,Nowがオルタナティヴですごく暗いバンドなんですよ。その日本語版をやりたいなって思っていたんですけど、変わりましたね。
──なんで変わっっていったのでしょう?
かなこ:今も、Now,Nowから影響を受けたオルタナの部分は残っていると思うんですけど、良い意味で今の方が等身大の曲が出来ているから、自然にこうなったのかなって思います。Chisaさんはもともと、たぶんダウナーなタイプではないと思うので(笑)。
Chisa:最初は決めつけていたんですけど、途中からダウナーな曲は作れないなって思うようになって。そのきっかけになったのが「キミに恋」なんです。この曲は結成3か月くらいで出来た曲で、これが出来たときに「あ、違うな」と思って。そのときに、作曲者目線で3ピースのガールズバンドにはあんまりいないようなポップ路線に行こうってなったところがありますね。
かなこ:作曲をしているChisaさんは、JUDY AND MARYさんやSUPERCARさん、90年代のバンドや歌謡曲など、人に届く耳馴染みのある音楽から影響を受けているんですけど、私とナホはエモや残響レコードさん関連や洋楽が好きなんです。そのバックグラウンドのアンバランス感が、今のガールズバンドとLucie,Tooの音楽の違うところなんじゃないかなとは思っています。
▲かなこ(Ba. Cho)


──ナホさんは途中から加入したこともあって、Lucie,Tooの音楽を客観的に見れたと思うんですけど、どんな印象を持っていましたか。
ナホ:最初は、暗い曲もあれば明るい曲もあって、それはそれで振り幅があって好きだなって思って、サウンドうクラウドでずっと聴いていました。それに、かなことはずっと仲が良くて、「一緒にバンドやりたいね」ってコピバンをやろうとしてくらいなので、Lucie,Tooに入れたのはすごく嬉しかったですね。
かなこ:自分もサポートの経験をして思うのは、スタジオの入り方からしてバンドによって違ったりして、新しく入るのってむずかしい部分もあると思うんです。でも、ナホがすごくすんなり入って馴染んだので、この三人が合っているんだなって。
ナホ:Chisaさんともぜんぜん会ったことがなかったんですけど、すごく人当たりが良くて。ちゃんと自分を持っているんですけど周りとの壁がない人というか。だから私も「こういう風にしなきゃいけないんだな」「サポートだからここまでだな」っていう考え方じゃなくて、すんなりバンドに馴染むことができました。
Chisa:二人(かなことナホ)が親友だったことも大きいですね。「ナホちゃんしかいないでしょ!」って。
▲シバハラナホ(Dr.Cho)


──そこにChisaさんの人との接し方もあって馴染めたわけですね。ところで、資料に「打ち上げ大好きキャラ」ってあるんですけど……
Chisa:それは(レーベルスタッフさんに)勝手に書かれました(笑)。
ナホ:宇都宮って、ライヴの後、遅くなると終電がなくて帰れなくなっちゃうから、そうなると必然的に朝まで打ち上げにいることになるから仲良くなるんですよね。
かなこ:打ち上げで、カッコイイ音楽をやっている人たちにどういう音楽を聴いているか訊いたりできるし、とくに宇都宮ってそういう好きな音楽をみんなに伝えていくっていう環境があって。そういう場で先輩から教えてもらった新しいジャンルにハマったりすることもありますね。まあ、楽しい打ち上げの場です(笑)。
Chisa:でも、宇都宮の打ち上げって、割と音楽の話だけじゃないよね? 真面目な打ち上げではないというか(笑)。そういうところで育ってきたからっていうのもありますね。
■女の子に寄り添える楽曲でありたいと思うし

■とくに女子中高生に聴いてもらいたいなって思います
──『LUCKY』は初の全国流通盤CDですが、どんな1枚にしようと思って作りましたか?
Chisa:何も考えずに、自由に好きな曲を入れました。それで完成してからみんなで聴いたら「片思い盤だね!」って。
──確かに、一貫して女性から一方向な目線で歌われますね。
Chisa:私がaikoさんとかYUKIさんとかを聴いてきたみたいに、女の子に寄り添える楽曲でありたいと思うし、とくに女子中高生に聴いてもらいたいなって思います。
──2017年に配信シングルとしてリリースされた「Lucky」をアルバムタイトルにしたのは?
Chisa:この曲は、唯一幸せな曲なんです。最初は「婚姻届けを出す日の歌」っていうタイトルにしていたんですけど。でもそれじゃ直接過ぎるかなと思って。
──この歌詞は文字通りの意味で取っていいということですね。
Chisa:そうです、何もひねくれてないです。まっすぐまっすぐ。純粋に婚姻届けを出す歌詞ですから。ゼクシィのテーマ曲にしてほしいな(笑)。この曲はLucie,Tooで一番最初に書いた曲なんですよ。それもあって、目立たせたいというのもあって、アルバムタイトルにもしました。
かなこ:「Lucky」もそうですし、アルバムに入っている曲は、今までずっとやってきたことをそのまま出しているだけなので、それに反響が返ってくることに「今までやってたことはこんなに人に届くものだったんだ」って驚いています。
──Chisaさんは、自分が作る曲をどうやって二人に伝えてLucie,Tooの曲に仕上げているんですか。
Chisa:弾き語りの音源を二人に渡して、「ここはこうしてほしい」というのはスタジオで伝えるんですけど、それ以外は全部二人に持ってきてもらう感じで。最初の頃は、「この曲はこういう曲だよ」って言うのが恥ずかしかったんですけど、最近はようやくすぐに言えるようになりました。
かなこ:私が今回、一番印象に残ってるのが「Siesta」で。お昼寝っていう意味なんですけど、歌詞とかストーリーを聴いたときに、景色と空気感が一番わかりやすくて。自分でもそういう方がベースラインを作りやすいんです。Chisaさんの頭の中の物語を自分で想像しながらベースラインを出すっていう作業が楽しく思えるようになったのが「Siesta」からですね。
ナホ:曲を受け取るのは弾き語りの状態なので、私はそれを聴いて自分が感じた世界、曲のイメージと、Chisaさんのイメージがスタジオでどう上手く噛みあうかって考えてやっています。だから、Chisaさんのイメージと合わないときもあって。最初のアレンジはドラムとギターだけで作っているんですけど、ドラムのフレーズを作っていて、私はこっちの方が良いけど、こうしてほしいって言われることもある。そういうときはChisaさんのイメージでやってみて、後からベースが加わって、そっちの方がしっくりくるっていうときはそっちを選びますし、スタジオで二つのイメージが合わさって曲になるって思っています。
──最初から三人でスタジオでアレンジするわけじゃないんですね。
かなこ:Chisaさんは、自分が作った歌メロに対して、「こういうドラムのパターンがほしい」というのをちゃんと言葉で説明することができる人だと思っていて。たぶんそれが一番Chisaさんにとって歌いやすいというのがあるから、自然とナホと二人でスタジオに入って、それに対して私がベースを付ける方法になっているのかな。だから歌メロが前に出た曲になっているし、ギターの音もChisaさんの歌とか声に合った音にしているんだと思います。
Chisa:自分はぶっちゃけもっと歪んだギターの音が好きなんですよ。でも声のことを考えると、レコーディングのときもスタジオの方に「この声にはこっちのギターの方が合う」って言われて、確かにそうだなよなって。だからクリーンな音でやっています。そのシンプルさが良いし、メロが活きてくると思っています。
──Chisaさんが、今回の曲で中高生の女の子に一番共感してもらえるんじゃないかって思う曲を挙げるとどれですか。
Chisa:共感してもらえるのは、やっぱり「キミに恋」ですね。応援歌になっているので。これは友だちの恋愛相談に乗っていたときの歌なんですよ。自分もこの曲の主人公のような人なので(笑)。それと、「May」は一番最初に作ったデモで、1枚100円で売っていてサウンドクラウドにも上げていて、色んな人に知ってもらうきっかけになった曲です。なので「May」も思い入れがあります。
──歌詞に“あぁ私には少し贅沢だったのね”っていうフレーズが出てきますね。
Chisa:それね、すごくいいですよね!?
かなこ・ナホ:あはははは(笑)。
──すごくいいです(笑)。ただ、「キミに恋」にも“贅沢は言わないからって想うだけで充分贅沢なのかな”っていう歌詞が出てきたり、なんでそんなに自己評価が低い歌詞が出てくるのかなって。
Chisa:そうなんですよ、そういう人間だから(笑)。
──友だちのことをモデルにして曲を書いてもそうなるのはどうしてですか。
Chisa:友だちもそうだったんですよ、「自分なんてどうせ…」みたいな。でも「わかるよ」っていう部分もあったので、歌を作って。友だちにはいまだに聴かせていないんですよ。恥ずかしいから(笑)。このアルバムを聴いて気付いてくれるかなって。
──最後の「リプレイ」は“そんな自分が嫌い”って、なんとも言えない余韻を残してアルバムが終わりますね。
Chisa:弾き語りで活動していた時期にPredawnさんに憧れていて、アルペジオでやってみたくて作った曲なんですけど、バンドで初ライヴでやってから「なんか嫌だなあ」と思ってボツにしちゃって。今回はかなこが入れようって言ってくれたので。
かなこ:私はこの曲は好きで、ずっとやりたいなと思っていて、初ライヴの音源もよく聴いていたんです。このアルバムの曲は全部、Chisaさんから見た他人がいる感じなんですけど、たぶん「リプレイ」をChisaさんが嫌いなのは、この曲だけ、そのまんまの素のChisaさんが出ている歌詞だからだと思うんですよ。聴いていても、Chisaさんが曲作りで悩んでそうなイメージが湧く曲ですよね?
Chisa:そう、歌詞がめちゃくちゃ嫌なんですよね。そのままだから。
かなこ:単純にこの曲が好きだから入れたいなって思ったんですけど、最後に素直なChisaさんが出ていてすごく良い位置に持ってこれたなって思います。
Chisa:良いアクセントになってるよね。結構この曲が好きって言ってくれている人もいるし、このアルバムに入ったことで変わったと思います。
ナホ:アルバムのどの曲も、女の子なら誰でも思うことを歌っていると思うけど、サウンドは甘甘じゃないから、変にむずがゆくなく聴けるんじゃないかなって思います。
──ライヴではそうした曲たちをどう聴かせていますか。
Chisa:ライヴ中は、演奏していて両手が使えないから、最近めっちゃ顔で表現しているんですよ。
──顔で!?歌の内容を顔で表しているっていうこと?
Chisa:そうです。悲しいときは悲しい顔をして。「ドラマチック」とか歌ってて泣きそうになっちゃったりします。曲に感情移入してしまうので。「キミに恋」だったら、“もしキミが私の目の前に今現れたとしたら”っていう歌詞でお客さんの顔を見たりとか。そういうのはすごく意識しています。
──5月に初海外遠征となる北米ツアー(カナダ)に行くそうですけど、言葉が通じない分、顔で表現するっていうのはより活きてきそうですね。
かなこ:そうですね。このツアーは、トロント、バンクーバー、モントリオールに行きます。
ナホ:「Next Music From Tokyo」っていうイベントがあって、カナダのイベンターさんが日本のバンドをカナダに紹介する企画に呼んでもらって出るんです。
かなこ:何バンドか一緒にツアーを回るんですけど、ずっと同じバンドと一緒に回った経験がないので、すごく良い刺激がもらえたらいいなって。
ナホ:最近、YouTubeで外国の人からコメントをもらうようになったんですよ。そういう反応も楽しみだなって思います。英語で歌っていないんですけど、「Good!」とかってコメントが来るので、海外の人にはどういうところが伝わってるのかを目の前で知りたいですし、ライヴの反応が楽しみです。
Chisa:日本でもレコ発ツアーをやるんですけど、MVで観るのが私たちのすべてじゃないので、ライヴを観てそれを知って欲しいです。
──最後に、どんな夢を持って活動して行きたいか教えてください。
Chisa:ずっと、女の子に寄り添っていけるような曲を提供していきたいです。aikoさん、YUKIさんが私の中の2トップなんですけど、そこに並べるように。私が聴いてきた音楽に追いつけるようにしたいです。
ナホ:ライヴバンドが好きだし、これからどんどん良いライヴをしていきたいです。Lucie,Tooは、三人が「こういうバンドになりたい」って集まったわけじゃなくて、それぞれの音楽があって組んだバンドなので、そういうところを大切にしたいです。みんなの好きな音楽ももっと知りたいし、自分の好きな音楽も知ってもらいたいなって。それと、“バンドに愛されるバンド”になりたいなって思います。
かなこ:個人的には、Lucie,Tooの出したい音、ライヴで伝えたいことをもう1回ちゃんと自分で考えてみて、今やっとステージ上に立つ意味が分かってきたんです。Lucie,Tooは今、色んな人にCDを聴いてもらえて嬉しい時期ではあるんですけど、次はライヴで別な感動があるべきだと思うし、そこにバンドである意味があると思うので。それをできるようにするには自分がどうしたら良いかとか、もっと音作りの面とかも成長できればなって思っています。バンドの目標としては、Now,Nowを日本に呼びたいです。
Chisa:うん、それが目標です。Now,Nowの来日公演で一緒にライヴをやるのが夢ですね。
取材・文●岡本貴之
リリース情報


ファースト・ミニ・アルバム「LUCKY」

発売中

TTPC-0007 [価格] 1,600(税抜)+税

[収録曲(全7曲収録)]

1. Lucky

2. キミに恋

3. Siesta

4. ドラマチック

5. 幻の恋人

6. May

7. リプレイ
ライブ・イベント情報


<「LUCKY」レコ発ライブツアー>

3月25日(土)【会場】栃木・宇都宮HELLO DOLLY

4月7日(土)【会場】東京・下北沢THREE

5月北米ツアー

Shimokitazawa SOUND CRUISING 出演
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